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薄暗い灰色の空が、深々と雪を生み出していた。
静かな朝だった。民家が立ち並ぶ住宅街の脇、点々と続く並木の間を静かに雪は舞い落ちて、積もっては地面を白く染め上げている。
彼女はそれを、横倒しの視界で見つめている。
音のない朝だった。街がにわかに動き出すには少し早い時間帯であり、必然として人の姿は一人として見えなかった。倒れ伏す彼女を除いては。
雪の降りしきる中、彼女は動きなく、うつ伏せに倒れていた。手足は投げ出され、手提げのバックは少し離れた場所に転がっている。雪の冷たさに触れて、手袋をしていない手のひらは寒さで赤くなっていた。
じわり、と鮮やかな赤色が、彼女を中心に広がっていた。
新雪の白さを侵すように、それはゆっくりと嵩を増し、徐々に赤色の領土を広げていった。同じく赤色をしたタイヤ痕が彼女の斃れた場所からいくらかの距離まで続いていたが、そちらは降り積もる雪の白さに覆い隠されて、徐々に徐々に見えなくなっていった。
音はなく、動きもなかった。彼女はただ、今や顔の半分も雪に埋もれるほどの長い時間、ただそこに横たわっていた。
その日、前日から続く雪で街は白かった。朝焼けを迎える直前の街に歩く人はいなかった。彼女はそんな中を帰路についた不運な人間で、やはり運がなかったことに、雪に慣れていないドライバーの運転ミスに巻き込まれてしまったのだ。tを超える鉄の塊は人体なんか軽く跳ね飛ばして、糸の切れた人形のように彼女は倒れて動かなくなった。突然のことに気が動転したドライバーは、救急車を呼ぶこともなくその場を走り去った。つまりはそういうことだった。
彼女は横倒しの視界で、街を見つめていた。痛みはなく、冷たさもなく、感覚のなくなった体と感慨のなくなった思考とで、茫洋と真っ白な世界を見つめていた。
そして、全てはとっくに手遅れだったのだと。
今更になって、室田つばめは思い出した。
◆
目を開けてしばらくは視界がぼやけていた。天井や壁が白かった。私はベッドに寝かされていて、体に毛布がかけられていた。
傍らに男の人がいた。彼はよく見知った顔で、一番近くにいる人だった。彼は椅子に座り、少し首を傾けて瞼を閉じていた。少しの間、彼を見つめていた。目を開けること以外に、動くことも、声を出すこともできなかった。
やがて彼が目を覚まして、私のほうをまじまじと見た。勢いよく立ち上がり、叫び声をあげた。
"誰か来てください、つばめが意識を取り戻しました"、と。
そこからは何人もの人が部屋にやってきて、にわかに慌ただしい空気になった。私はお医者様と向かい合わせになり、いくつか質問を受けた。痛みや不快感の有無、何が起こったかの確認、混乱はしていないかどうか……
そうして少しの時間が経って、やがて初老のお医者様は言いにくそうに、けれど意を決して口を開いた。
「残念ですが、流産です」
その言葉に、正直驚きはなかった。"ああ、そっか"と、何処か他人事のような空疎な感覚が胸にあった。そんな私とは裏腹に、彼は、私の夫である室田昇一は、ショックを隠し切れない様子だった。いつもは温和で優しい彼の表情は悲痛に歪んでいて、自分の身に起きたことそれ自体より、彼にそんな顔をさせてしまったことが、なんだか申し訳なくて悲しい気持ちだった。
ひき逃げ。私を襲った不幸は、そんな一言で済むようなことだった。
派手に跳ね飛ばされた私は奇跡的に軽傷で済んで、しかしお腹の子は駄目でした、と。纏めれば本当にただそれだけのことで、それ以上でもそれ以下でもなかった。
お医者様の説明が終わった後で、昇兄ちゃんは色々と声をかけてくれた。慰めと励ましの言葉、なのだと思う。正直その時のことは覚えてないというか、彼の声は聞こえていたけど頭に入ってこなかったのだ。私はただぼんやりと、"そういうふうにこじつけたのかぁ"とか、そんなことを考えていた。
私が本当は死んでいて、この世界は偽物であることを、私は既に知っていた。
聖杯戦争という奴があって、私はそのマスターとして呼ばれた、らしい。記憶を取り戻すと同時に、そのことが知識となって頭に流れ込んでいた。サーヴァントというよく分からん連中を従えて、他の人間全員ぶっ殺せば何でも願いの叶う聖杯が手に入るのだと。
頭おかしいんじゃねえのか? と思った。
殺し合いに巻き込まれるのはこれで二度目だった。魔法少女育成計画のソーシャルゲームを通じて魔法少女とかいうものになって、ファンシーよろしく人助けするもんだと思ってたら魔法少女同士の殺し合いに巻き込まれた。
厳密には足の引っ張り合いというか同士討ちというか、まあそんなものだったけど。ともかく私室田つばめこと魔法少女トップスピードは、街を壊し人を殺すとある魔法少女を止めるために、相棒と一緒に戦った。何とか勝利したと思った矢先、後ろから胸をぶっ刺された。
衝撃が先に来て、痛みや苦しみを感じる暇もなかった。あーこりゃもう無理だなと悟って、次に浮かんだのは家で待ってる旦那の顔だった。
そうして室田つばめは死んで……そして気づいた時には、私は車に轢かれたことになっていた。
多分、つじつま合わせなんだろうな、と考える。
あの時、確かに自分は死んだ。そして当然、お腹の子も死んだ。
そんな時に聖杯とやらが私をこの東京に呼び込んで、でも聖杯がマスターとして欲しがったのは魔法少女である私だけで、お腹の子は別人カウントだったのだろう。
聖杯は私を生かして、お腹の子はいらなかった。
だからこの東京で"そういう状況"になるように、シチュエーションを設定した、のだと思う。
「ふざけんなよ」
自分の身の上を理解して、出てきたのはそんな一言だった。
面会時間が終わりたったひとり取り残された病室で、つばめは絞り出すような小さな声で呟いた。
怒りに震えるのではなく。
哀しみに打ちひしがれるでもなく。
ただひたすらに、何馬鹿なことしてんだよ、という呆れを含んだ憤りの声だった。
だってそうだろう。せっかく生き返らせるのなら、選ぶ人間を間違えているではないか。
死者蘇生の奇蹟があるなら、お腹の子を平和な世界に、私の旦那様のもとに送り届けてくれたっていいじゃないか。せめて死地に在るとしても私のお腹の中で生かしてくれてもいいではないか。
それがなんだ。狙いすましたかのようにお腹の子だけを殺して、願いを叶えたいなら殺せと……それはあんまりな話だろう。
何をどう足掻いても、お腹の子は死んでいる。
死んだ人間は生き返らない。それはどんな魔法を使っても覆せない絶対の理だった。
死を前に全てを諦めていた室田つばめは、希望を目の前で振り翳された挙句に二度も大切なものを奪われたのだ。
『───こんにちは、つばめ』
……視界の端で、嘲笑う誰かの声が聞こえた気がした。
◆
N市で行われた魔法少女同士の殺し合いは、実際のところ本当に殺し合う必要はなかった。
人助けで生じた感謝の気持ちがマジカルキャンディーという形で表示され、その数によって脱落者が決まる仕組みであったから、他人を殺す以外でも生き残る道は存在したのだ。
けれど人助けはいつの間にか足の引っ張り合いになり、それはいつしか本気の殺し合いに姿を変えた。自分が脱落するより前に他の魔法少女を殺せば椅子取りゲームは終わりを迎える。それはあるいは、必然の流れだったのかもしれない。
そんな中でも、室田つばめことトップスピードは決して誰かを蹴落とす真似はしなかった。
彼女は最初から最後まで、徹頭徹尾人助けに徹した。
それは彼女の生来的な気質(あるいは彼女と結婚した幼馴染の根気強い寄り添いの結果か)もあったが、同時に言い訳が立つからだ。
キャンディーを集めるのは自分が生き残るためであって、能動的に他者を殺したわけではないのだ、と。
自分でも無理のある現実逃避の言い訳だということは分かっている。それでも、あのころのトップスピードは生き残るために必死だったし、シスターナナの唱える理想論に手を貸してやれるほど余裕はなかった。
聖杯戦争は違う。
これは文字通り、一切の言い訳が利かない殺し合いだった。
逃げ道はどこにもなかった。戦いを放棄しての帰還などできるはずもなく、生き残ることができるのは1人のみ。怯えて逃げまどっても、いつかは戦うべき時が来る。その時手を汚すか、あるいは逆に殺されるかは知らないけれど。
綺麗なままで願いを叶えるハッピーエンドは存在しないと、それだけは確実だった。
あるいは、そう。かつてシスターナナやスノーホワイトが唱えたように、みんなで手を取り合って元の世界へ帰る手段を探す、という選択肢もある。
元のトップスピードのままだったら、多分、喜んでその選択に縋っただろう。けれどそうはならなかった。お腹の子は死んでしまって、自分ひとりだけ帰ったところで一体何になるというのか。
この子だけは、どうしても助けたかった。
そのための手段が一つしかないことは、十分理解していた。
その道を選ぶしかないことは、もう分かり切っていることなのに。
それでも二の足を踏んで何も行動に移さなかったのは、事故直後で体が弱っていたとか、契約されたはずのサーヴァントが姿を見せなかったからとかもあるけど、でもそれ以上に記憶がそれを邪魔した。
室田つばめとしてではなく、魔法少女トップスピードとして空を駆けたあの日、あの時。
素直じゃない相棒と一緒に胸を張って人助けに駆け回ったあの日々は、決して嘘ではなかった。
室田つばめは、自分の子を助けたい。
トップスピードは、人道を踏み外すことができない。
どちらもが本心であり、どちらもが大切な想いであった。
ならばどうすべきなのだろう、私は。
戦うどころか、一歩を踏み出すことさえできない自分は、いったい。
何を選び、何を捨てるべきなのか。
『こんにちは、つばめ』
『あきらめるときだ』
───ああ。
───視界の端で道化師が踊っている。
努めて見ないようにしている。道化師は、やり場のない思いだけを胸に去来させる。何をどうしようが晴れない想い、二者択一で両取りなんてできない理想の残骸。
そうして、結局、つばめはこの日までを無為に過ごしてきた。
「1週間で退院できますよ」と告げられ、病室と中庭とを行き来するだけの日々を送っている。日中は昇兄ちゃんが欠かさず見舞いに来てくれて、彼の言葉に努めて笑顔を浮かべるようにして、後は無為に時間が流れるままに時を過ごす。
結局のところ、私は何者にもなれないのだろう。
我が子を助ける母親でも、誰かを助ける魔法少女でもない。中途半端な生き物。偽善者、臆病者。
「私は……」
人道を踏み躙り、倫理を嘲笑い、己が願いに身を窶すのか。
「俺は……」
自らの幸福を諦め、かつての理想がままに振る舞うのか。
答えは出なかった。怖かった、のだろう。戦うことも、殺すことも、殺されることも、選ぶことも。
何もかもが恐ろしかった。そして最も恐ろしいのは、何をどうしようが自分は元の自分ではいられない、ということだった。
子を選ぶか、理想を選ぶか。
どちらを選んでも、どちらかが失われる。
この期に及んで我が身可愛さか。つばめは、乾いた笑いを止められなかった。
◆
決断の時は思いのほかすぐにやってきた。
夜。静まり返った暗闇の病院。眠ることができず、トイレに起きたふりをして意味もなく病院の廊下を歩いていたつばめは、ふと違和感を覚えた。
視界がぐにゃりと歪んだような、あるいはふらりと立ち眩みをしたかのような。
そんな奇妙な感覚を覚え、つばめはただの直観に従って暗闇の一角へ足を進めた。煩悶に揺れ続けた彼女は、判断力が鈍っていた。
結論から言って、それはサーヴァントの仕業であった。
非常灯の緑の光にわずかに照らされて、夜闇に浮かび上がるのは奇妙な風貌の人影だった。薄汚れたローブを身に纏い、表情は杳として伺い知れない。それは血に濡れた手で魔法陣を描き、何等かの魔術的儀式を今まさに行おうとしているのだった。
「なに、を……!」
しているのか、と問う暇もなかった。その影は目撃されたと悟るや否や、何事かを呟きながらその指先をつばめへと向けた。
つばめは知る由もなかったが、その影はキャスターのサーヴァントであり、彼は今まさにこの病院を対象とした魂喰いを行おうとしていたのだった。一定数の人間を常に確保できて、かつ傷病者という抵抗のできない人間が多数を占める病院は、人知れずその魂と魔力を貪るにはうってつけの餌場だったのだろう。簡易的な隠形の術式は一般人では感知することはできなかったが、つばめが持っていた魔法少女としての適性が故か、僅かな違和感を彼女に与える形で見破る結果となった。
それが幸運か不幸かは、恐らく後者の側に比重が傾くのであろう。
聞きなれぬ言語で放たれるは、純粋魔力を圧し固めての魔術弾であった。それは真っすぐにつばめへ殺到し、その身を穿たんと威力を発揮する。
躱せたのは、偶然以外の何物でもない。
足を滑らせ尻餅をついたつばめの頭上を、魔力弾が空気を裂いて通り抜けた。ダイナマイトでも爆破させたかのような発破音が背後から轟き、それがコンクリートの壁すら容易く破壊する攻撃であることを、つばめは悟った。
逃げなきゃ。頭ではそう分かっているのに、体が動いてくれなかった。
鉄火場に立ち会うのも殺意を向けられるのも初めてではないのに。死の危険と隣り合わせに勇敢に戦ったことさえ、あったはずなのに。
どうして。その答えは自分が一番よく分かっていた。
戦う理由すら定められない自分に。己が命の使い道さえ迷っている今の自分に、いったい何ができるというのか。
『あきらめるときだ、つばめ』
───死ぬのも、それはそれでいいかもしれない。
生きて帰りたい気持ちはあるけれど。昇兄ちゃんに会えなくなるのは悲しいけれど。
でも、そんな結末も……何かを選ぶことなく逝くのも、あるいは一つの良い終わりなのかもしれない。
「あなたは、どうするの?」
───そんなわけが、あるか。
何をしたり顔で諦めようとしている。選ばないことが綺麗な終わりなど、そんなことあるはずがないだろう。
生きる、生きるのだ。死以外のあらゆる苦痛を受け入れてでも、その終わりにだけは抗わなくてはならない。
己が願いのために、一つの命を殺すこと。
己が願いのために、生まれるべき命を見捨てること。
それがどうしようもなく罪深い、生きるに際してぶつかってしまう選択なのだとしても。
「あなたをみているよ」
───けれど。
「わたしにはもう、からだがないから。みることしかできないけれど」
───全てを諦めたあの時、自覚した喪失を、もう二度とは繰り返したくないから。
「わたしは、あなたを、みているよ」
───お前を、もう二度と取りこぼしはしないから。
「……決めたよ。いや、もうとっくに決めてた」
魔法少女トップスピードとしてではなく。
どこにでもいる普通の人間として、室田つばめは決意する。
「お前は、絶対に私が産んでやるから」
それは、我が子を慈しむ母親の笑み。
『ならば、〈うつくしいもの〉を見るがいい』
『きみのためのそれが、用意されている』
「───来いッ、アルターエゴォォォーーーーーーッ!!!」
絶叫と共に、浮かび上がるものがあった。
それは影。
それは鋼。
それは、彼女の叫びに答えるように。
音もなく浮かび上がる。絶叫し、喉よ張り裂けろと叫ぶ彼女の下腹部から、黒墨が滲み出るようにして湧き上がる漆黒の瘴気が如き影の形。
それは人のようにも見えた。
けれど、決して、人ではなかった。
つばめの背後より伸びる影。彼女と緒で繋がり、軋んだ金属音を奏でる鋼の影。それは、酷く歪んで。
腕の生えた揺りかごにも見える。骨盤と大腿骨のみ取り出した骨格に子宮を乗せたかのようなフォルムは、悪趣味な彫像にも思えて。
「私は、決めたぞ」
一つの命のために、多くの命を捨てよう。
我が子のために、信じた理想を捨てよう。
室田つばめであるために、魔法少女トップスピードを捨てよう。
ぶっきらぼうな相棒には、もう会うことはできないだろう。
その資格は、今まさに、室田つばめ自身が捨て去ったのだから。
「私は何も奪わせない。何も取りこぼしはしない」
そして、生まれることさえできなかった我が子に報いるのだ。
つばめの右手が動く。応じるように、鋼の影の右手が動いた。
巨大な刃。肘から手先にかけて大きな刃に変化した右手を、影は動かす。
───動く。そう、動くのだ。
───自在に。つばめの思った通りに。
重なる腕と同時に、同じものを見ている。サーヴァント、キャスター。魔の法を統べる殺戮の化身。
驚き惑う魔性の影を、つばめと鋼の影は見る。
「だから、ごめんな」
それは、何かを決めた笑みで。
そして、何かを諦めた笑みで。
「こんな私が、母親でさ」
振るわれる斬閃が、影の矮躯を引き裂いた。
◆
きっと、この結果は必然だったのだろう。
誰かを助ける魔法少女の理想は、地獄では輝けない。
どれだけ人倫を唱えようとも、戦場はそれ以外のもので出来ている。
「私は、絶対に願いを叶える」
つばめは、背後に佇む言葉なき鋼の影に告げる。
想い、形にして。
決意、言葉にして。
「お前みたいなバケモンに縋ってでも、私は生きて帰る。助けなきゃいけない奴がいる。
自分勝手でいい、そう詰られようが構わない。それでも、私は……」
こみ上げるものを抑え込むようにして、震える右手で顔を覆い、つばめは言葉を絞り出す。
溢れ出るのは涙か、それとも感情か。自分でさえ判別のつかぬそれは、きっと後戻りのできない道からもたらされた慚愧の念。
「私は、あの子を見捨てることだけは、できないんだ」
影は、やはり何を言うこともなく。
つばめも、それ以上を続けることはなく。
両者の心はすれ違うことさえない。
……視界の端に。
既に、道化師の姿はなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
こうして目が覚めるや否や、彼らはあたかも不安から逃げ出すものの如く、忽ち起き上がった。
そして、お互いの姿を見た時、初めて自分たちの目がいかに開け、また心がいかに昏くなっているかを、翻然として悟った。
無垢は消え、正義、信頼、名誉といったものも失われ、あとに残されたのは罪に悩む無様な裸身のみであった。
───ジョン・ミルトン『失楽園』より。
【クラス】
No Date
【真名】
根源の現象数式@赫炎のインガノック
【ステータス】
筋力- 耐久- 敏捷- 魔力- 幸運- 宝具-
【属性】
No Date
【クラススキル】
この存在はクラスを持たない。
【保有スキル】
この存在はスキルを持たない。
【宝具】
『■■■■■■■■』
ランク:- 種別:- レンジ:- 最大捕捉:-
万象の根源。黄金なるもの。人々に美しいものをもたらすとされる〈力〉
聖杯戦争中にたった一度だけ、人の願いを成就させる。
この宝具は既に、後述の存在を疑似サーヴァントとして顕現させることで使用されている。
【人物背景】
人の想い。そして、願い。それは何よりも尊いのだと誰かが言った。
そして想いは根源を生んだ。視界の端で踊り続ける道化師を。
故に彼は囁くのだ。全ての人々の耳元で、あらゆる全てを嘲りながら。
「全ての願いを」
「あきらめてしまえ」
と。
【クラス】
アルターエゴ
【真名】
奇械■■@赫炎のインガノック+魔法少女育成計画
【ステータス】
筋力C 耐久A+ 敏捷B 魔力A 幸運E 宝具A+
【属性】
中立・中庸
【クラススキル】
対魔力:A+
魔術に対する抵抗力。ランクA+では魔法陣及び瞬間契約を用いた大魔術すら完全に無効化してしまい、事実上現代の魔術師が傷付けるのは不可能。
【保有スキル】
最期に残った御伽噺:A
誕生の刻を迎えられなかった可能性の嬰児。人々に美しいものをもたらすと言われる鋼の影。
彼らは可能性そのものであり、それ故に物理も精神も彼らを砕くこと能わず、あらゆる存在を圧倒し得る。
しかし彼らは宿主なしには現界を果たせず、宿主たるマスターが命を失うか、あるいは宿主が「諦めた」瞬間にレイラインを絶たれ、世界から消滅する。
形なき寓話:A
アルターエゴが非顕現時、サーヴァントとしての気配・魔力を発さない。
また顕現時、マスターにランク相応の頑強・対魔力のスキルを付与する。
うたかたの愛:C
「うらんでなんかいないよ。
にくんでなんかいないよ。
わたしはただ、あなたをあいしています」
個人の願望、幻想により形を与えられた仮初の存在。
想いにより生まれたため一つの方向性に対して強い力を持つが、同時に一個の生命体としては永遠に認められない。
全てが終わった後、彼らはかたちを失い、眠りにつく。例えどのような道を辿っても、消滅という末路は決して変わることがない。
そして彼らは生持たぬ存在であるがために、生者たるマスターと繋がる限り宿主に神経負荷を与える。
本来あり得ぬ者が現界する負債は、必ず誰かが払わなければならない。
【宝具】
『〈安らかなる死の吐息〉』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:1
失血死の権能。
手に具現した漆黒の大鎌による斬撃と、それによって僅かでも傷ついた場合に発生する即死効果。
これは生物学的な死ではなく、概念的な即死となる。生物以外でも、空間や音といった無形のものですら殺害の対象となる。
【人物背景】
全てを失った彼女に与えられた、最期に残った御伽噺。42体目の奇械。
鋼の体は青白く、骨盤の上に子宮が乗せられたようなフォルムをしている。単眼だが、終期型に変異することで双眼となり、表皮は赤熱し、口を形成して慟哭する。
無垢ではあるが意思はある。宿主とは緒で繋がり、安らぐ歌を好むとされる。
室田つばめが本当に守りたかったもの。名を付けられる前に死亡したため、この存在もまた名を持たない。
【サーヴァントとしての願い】
どうか、かなしまないで。
【マスター】
トップスピード(室田つばめ)@魔法少女育成計画
【マスターとしての願い】
せめて。
せめて、生まれることなく死んでしまった、あの子だけは。
【weapon】
ラピッドスワロー:
魔法の箒。魔法少女の姿であれば自由自在に取り出しができる。
【能力・技能】
猛スピードで空を飛ぶ魔法の箒を使うよ:
専用礼装のラピッドスワローに跨ることで空を飛ぶことができる。速度は最低でもマッハ3以上、最高速度は本人にも分からない。
飛行中は空気抵抗の影響を受けず、また障害物に衝突しても反動を受けることはない。最大3人まで相乗り可能。
【人物背景】
N市で活動する16人の魔法少女の一人だった。
明るく社交的で非戦派だった彼女は、程度の差はあれ魔法少女全員と親交があったとされる。
本名は室田つばめ。19歳、新婚、妊婦。幸せな家庭を築くはずだった女性。
【方針】
何としても生き残り、聖杯を手に入れる。
最終更新:2022年06月30日 23:14