異界東京都に根を張る暴力の世界に、もはや安息の領域は無かった。
無敵の称号をほしいままにする『関東卍會』を筆頭に、いくつもの勢力が入り乱れ、連日連夜いくつもの事件が勃発。
まさに異界の如き混迷を極めている。
そんな戦場において、特に名の知れた集団があった。
その名も、鬼邪高校。
都内某区の私立高校でありながら、暴力の世界の勢力図に名を連ねているそこは、全国から札付きの粗暴者が集まるヤンキー校である。
将来有望な悪童の巣窟であるが故、その筋からのスカウトが絶えず、在校生たちはより良いスカウトを得るために留年するのは当たり前。
5度の留年など珍しくもなんともなく、校内で石を放れば20歳を超えた生徒に当たること間違いなし。平均年齢はなんと23歳。
そんなあまりにも桁外れな無法ぶりから、ついた異名は『漆黒の凶悪高校』。
鬼邪のてっぺんに立つ方法はただひとつ──古くからの伝統である『選りすぐりの粗暴者たちによる拳100発を耐える試練』の達成。
長年、そんな無茶を達成できる者が誕生せず、鬼邪は頭の存在しない無軌道な不良集団となっていた。
しかし、ついにそれを成し遂げ、鬼邪高初代番長になった者がいた。
100発の拳に耐えるタフネスを持ち、拳のみで不良たちのてっぺんに立つ戦闘力を備える、最強の男。
彼の名は──
◆
それは殴打という粗暴な行為でありながら、実に美しかった。
まるで黄金長方形の螺旋をなぞるような軌道で放たれた拳は、吸い込まれるようにして顔面の中心部に直撃。鼻の骨が折れるというより、いっそ潰れるような音が鳴り響き、鼻血が噴出する。この時点で殴られた相手の眼球はぐるりと縦に回転して白くなり、気を失ったのは明白だった。
しかし最後の悪あがきか、それとも何かしらの強い意志に基づいた行動か──既に気絶しているはずの誰かは、掴みかかるようにして両手を突き出す。
その右手の甲には、赤黒い紋様が刻まれている。
それは、彼が聖杯戦争の参加者であることを示す、『令呪』なる刻印だった。
しかしその紋様はその者だけの特徴ではない──そいつを殴った少年の拳にも、似たようなものが刻まれていた。
「ォラアッ!!」
少年は令呪を宿した拳を再度握り、ちっぽけな悪あがきごと相手を殴り飛ばした。
名も知れない誰かは次こそ活動を停止し、そのまま地面に倒れ伏す。
聖杯戦争の参加者と雖も、その体は人間。生物の域を出ていない。気を失うようなダメージを負えば、戦闘不能は免れないのは道理だった。
少年の、拳ひとつで聖杯戦争の参加者をねじ伏せる戦闘力は、まさに鬼神。
それもそのはず。
なにせ彼は鬼邪高校初代番長にして最強の不良──村山良樹なのだから。
「うっし、おしまーい」
村山は間延びした声で勝利宣言をした。
その息に乱れはない。
彼にとって、今しがたの戦闘が大した疲労になっていない証拠だ。
「ライダーは上手くやってっかな」
呟きながら頭を掻く。バンダナでまとめ上げた黒髪がクシャクシャと揺れた。
村山はそのままのんびりとした調子で歩き出した。
彼が今いるのは、都内某湾岸地区にある大型倉庫だ。
二車線はある道路の脇には体育館くらいの大きさの倉庫が、いくつも建ち並んでいる。
しかし、視界の先に目を向けて見ると、そこには驚愕すべき異常が広がっていた。
倉庫が、バラバラに、なっている。
内部に収蔵するものを保管すべく分厚く作られていた壁も、頑丈な材質と構造で成り立っていたシャッターも、その全てがバラバラになり、滑らかな断面を晒していた。
バラバラになっているのは倉庫だけではない。
視線を動かしてみると、港に泊まっていたのであろう小型船の舳先『だけ』や輸送トラックの荷台『だけ』が倉庫の壁や道路のアスファルトに深々と突き刺さっていた。挙句の果てには地面そのものに鋭利な刃物を通したような切断面が走っている始末。
見渡す限りあちこちがバラバラ。
まるで巨人の剣士が暴れまわったかのような、異様な破壊。
しかし、これを為したのが自分のサーヴァント、ライダーであることを知っている村山は、大して驚くこともなく、通り過ぎた。
やがて破壊の中心部に辿り着く。
そこではひとりの男が、地面に座っていた。
ヒョウ柄の帽子に、黒いコート。
全身からどことなく漂う不吉な雰囲気は、他者に死神を連想させるだろう。
男は村山の登場を認めると、顔を上げた。その両目には濃い隈があり、前述した不吉さを更に強調していた。
「終わったか村山屋」
低い、冥府の底から響くような重みのある声だった。
「まーね。楽勝楽勝」ぶい、と片手で勝利のサインを作る村山。「ていうか派手に暴れたなー、ライダー。倉庫とかトラックって、弁償することになったらいくらになんだろ。バイクの何倍?」
「俺が知るか」
ライダーと呼ばれた男は興味無さそうに吐き捨てながら、体を僅かに傾けた。それと同時に、「ぐえ」と第三者の呻き声が響いた。
地面に座っているライダーは、行儀悪くアスファルトに腰を直接下ろしているのではなく、間に何かを挟んで座している。
その『何か』は、サーヴァントの胴体だった。
先程見かけた倉庫やトラックのようにバラバラになった胴体が、断面から一滴も血を流すことなく、エーテルの漏洩も起こさずに、クッションのようにライダーの尻に敷かれている。
見れば、胴体の他にも腕や脚、頭までもがバラバラになり、乱雑に転がっていた。先程の呻き声は頭部から発せられたものなのだろう。
驚くべきことに、バラバラにされた何某はこんな状態になってもまだ生きていた。
生物非生物に関係なく、どころか英霊(サーヴァント)であろうとその強度を無視して分解し、自由自在に取り扱う異能。
これこそが、村山良樹のサーヴァントであるライダー、トラファルガー・ローの宝具『オペオペの実』の力である。
「そいつどうすんの? 尋問にでもかける感じ?」
「それはさっき終わった。必要な情報は十分引き出した以上、こいつはもう用済みだ」
ローの片手にはいつの間にか、ピンク色の立方体が握られていた。
それは心臓だった。
ガラスのような不可視のケースに収められたそれは、冷たい冬の外気に晒されながらも、ドクンドクンと音を鳴らして脈動している。
生命を声高に主張しているそれを、ローは躊躇いなく握りつぶした。
「うぐぁあっ!」
先程よりも大きな呻き声が響く。
同時に、それまでローが腰かけていた胴体を始めとする、名も知れないサーヴァントのパーツたちが細かな光の粒子となり、空気に溶けだした。心臓(霊核)に致命的なダメージを受けたことによる消滅現象だ。
徐々に薄れていく胴体から、ローは腰を上げる。人ひとりの心臓を握り潰したばかりだというのに、その表情にあるのは、常人が見れば震え上がるような冷たい残酷さだけだ。
立ち上がった己がサーヴァントを、村山は見上げた。
「やっぱスゲえタッパしてんな」──率直にそう思った。
比較対象となっている村山は番長の割に小柄で細身であるため、余計にそう思わされるのかもしれない。だが、それを抜きにしてもライダーの体格は凄まじい。2メートルにも迫らんばかりの身長だ。
「気を抜くんじゃねえぞ」
遥か高くから、ライダーの声が聞こえた。
「いま倒したこいつらは、本選にすら辿り着けずに終わった雑魚だ。こんなのを聖杯戦争の参加者の基準にするんじゃねえ」
ライダーの生前の記憶に照らして考えれば、彼が先程消滅させたサーヴァントは、新世界の海には到底足を踏み入れられなかったであろう程度の実力だった。そして、それと同時にローは思い出す。新世界の海にうじゃうじゃといた怪物たちを。中でも突出した怪物である、ふたりの四皇──カイドウとビッグマムの姿を。
「これから先、戦争が進むにつれて、今回みたいな余裕は段々と失われていくはずだ。だから村山屋、お前も聖杯を狙って戦うなら、もっと──」
「聖杯? そんなんいらねえよ?」
「は?」
虚を突かれたローは思わず素の声で返してしまった。
「欲しかった二輪の免許は、この前よーやく取れた。仕事だって……まあ、まだあんま上手くいってねえけど、頑張るつもり。だから、俺は聖杯にそこまで惹かれねえかなー。むしろさっさと元の世界に戻りたいくらいなんだけど。卒業しなきゃいけないし」
「でも」──と、そこで村山は拳を固く握りしめた。
「戦争(ケンカ)に参加しといて、わざわざ負けるのも性に合わねえ──目指すなら頂点(テッペン)のみだ」
緩やかだった口調に、鋭さが増す。
その瞳からは、野獣の如き獰猛さが滲み出ていた。
これが村山良樹。
拳のみでワルガキ共を統一した、鬼邪の番長である。
「だからさ、発破かけてくれてんのは分かるけど、あんま肩肘張って俺をビビらせようとするんじゃねえよ、ライダー。言われなくたってオレ、頑張るつもりだから」
「…………もういい、黙れ」
ローは帽子を目深にかぶり直すと、そのまま音もなく霊体化した。
ちょうどその時、雪が降り始めた。
白い粒がひとつ、村山の髪に落ちる。
見上げると、空には分厚く暗い雲が広がっていた。今夜いっぱいはこの天気が続きそうだ。
「うおっ、さみいさみい。帰りになんか、あったかいもんでも買うか」
着流している青のスカジャンだけではやはり寒いのか、両腕で自分の体を抱きしめるような格好になりながら、村山は湾岸倉庫を歩く。
鬼邪高最強の不良の姿は、やがて雪景色の向こうに消えた。
【クラス】
ライダー
【真名】
トラファルガー・ロー(トラファルガー・D・ワーテル・ロー)@ONEPIECE
【属性】
渾沌・悪・人
【ステータス】
筋力B 耐久A 敏捷C+ 幸運D 魔力B 宝具A
【クラススキル】
対魔力:E
魔術に対する守り。
無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
騎乗:-
下記の『嵐の航海者』スキルによって失われている。
【保有スキル】
嵐の航海者:A
船と認識されるものを駆る才能。
集団のリーダーとしての能力も必要となるため、軍略、カリスマの効果も兼ね備えた特殊スキル。
偉大なる航路(グランドライン)を航行し、その後半の海である『新世界』にまで踏み入ったライダーは、このスキルを高いランクで所有している。
医術:A+
死の外科医。
幼い頃から医学を教わっており、オペオペの実を食う為に更なる教育を受けていたライダーは、医術に関する知識・技術を非常に高いレベルで習得している。
このスキルを併用することで、下記の宝具を十全に使用することが可能。
覇気使い:B+
全ての人間に潜在する"意志の力"。
気配や気合、威圧、殺気と呼ばれるものと同じ概念で、目に見えない感覚を操ることを言う。
ライダーは熟練した武装色の覇気と見聞色の覇気を使用する。
【宝具】
『改造自在人間(オペオペの実)』
ランク:A 種別:対人・対軍宝具 レンジ:展開するROOMの広さによる 最大捕捉:展開するROOMの広さによる
ライダーは超人系『オペオペの実』の能力者である。
自身の周辺にROOMと呼ばれるドーム状の空間を展開し、それを『手術室』とすることで、内部に存在する生物・非生物全てを『手術台に乗せられた患者』にし、自由自在に取り扱うことができる。
この能力の最も恐ろしい点は、ROOM内で起こせる現象の幅広さ。
ROOM内の物を切ったり繋げたり動かしたりは勿論のこと、あらゆるもの(実体のない人格も含む)の位置を一瞬で入れ替えたり、対象に指を押し付けて全身が焼き焦げるレベルの電撃を与えたり、刀の形に集約したオペオペのエネルギーを叩きつけることで外相は一切与えず内臓だけに致命傷を与えたり、更には能力者の命と引き換えに永遠の命を与える『不老手術』とやれることは様々。普通の人間が『オペオペ』『改造自在』と聞いてイメージする能力の範囲を大きく逸脱している、驚異の能力。
しかしそんな便利な能力をしている分、能力の発動には体力(魔力)の消費が伴うという欠点が存在する。
また、ライダーの能力は『覚醒』している。
【weapon】
大振りの長刀。
妖刀であるため、これ単体で宝具に匹敵するほどの神秘を有している。
ライダーはこれに上気の宝具と覇気を併用した戦闘を得意とする。
【人物背景】
『最悪の世代』のひとりであり、『ハートの海賊団』船長。
眼の下の隈や全身に刻まれたタトゥーといったビジュアル、クールな佇まいから、彼のことを深く知らない他者からは残忍で名が通っているが、実際は割と良い奴。たまにはロボや忍者にときめく男の子な一面や、天然な面を見せることも。
『海の戦士ソラ』の正当な読者を自称している。
【方針】
聖杯の獲得
【マスター】
村山良樹@HiGH&LOW
【weapon】
拳
【人物背景】
とある湾岸地区を五つに分割する組織『SWORD』。
その『O』を担う漆黒の凶悪高校、『鬼邪高校』の初代番長。
『一番になること』に強いこだわりを持つものの、勉強や運動では平凡な才能しかなかったが、唯一喧嘩だけは負け知らずだったことから、拳ひとつで成り上がることを決意。全国から札付きの粗暴者が集まる鬼邪高校の噂を聞きつけ、転入を決意する。
番長になる条件である『選りすぐりの粗暴者たちから拳100発を受ける荒行』を耐え抜き、どころかその後に全員を返り討ちにし、鬼邪高の歴史ではじめて統一を果たした。
小柄で細身だが、どれだけ殴られても起き上がるタフさと根性を持つ。
参戦時期は少なくとも免許を取った後。
出典元のHiGH&LOWシリーズを配信しているHuluは、たしか最初の二週間は無料トライアルを実施しているはずだから、それを使って把握してみよう! ドラマ版は1話あたりサクサク見れるから把握は超簡単だぞ! シーズン2の8話は必見!
【方針】
聖杯に興味はない。
だが、戦争(けんか)に参加してわざわざ負けるつもりもない。
最終更新:2022年08月23日 02:12