プロジェクト管理計画

部品構造


  • 大部品: プロジェクト管理計画 RD:6 評価値:4
    • 部品: プロジェクト管理計画とは
    • 大部品: 進捗管理計画・コスト管理計画 RD:2 評価値:2
      • 部品: 進捗管理計画・コスト管理計画とは
      • 部品: WBS・EVM
    • 部品: リスク・課題管理計画
    • 部品: 構成管理
    • 部品: 労務管理



部品定義


部品: プロジェクト管理計画とは

プロジェクト管理(project management)とは、プロジェクトを成功させるためにおこなわれる活動のことである。
プロジェクトの管理者は、プロジェクトの全期間を通じ、常に高い作業負担がある。
プロジェクトの序盤は、プロジェクトの構想や計画の策定に追われる。
プロジェクト計画の実行段階に移行すると、必要な要員や資源を確保し、プロジェクトを円滑に運営するため、予算・工程・品質などを管理する。
プロジェクトの進捗状況を把握し、必要に応じて顧客・経営陣・開発者などプロジェクトの関係者に状況を報告する。
このようなプロジェクト管理者がプロジェクト管理に関する作業負担を軽減するため、プロジェクト管理計画書を作成することが有用である。
プロジェクト管理計画書とは、プロジェクト管理計画を文書化したものである。
プロジェクト管理計画(project management plan)とは、プロジェクトをどのように管理していくかを計画するものである。
プロジェクト管理計画書を作成しない場合、プロジェクト管理計画について質問された際、逐一回答しなければならないため、プロジェクト管理者の負担が増える。
特に利害関係者が多い大規模なプロジェクトほど、プロジェクト管理計画に対する質問が多くなるため、プロジェクト管理計画書は重要である。
プロジェクト管理計画には、進捗管理計画、コスト管理計画、リスク管理計画、課題管理計画、構成管理計画などがある。
プロジェクト管理計画書には、作成者や改訂者の氏名、作成日・改訂日などを記載したうえで、発注元(発注者)と発注先(受注者)からそれぞれ計画を承認した責任者の署名・捺印を得る。
プロジェクト管理計画は、一部内容が重複する箇所もあるが、プロジェクトを成功に導くための計画であるプロジェクト計画(project plan)とは厳密には異なるものである。
なお、プロジェクト管理計画書に記載されることはないが、労務管理もプロジェクト管理において重要である。

部品: 進捗管理計画・コスト管理計画とは

進捗管理計画とは、プロジェクトの進捗をどのように管理するかという計画である。
たとえば、プロジェクトの進捗をどのように計測するか、計測された進捗がどのような状態になったら誰が誰に報告するか、何を基準に進捗が計画に逸脱しているかと判断するかなどである。
スケジュールをマイルストーンやスケジュール差異、スケジュール効率指数などで評価するのが一般的である。
マイルストーンとは、進捗を管理するため、途中で設ける節目、中間指標である。
マイルストーンには、遅延した場合、部署をまたいで調整が必要になるような重要なイベントを設定することが多い。
そのため、マイルストーンに遅延した場合、プロジェクトの計画自体を見直す必要がある。
重要なイベントとは、たとえば、要件を凍結する日や受入テストの開始日などである。
スケジュール差異(schedule variance)とは、SVとも呼ばれ、その時点で完了した作業のスケジュールの予定と実績の差異を数値化したものである。
スケジュール差異がマイナスの場合、スケジュールに遅れが出ているため、プロジェクトが遅延する。
スケジュール効率指数(schedule performance index)とは、SPIとも呼ばれ、スケジュールの遅延や前倒しをスケジュールの予定と比較した割合である。
スケジュール効率指数が1を超えるならスケジュールが予定より進んでおり、1を下回るなら予定より遅れていることを表す。
スケジュール効率指数が1より大きくずれている場合、是正措置の対象となる。
是正措置とは、進捗が遅れているなら、作業を見直したり、要員を追加したりなどである。
また、進捗が極端に進んでいるなら、手抜きや虚偽申告がないか、検証が必要である。
どの程度のずれまでなら許容してもよいかはプロジェクトによる。
たとえば、「スケジュール効率指数が0.97を下回る場合は課題として管理する」「スケジュール効率指数が0.97以上だが、3週連続で低下している場合はリスクとして管理する」などである。
/*/
コスト管理計画とは、プロジェクトの費用をどのように管理するかという計画である。
進捗管理計画と同様に、費用の計測や報告方法を計画する。
進捗管理計画がスケジュール差異やスケジュール効率指数などで進捗を評価するのに対し、コスト管理計画はコスト差異やコスト効率指数、完了時コスト予測などで評価する。
コスト差異(cost variance)とは、CVとも呼ばれ、その時点での予測コストと実コストの差異を数値化したものである。
コスト差異がマイナスの場合、予算超過の状態にある。
コスト効率指数(cost performance index)とは、CPIとも呼ばれ、コストの実績を予定と比較した割合である。
コスト効率指数が1を超えるなら予算超過、1を下回るならコスト未消化を表す。
コスト効率指数が1なら、予定通りのコスト消化である。
スケジュール効率指数と同様に、コスト効率指数が1より大きくずれている場合、是正措置の対象となる。
完了時コスト予測(estimate at completion)とは、以降のプロジェクトが予定通りに進行した場合、プロジェクト完了時の総コスト金額のことである。
完了時コスト予測は、測定時、その時点までに完了した作業の実コストと、今後発生する残作業の予測コストを足し合わせたものである。

部品: WBS・EVM

WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクト計画やプロジェクト管理計画で使われる技法のひとつで、作業細分化構造とも呼ばれる。
WBSは、プロジェクトに必要な作業をおおまかな概要として定義する。
その後、プロジェクトの進捗に伴い、実際の作業が明確になっていくに従って、細分化していく。
たとえば、業務要件検討という概要から、現状把握と新業務検討という作業に細分化し、さらに現状把握を「現状の業務の流れの整理」「要求の整理」「システム化の範囲検討」などの作業に細分化する。
プログラムをひとつ作るなら、コーディング、コードレビュー、レビュー後修正、単体テスト、テスト後修正などの作業に細分化できる。
作業を細分化する際は、細分化された下位の作業が上位の作業に必要であり、かつ充分であることを確認しながら進める。
作業を細分化することで、作業に必要な費用や日程が明らかとなる。
また、作業担当者は作業の範囲が明確となるため、不明確な作業や抜けている作業に気づきやすくなる。
進捗は細分化したひとつひとつの作業の着手と完了で管理する。
作業の着手と完了で管理する理由は、作業が完了していない時点では、現在の進捗が何パーセント進んでいるか、客観的には分からないためである。
WBSはプロジェクトごとに毎回作り直すのではなく、プロジェクトの種類に応じて基準となるテンプレートを用意しておくと、作業が抜ける恐れを減らすことができる。
なお、作業をあまり細かく細分化すると管理が煩雑となるため、注意が必要である。
/*/
アーンド・バリュー・マネジメント(earned value management)とは、プロジェクト管理の技法のひとつで、EVMと表記されることもある。
WBSで細分化された作業に対して、作業の成果物とその価値、作業担当者、作業の必要工数、作業開始・完了の日程の予定と実績を記載して管理し、進捗や費用などの予測をすることである。
スケジュール差異やスケジュール効率指数、コスト差異、コスト効率指数、完了時コスト予測などはEVMの概念である。

部品: リスク・課題管理計画

リスク管理計画(risk management plan)とは、リスクを管理する計画である。
また、課題管理計画(problem management plan)とは、課題を管理する計画である。
リスク管理計画と課題管理計画を合わせて、リスク・課題管理計画と呼ぶ。
リスクとは、もし発生したらプロジェクトの品質・費用・納期のいずれかに影響する事象を指す。
また、課題とは、すでに発生していて、対応策しなければ確実にプロジェクトの品質・費用・納期のいずれかに影響する事象を指す。
リスク管理計画も課題管理計画も、誰がリスクや課題を調査し、対応策を立案・実行するのか、リスクや課題がプロジェクトにどの程度の影響を与えるのか、どのリスクや課題を優先的に対応するのか、対応策の進捗状況をどのように把握するのかなどが計画に含まれる。
リスクの対応策としては回避・軽減・受容・転嫁などがある。
回避とは、リスクをつぶして問題の事象が起こらないようにすることである。
たとえば、他社の特許を侵害する恐れがある場合、特許の使用許可を得ることが回避である。
また、軽減とは、問題の事象が起きても許容できる範囲まで問題を小さくすることである。
たとえば、プロジェクトの主要な要員が退職する場合、代わりの要員を割り当てることが軽減である。
受容とは、問題の事象が起き、影響を受けることを仕方がないと受け入れることである。
転嫁とは、プロジェクト外で対応してもらうことである。
たとえば、法律上の問題が発生した際、その問題を法務部門に任せ、プロジェクトで管理しない場合は転嫁に該当する。
リスクの対応策は、課題と異なり、まだ起きていない事象のため、いつ対応するかという基準を定める必要がある。
また、リスクを対応する基準を満たしているか否かを監視する時期や方法についても設定する。
リスクが発生する確率は、リスクを対応する基準に影響を与えるため、リスク管理で管理する対象である。

部品: 構成管理

構成管理(configuration management plan)とは、プロジェクトの構成要素を管理することである。
プロジェクトの構成要素とは、たとえば仕様書やソースコードといった各工程・各作業の成果物などである。
構成管理が適切におこなわれていないプロジェクトでは、更新前の古い仕様書でプログラムを作ったり、プログラムが古いバージョンに戻ったりするなどの問題が発生する恐れがある。
そのため、構成管理計画では、どのような目的で構成管理を導入するのか、構成管理にどのようなシステムやツールを使用するか、構成管理の対象となる構成要素の範囲はどこまでか、仕様書やプログラムにどのような採番規則でバージョンをつけるのか、変更・更新・修正などをおこなう際の規則や方法はどうするかなどを計画する。

部品: 労務管理

プロジェクト管理において、労務管理は重要である。
たとえば、発注元(発注者)の代表者が威圧的な態度だったため、発注先(受注者)の要員が心身を疲弊し、プロジェクトを離脱した結果、プロジェクトが失敗した場合、裁判では要員のプロジェクト離脱は発注先の労務管理上の問題として扱われる。
そのため、裁判ではプロジェクト失敗は発注先の責任として扱われる。
ゆえにプロジェクトの管理者は、プロジェクトの要員が業務を遂行する能力があるか、その心身の健康状態を把握する必要がある。
たとえば、プロジェクト要員の机がいつもより乱雑になっている場合、整理整頓ができないほど、時間・体力・精神の面で余裕がなくなっていると考えられる。
また、育児や両親の介護など、家庭環境も業務遂行に影響するため、確認する必要がある。
家庭環境の確認方法としては、職場での雑談や飲み会での会話などが考えられる。
適切な労務管理をおこなうため、プロジェクトの管理者は、いざというときに相談できるよう、プロジェクトの関係者と信頼関係を構築する必要がある。
もし、業務を遂行することが難しい場合は、要員を追加したり、担当を交代したりするなどの是正措置を講じる必要がある。
なお、プロジェクト管理者自身の心身の健康については、管理者の上司が監視し、必要に応じて是正措置を講じる。



提出書式


 大部品: プロジェクト管理計画 RD:6 評価値:4
 -部品: プロジェクト管理計画とは
 -大部品: 進捗管理計画・コスト管理計画 RD:2 評価値:2
 --部品: 進捗管理計画・コスト管理計画とは
 --部品: WBS・EVM
 -部品: リスク・課題管理計画
 -部品: 構成管理
 -部品: 労務管理
 
 
 部品: プロジェクト管理計画とは
 プロジェクト管理(project management)とは、プロジェクトを成功させるためにおこなわれる活動のことである。
 プロジェクトの管理者は、プロジェクトの全期間を通じ、常に高い作業負担がある。
 プロジェクトの序盤は、プロジェクトの構想や計画の策定に追われる。
 プロジェクト計画の実行段階に移行すると、必要な要員や資源を確保し、プロジェクトを円滑に運営するため、予算・工程・品質などを管理する。
 プロジェクトの進捗状況を把握し、必要に応じて顧客・経営陣・開発者などプロジェクトの関係者に状況を報告する。
 このようなプロジェクト管理者がプロジェクト管理に関する作業負担を軽減するため、プロジェクト管理計画書を作成することが有用である。
 プロジェクト管理計画書とは、プロジェクト管理計画を文書化したものである。
 プロジェクト管理計画(project management plan)とは、プロジェクトをどのように管理していくかを計画するものである。
 プロジェクト管理計画書を作成しない場合、プロジェクト管理計画について質問された際、逐一回答しなければならないため、プロジェクト管理者の負担が増える。
 特に利害関係者が多い大規模なプロジェクトほど、プロジェクト管理計画に対する質問が多くなるため、プロジェクト管理計画書は重要である。
 プロジェクト管理計画には、進捗管理計画、コスト管理計画、リスク管理計画、課題管理計画、構成管理計画などがある。
 プロジェクト管理計画書には、作成者や改訂者の氏名、作成日・改訂日などを記載したうえで、発注元(発注者)と発注先(受注者)からそれぞれ計画を承認した責任者の署名・捺印を得る。
 プロジェクト管理計画は、一部内容が重複する箇所もあるが、プロジェクトを成功に導くための計画であるプロジェクト計画(project plan)とは厳密には異なるものである。
 なお、プロジェクト管理計画書に記載されることはないが、労務管理もプロジェクト管理において重要である。
 
 部品: 進捗管理計画・コスト管理計画とは
 進捗管理計画とは、プロジェクトの進捗をどのように管理するかという計画である。
 たとえば、プロジェクトの進捗をどのように計測するか、計測された進捗がどのような状態になったら誰が誰に報告するか、何を基準に進捗が計画に逸脱しているかと判断するかなどである。
 スケジュールをマイルストーンやスケジュール差異、スケジュール効率指数などで評価するのが一般的である。
 マイルストーンとは、進捗を管理するため、途中で設ける節目、中間指標である。
 マイルストーンには、遅延した場合、部署をまたいで調整が必要になるような重要なイベントを設定することが多い。
 そのため、マイルストーンに遅延した場合、プロジェクトの計画自体を見直す必要がある。
 重要なイベントとは、たとえば、要件を凍結する日や受入テストの開始日などである。
 スケジュール差異(schedule variance)とは、SVとも呼ばれ、その時点で完了した作業のスケジュールの予定と実績の差異を数値化したものである。
 スケジュール差異がマイナスの場合、スケジュールに遅れが出ているため、プロジェクトが遅延する。
 スケジュール効率指数(schedule performance index)とは、SPIとも呼ばれ、スケジュールの遅延や前倒しをスケジュールの予定と比較した割合である。
 スケジュール効率指数が1を超えるならスケジュールが予定より進んでおり、1を下回るなら予定より遅れていることを表す。
 スケジュール効率指数が1より大きくずれている場合、是正措置の対象となる。
 是正措置とは、進捗が遅れているなら、作業を見直したり、要員を追加したりなどである。
 また、進捗が極端に進んでいるなら、手抜きや虚偽申告がないか、検証が必要である。
 どの程度のずれまでなら許容してもよいかはプロジェクトによる。
 たとえば、「スケジュール効率指数が0.97を下回る場合は課題として管理する」「スケジュール効率指数が0.97以上だが、3週連続で低下している場合はリスクとして管理する」などである。
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 コスト管理計画とは、プロジェクトの費用をどのように管理するかという計画である。
 進捗管理計画と同様に、費用の計測や報告方法を計画する。
 進捗管理計画がスケジュール差異やスケジュール効率指数などで進捗を評価するのに対し、コスト管理計画はコスト差異やコスト効率指数、完了時コスト予測などで評価する。
 コスト差異(cost variance)とは、CVとも呼ばれ、その時点での予測コストと実コストの差異を数値化したものである。
 コスト差異がマイナスの場合、予算超過の状態にある。
 コスト効率指数(cost performance index)とは、CPIとも呼ばれ、コストの実績を予定と比較した割合である。
 コスト効率指数が1を超えるなら予算超過、1を下回るならコスト未消化を表す。
 コスト効率指数が1なら、予定通りのコスト消化である。
 スケジュール効率指数と同様に、コスト効率指数が1より大きくずれている場合、是正措置の対象となる。
 完了時コスト予測(estimate at completion)とは、以降のプロジェクトが予定通りに進行した場合、プロジェクト完了時の総コスト金額のことである。
 完了時コスト予測は、測定時、その時点までに完了した作業の実コストと、今後発生する残作業の予測コストを足し合わせたものである。
 
 部品: WBS・EVM
 WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクト計画やプロジェクト管理計画で使われる技法のひとつで、作業細分化構造とも呼ばれる。
 WBSは、プロジェクトに必要な作業をおおまかな概要として定義する。
 その後、プロジェクトの進捗に伴い、実際の作業が明確になっていくに従って、細分化していく。
 たとえば、業務要件検討という概要から、現状把握と新業務検討という作業に細分化し、さらに現状把握を「現状の業務の流れの整理」「要求の整理」「システム化の範囲検討」などの作業に細分化する。
 プログラムをひとつ作るなら、コーディング、コードレビュー、レビュー後修正、単体テスト、テスト後修正などの作業に細分化できる。
 作業を細分化する際は、細分化された下位の作業が上位の作業に必要であり、かつ充分であることを確認しながら進める。
 作業を細分化することで、作業に必要な費用や日程が明らかとなる。
 また、作業担当者は作業の範囲が明確となるため、不明確な作業や抜けている作業に気づきやすくなる。
 進捗は細分化したひとつひとつの作業の着手と完了で管理する。
 作業の着手と完了で管理する理由は、作業が完了していない時点では、現在の進捗が何パーセント進んでいるか、客観的には分からないためである。
 WBSはプロジェクトごとに毎回作り直すのではなく、プロジェクトの種類に応じて基準となるテンプレートを用意しておくと、作業が抜ける恐れを減らすことができる。
 なお、作業をあまり細かく細分化すると管理が煩雑となるため、注意が必要である。
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 アーンド・バリュー・マネジメント(earned value management)とは、プロジェクト管理の技法のひとつで、EVMと表記されることもある。
 WBSで細分化された作業に対して、作業の成果物とその価値、作業担当者、作業の必要工数、作業開始・完了の日程の予定と実績を記載して管理し、進捗や費用などの予測をすることである。
 スケジュール差異やスケジュール効率指数、コスト差異、コスト効率指数、完了時コスト予測などはEVMの概念である。
 
 部品: リスク・課題管理計画
 リスク管理計画(risk management plan)とは、リスクを管理する計画である。
 また、課題管理計画(problem management plan)とは、課題を管理する計画である。
 リスク管理計画と課題管理計画を合わせて、リスク・課題管理計画と呼ぶ。
 リスクとは、もし発生したらプロジェクトの品質・費用・納期のいずれかに影響する事象を指す。
 また、課題とは、すでに発生していて、対応策しなければ確実にプロジェクトの品質・費用・納期のいずれかに影響する事象を指す。
 リスク管理計画も課題管理計画も、誰がリスクや課題を調査し、対応策を立案・実行するのか、リスクや課題がプロジェクトにどの程度の影響を与えるのか、どのリスクや課題を優先的に対応するのか、対応策の進捗状況をどのように把握するのかなどが計画に含まれる。
 リスクの対応策としては回避・軽減・受容・転嫁などがある。
 回避とは、リスクをつぶして問題の事象が起こらないようにすることである。
 たとえば、他社の特許を侵害する恐れがある場合、特許の使用許可を得ることが回避である。
 また、軽減とは、問題の事象が起きても許容できる範囲まで問題を小さくすることである。
 たとえば、プロジェクトの主要な要員が退職する場合、代わりの要員を割り当てることが軽減である。
 受容とは、問題の事象が起き、影響を受けることを仕方がないと受け入れることである。
 転嫁とは、プロジェクト外で対応してもらうことである。
 たとえば、法律上の問題が発生した際、その問題を法務部門に任せ、プロジェクトで管理しない場合は転嫁に該当する。
 リスクの対応策は、課題と異なり、まだ起きていない事象のため、いつ対応するかという基準を定める必要がある。
 また、リスクを対応する基準を満たしているか否かを監視する時期や方法についても設定する。
 リスクが発生する確率は、リスクを対応する基準に影響を与えるため、リスク管理で管理する対象である。
 
 部品: 構成管理
 構成管理(configuration management plan)とは、プロジェクトの構成要素を管理することである。
 プロジェクトの構成要素とは、たとえば仕様書やソースコードといった各工程・各作業の成果物などである。
 構成管理が適切におこなわれていないプロジェクトでは、更新前の古い仕様書でプログラムを作ったり、プログラムが古いバージョンに戻ったりするなどの問題が発生する恐れがある。
 そのため、構成管理計画では、どのような目的で構成管理を導入するのか、構成管理にどのようなシステムやツールを使用するか、構成管理の対象となる構成要素の範囲はどこまでか、仕様書やプログラムにどのような採番規則でバージョンをつけるのか、変更・更新・修正などをおこなう際の規則や方法はどうするかなどを計画する。
 
 部品: 労務管理
 プロジェクト管理において、労務管理は重要である。
 たとえば、発注元(発注者)の代表者が威圧的な態度だったため、発注先(受注者)の要員が心身を疲弊し、プロジェクトを離脱した結果、プロジェクトが失敗した場合、裁判では要員のプロジェクト離脱は発注先の労務管理上の問題として扱われる。
 そのため、裁判ではプロジェクト失敗は発注先の責任として扱われる。
 ゆえにプロジェクトの管理者は、プロジェクトの要員が業務を遂行する能力があるか、その心身の健康状態を把握する必要がある。
 たとえば、プロジェクト要員の机がいつもより乱雑になっている場合、整理整頓ができないほど、時間・体力・精神の面で余裕がなくなっていると考えられる。
 また、育児や両親の介護など、家庭環境も業務遂行に影響するため、確認する必要がある。
 家庭環境の確認方法としては、職場での雑談や飲み会での会話などが考えられる。
 適切な労務管理をおこなうため、プロジェクトの管理者は、いざというときに相談できるよう、プロジェクトの関係者と信頼関係を構築する必要がある。
 もし、業務を遂行することが難しい場合は、要員を追加したり、担当を交代したりするなどの是正措置を講じる必要がある。
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         "title": "リスク・課題管理計画",
         "description": "リスク管理計画(risk management plan)とは、リスクを管理する計画である。\nまた、課題管理計画(problem management plan)とは、課題を管理する計画である。\nリスク管理計画と課題管理計画を合わせて、リスク・課題管理計画と呼ぶ。\nリスクとは、もし発生したらプロジェクトの品質・費用・納期のいずれかに影響する事象を指す。\nまた、課題とは、すでに発生していて、対応策しなければ確実にプロジェクトの品質・費用・納期のいずれかに影響する事象を指す。\nリスク管理計画も課題管理計画も、誰がリスクや課題を調査し、対応策を立案・実行するのか、リスクや課題がプロジェクトにどの程度の影響を与えるのか、どのリスクや課題を優先的に対応するのか、対応策の進捗状況をどのように把握するのかなどが計画に含まれる。\nリスクの対応策としては回避・軽減・受容・転嫁などがある。\n回避とは、リスクをつぶして問題の事象が起こらないようにすることである。\nたとえば、他社の特許を侵害する恐れがある場合、特許の使用許可を得ることが回避である。\nまた、軽減とは、問題の事象が起きても許容できる範囲まで問題を小さくすることである。\nたとえば、プロジェクトの主要な要員が退職する場合、代わりの要員を割り当てることが軽減である。\n受容とは、問題の事象が起き、影響を受けることを仕方がないと受け入れることである。\n転嫁とは、プロジェクト外で対応してもらうことである。\nたとえば、法律上の問題が発生した際、その問題を法務部門に任せ、プロジェクトで管理しない場合は転嫁に該当する。\nリスクの対応策は、課題と異なり、まだ起きていない事象のため、いつ対応するかという基準を定める必要がある。\nまた、リスクを対応する基準を満たしているか否かを監視する時期や方法についても設定する。\nリスクが発生する確率は、リスクを対応する基準に影響を与えるため、リスク管理で管理する対象である。",
         "part_type": "part",
         "localID": 5
       },
       {
         "title": "構成管理",
         "description": "構成管理(configuration management plan)とは、プロジェクトの構成要素を管理することである。\nプロジェクトの構成要素とは、たとえば仕様書やソースコードといった各工程・各作業の成果物などである。\n構成管理が適切におこなわれていないプロジェクトでは、更新前の古い仕様書でプログラムを作ったり、プログラムが古いバージョンに戻ったりするなどの問題が発生する恐れがある。\nそのため、構成管理計画では、どのような目的で構成管理を導入するのか、構成管理にどのようなシステムやツールを使用するか、構成管理の対象となる構成要素の範囲はどこまでか、仕様書やプログラムにどのような採番規則でバージョンをつけるのか、変更・更新・修正などをおこなう際の規則や方法はどうするかなどを計画する。",
         "part_type": "part",
         "localID": 6
       },
       {
         "title": "労務管理",
         "description": "プロジェクト管理において、労務管理は重要である。\nたとえば、発注元(発注者)の代表者が威圧的な態度だったため、発注先(受注者)の要員が心身を疲弊し、プロジェクトを離脱した結果、プロジェクトが失敗した場合、裁判では要員のプロジェクト離脱は発注先の労務管理上の問題として扱われる。\nそのため、裁判ではプロジェクト失敗は発注先の責任として扱われる。\nゆえにプロジェクトの管理者は、プロジェクトの要員が業務を遂行する能力があるか、その心身の健康状態を把握する必要がある。\nたとえば、プロジェクト要員の机がいつもより乱雑になっている場合、整理整頓ができないほど、時間・体力・精神の面で余裕がなくなっていると考えられる。\nまた、育児や両親の介護など、家庭環境も業務遂行に影響するため、確認する必要がある。\n家庭環境の確認方法としては、職場での雑談や飲み会での会話などが考えられる。\n適切な労務管理をおこなうため、プロジェクトの管理者は、いざというときに相談できるよう、プロジェクトの関係者と信頼関係を構築する必要がある。\nもし、業務を遂行することが難しい場合は、要員を追加したり、担当を交代したりするなどの是正措置を講じる必要がある。\nなお、プロジェクト管理者自身の心身の健康については、管理者の上司が監視し、必要に応じて是正措置を講じる。",
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   }
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最終更新:2018年04月22日 14:34