家族を捨てた。ただ生き延びる為に。
伸ばされた手を捨てた。ただ生き延びる為に、
差し出された手を掴んだ。ただ生き延びる為に。
生、正、静。少年は、選んだ。
選んだものを誓った。名前以外を喪ったことで、もはや壊れてしまったのか。
養父である男の理想を引き継ぐことを。
正義の味方。笑ってしまうくらい単純で、呆れ返ってしまうくらい、綺麗な願い事。
正義の味方になりたかったんだ、と。草臥れた笑顔で呟いた男の横顔を見て、少年はに笑みを返す。
自分がその役割を代わりに担うことを笑って口にした。
そうして、そうして。少年は選んだはずだった。
全を救い、善を為す――正義の味方になることを。

「お前は、この戦争で何を望む」

 問われた言葉はいつの日か、神父に問われたことであった気がする。
聖杯戦争。戦い、欺き、鏖殺を是とする戦争の名前。
聖杯。黄金の奇跡を以て、願いを紡ぐ願望器。
かつての自身が参加した、戦い“だった”。
語るべくもない、少年の過去の軌跡。
もう終わってしまったことを言葉にしても、何の意味はない。
やり直そうとは思わないし、思ってはならない。
それは奪った重みに対しての侮辱だ。
運命の夜を共に駆け、共に戦い、奪い合ったものたち。
黄金の騎士王、紅き魔術師、白銀の少女。

 ――良かった。先輩になら、いいです。

 少年が好きだった、女の子。
彼女だけの、たった一人の少女を救うだけ。
それしかできない、■だけの正義の味方。
降りしきる雨の中、抱きしめた彼女のぬくもりは今も覚えている。
自身の隣を歩き、はにかむように笑んだ彼女の煌めきは片時も忘れたことはない。
けれど、裏切った。殺した、許さなかった。
正義の味方。民衆の為、世界の為。原初の誓いを少年は優先した。
世界を呪う終末装置となった彼女を放置してしまう道理はない。
まだ、殺せる。犠牲が最小限のまま、終わらせることができる。
少年は迷った。迷って、最終的には切り捨てた。

「正義の味方を張り通す。それ以外、俺に必要ない。不服か?」

 漏れ出た声は、あの時と同じ――鉄の冷たさだった。
少女を殺した後、少年は順当に正義の味方へと至った。
神父の予想通り、聖杯戦争を勝ち抜き、正義を為す。
ただそれだけのロボット、と。
予定調和の物語に番狂わせの運命が介入する余地はない。
物語は終わり、正義の味方は無名の執行者の道を進む矢先だ。
運命の夜は捻じれ狂い、舗装され、再誕した。
奇しくも季節は同じ冬。都市こそ違うが、寒空と人は同じまま。
そして、再び宛がわれたサーヴァントは、あの運命の夜に出会った時と同じ黄金だった。
しかし、その男は騎士王と違い、苛烈だった。
あの運命の夜を塗り替えることこそないが、彼もまた、黄金。
黒い軍服、顔に斜めに迸った傷跡。七本揃いの剣。
そして、自身と同じ、渇望。

「いや。それでいい。
 サーヴァントとして比翼を担う身として、申し訳ないが、俺に語らうような物語はない。
 凡庸で前に進むことしかできん愚物を引き当てた不運を恨んでくれ」

 正義の味方――否、悪の敵。
少年の魂に呼応したのか、そのサーヴァントの在り様は非常に似通っている。

「だが、悪を滅す意志は誰に負けるつもりはない」
「俺もだよ、バーサーカー」

 かわす言葉はそれだけで十分だった。十分すぎた。
青年もサーヴァントも多弁ではない。
必要以上に絆を深めるなど、片腹痛し。
二人の間にはそんなものを容易に蹴散らせる誓いがある。

「大事なのは結果だ。悪を殺す正義の味方、俺はただそれだけでいい」

 ――さあ、聖杯戦争を再始めよう、衛宮士郎

 何度も、何度でも。正義無き夜を終わらせる為に。






 サーヴァント。バーサーカー。
アドラー帝国総統、クリストファー・ヴァルゼライド
彼が士郎に語った言葉に嘘偽りはない。
愚物でありながら、どこまでも苛烈に戦場を駆けた男。
悪の敵として、容赦なく外敵を殺す英雄として。
自国の繁栄を願う滅私奉公の英雄として。
黄金の奇跡は、自国へと、そして悪を貫く光へと。
その英雄は遍く世界を貫き、前へと進み続けるだろう。
例え、世界という器が崩れ落ちても、永遠に。


【クラス】

バーサーカー

【真名】

クリストファー・ヴァルゼライド@シルヴァリオ ヴェンデッタ

【ステータス】

筋力C 耐久A 敏捷C 魔力C 幸運C 宝具A++

【属性】

秩序・狂

【クラススキル】

狂化:EX
トンチキ。何を言っても聞く耳を持ちません。

【保有スキル】
陣地作成:A
一刻を率いた総統として、自らに有利な陣地を作り上げる。

カリスマ:A
大軍団を指揮する天性の才能。光の奴隷もといトンチキ製造スキル。

始まりの英雄譚:EX
あらゆる不可能を可能へと押し上げる精神・ステータス上昇スキル。
全ては心一つ、気合と根性があれば何でもできる。トンチキスキル。きっと、限界はない。
戦闘が続行されるにつれて、ヴァルゼライドの持つ武勇、そしてステータスは際限なく上昇し続ける。
加えて、同ランクの精神汚染は無効化させる、というより精神汚染がほとんど効かない。
そもそも、彼を汚染させるなどよっぽどではない限り難しいし、やったとしても根本まで穢し切れないだろう。

光の英雄:EX
戦闘続行、心眼(偽)を混ぜあわせた複合スキル。
不死と勘違いされてもおかしくない彼を体現するトンチキスキル。
やっぱり、限界はない。
通常ならば、重傷及び霊核を貫かれようならば、サーヴァントとして消失してしまう。
しかし、光の英雄たるヴァルゼライドが致命傷程度で死ぬはずもなく。
どれだけ、手傷を負おうが、武勇に陰りなし。彼は十全以上に戦い続ける。
それは、原初たる魔星としての肉体強度だけではない、意志の強さ。
そして、彼が生前も想像を絶する手傷を負いながらも、
身体が崩壊しようが、決して止まらなかった不倒の証。

【宝具】
『天霆の轟く地平に、闇はなく』
 ランク:A++ 種別:対軍宝具 レンジ:1-100 最大補足:100
核分裂・放射能光発生の具現化能力。
掠めるだけでも激痛が迸る光を剣に纏わせて接近戦、
もしくはそのまま、放出することによる遠距離戦も可能。

【人物背景】
英雄――悪の敵。それ以上でもそれ以下でもない。

【サーヴァントとしての願い】
アドラーの繁栄を。そして、悪の敵として、再び。

【マスター】
衛宮士郎@Fate/stay night

【マスターとしての願い】
正義の味方。

【weapon】
なし。

【能力・技能】
投影、強化の魔術。

【人物背景】
正義の味方。それ以上でも、それ以下でもない。

【方針】
正義の味方。

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最終更新:2022年06月30日 23:14