悪夢だ。
 今際の際にそう零した男は英雄と呼ばれるに足る武勲を積んで、英霊として世界に召し上げられた勇者であった。
 善なる心を胸に歩み、絆の力を剣へと載せて悪を切り祓う。
 この世に生まれ落ちた瞬間から己の善悪(いろ)は前者であると認識し。
 それを真我と信じて己の物語を歩み切った。
 悔いのない人生だった。
 召喚者の声に応じて異界の地を踏んだ瞬間にも胸の中には誉れがあった。
 己の武勇が必要だと乞われたならば是非もなし。
 あらゆる障害を蹴散らして、我が身に縋った召喚者の願いを叶えてみせようと。
 そう誓って戦場へ歩み出た。
 それは紛うことなき勇者の凱旋であり。
 大団円を迎えた英雄譚の続きが紡がれ出した瞬間だった。
 眩く強く正しく歩む万夫不当の勇者。
 一体この世の誰が信じられるだろうか。
 輝きに満ちた勇者の新たなる旅路の末路が、体を上下で分割されて土埃に塗れながら蠢く死に体だなどと。

「ごめんなさいね、名前も知らないあなた。
 すぐに終わらせても構わなかったのですけれど」

 勇者の胴を一閃したソレは少女の姿をしていた。
 名家の令嬢を思わす絢爛可憐なドレスに金髪碧眼。
 背丈は十代の半ばにも届かない程小さく、顔立ちもそれ相応にあどけない。
 だが勇者は対面するのと同時に確信した。否、感じ取った。
 目前の少女らしき何かから漂い香る死の臭い。
 彼女に殺され喰われ踏み潰された者達の怨念が幻視できる程に濃密な凶気。
 一つの英雄譚を歩み切った彼をして、未だかつて出会った事のない邪悪であると危機感を最大に高めざるを得なかった。

「わたし、どうしてもあなたに訂正してほしい発言があったものですから」

 我こそは勇者なりと名乗りを上げて剣を揮った。
 その時彼は確かにサーヴァントではなく一人の勇者として剣を執っていた。
 そんな彼の剣は確かに少女の姿を模した"死"に直撃。
 その矮躯を袈裟懸けに断ち割ったのだったが――
 心臓諸共斬り遂げた手応えを感じた時には既に。
 確かに斬った筈の体は何事も無かったかのように治癒を全うしていた。
 時が巻き戻ったのかと錯覚する程出鱈目な速度で行われた自己再生。
 それを目視し戦慄に目を見開いた時にはもう、何もかもが遅かった。
 少女の振り抜いた真紅の大鎌が勇者の胴体を横一閃に両断し。
 誇りと誉れを胸に英霊となった勇者の体は泥と自らの血肉に塗れ、敗残者として地面に転がったのであった。

「あなたは勇者などではありません」

 己の召喚者は無事だろうか。
 そんな事に想いを馳せる余力も余裕もない。
 地に転がった己の頭を両手で持ち上げて。
 ぶち、ぶち…と音を立てながら首ごと胴体から引き千切る。
 そうして自分と目線を合わせて少女は重ねた。
 勇者として生き勇者として死んだ男への否定を。

「勇者というのはもっと強くて鋭くて…恐ろしいお方の事をいうのです。
 美しくて絢爛で、自分の幸福(しあわせ)なんて全てどうでもいいと投げ捨てられて、
 自分が歩み遂げると決めた道のためならどれだけの苦しみでも喜んで受け入れられて、
 誰にも理解する事の能わない旅路であるというのにその剣一つで誰も彼もを虜にしてやまない。
 善も、悪も、変わりゆくものも、不変なるものも、全部、全部、全部全部全部全部全部全部…理解し、受け入れ、一人ひとり目を見て殺す」

 そんなモノが存在するわけがない。
 それが勇者だと? ふざけるな。そんなモノが仮に実在したとしてそれが勇者等であるものか。
 己の生き様全てを我が道を進む為に費やして自己を尖らせ。
 そうも禍々しく歩みながらも絢爛華麗に他者を魅了する。
 敵も味方も全てを例外なく殺しながらしかし誰もがその在り方を礼賛する――そんなモノがもし実在するのなら。
 それは断じて勇者などではない。
 勇者などである筈がない。
 だが英霊はそれを口にできなかった。
 口にする前に――花を手折る幼子のように無邪気な仕草でその頭蓋を握り潰されたからだった。

「勇者様とはそんなお方のこと。分かっていただけたでしょうか。
 …あぁ、わたしったらいけない。お返事を聞く前に握り潰してしまってはお説教になりません」

 消滅し英霊の座に還る勇者だったモノを見送りながら。
 いけない、と死の権化たる殺人鬼…殺人姫は口元を抑えた。
 その仕草は淑女そのもの。
 しかしその凶行と放つ死臭の濃密さがそうした迷彩の全てを無為にしている。
 彼女の名前はフレデリカ。
 第四位魔王、フレデリカ。
 人間から虫の一匹に至るまで全ての生物が善悪二元のもとに大分された宇宙において億を越す人命を鏖殺した不義者(ドルグワント)。
 殺人鬼を束ねる空虚の姫にして、宇宙鏖殺の救世主が唯一勝ち逃げを許す他なかった■。
 此度の聖杯戦争にあってはアサシンのクラスで召喚された、死と殺人の頂点(ハイエンド)である。

    ◆ ◆ ◆

 日本人離れした容姿の少女だった。
 奇しくもフレデリカと同じ金髪碧眼。
 一級品のビスクドールを思わすドレスを纏って紅茶を啜る姿は現実感に乏しい。
 庭園のテラスで己がサーヴァントの対面に座り、報告を受けた彼女こそはフレデリカのマスター。
 悪逆無道を地で行く殺人鬼の姫を従えて尚もたおやかに笑う生娘。
 薔薇の香りがほんのりと漂う流血庭園の一角にて、少女は彼方の宇宙の第四位魔王と事も無げに会話を交わしていた。

「…というわけなの。わたし、つい頭に来てしまって」

 軽々と勇者を名乗られた事。
 星の一つも砕けない程度の力。
 音程度の領域に留まったスピード。
 頼みの綱の宝具はたとえ百倍したとてフレデリカが兄と呼ぶ暴食の巨星が戯れに放つ一撃の影すら踏めないだろうお粗末な代物。
 力も、剣も、器も…覚悟も。
 何もかも足りない男が厚顔無恥にも我こそは勇者なりと囀っていたものだから。

「本当は一振りで殺せたのだけど、どうしても一言言って差し上げないと気が済まなくて。
 だからわざと消し飛ばないように加減してあげたんです。
 お説教なんて生まれて初めてしたわ。される事は、まぁたまにあったけど」

 フレデリカは本人曰く大人げなく、一撃で終わらせられる戦いに加減を持ち込んだ。
 あの程度の英霊ならば文字通り消し飛ばす事も可能だったがそこはぐっと堪えて力を抑え。
 勇者を嘯く蒙昧に、勇者を名乗るなら最低限有しているべき資格というものを説いてやった。
 慣れない事をしたから力加減が上手くできなくて、結局話の途中で頭を握り潰してしまったものの…それでも彼女なりに溜飲は下がったらしい。

「少し意外だわ。あなたは腹が立つとか、そういう感情とは無縁の生き物だと思っていたから」

 常人ならば、フレデリカの姿を視認しただけでその体に染み込んだ死の威容に恐れ慄き…ともすれば発狂を来たしても不思議ではない。
 何しろ彼女は戦力ではなく殺した生命の数で魔王としての番付を上げた鬼子。
 人間の感情など硝子戸の向こうの絵空事。
 それらしく演じ装う事はできても本質の部分ではそれを理解する事のできない虚ろな生き物。
 奇形化した殺意を感情のように振り翳すしか能のない生まれながらの殺人鬼(ノコギリ)。
 それを踏まえて今の彼女を見れば…成程おかしな有様だった。
 憧れと慕情に瞳を甘く染めて。
 自分の想い人を間接的に貶められた不満を愚痴る。
 殺人鬼の姫君、殺人姫には相応しくない姿だ。
 今のフレデリカはあまりにも人間らしい。
 その事を他でもないマスターに指摘された彼女は一瞬きょとんとした顔をしたが。
 次の瞬間には花が綻ぶようにくすりと笑った。

「それは貴女も一緒でしょう、愛歌? わたしのマスター、わたしの初めてのお友達」

 ――愛歌。
 沙条愛歌。
 それが少女の名前であった。
 彼女の生まれた世界では勿論、全宇宙を股にかけた善悪二元闘争等行われていない。
 あらゆる生物が生まれながらに善か悪かに分けられ、どちらかが滅び切るまで殺し合い続ける等という腐った理も存在しない。
 フレデリカの生きた宇宙に比べれば遥かに小さな神秘が渦巻く世界。
 そこに彼女は生まれ落ちた。
 しかしてもしも生まれた世界が、宇宙が逆だったならば。
 愛歌が善悪二元真我(アフラ・マズダ)に生まれ落ちていたならば。
 その時彼女は間違いなくフレデリカと同様に、絶対悪たる七つの丘。
 あまねく悪の王にしてあまねく善の敵たる七大魔王の円卓に、その名を列ねていたに違いない。
 ああいや。
 そこにはもう一つ条件が付く。
 彼女を全能から少女へ堕としたかの騎士が件の腐った宇宙に存在し、変わらぬ輝きで不義者を討滅し続けていたならば。
 その姿を一目見たならば。
 愛歌は己の真我(いろ)を覆してでも悪に堕ち、彼の為にと愛を言祝ぎながら数多の悪行に手を染め。
 真にフレデリカと肩を並べ…ともすれば凌駕する魔王の器として覚醒していただろう。

「あなたとわたしは似た者同士。だからこそわたしはあなたをお友達と呼ぶの」

 …愛歌は生まれながらにしてヒトの領分を遥かに超えていた。
 手を伸ばせばそれだけでこの世の全てに手が届く。
 全知全能という夢物語を地で行く根源接続者。
 それ故の退屈とそこから来る無機質さを抱えていた彼女は、ある日運命のような恋を知った。
 そして堕ちた。
 沙条愛歌という名の全能は同じ名前を持つ少女へとカタチを変えた。
 全ては愛する貴方のためにと。
 この世の何より純粋な想いを燃料に、根源の姫は晴れて人理の崩壊を乞い願うポトニアテローンへと姿を変えたのだ。

「好きな人の趣味は合わないのにね」
「あら、それを言い出したら殺し合いよ?」
「そうなっても負けないわ。知っているかしら? 恋する乙女って生き物は、無敵なんだって」
「えぇ、わたしもよく知ってるわ。恋は盲目、いい言葉よね」
「そうね、本当に素敵な言葉。
 胸の中にただ一つ温かいこの気持ちがあるだけで、なんだってしてあげたくなるし、なんだってできてしまうんだもの」

 愛歌とフレデリカは似た者同士。
 生まれながらに誰より虚ろな存在である事を運命付けられて。
 そしてその空虚を、恋という情熱を知る事で自ら埋め合わせた。
 そうして成った…そうして完成した怪物王女(ポトニアテローン)。
 少女へ堕ちた全能と。
 恋を知った殺意。
 生まれた宇宙は違えど、振るう力の規模も違えど。
 紛れもなく彼女達は似た者同士で、出会ってはならない者達だった。
 彼女達は恋する乙女。
 恋に恋して愛を愛するあどけない少女達。
 だが、だが。
 その手に握られた力はあまりにも大きすぎた。
 誇張抜きに世界の行く末すら左右できる力を、彼女達は生まれながらに当たり前に持ち合わせていた。

「わたしはあなたのサーヴァント。
 あなたの恋に寄り添うために召喚された殺人鬼。
 この世で独りきりのあなたの声に応じて、遠い神座の果てからやって来たあなただけのお友達。
 あなたの恋路を叶えるためにわたしはこの体を使いましょう。
 でも。でも――これだけは覚えておいて」

 根源の姫は人理の定礎を崩す。
 殺人の姫は星をすら一太刀の元に斬り伏せる。
 恋する乙女は無敵の生き物。
 何だってやれて何だってできる。
 彼女達に限界はない。
 だが――

「恋(それ)は叶わないこともあるのよ」

 伸ばした手が届くかどうかは分からない。
 思い描いた通りの終わりに辿り着けない事も世の中には現実としてあるのだと。
 その事をフレデリカは知っていた。
 睦み合いの末に自らの望む形で愛する勇者と結ばれる事を信じて挑んだ殺人姫の、その先で待っていた嘲笑を朧気ながら覚えている。
 突き付けられた真実。
 気付かされた現実。
 殺人姫に生まれて初めての動揺をすら引き起こしたそれは紛れもなく乙女の目論見に孔を穿つものだった。
 そしてフレデリカは死んだ。
 滅びたのだ。
 不死不滅の戒律を持つ筈の、彼女が。

「ないわ、そんなこと」
「あなたはきっといつかそれに遭遇するでしょう。
 だって愛歌、あなたはとてもわたしに似ているから。
 恋する乙女は無敵だけれど、絶対に負けないというわけじゃない」
「…忠告ありがとう。でもやっぱりわたしには不要(い)らないわ」

 二つの碧眼が微笑みの中で交差する。
 深い、何処までも深い…宇宙(そら)を思わす蒼い瞳。
 底知れず昏い悪なる海がそこにある。

「叶う叶わないなんて話をしたって意味はないわ。
 叶えると決めたのなら、あとはそのまま歩けばいいのよ。そうすればこの世のどんな願いだって、思うがままに叶ってしまうの」

 その言葉に嘘はない。
 愛歌はそれができる人間だ。
 彼女にとって目下の問題はこの世界。
 聖杯戦争という名の牢獄。
 此処では愛歌は全能ではない。
 彼方の地からかの獣が自分を引き上げてくれる事でもない限り。
 愛歌はこの世界から出られない――勝利をその手に掴むまで。

「もしも聖杯が手に入ったら。その時はもう一度、二人で恋の話をしましょう?」
「そうね――愛歌。あなたの王子様はわたしの勇者様ではないけれど」
「それでもいいわ。わたし、実は経験がなかったの。
 恋をしている仲間同士で、ああでもないこうでもないって語り合う経験が」
「わたしもそうよ。あなたがとびきり悪いおかげで、わたしはあなたとお話ができる。
 同じ――不義者(ドルグワント)としてね」

 フレデリカという大鎌(デスサイズ)を武器にして。
 沙条愛歌はこの地に集った全ての苗木を伐採する。
 未来への可能性が育ち実を付け花を咲かすその前に。
 ただ無情に、そして非情に自らの王道を貫くだろう。
 此処には居ない騎士王へ捧ぐ救済(すくい)の道を。
 冬の東京は今、蒼銀の魔の手に堕ちる。

    ◆ ◆ ◆

 魔王フレデリカのその末路。
 全時代を引っ括めても最優の一つに数えられる不死の戒律を持ちながら、何故彼女は勇者の剣に滅ぼされたのか。
 一つの宇宙を一本の剣で滅ぼし尽くした無慙の剣に何故屈したのか。
 その答え、それは――

「…わたしが会いに行くことをあなたは望まないでしょう。
 だってそれはわたし達の、わたしの結末を自ら侮辱する自傷行為だから。
 なんだかんだで優しいあなたは……そんなこと、許してくれないですよね」

 フレデリカは自ら舞台を降りたのだ。
 戒律とは掟を守る事によって担保される力。
 従って掟を破れば。
 自ら破戒の愚を犯せば…たちまち戒律の効力は消え、破戒の罰が降り注ぐ。
 それはフレデリカのような極めて高位の使い手であっても例外ではない。
 老若男女も強弱も、善悪すらも関係なく平等なこの世の摂理。
 それで以ってフレデリカは不死者ではなくなり。
 それどころか不義者ですらなくなり…義者(アシャワン)の少女として、愛する勇者の剣によって落命した。

「正直に言うならすぐにでも会いに行きたいです。
 聖杯を手に入れればそうする事も可能なのでしょうし。
 全てのしがらみを飛び越えて、あなたの瞳にわたしを入れたい。見てほしい」

 それが彼女の結末。
 恋に目覚めてそして思い通りの結末には辿り着けなかった少女の末路。
 しかしフレデリカは、後悔はしていなかった。
 過ぎ去った時間をもう一度戻せるとしても、きっと自分はあの結末を選ぶだろうという確信すらある。
 そんな彼女だから、当然。
 終わった物語の結末を覆したいとは考えていない。
 …考えはしても、それを選ぶ事はしない。

「でもそれをしたら嫌われてしまうし、わたしもわたしの事が嫌いになってしまうでしょう。
 だから寂しい気持ちをぎゅっと堪えて…今は初めてできたお友達と一緒に歩いてみようと思います」

 あの子はきっと失敗する。
 いつかの未来、思いがけずにすっ転ぶだろう。
 そう分かってしまったから心地は妹を見るようなそれだった。
 おかしな話。妹はもう居るというのに。

「でも、せめて。見ていてくれたら嬉しいです」

 わたしの――

「マグサリオン様。わたしの、たったひとりの――」

【クラス】
アサシン

【真名】
フレデリカ@黒白のアヴェスター

【ステータス】
筋力A 耐久EX 敏捷B 魔力C 幸運A 宝具EX

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
気配遮断:E
サーヴァントとしての気配を絶つ。
平時はこのスキルは機能していない。
スキル「虚装戒律」を用いて化けの皮を被る事でAランク相当の気配隠蔽を可能とする。
完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
ただし自らが攻撃行動に移るとそのランクは大きく落ちる。

【保有スキル】
殺人鬼:EX
ノコギリ。人類種に対する理由のない殺意を習性として抱える種族。
殺意という感情のみが肥大化した存在であるため喜怒哀楽が虚ろで、本質的には人を殺したいという欲求しか持っていない。
理屈なく不死身であり、たとえ肉塊レベルに破壊されたとしてもそこから再び元通りに再生することができる。
フレデリカは殺人鬼という種族のハイエンド。
彼女を凌駕する殺人鬼はこの世界に存在しない。

虚装戒律:A+
バランギーナ。
フレデリカの生きた宇宙に存在した理の一つであり概念としては第一宝具と同一。
自らに制限を課す代償と引き換えに対応する形で力を得る。
元来の戒律は永続的な誓いとリスクが伴うのに対し、虚装戒律は前提条件が充たされた場合その場で能力と共に消失する。
例えば"三日間喋らない"という縛りなら"三日間だけのテレパシー能力"を得ることができる。
この場合四日目以降は喋っても破戒にはならない。

精神異常:A
汚染ではなく異常。
殺人鬼は心を持たない。
それ故に恐怖や畏怖などの感情も極めて希薄である。
他の精神干渉系魔術をシャットアウトするが、A+ランク以上の干渉に対しては効果を軽減するに止まる。

【宝具】
『殺人鬼の掟(キラークイーン)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1(自身)
第四位魔王、フレデリカの戒律。
己自身に禁忌を設け遵守すると心に誓う。
自身に破ってはいけない制約を課す代わり、その制約が重いほど反動として強力な特殊能力を行使できる。
フレデリカの禁忌は"敵のいかなる攻撃であろうとも防御・回避を行わない"というもの。
その代わり彼女は類を見ないほど強力な再生能力を不死性を保有するに至っている。
彼女が生きた宇宙はおろか、そこから数度に渡り神の代替わりが起きた全体を総括しても最高峰の不死に数えられる。
頭部破壊、人体両断、原子レベルでの粉砕、霊核の完全破壊…そのいずれでもバーサーカーは滅ぼせない。
ただしあくまでも"死なない"だけであるため、封印等の搦め手に対しては再生能力は発揮されないのが難点。

『殺人鬼の大鎌(デスサイズ)』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:100
フレデリカの武装。赤と青の意匠が刻まれた大鎌。
特殊な拵えも仕掛けもなく、製造に魔術的な工程を経たわけでもないごくごく一般的な代物。
しかしこれはフレデリカの手により数億単位の命を滅ぼした殺人道具となっており、今やそこにあるだけで次元すら歪ませる怨念の塊と化している。
全力を載せて振るえば惑星の両断すら成し遂げる逸品。
だがサーヴァントとしての召喚にあたって主であるフレデリカ自身の力が数段劣化している為、かつて程の威力を発揮することはできない。

『流血庭園バリガー』
ランク:A+ 種別:固有結界 レンジ:- 最大捕捉:1000
常時展開型固有結界。魔王フレデリカの支配領域。
人間の残骸を養分にした不義者の毒花が咲き乱れる異界。
この空間は分離の法という義者の術により、フレデリカと彼女の執事であったある殺人鬼を封じ込めた牢獄であった。
しかしフレデリカは容易くこの封印を破る事ができる上、生死や殺人鬼の存在が強く意識された時に外界へ繋がる虹の橋が架かる『分離の橋』という性質を持つ。
生死の願望や恐怖、殺人鬼への呼び掛けが溢れた土地に庭園は自動的に接続され、これを利用する事でフレデリカは神出鬼没的な出現を可能とする。
橋が架かっているのは一時間程度。時間が過ぎるか橋の先に居る人間を全滅させるかすれば、フレデリカは自動的に庭園の中へと送還される。

【人物背景】
悪の不義者にして第三位魔王。
殺人姫フレデリカ。
空虚のままに人間という人間を鏖殺していた幼い魔王はとある魔人との遭遇によって殺人鬼にあるまじき感情を知る。
少女の姿をした死は少女に堕ち、そして二元論の宇宙を鏖殺(すく)う皆殺しの英雄を相手に唯一勝ち逃げを果たした。

【願い】
再会。逢瀬? 
いいえ。わたしの願うものは──。


【マスター】
沙条愛歌@Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ

【マスターとしての願い】
すべては彼のために。

【weapon】
なし

【能力・技能】
根源接続者。
あらゆるすべてが可能、あらゆるすべての事象を知り、あらゆるすべてを認識する"機能"を持つ。
文字通りの全知全能。
宇宙が異なればフレデリカら七大魔王にさえ並び立ったろう規格外中の規格外。
しかし現在は聖杯そのものからの束縛により限りなく弱体化させられており、高位の魔術師程度の力量に落ち着いている。
イメージ的には『Fate/Labyrinth』にて迷宮の亜種聖杯戦争に挑んでいた時程度の存在規模及び出力。

【人物背景】
マスター階梯第一位・熾天使。
蒼銀の騎士王を召喚せし最強のマスター。
生まれながらの全能であったが、それ故の空虚を抱えていた命。
燦然たる騎士との遭遇によって世界を滅ぼす感情を知った。
かくて少女の姿をした全能は――少女に堕ちた。

【方針】
聖杯戦争への勝利並びに聖杯の獲得。

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最終更新:2022年07月08日 00:00