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星空を見上げる度に、耳を澄ませている。
誰か、そこにいてくれるような気がして。
問いかければ、何か言葉が返ってくるような気がして。
そうして、何かを言ってくれないものかと、ほんの少しの期待と共に待っている。
けれど、囁きは聞こえない。
夜は夜のまま静寂を貫いて、そこには誰もいない。
そんな風に夜空を眺めては、ほんの少しだけ、どうしようもない疎外感を感じている。
まるで自分だけが、半端物として、この世界で未だ亡霊のように彷徨っているだけのように思えて。
――僕たちは、天使と呼ばれていた。
もう、誰も覚えてはいないだろうけれど。
☆
一応、誰にも見つからないように、と言われているので、両親にもバレないようにこっそりと。
つっかけたサンダルをそのままに、マンションから出て、最寄りの公園へ。
子供が遊ぶには十分すぎる程広いその公園の、人気のない片隅。草木に隠れたスペースへと、自分の中に感じる繋がりだけを頼りに歩みを進める。
……と。
それまで無かった筈の、金色に輝くきらきらとした蒸気機関車が、徐に姿を現した。
――灯織が言ってた、いつかの夏合宿で聞いた汽笛の音も、こんな感じの列車が鳴らしてたのかな?
ユニット仲間のお伽噺のような思い出も、この列車を見る度に思い出す。
あの時は着いていっちゃダメみたいだったけど、今のこの列車には、わたしの心強い味方が乗っている。
「ライダーさーんっ!」
列車の中に入るなり、彼の名前、というか肩書き?を呼びかける。
外だとあまり大声で呼んじゃダメって言われたんだけど、この中なら大丈夫らしい。
「おっ、めぐるー!」
そして、その呼びかけと同時に、運転席の方から飛んでくる――比喩じゃなくて、本当に飛んでくる影がひとつ。
「あーっ、サンディー!いえーっ!」
「イエーッ!」
わたしの胸に、羽が生えた人形サイズの少女がそのまま飛び込んできた。
サンディというらしい彼女は、見たままの妖精らしく――そして、ライダーさんが持つ宝具?であるこの列車の運転士見習い、らしい。
本来はこの列車の中で待っていないといけないらしいけど、「聖杯戦争は危ないんだからお前はこっちの仕事に集中しろ、ってテンチョーがウルサイしー!こちとらエルキモスと戦ってる時もずっとナインと一緒に居たっつーの!」と駄々を捏ねては、しばしばライダーさんと一緒に外に出てきている。
事務所の仲間で言うと愛依にも似たこの小さな妖精は――たまーに口が悪い時もあるけど――基本的には社交的で良い子なので、わたしとしても接しやすい。
「――来たね、マスター」
と。
二人で盛り上がっていたところに、遅れてひとりの男の人がゆっくりと歩いてくる。
この列車の持ち主?の人にして、わたしがこの聖杯戦争、っていう戦いで召喚したサーヴァントの人。
ライダーさんが、優しく微笑みながらこちらへと向かってきていた。
「ライダーさん、今日はどうだった?」
そう問いかけると、彼は困ったように頬を掻く。
わたしが何を聞きたいのか、ということは、ライダーさんと出会ってから今までの時間で、すっかり共有してしまった。
それを語る時に、ライダーさんはいつもなんだかむず痒そうにするけれど――立派なことなんだから、聞かせてほしいと思ってしまう。
「まあ、どうって程じゃないけど……そうだね。今日は、ちょうどここの公園にいる人が困っていて――」
そうして、ライダーさんが話してくれるのは、彼がやった人助け(クエスト)の話。
自分に解決できるような問題を抱えている人の居場所がなんとなく分かるライダーさんは、そうした人の元へと向かっては、力を貸して人助けしているらしい。
最近、たまにサーヴァント同士の戦闘の跡を見つけた時には、それで迷惑をしそうな人をサポートしたりもしているんだという。
サンディからすれば「ナインったら、やっぱりここでもお人よしなんですケド…」と呆れていたみたいだけど、わたしからすれば、そうした人助けを積極的にしていることは、とっても良い事だと思うし。
それに、何より。
「……やっぱり、凄いなあ」
ぽろり、と言葉が出てくる。
「ライダーさんは、色んなことができるんだもん」
色んなこと。
それはもう、色んなことができる。
さっき紹介した以外にも、人を元気にするすっごいお薬を作ったり、必要なものがあれば探して取ってきたり。目立つわけにはいかないからとこっそりと、でも結局放っておけなくて。
困ってる人に手を差し伸べて。なんでもすぐに叶えてしまう。
「……ああ、もちろん落ち込んだとかそういうのじゃないの!」
わたしのアイドルっていう職業とはちょっと違うらしいけど、色んな職業を極めた経験もあるんだって。戦うのに役立つ職業はもちろん、スーパースターという職業で、踊って竜巻を起こすこともできるらしい。よくわからないけど、竜巻を起こすダンスなんてどんな凄いダンスなんだろう。
色んなことが、できて。いろんな人の頼み事を、救ってきた。
本物の、すっごい英雄のひと。
「わたしは、アイドルになって色んな人に手を伸ばせる!って思ったけど――ライダーさんは、わたしよりもっともーっと色んな人の問題を解決できて。
わたしが誰かに手を差し伸べたいって思う、その、すっごいすっごい先の方にいるんだなあって」
本当に――『誰か』を救うという一点で、このライダーさんに引けを取る人は、そうはいないんだろう。
困っている人の声を聞いて、駆けつけて、救う。
ただそれだけの、だけど、とっても難しいことなんだと思うそれを、このライダーさんはこなし続けて。
そして、それが自分のやりたいことなんだって。
それは、すっごくすっごく良いことで、そしてわたしの目標にも近い所にもいるから。
「だから、ライダーさんは……ある意味、憧れ、なのかな?って思ったの」
アイドルとは全然違うんだけどね?って付け加えたけど、それでも気持ちは本当だ。
サーヴァント、になるからには、凄いことをした英雄の人なんだ、っていうのは、知識として知ったんだけど。
それでも、ここまでわたしの夢と同じものを追っていて、そしてすっごく先を走っていた人と巡り会えたことは、わたしにとっては本当にラッキーなことだな、って思った。
「……そうだね」
それを聴いて、ライダーさんもどこか嬉しそうに微笑んでくれる。
「君は、前に君自身の為にアイドルになりたいって思った、って言ってたけど」
ライダーさんの言葉に、うん、と頷く。
少し前に、その話もした。わたしがGRADに挑んだ時に、改めて決めたアイドルとしての目標。
ライダーさんの人助けを少しでも手伝おうとした時に、どうして手伝ってくれるのか、と聞かれて答えたことだけど。
「その言葉を借りるなら――僕は僕のために、人を救いたい」
まさか、本当に。
こんなに、一緒だったなんて、思わなかった。
「天使として造られたから、とか、そうしなきゃいけなかった、とかじゃなくてさ。
――僕が、世界を救いたかったんだ」
わたしが始めたわけじゃない、友達が勝手に応募したから始めたアイドルを、続けるんじゃなくて。
わたしが、わたしの意志で、一人でも多くの誰かを笑顔にできるアイドルを、やりたいと。
そう思ったことまで、被っているみたいで。
「だから、きみが僕のことを先達と言ってくれることは――素直に、嬉しいかな」
「……そう、なんだ」
それは、なんとなく分かってた。
だって、わたしもそうだから。
誰かに手を届けられるということは、わたし自身のやりたいことでもあったから。
少しでもその手を広く広げるために、わたしはアイドルになりたいと、アイドルをやりたいと思うようになったんだから。
誰かを救いたいと、輝きを届けて拾い上げようとする行為は、決して間違ってない。
それは、わたしだって、胸を張って言える。
だけど。
「……ねえ、ライダーさん」
ほんの少しだけ、気になったことがあった。
「ちょっとだけ、外でお話したいことがあるんだけど、いいかな?」
あの、寂しそうな表情を浮かべている、夢のことを。
☆☆☆
はじまりは、眠っている時だった。
夢だけど、夢じゃない。ドラマの撮影中に、透明人間になって飛び込んだみたいな感覚。
その中で、ライダーさんの姿を見つけた。
行く先々の想い出や、仲間と一緒に戦った経験。そして戦いまで、少しずつだけど
……その中で。
どうしても、気になる時があった。
青い葉っぱの木の下で、佇んでいるライダーさん。
仲間の人たちが遠巻きに見守る中で、ずっと空遠くを見つめていた時。
とても、とても綺麗な、夜空を見上げながら。
ライダーさんが、なぜだかとても寂しそうに、空を見上げて、手を伸ばしていた記憶。
ただなんとなく、それをライダーさんに聴いちゃいけない気がして。
サンディにそれとなく聞いてみたら、ほんの少しだけ教えてくれた。
天使のみんなの辿った道。ひとりだけ地上に残ったライダーさん。天使でも人間でもない彼が、どこか寂しげに空を見つめていたこと。
そのライダーさんの感情に、心あたりがないわけじゃない。
もしかしたら、こうなのかな、っていう、予想みたいなものはある。
あの胸がきゅうとしぼむ感覚を、弱虫のわたしが出てくる瞬間を、たぶんわたしも知っているから。
「……ねえ、ライダーさん」
列車の外に出て、空を見上げる。
街の方から少しだけ離れたこの公園は、少しだけ星が多く見える。夜だけれど、雲はないみたいだから、尚更きれいに見ることができた。
その星灯りを眩し気に見つめて、わたしはその話を思い出す。
「ライダーさんは、星が歌ってるって、知ってる?」
前に知った、星についての雑学。
プロデューサーに教えてあげた、わたしにとっても新鮮だった、その話。
私の出したその話題に、ライダーさんは、いつもの優し気な表情のまま首を振る。
「……知らないな」
ただ。
その声が、ほんの少しだけ、いつもと違う気がした。
「……それじゃあ、その話を聞かせてもらってもいいかい?」
だから。
そう言ってくれて、わたしはとても嬉しくて。
でも、しっかりと伝わるように、ひとつひとつ丁寧に思い出しながら言葉を紡ぐ。
「あの、あのね。星――恒星って、音を発しているんだって。人間には聞こえない、えっと、か、か…」
「可聴域、だっけ?」
「そう、それ!それからは外れているから、わたしたちの耳には聞こえないんだ」
これは、よくないことなのかもしれない。
いつか見た、欺瞞、という言葉を思い出す。
ひとの為になることをするのは、思ったより簡単じゃなくて。
誰かに手を伸ばしても、いらないんだって手を払われることも、たぶんあって。
誰にも触れられたくないこと、なんてものも、やっぱり誰にでもあって。
「……それを聞いた時にね。凄いなって思ったんだ」
それでも。
考えたいな、と思った。
ライダーさんは、わたしの為に、戦ってくれるんだと言ってくれた。
この、聖杯戦争っていう危険な場所で、なんでも願いが叶うっていう聖杯も欲しがらずに、戦えない私を守って戦ってくれる、すごい人。
そんな人に、せめて、わたしが。
アイドルとして、ライダーさんにお返しできることを、精一杯にしたかった。
(……ううん)
考えていて、やっぱり思い直す。
やっぱり、これはそんな理由じゃない。
「誰も聞いてくれないかもしれない、誰にも届かないかもしれない歌を、星はずっと歌っていたんだなあって」
ただ、私が。
わたしの隣に立ってくれている人に、今、手を伸ばしたいって、そう思った――きっと、それだけ。
ずっと私が、アイドルとしてやってきたことと、変わらない。
ライダーさんにも、笑顔になってほしい、なんて、ただそれだけのことなんだ。
だから、たくさん考えた。
なんて言葉をかければいいんだろう。
どんな言葉ならあなたに届くのだろう。
頑張って、悩んで、真乃と灯織に相談できないなりに、わたし自身の頭をひねって。
……その結果。思い付いたのが、これだった。
「でも、それだけじゃなくて」
星が歌う話。
わたしたちが、イルミネーションスターズが、星になったような気がした話で。
ライダーさんにとっては、きっと、もっと現実的な話。
「あるかどうかもわからない、その、星の歌っている声を、頑張って聞こうとしてくれた人たちがいたから、その星の歌があるよって、分かったんだなあって」
分からない。
これが正解かどうかだなんて、分からない。
ほんの少しを垣間見ただけで、ライダーさんが持っている寂しさを掴めたなんてことは思えない。
……世界で自分だけひとりぼっちのような感覚なんて、ライダーさんにしかきっと分からない。
その寂しさを埋められるひとは、あるいは天使は、ライダーさん自身がそう認めないと意味がないんだと思う。
わたしにとって大切な人である、真乃と灯織の代わりも、どこにもいないように。
「だから、えっと、その………ただね、伝えたかっただけなの」
それでも。
言いたいなって、思った。
「ライダーさんが守っている、この星空は、ライダーさんのことをちゃんと見てくれてるんだって」
夢の中で、寂しそうにしているライダーさんに。
わたしとちょっとしか違わなさそうに見えて、とってもとっても長い時間を過ごしている人に。
星の向こうに、今でもそこにいるはずの誰かの影を見ているような、そんな顔をしている人に。
「届かなくても、聞こえなくても、もう手の届かない場所にいるんだとしても。それでも、そこにいるんだよ、って」
ちがう世界のことだったとしても。
空へとのぼっていった天使たちが歌っている声が、今でもわたしたちに聞こえているんだって。
ちゃんと、天使たちが、今でもそこにいるんだって。
そう信じたくなるような、話のことを。
「……それと」
そうして、できれば。
「その星の歌を、聞こうとしてくれる『人』も、ちゃんといるんだよって」
……人を救った、だけで終わりじゃなくて。
救われた、手を伸ばされた誰かが、その手に応えてくれることも、あるんだって。
そうして、その誰かが、覚えていようとしてくれることがある、ということを。
もう一度、あなたに思い出してほしい、って。
――ちゃんと、覚えているから。
――ちゃんと、覚えていようとしているから。
あなたと、あなたの仲間のことを。
「――ああ」
話し終わって。
ライダーさんは、しばらく夜空を眺めていた。
その表情が暗がりで見えないまま、わたしはしばらく黙り込んで、その横顔を眺め続けた。
そんな時間がしばらく過ぎて、ようやくライダーさんが、こちらに顔を向ける。
……そうして。
ライダーさんは。
「ありがとう」
うれしそうに、笑ったのだ。
それが、あんまりにも安らかで。
隣にいるサンディでさえ、驚くくらいだったようだから。
私の言葉が、あなたにちゃんと届いたんだなって、分かって。
わたしはとっても、嬉しくなった。
☆☆☆
「……そうだね」
星空を見上げる。
天使は彼方の星になった。最早僕に、彼等と話す手段はない。
天使は彼方の星になった。最早地上に、天使という存在を覚えている人々はいない。
それが、ずっと寂しかった。
色んな場所を、色んな風に見届けていた天使が、役目を果たした後は忘れられるなんて。
ずっと一緒にいた筈の彼等が、もう誰にも顧みられず、ただ星としてまたたくだけなんて。
……僕ひとりが。
こうして取り残されている、なんて。
いや。
師匠とかラヴィエルとか、サンディにアギロさんのような、例外もいるし。
そのおかげで、僕としても過去のあの天使としての日々を忘れずにいられる。それは、とても嬉しいし、恵まれていることだ。
それに、人間の中でも。リッカやルイーダさん、ロクサーヌなんかは、僕のことをあの宿屋での仲間として認めてもらえている。
だから。不満はない。ないのだ。
けれど。
それでも、ほんの少し。
星の光がもう語りかけてくれないことに、寂寞を刺激される夜は、どうしてもあって。
そんな夜は決まって、この世界でひとりぼっちになってしまった、あの決戦の直後を思い出してしまうから。
「本当に、ありがとう。マスター」
だから、本当に嬉しかったのだ。
たとえこの世界や、君がいる世界の星が、僕の世界のそれではないのだとしても。
僕の何より大切な星々の、その声を。
聞こうとしてくれて。
探し当てようとしてくれて。
そうして、実際に耳に届くまでにしてくれて。
そうして、そう。
ほんの少しでも、天使という存在のことを、覚えてくれている人がいるなら。
「だから僕は、君を……この世界を守るよ」
思い出す。
いつだったか、まだ見習いの守護天使だった頃に。
助けた、僕のことを見えない筈の誰かが、問いかけたことを。
――ねえ?だれかいるの?
――いるのだったら、姿を見せてよ。何か言ってよ。
……ああ。だから、いてくれるのだ。
天使のことを。ほんの僅かであっても、覚えてくれる人が。
人に手を差し伸べた天使を、見つけようとしてくれた人が。
……まさに、君のような人が、いてくれたから。
「それが、星空の守り人の役割だから――そして」
かつて人界を見守りし星々の記憶を残し。
そして今、まさに人界の守護者となりて。
人類種(ヒト)と宇宙(ソラ)を守るという使命を負った、星空の守り人は。
「そしてやっぱり、僕が、誰かを救いたいから」
きっと、ずっと頑張ることができるんだと、そう思えた。
毎週のように、人の悩みは増えていく。
行き交う人の中に、悩みを抱える人は必ずいる。
そうしたものを、ひとつひとつ拾い上げて、助けて。
誰かが、少しでも、幸福でいられるように。
それが、僕が、今もやりたいことだから。
天使はもう、この世界にいない。
いるのはただ、人を助けたいだけの、勇者がひとり。
【クラス】
ライダー
【真名】
ナイン/“星空の守り人”@DRAGON QUEST Ⅸ 星空の守り人
【ステータス】
筋力:C 頑強:C 敏捷:B 魔力:B 幸運:A 宝具:EX
(スキル「専科百般(ダーマ)」によって変動。これはベースとなる「旅芸人」でのステータス)
【クラススキル】
騎乗:EX
幻想種たる竜種への騎乗が可能である上、後述する宝具の影響により神話に属する神霊を乗りこなしている為に純粋な測定は不能。
【スキル】
守護天使:EX
人類種を一度は見放した最高神が作り出した、ヒトの善性を証明する為の神造生命体。あるいは天からの贈り物。
同ランク相当の神性を持つ他、彼の言葉そのものに魔術的なエンチャント効果があり、有り体に言えば「おうえん」することで任意の相手に瞬間的なプラス補正を与えることができる。
また、ヒトが抱いた感謝の気持ちを「星のオーラ」として捉えることができる。この星のオーラは小規模ながら魔力源となる他、膨大な量を使用することで後述する第三宝具を使用することができる――が、第三宝具を使用した時、このスキルは自動的に消滅する。
クエスト・キング:B
その生涯を通じて困っている人々を見つけ、守護天使として解決に導いた逸話からなるスキル。
自分に解決できるであろう悩み事――クエストを抱えている人の居場所を掴み、尋ねる。元から困っている人間の元を尋ねる為、ライダーに余程の事情がない限りはそれを『クエスト』という形で受諾することが可能。
専科百般(ダーマ):A+
職業神ダーマの加護、その限界域のひとつ。十二の生の在り方においてそれぞれ十度の転生を迎え、連なる術理を遍く修めた、修練の究極。
非戦闘時にダーマ神の悟りを開きその声に応えることで、任意で十二種類の職業を選択し、それに応じた武具へと切り替えるとともにステータスを大幅に変更する。
直接戦闘に特化した「戦士」「バトルマスター」といったスタイルから、Aランクにも相当する魔術を多数展開可能な「魔法使い」「賢者」、ステータスでは劣るが奇想天外な戦闘を得意とする「スーパースター」など、職業によって戦闘スタイルをがらりと変えることとなり――その全てにおいて、一線級のサーヴァントとしての実力を誇る。
万物の創生者(錬金):E~A+++
拠点とした場所に錬金釜『カマエル』を設置することで、非戦闘時に武具・道具を生成することができる。
身を癒す薬草から様々な素材、更には伝説の武具すらも作り出すことを可能とする、いわば最高レベルの道具作成に値するスキル。スキルのランクは生成物によって変動する。
なお、最高級の武具についてはラック値判定があり、判定に失敗した際にはアイテムとしてのランクが一段階減少する。
例外として、後の逸話にて災厄の王と相対した際に振るったとされ、「白聖剣」としての呼び名を授けられた銀河の剣に関しては、最高級の武具であってなお現出における判定を必要としない。
【宝具】
『光克たる火酒の龍(ドミール・ドラグーン・グレイナル)』
ランク:A~A+ 種別:対竜宝具 レンジ:20 最大補足:20
竜の里にて闇竜と立ち向かいし竜戦士としての逸話を元とする宝具。
ドミール火山にて祀られし神話の竜たるグレイナルに騎乗し、共に戦う。ライダー自身にはこの宝具による補正はない。
竜種だけあって、強力無比な光や炎のエネルギーを吐息として吐き出し、その身体からは雷撃すらも迸る。更には、召喚に使用された魔力やグレイナル自身が自己生成した魔力を全て解放する一種の『壊れた幻想』──俗にマダンテと呼ばれる呪文すらも使用可能。
なお、この宝具を使うにあたっては、騎乗時には専用の防具たる「竜戦士の武具」を装備した上で搭乗しなければならない。武器に関しては指定されていないものの、防御面に関しては万物の創生者を用いて生成した武具を纏っている際よりは劣る。
『星を征く天の箱舟(ヘヴンリー・アークトレイン)』
ランク:A 種別:対界宝具 レンジ:- 最大補足:4
彼が運転したとされる天の箱舟を召喚、騎乗する。遥か上空を航行可能であり、任意の地点に直接降り立つことも可能。
内部では本来の運転士であるアギロ、運転士見習いである妖精のサンディが同伴しており、ライダー本人がいなくとも彼等が運転することは可能。なお、サンディは宝具を発動していなくても勝手に出て来ては勝手に色々言ってくる。
気配探知に優れている、あるいは神性に強い感応を持つサーヴァントであれば察知は可能だが、基本的には接近しない限り気付かれることもない。
理論上は宇宙空間の航行すらも可能とする装甲を有しており、守護天使であるライダーが使用するのであれば(この聖杯内の世界には存在しないが)天空の果てにある天界・天使界へのアクセスができる他、相応する能力を持つものが騎乗すれば時間超越すらも為し得る。対界宝具としてカテゴライズされているのもその為。
三両目には開かずの間が存在し、部屋の主であるサンディの許しがあった時にのみ入ることができる…のだが、何故か異界の神域に繋がることがある。危ない。
『星空の守り人(スターリー・スカイ・センチネル)』
ランク:EX 種別:対魔王宝具 レンジ:- 最大補足:1
世界を守護するために世界に遺され、それでもなお人類種から湧き出続ける願いに応え続けたひとりの宝具。
天使が打倒し得ぬ上位の堕天使との相対において、「ヒトを救う」というその為だけに、その身が宿す天使の神性を自ら消去することに奇跡を消費したという逸話の体現。
スキル・守護天使におけるプラス補正がすべて打ち消されるが、この宝具の発動により、ライダーは小聖杯にも匹敵する超高密度の魔力源――『女神の果実』を疑似的に自己生成、受肉する。これにより魔力的制限は撤廃され、マスターにおける支援を必要としないままに全盛期の実力を以て活動することができる。更に言えば人間として現界する為、契約さえ結べばサーヴァントを従えることすらも可能。
そして、人の世界を滅ぼそうとした堕天使を討伐した逸話――あるいはそれ以後、迷宮に封じ込められた魔王の幻影や、後世にて災厄の王を討滅したという逸話――に由来して、ありとあらゆる人類の脅威、『ヒトに仇なすもの』に対して超強力な特攻状態を得る。
但し、発動には先述の通り小聖杯規模の魔力が必要。令呪の使用は大前提として、自分以外の神性を持つサーヴァントとの接触や神霊そのものとの疑似的な接触など、女神セレシアからの授与を再現するような状況を構築する必要もある。
そして、最も重要なポイントとして、守護天使スキルにおいて彼が集めることができる「星のオーラ」を膨大に集めた上で魔力として変換することが必須。星のオーラの発生源である人間の感謝の気持ちを収集する手段がなければ、発動は根本的に不可能。
それに加えて、この宝具を発動した時点で彼は星の一員、即ち「世界を見守るもの」としての資格を喪失する。これにより英霊の座から除名され、その後は『当代を生きる人類の守護者』として定義される。
この泡沫の世界で発動してしまえば――英霊として現界することは、二度と不可能となるだろう。
【weapon】
『専科百般(ダーマ)』に応じて適した武器・防具・魔術が籠った装飾品を創生、装備して戦う。いずれも達人としての技量を持ち、また各武具や職業の奥義書に応じて解禁されるそれぞれの秘奥も使用可能。
ただし、一戦闘中に『専科百般(ダーマ)』の切り替えができない、また即座に使用できるアイテム・奥義書の合計数には限りがあるなど、僅かではあるが戦闘前には適切な準備をする時間が必要となる。
【人物背景】
人々を陰ながら守護し、捧げられる祈りを『星のオーラ』というエネルギー体として集めることで、女神セレシアを復活させる…という創造神グランゼニスからの天命を負った天使。その中のありふれた一体に過ぎなかったはずの存在。
守るべきはずだった人類に裏切られ世界を憎んだ堕天使によって、世界が滅亡の危機に晒された際、『下位の天使は上位の天使に逆らえない』という法則に阻まれ堕天使を撃ち倒す術を持たなかった彼は、女神セレシアが遺した最後の奇跡によって人間へと堕ちることで世界救済を成し遂げた。
しかし、その後女神セレシアが完全に復活を遂げたことで、天使はその任を解かれ、遥か宇宙の彼方、星へと還される。
堕天したことで星へと還されなかった彼は、ヒトを守るという目的意識を遺した最後の天使として、唯一地上に遺される。
それでも、彼は人の悩みを見つけては、その度に自分の意思でそれを救い続け――星の輝く夜の空を守り続けた。
【サーヴァントとしての願い】
なし。
【方針】
マスターや、困っている別のマスターがいれば助ける。
【マスター】
八宮めぐる@アイドルマスターシャイニーカラーズ
【マスターとしての願い】
元の世界に帰る。
【能力・技能】
『アイドル』
283プロダクションが抱えるユニット『illumination stars』に所属するアイドル。
運動神経に長けており、ダンスが得意な他、様々な仕事を通してこの聖杯内の世界においてもそこそこ名の知れたアイドルとして扱われている。
【人物背景】
天真爛漫な性格で、誰にでも積極的に話しかける。
とにかく元気で友達想いの女の子。
日本人の父とアメリカ人の母を持つ。
高校1年生。
【方針】
真乃と灯織の下へ帰る。
――フレフレ、頑張れ。
――わたしが、見てる!
最終更新:2022年08月24日 23:13