「おとう、さん……おとう……さん……」

犬が、泣いていた。
犬とは思えぬ、人間のような長髪を生やした犬が泣いていた。
犬という生物の性質から考えれば、頭部にこんな大量の毛髪など必要ない。
まるで後付けで、異なる部品を兼ね合わせた結果、備わった不要な部位のような雑な配合を行われたような歪な造形
声と呼ぶにはあまりにも淡々として、鳴き声と呼ぶにはあまりにも情が乗せられていた。
虚ろな目からは何も伺えない。

「あそぼ、あそぼ……」

ただ、その空虚な瞳からは涙が流れていた。

「あはっ、あはっ」

その犬を、もう一匹の奇怪な生き物が呆然と見つめていた。
耳が頭部から生え、赤い模様の毛が生え揃っており、腹部は白い毛に包まれている。
四足歩行ではなく二足歩行なのは妙だが、愛らしい動物には見える。
だが、背中に昆虫のような羽が突き出していた。尻尾は爬虫類のような青紫色で、生き物として不釣り合いすぎる。
別の種族の異なる生物を、それぞれの部位に引っ付けたような歪な生物。
これが、この異なる二匹の共通点だ。

「そんなになっちゃったんだ……」

その生き物から、真紅の鋭い爪が飛び出してきた。
爪からポタポタと、赤い滴がしたり落ちている。

「そんなんになっちゃったんなら、もう……ネ…」

犬の右足に刺青があった。毛の下に隠されているが、紛れもない令呪がそこに刻まれている。
つまるところ、聖杯戦争の参加者でありマスターなのだ。そして、この奇怪な生き物もまたマスターの召喚されたサーヴァントだ。

「おとうさん……おとうさん……」

「たはは」

二匹は泣いていた。一人と一匹は感情も表せない能面のような顔で父親を想い、一匹は張り付いた笑顔から変わり果てた自分自身と目の前のキメラを見て、涙で頬を濡らし続ける。
その足元には、何の生物とも結合させられていない純粋な人間の死体が転がっている。
聖杯戦争のマスターだった少年だった。

「エ、ド……エド……ワー、ド…………おにいちゃん」

犬はすくっと立ち上がり、ぎこちなく歩き出した。

「ひーこわいこわい」

その後ろを生き物は着いていった。


【クラス】
アサシン

【真名】
キメラ@なんか小さくてかわいいやつ

【ステータス】
筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運E 宝具E

【属性】
混沌・中庸

【クラススキル】

気配遮断:E
ちいかわの背後を取れる位には気配を消せる。

【固有スキル】

あはっあはっ:D
殺しに躊躇いがなくなり、ステータスが上がる。

【宝具】
『不穏(ディストピア)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:5

低燃費で常時発動型の宝具、キメラを見た者を不穏にさせ、精神を不安定にさせる。
生前キメラと遭遇したちいかわが後日悪夢にうなされたことから、その奇抜な容姿が宝具に昇華された。

【サーヴァントとしての願い】
こんなになっちゃったからには……もう……ネ…。



【マスター】
ニーナとアレキサンダー@鋼の錬金術師

【マスターとしての願い】
おとうさん……おにいちゃん……。

【能力・技能】
犬なのに人の言葉が喋れる。

【人物背景】
鋼の錬金術師及び、それを原作としたアニメ版シリーズに共通して登場するゲストキャラ。
ニーナは天真爛漫で元気な少女で、アレキサンダーは穏やかで温和な飼い犬だったが、父親のショウ・タッカーに合成されてしまった。
現在は人の髪を生やした犬で、言葉こそ発するが発生は機械的でぎこちなく、インコのように事前に聞いた言葉をオウム返しすることでしか話すことが出来ない。
ショウ・タッカーは国家錬金術師の資格を維持するため、研究成果の報告にニーナとアレキサンダーを使って、ようやくこのキメラを制作した。
だが後に流暢な言語を操り、意思疎通に一切の支障もない、元の人間だった頃の記憶も人格も全て維持したまま、肉体を強化し、容姿も人間の姿を完全に保持する完全上位互換のキメラが登場する。
掛け替えのない家族を対価にしても、キメラとしては出来損ないしか作れない。ショウ・タッカーの技量は極めて低いことが伺える。

【参戦時期】
タッカーが死んだ直後。

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最終更新:2022年07月17日 01:18