部品構造
部品定義
部品: 看護方式とは
看護方式とは、病院や医療施設において、看護職員が入院患者に提供する看護の方式である。
看護提供方式とも呼ばれる。
看護方式には、チーム・ナーシング、プライマリー・ナーシング、モジュール・ナーシング、パートナーシップ・ナーシングなど、様々な種類がある。
そのため、治療方法や疾患の種類、看護職員や病床の数などを考慮に入れ、適切な看護方式を選択することが望ましい。
看護方式を切り替える際は、切り替えに伴う問題を相談できるよう、切り替えのための委員会を設けたほうがよい。
また、施設の新設・移設や情報システムの導入・刷新などと同時におこなうと、現場の混乱が大きくなるため、その場合は看護方式を切り替える時期をずらしたほうがよい。
部品: 種類
チーム・ナーシングとは、経験や能力に差がある看護職員でいかに安定した質の看護を提供するかという観点から考え出された看護方式である。
チーム・ナーシングでは、一つの病棟に所属するその日の看護職員で、二つ以上のチームを編成する。
編成されたチームはリーダーを輪番制で選出し、そのリーダーの責任のもとで、一定数の患者を二十四時間体制で受け持つ。
リーダーは看護方針の立案・再検討やメンバーへの指示出しなど、チーム内の統率力が重要である。
リーダーが無責任な場合やメンバー間の仲が悪い場合などでは、適切な看護をできない恐れがある。
リーダーは担当医師に患者の情報を正確に報告し、担当医師からの助言をメンバーに的確に落とし込むため、チームの情報をリーダーに集中させる必要がある。
看護計画は各種の症例検討会などでチームで立案し、共有・展開する。
チーム・ナーシングは看護業務の負担をチーム内で分け合えるため、経験の浅い職員が実務経験を積む際に適した看護方式である。
/*/
固定チーム・ナーシングとは、チーム・ナーシングの一種。
通常のチーム・ナーシングでは、その日に出勤している看護職員でチームを編成する。
また、チームごとに提供する看護に差が生じている場合、リーダーやメンバーの入れ替え、構成配置の再検討をおこなう。
それに対し、固定チーム・ナーシングは一定期間リーダーやメンバーを固定する。
固定チーム・ナーシングは、看護職員や受け持つ患者の数が限られている場合に採用される。
通常のチーム・ナーシングと比べ、固定チーム・ナーシングは看護責任の所在がより明確になるとされている。
/*/
プライマリー・ナーシングとは、看護職員がやりがいや責任感を持って看護業務を遂行できるよう考え出された看護方式である。
プライマリー・ナーシングでは、一名の患者に対し、一名の看護職員が入院から退院まで一貫して担当する。
この担当する看護職員をプライマリー・ナースと呼ぶ。
プライマリー・ナースは担当の患者に二十四時間体制で責任を持って看護する。
プライマリー・ナースの業務時間外では、他の看護職員が看護を代行する。
この代行する看護職員をアソシエート・ナースと呼ぶ。
プライマリー・ナースは患者の状態を把握したうえで看護計画を立案し、アソシエート・ナースはその看護計画に合わせて看護する。
患者と看護職員が一対一の関係になるため、プライマリー・ナーシングでは患者との信頼関係を築きやすいとされている。
ただし、他の看護方式と比べ、プライマリー・ナーシングは多くの看護職員を要する。
また、プライマリー・ナーシングは看護職員への負担が大きく、看護職員の能力によって看護の質に差が出るという欠点がある。
プライマリー・ナーシングは、看護職員同士での交流も少なくなる傾向がある。
/*/
モジュール・ナーシングとは、固定チーム・ナーシングとプライマリー・ナーシングの折衷した看護方式である。
モジュール型看護方式やモジュール型継続方式などとも呼ばれる。
固定チーム・ナーシングのチームを、さらに数名で一単位としたモジュールに振り分ける。
ひとつのモジュールの割り当ては、ひとつの病室、または一定数の患者である。
この割り当てられた患者に対し、モジュールの看護職員が入院から退院まで継続して担当する。
モジュール・ナーシングは、業務負担の軽減という固定チーム・ナーシングの利点と、仕事のやりがいというプライマリー・ナーシングの利点を併せ持つ。
ただし、患者や看護職員の数が増減した場合は、その都度、モジュールのメンバーや担当患者を再設定する必要がある。
また、モジュール・ナーシングは看護職員の実力が露呈しやすく、力量の乏しい看護職員が働きにくいと感じる恐れがある。
同じ患者に親身になる看護職員が複数いる場合、看護職員の間で対立する場合もある。
さらに、割り当てられた患者の症状が重い場合や対応が困難な場合には、モジュールのメンバー全員が疲弊する恐れもある。
そのため、モジュール・ナーシングではどのようにモジュールを支援するかが重要である。
/*/
パートナーシップ・ナーシングとは、モジュール・ナーシングの一種。
パートナーシップ・ナーシング・システムを略してPNSとも呼ばれる。
PNSは看護職員が二名一組のペアを作り、そのペアが看護職員二名分の患者を受け持つ看護方式である。
ペアを作る際は、病棟の会議やPNSの委員会などでパートナーとなる相手を自薦・他薦により、他の職員の同意を得て決定する。
こうしてできた複数のペアをまとめ、ひとつのモジュールを作る。
複数のモジュールを作る場合は、力量や委員会活動などを考慮してペアをモジュールに振り分ける。
パートナーとはお互いに受け持つ患者の情報を共有し、点滴・内服の確認といった看護業務をおこなったり、看護計画を見直したりする。
単独では対応できない業務や問題はパートナーと補完しあい、それでも対応できない場合はモジュールで補完、さらにモジュールでも対応できない場合はチーム全体で補完する。
そのため、趣味や長所・得意分野が異なる看護職員とペアとなることが望ましい。
PNSは単独で看護する場合と比べ、患者の負担が少なく、ダブルチェックで医療事故を減らせる利点がある。
また、得意分野の異なる看護職員の看護を観察したり、経験の浅い看護職員がペアを組んだ先輩に相談したりできるため、医師や患者への対応を早く学ぶことができる。
画像や血液データから病状を判断できない精神疾患は、患者と普段から接する看護職員の観察と評価が重要となるため、若手看護職員が患者の何を観察すればよいかを先輩から学ぶ際には特にPNSが適している。
また、精神疾患ではなくても、重症患者は若手看護職員が単独で受け持つことが難しいため、重症患者の対応方法を先輩から学ぶ際もPNSが適している。
臨床実習に来た医学部の学生がPNSのペアと共に行動すれば、学生の学びにもなる。
育児明けや中途採用、診療科の異動があった場合もPNSはパートナーがいるため、安心して看護業務ができる。
あるいは逆に、パートナーに見られているという緊張感から、手を抜かず、しっかりとした看護をおこなうようになる。
さらに二名で対応するため、一名が看護している間に、もう一名がベッドサイドで患者の監察結果をカルテに記録することで、勤務時間内にカルテの記載を終わらせ、時間外業務を減らすことができる。
休憩時間中に急患が来た場合も、パートナーと交互に休憩することで、休憩時間中の業務を減らすことができる。
ただし、経験の浅い看護職員が難しいことや慣れないことをパートナーに頼りすぎて、自信を持って業務をおこなうのに時間がかかる場合もある。
また、看護職員がパートナーと対立した場合、仕事にストレスを感じる場合もある。
そのためパートナーが不適切な場合は、現在のペアを解消し、新しいペアを作るリシャッフルをおこなう必要がある。
/*/
機能別看護方式とは、複数の看護職員で入院患者への看護をおこなう際、その役割分担を明確に割り当てる看護方式である。
単に機能別看護とも呼ばれる。
看護職員に割り当てる業務は、検温・清拭・入浴介助・創傷処置・薬剤投与・注射などである。
たとえば、検温を担当する看護職員は、検温が必要な患者をすべて検温し、観察の結果を記録する。
機能別看護は分業により、少ない看護職員で効率的に看護できるという特徴がある。
反面、割り当てられた業務のみをおこなうため、看護職員は仕事にやりがいを感じにくい。
また、役割ごとに分業で看護するため、患者の情報を統合しにくく、患者の個別性に配慮することが難しい。
責任の所在が不明確になりやすい点も、機能別看護の短所である。
さらに患者の立場から考えると、担当業務の異なる複数の看護職員が次々と来るため、どの看護職員に自分の病気の悩みを話せばよいのか分かりにくい。
そのため、看護業務の一部を機能別看護にするなど、他の看護方式と折衷して使われることが多い。
提出書式
大部品: 看護方式 RD:2 評価値:2
-部品: 看護方式とは
-部品: 種類
部品: 看護方式とは
看護方式とは、病院や医療施設において、看護職員が入院患者に提供する看護の方式である。
看護提供方式とも呼ばれる。
看護方式には、チーム・ナーシング、プライマリー・ナーシング、モジュール・ナーシング、パートナーシップ・ナーシングなど、様々な種類がある。
そのため、治療方法や疾患の種類、看護職員や病床の数などを考慮に入れ、適切な看護方式を選択することが望ましい。
看護方式を切り替える際は、切り替えに伴う問題を相談できるよう、切り替えのための委員会を設けたほうがよい。
また、施設の新設・移設や情報システムの導入・刷新などと同時におこなうと、現場の混乱が大きくなるため、その場合は看護方式を切り替える時期をずらしたほうがよい。
部品: 種類
チーム・ナーシングとは、経験や能力に差がある看護職員でいかに安定した質の看護を提供するかという観点から考え出された看護方式である。
チーム・ナーシングでは、一つの病棟に所属するその日の看護職員で、二つ以上のチームを編成する。
編成されたチームはリーダーを輪番制で選出し、そのリーダーの責任のもとで、一定数の患者を二十四時間体制で受け持つ。
リーダーは看護方針の立案・再検討やメンバーへの指示出しなど、チーム内の統率力が重要である。
リーダーが無責任な場合やメンバー間の仲が悪い場合などでは、適切な看護をできない恐れがある。
リーダーは担当医師に患者の情報を正確に報告し、担当医師からの助言をメンバーに的確に落とし込むため、チームの情報をリーダーに集中させる必要がある。
看護計画は各種の症例検討会などでチームで立案し、共有・展開する。
チーム・ナーシングは看護業務の負担をチーム内で分け合えるため、経験の浅い職員が実務経験を積む際に適した看護方式である。
/*/
固定チーム・ナーシングとは、チーム・ナーシングの一種。
通常のチーム・ナーシングでは、その日に出勤している看護職員でチームを編成する。
また、チームごとに提供する看護に差が生じている場合、リーダーやメンバーの入れ替え、構成配置の再検討をおこなう。
それに対し、固定チーム・ナーシングは一定期間リーダーやメンバーを固定する。
固定チーム・ナーシングは、看護職員や受け持つ患者の数が限られている場合に採用される。
通常のチーム・ナーシングと比べ、固定チーム・ナーシングは看護責任の所在がより明確になるとされている。
/*/
プライマリー・ナーシングとは、看護職員がやりがいや責任感を持って看護業務を遂行できるよう考え出された看護方式である。
プライマリー・ナーシングでは、一名の患者に対し、一名の看護職員が入院から退院まで一貫して担当する。
この担当する看護職員をプライマリー・ナースと呼ぶ。
プライマリー・ナースは担当の患者に二十四時間体制で責任を持って看護する。
プライマリー・ナースの業務時間外では、他の看護職員が看護を代行する。
この代行する看護職員をアソシエート・ナースと呼ぶ。
プライマリー・ナースは患者の状態を把握したうえで看護計画を立案し、アソシエート・ナースはその看護計画に合わせて看護する。
患者と看護職員が一対一の関係になるため、プライマリー・ナーシングでは患者との信頼関係を築きやすいとされている。
ただし、他の看護方式と比べ、プライマリー・ナーシングは多くの看護職員を要する。
また、プライマリー・ナーシングは看護職員への負担が大きく、看護職員の能力によって看護の質に差が出るという欠点がある。
プライマリー・ナーシングは、看護職員同士での交流も少なくなる傾向がある。
/*/
モジュール・ナーシングとは、固定チーム・ナーシングとプライマリー・ナーシングの折衷した看護方式である。
モジュール型看護方式やモジュール型継続方式などとも呼ばれる。
固定チーム・ナーシングのチームを、さらに数名で一単位としたモジュールに振り分ける。
ひとつのモジュールの割り当ては、ひとつの病室、または一定数の患者である。
この割り当てられた患者に対し、モジュールの看護職員が入院から退院まで継続して担当する。
モジュール・ナーシングは、業務負担の軽減という固定チーム・ナーシングの利点と、仕事のやりがいというプライマリー・ナーシングの利点を併せ持つ。
ただし、患者や看護職員の数が増減した場合は、その都度、モジュールのメンバーや担当患者を再設定する必要がある。
また、モジュール・ナーシングは看護職員の実力が露呈しやすく、力量の乏しい看護職員が働きにくいと感じる恐れがある。
同じ患者に親身になる看護職員が複数いる場合、看護職員の間で対立する場合もある。
さらに、割り当てられた患者の症状が重い場合や対応が困難な場合には、モジュールのメンバー全員が疲弊する恐れもある。
そのため、モジュール・ナーシングではどのようにモジュールを支援するかが重要である。
/*/
パートナーシップ・ナーシングとは、モジュール・ナーシングの一種。
パートナーシップ・ナーシング・システムを略してPNSとも呼ばれる。
PNSは看護職員が二名一組のペアを作り、そのペアが看護職員二名分の患者を受け持つ看護方式である。
ペアを作る際は、病棟の会議やPNSの委員会などでパートナーとなる相手を自薦・他薦により、他の職員の同意を得て決定する。
こうしてできた複数のペアをまとめ、ひとつのモジュールを作る。
複数のモジュールを作る場合は、力量や委員会活動などを考慮してペアをモジュールに振り分ける。
パートナーとはお互いに受け持つ患者の情報を共有し、点滴・内服の確認といった看護業務をおこなったり、看護計画を見直したりする。
単独では対応できない業務や問題はパートナーと補完しあい、それでも対応できない場合はモジュールで補完、さらにモジュールでも対応できない場合はチーム全体で補完する。
そのため、趣味や長所・得意分野が異なる看護職員とペアとなることが望ましい。
PNSは単独で看護する場合と比べ、患者の負担が少なく、ダブルチェックで医療事故を減らせる利点がある。
また、得意分野の異なる看護職員の看護を観察したり、経験の浅い看護職員がペアを組んだ先輩に相談したりできるため、医師や患者への対応を早く学ぶことができる。
画像や血液データから病状を判断できない精神疾患は、患者と普段から接する看護職員の観察と評価が重要となるため、若手看護職員が患者の何を観察すればよいかを先輩から学ぶ際には特にPNSが適している。
また、精神疾患ではなくても、重症患者は若手看護職員が単独で受け持つことが難しいため、重症患者の対応方法を先輩から学ぶ際もPNSが適している。
臨床実習に来た医学部の学生がPNSのペアと共に行動すれば、学生の学びにもなる。
育児明けや中途採用、診療科の異動があった場合もPNSはパートナーがいるため、安心して看護業務ができる。
あるいは逆に、パートナーに見られているという緊張感から、手を抜かず、しっかりとした看護をおこなうようになる。
さらに二名で対応するため、一名が看護している間に、もう一名がベッドサイドで患者の監察結果をカルテに記録することで、勤務時間内にカルテの記載を終わらせ、時間外業務を減らすことができる。
休憩時間中に急患が来た場合も、パートナーと交互に休憩することで、休憩時間中の業務を減らすことができる。
ただし、経験の浅い看護職員が難しいことや慣れないことをパートナーに頼りすぎて、自信を持って業務をおこなうのに時間がかかる場合もある。
また、看護職員がパートナーと対立した場合、仕事にストレスを感じる場合もある。
そのためパートナーが不適切な場合は、現在のペアを解消し、新しいペアを作るリシャッフルをおこなう必要がある。
/*/
機能別看護方式とは、複数の看護職員で入院患者への看護をおこなう際、その役割分担を明確に割り当てる看護方式である。
単に機能別看護とも呼ばれる。
看護職員に割り当てる業務は、検温・清拭・入浴介助・創傷処置・薬剤投与・注射などである。
たとえば、検温を担当する看護職員は、検温が必要な患者をすべて検温し、観察の結果を記録する。
機能別看護は分業により、少ない看護職員で効率的に看護できるという特徴がある。
反面、割り当てられた業務のみをおこなうため、看護職員は仕事にやりがいを感じにくい。
また、役割ごとに分業で看護するため、患者の情報を統合しにくく、患者の個別性に配慮することが難しい。
責任の所在が不明確になりやすい点も、機能別看護の短所である。
さらに患者の立場から考えると、担当業務の異なる複数の看護職員が次々と来るため、どの看護職員に自分の病気の悩みを話せばよいのか分かりにくい。
そのため、看護業務の一部を機能別看護にするなど、他の看護方式と折衷して使われることが多い。
インポート用定義データ
[
{
"title": "看護方式",
"part_type": "group",
"children": [
{
"title": "看護方式とは",
"description": "看護方式とは、病院や医療施設において、看護職員が入院患者に提供する看護の方式である。\n看護提供方式とも呼ばれる。\n看護方式には、チーム・ナーシング、プライマリー・ナーシング、モジュール・ナーシング、パートナーシップ・ナーシングなど、様々な種類がある。\nそのため、治療方法や疾患の種類、看護職員や病床の数などを考慮に入れ、適切な看護方式を選択することが望ましい。\n看護方式を切り替える際は、切り替えに伴う問題を相談できるよう、切り替えのための委員会を設けたほうがよい。\nまた、施設の新設・移設や情報システムの導入・刷新などと同時におこなうと、現場の混乱が大きくなるため、その場合は看護方式を切り替える時期をずらしたほうがよい。",
"part_type": "part",
"localID": 1
},
{
"title": "種類",
"description": "チーム・ナーシングとは、経験や能力に差がある看護職員でいかに安定した質の看護を提供するかという観点から考え出された看護方式である。\nチーム・ナーシングでは、一つの病棟に所属するその日の看護職員で、二つ以上のチームを編成する。\n編成されたチームはリーダーを輪番制で選出し、そのリーダーの責任のもとで、一定数の患者を二十四時間体制で受け持つ。\nリーダーは看護方針の立案・再検討やメンバーへの指示出しなど、チーム内の統率力が重要である。\nリーダーが無責任な場合やメンバー間の仲が悪い場合などでは、適切な看護をできない恐れがある。\nリーダーは担当医師に患者の情報を正確に報告し、担当医師からの助言をメンバーに的確に落とし込むため、チームの情報をリーダーに集中させる必要がある。\n看護計画は各種の症例検討会などでチームで立案し、共有・展開する。\nチーム・ナーシングは看護業務の負担をチーム内で分け合えるため、経験の浅い職員が実務経験を積む際に適した看護方式である。\n/*/\n固定チーム・ナーシングとは、チーム・ナーシングの一種。\n通常のチーム・ナーシングでは、その日に出勤している看護職員でチームを編成する。\nまた、チームごとに提供する看護に差が生じている場合、リーダーやメンバーの入れ替え、構成配置の再検討をおこなう。\nそれに対し、固定チーム・ナーシングは一定期間リーダーやメンバーを固定する。\n固定チーム・ナーシングは、看護職員や受け持つ患者の数が限られている場合に採用される。\n通常のチーム・ナーシングと比べ、固定チーム・ナーシングは看護責任の所在がより明確になるとされている。\n/*/\nプライマリー・ナーシングとは、看護職員がやりがいや責任感を持って看護業務を遂行できるよう考え出された看護方式である。\nプライマリー・ナーシングでは、一名の患者に対し、一名の看護職員が入院から退院まで一貫して担当する。\nこの担当する看護職員をプライマリー・ナースと呼ぶ。\nプライマリー・ナースは担当の患者に二十四時間体制で責任を持って看護する。\nプライマリー・ナースの業務時間外では、他の看護職員が看護を代行する。\nこの代行する看護職員をアソシエート・ナースと呼ぶ。\nプライマリー・ナースは患者の状態を把握したうえで看護計画を立案し、アソシエート・ナースはその看護計画に合わせて看護する。\n患者と看護職員が一対一の関係になるため、プライマリー・ナーシングでは患者との信頼関係を築きやすいとされている。\nただし、他の看護方式と比べ、プライマリー・ナーシングは多くの看護職員を要する。\nまた、プライマリー・ナーシングは看護職員への負担が大きく、看護職員の能力によって看護の質に差が出るという欠点がある。\nプライマリー・ナーシングは、看護職員同士での交流も少なくなる傾向がある。\n/*/\nモジュール・ナーシングとは、固定チーム・ナーシングとプライマリー・ナーシングの折衷した看護方式である。\nモジュール型看護方式やモジュール型継続方式などとも呼ばれる。\n固定チーム・ナーシングのチームを、さらに数名で一単位としたモジュールに振り分ける。\nひとつのモジュールの割り当ては、ひとつの病室、または一定数の患者である。\nこの割り当てられた患者に対し、モジュールの看護職員が入院から退院まで継続して担当する。\nモジュール・ナーシングは、業務負担の軽減という固定チーム・ナーシングの利点と、仕事のやりがいというプライマリー・ナーシングの利点を併せ持つ。\nただし、患者や看護職員の数が増減した場合は、その都度、モジュールのメンバーや担当患者を再設定する必要がある。\nまた、モジュール・ナーシングは看護職員の実力が露呈しやすく、力量の乏しい看護職員が働きにくいと感じる恐れがある。\n同じ患者に親身になる看護職員が複数いる場合、看護職員の間で対立する場合もある。\nさらに、割り当てられた患者の症状が重い場合や対応が困難な場合には、モジュールのメンバー全員が疲弊する恐れもある。\nそのため、モジュール・ナーシングではどのようにモジュールを支援するかが重要である。\n/*/\nパートナーシップ・ナーシングとは、モジュール・ナーシングの一種。\nパートナーシップ・ナーシング・システムを略してPNSとも呼ばれる。\nPNSは看護職員が二名一組のペアを作り、そのペアが看護職員二名分の患者を受け持つ看護方式である。\nペアを作る際は、病棟の会議やPNSの委員会などでパートナーとなる相手を自薦・他薦により、他の職員の同意を得て決定する。\nこうしてできた複数のペアをまとめ、ひとつのモジュールを作る。\n複数のモジュールを作る場合は、力量や委員会活動などを考慮してペアをモジュールに振り分ける。\nパートナーとはお互いに受け持つ患者の情報を共有し、点滴・内服の確認といった看護業務をおこなったり、看護計画を見直したりする。\n単独では対応できない業務や問題はパートナーと補完しあい、それでも対応できない場合はモジュールで補完、さらにモジュールでも対応できない場合はチーム全体で補完する。\nそのため、趣味や長所・得意分野が異なる看護職員とペアとなることが望ましい。\nPNSは単独で看護する場合と比べ、患者の負担が少なく、ダブルチェックで医療事故を減らせる利点がある。\nまた、得意分野の異なる看護職員の看護を観察したり、経験の浅い看護職員がペアを組んだ先輩に相談したりできるため、医師や患者への対応を早く学ぶことができる。\n画像や血液データから病状を判断できない精神疾患は、患者と普段から接する看護職員の観察と評価が重要となるため、若手看護職員が患者の何を観察すればよいかを先輩から学ぶ際には特にPNSが適している。\nまた、精神疾患ではなくても、重症患者は若手看護職員が単独で受け持つことが難しいため、重症患者の対応方法を先輩から学ぶ際もPNSが適している。\n臨床実習に来た医学部の学生がPNSのペアと共に行動すれば、学生の学びにもなる。\n育児明けや中途採用、診療科の異動があった場合もPNSはパートナーがいるため、安心して看護業務ができる。\nあるいは逆に、パートナーに見られているという緊張感から、手を抜かず、しっかりとした看護をおこなうようになる。\nさらに二名で対応するため、一名が看護している間に、もう一名がベッドサイドで患者の監察結果をカルテに記録することで、勤務時間内にカルテの記載を終わらせ、時間外業務を減らすことができる。\n休憩時間中に急患が来た場合も、パートナーと交互に休憩することで、休憩時間中の業務を減らすことができる。\nただし、経験の浅い看護職員が難しいことや慣れないことをパートナーに頼りすぎて、自信を持って業務をおこなうのに時間がかかる場合もある。\nまた、看護職員がパートナーと対立した場合、仕事にストレスを感じる場合もある。\nそのためパートナーが不適切な場合は、現在のペアを解消し、新しいペアを作るリシャッフルをおこなう必要がある。\n/*/\n機能別看護方式とは、複数の看護職員で入院患者への看護をおこなう際、その役割分担を明確に割り当てる看護方式である。\n単に機能別看護とも呼ばれる。\n看護職員に割り当てる業務は、検温・清拭・入浴介助・創傷処置・薬剤投与・注射などである。\nたとえば、検温を担当する看護職員は、検温が必要な患者をすべて検温し、観察の結果を記録する。\n機能別看護は分業により、少ない看護職員で効率的に看護できるという特徴がある。\n反面、割り当てられた業務のみをおこなうため、看護職員は仕事にやりがいを感じにくい。\nまた、役割ごとに分業で看護するため、患者の情報を統合しにくく、患者の個別性に配慮することが難しい。\n責任の所在が不明確になりやすい点も、機能別看護の短所である。\nさらに患者の立場から考えると、担当業務の異なる複数の看護職員が次々と来るため、どの看護職員に自分の病気の悩みを話せばよいのか分かりにくい。\nそのため、看護業務の一部を機能別看護にするなど、他の看護方式と折衷して使われることが多い。",
"part_type": "part",
"localID": 2
}
],
"expanded": true,
"localID": 0,
"description": "流用可能"
}
]
最終更新:2018年10月13日 05:22