部品構造
- 大部品: 死亡時画像診断 RD:7 評価値:5
- 部品: 死亡時画像診断とは
- 大部品: 死後変化 RD:3 評価値:3
- 部品: 死後変化とは
- 部品: 心臓拡大・血管径減少
- 部品: 血液就下・血液凝固
- 大部品: 蘇生術後変化 RD:3 評価値:3
- 部品: 蘇生術後変化とは
- 部品: 心・大血管の損傷
- 部品: 肋骨骨折
部品定義
部品: 死亡時画像診断とは
死亡時画像診断とは、デジタルX線テレビやCT・MRIなどのモダリティを用いて、遺体の身元確認や死因究明をおこなう制度である。
体表からの臨床所見では死因を特定することは難しいが、遺族の心情、医師不足や費用面の問題などから剖検されない遺体は多い。
そこで遺族の承諾を得て、遺体をモダリティで撮影し、その画像から死因を究明する。
遺体をモダリティで撮影して得られた画像は、死後画像と呼ばれる。
腐敗や損壊で顔や指紋などから身元を判別できない遺体も、モダリティを用いた撮影によって、亡くなった者が誰か判別できることがある。
たとえば、陳旧性の骨折の痕跡や完全埋伏歯、銀歯やボルトのような金属などのアーチファクトといった根治治療の痕跡などは亡くなった者が誰か判別する際、有力な手掛かりとなる。
なぜなら、治療痕や治癒痕は、外傷や疾病の既往歴・治療歴があることを示唆するため、生前資料の存在が期待できるからである。
体内に埋入する医療器具のうち、人工骨頭のような製造番号や型番が記載されているものは、解剖で取り出して製造番号・型番を確認し、生前の診療録と比較することで身元を確認できる。
また、心臓ペースメーカーなどの医療器具では、機械内部に電子的に記録された情報から身元が判明することもある。
歯科治療が少ない場合、歯根の形状や歯並び、顎骨内の疾患なども遺体の身元判別の手掛かりになる。
モダリティで亡くなった者が誰かまでは特定できなくても、歯の成長や骨の加齢による変化などから、亡くなった者の年齢を推定できる。
また、腐敗や焼損などで外性器・内性器の形態から性別の判断が難しい場合でも、骨の形態学的特徴から亡くなった者の性別を推定できる。
ただし、遺体の画像を診断する際、生体の臨床画像と異なり、死後変化や蘇生術後変化を病変と誤診する恐れがある。
死後変化や蘇生術後変化を病変と区別するためには、遺体の置かれた状況や心肺蘇生の有無などを確認したうえで、遺体の画像診断を専門とする者に診断してもらうことが望ましい。
そのため、撮影された画像は診断の信頼性を高める目的で、遠隔地にいる画像診断の専門家へ送信されることもある。
この専門家が客観的・中立的立場から診断・助言をおこなうことで医療事故の隠蔽を防ぐことが期待できる。
ただし、CTやMRIの撮影画像の枚数が多い場合、大容量の画像を高速で送信できる手段が必要になる。
死亡時画像診断と血液検査で、剖検をある程度代替できるが、剖検でなければわからないこともある。
たとえば、死亡時画像診断でのどに異物が詰まって窒息死したことが分かっても、その異物の具体的に何であるかを特定するためには剖検が必要である。
逆に、体内に溜まったガスの存在などは剖検では気づくことができないが、死後画像ではガスの分布や量まで確認できる。
また、全身を骨折した場合、剖検で全身を切り開いてすべての骨折を確認するのは手間がかかるが、死亡時画像診断では容易に確認できる。
そのため、理想としては死亡時画像診断と剖検の両方をおこなうことが望ましい。
この場合、死亡時画像診断で怪しい箇所のみを剖検することで、剖検の労力を減らすことができる。
また、死亡時画像診断によって、体内の病巣を同定することで、解剖前に指摘できるため、解剖時の二次感染や環境汚染を防ぐことができる。
/*/
死亡時画像診断では、剖検と同様、死体を扱うため、病気を感染する恐れがある。
そのため、施設によっては患者や医療従事者の感染を防ぐ目的で、死体専用のモダリティを用意する場合もある。
死体専用のモダリティがある場合もない場合も衛生面に配慮し、モダリティの消毒・殺菌などをおこなう。
また、遺体をモダリティまで運ぶ際は、他の患者の心理的影響に配慮し、生きた患者を運んでいるように思わせるため、遺体に話しかけることもある。
X線撮影やCTでは、知類の身体に悪影響を及ぼす恐れのある放射線を浴びせるが、死亡時画像診断は死体解剖と同様に、死体損壊罪には該当しない。
そのため、遺体に対するCTでは、ヘリカルスキャンより走査時間が長く、浴びる放射線量が多いが、鮮明な画像を得られるノンヘリカルスキャンを用いることが多い。
/*/
死亡時画像診断は、Autopsy imagingを略してAiとも呼ばれる。
なお、人工知能(Artificial Intelligence)や人工授精(Artificial Insemination)、鳥インフルエンザ(Avian Influenza)などもAIと略すため、それらと区別できるよう、死亡時画像診断はiを小文字にしてAiと表記する。
部品: 死後変化とは
死後変化とは、個体の死亡直後から始まる動物の物理的・化学的・生物学的変化の総称で、死体現象とも呼ばれる。
死体現象は早期死体現象や後期死体現象などに分けられる。
/*/
早期死体現象とは、死亡直後から生じる死体現象のことである。
具体的には、瞳孔散大、対光・角膜反射消失、眼圧低下、筋弛緩、腱反射消失、体温低下、乾燥、角膜混濁、死斑・血液就下、死後硬直などが早期死体現象である。
/*/
後期死体現象とは、死後数日で現れる死体現象のことで、晩期死後変化とも呼ばれる。
具体的には、自己融解、腐敗、白骨化などが後期死体現象である。
/*/
死後変化は、遺体の置かれた状況に左右される。
たとえば、腐敗が進行しないような特殊な環境に遺体が置かれた場合、ミイラ化・死蝋化・石胎などの特殊な死後変化が現れる。
ミイラとは、細菌が繁殖しないほど乾燥した遺体のことである。
死蝋とは、水中や水分に富む土中に置かれ、空気が遮断されることで遺体が蝋状に変化したもののことである。
石胎とは、母親の体内で石灰化した胎児のことである。
/*/
死後変化は、時間の経過で変化していくため、死亡時画像診断において、撮影時の死後経過時間は重要な要素である。
死亡直後と解剖直前に撮影した死後画像を比較した報告では、後から撮影したほうで死後変化が増強、あるいは消失しているものがあった。
死亡直後に撮影した死後画像は、死後変化の影響が少ないため、死因や死に至る経過の判断に適していると考えられる。
解剖直前に撮影した死後画像は、解剖によって消失する所見を客観的な記録として残すことができ、また環境汚染や二次感染など解剖時の安全性に関する情報が得られるため、有用である。
部品: 心臓拡大・血管径減少
死亡時画像診断では、死後変化として、心臓の拡大傾向が確認される。
特に上大静脈から右心房にかけて拡張が確認される。
/*/
死亡時画像診断では、死後変化として、大動脈の血管径の減少が確認される。
また、収縮によって肥厚した血管壁が確認される。
部品: 血液就下・血液凝固
血液就下とは、心拍動が停止し、循環が止まることにより、重力によって赤血球が血管内に沈降する現象である。
体表面からは、死斑として観察できる。
血液就下は、急死の場合に明瞭な傾向があり、死後CTにおいては心臓・大血管・脳・肺において明瞭に確認される。
/*/
死後変化において、血液凝固とは、暗赤色の柔らかいゼラチン様の凝固塊で、長い死戦期や慢性疾患死の遺体から確認される。
死戦期とは、死に至る直前の、体の種々の機能が失調をきたした状態のことである。
中毒・焼死・窒息などの急性死でも血液凝固が確認されるが、悪性腫瘍や慢性炎症の場合とは血液凝固の組成が異なる。
部品: 蘇生術後変化とは
蘇生術後変化とは、心臓マッサージによる肋骨の骨折や、バッグバルブマスクの換気による消化管の拡張など、心肺蘇生をおこなったことによる変化の総称である。
/*/
なお、換気による消化管の拡張は、蘇生術後変化に限定されず、換気死後CTでも発生する。
換気死後CTとは、気管内挿管チューブや経口・経鼻エアウェイなどを介し、人工呼吸器を用いることで、生前の吸気状態に近い環境下で死後CTを撮影するものである。
肺炎などの病的変化の有無を評価する際、換気死後CTによって、死後変化の影響を軽減し、評価を容易にできると報告されている。
部品: 心・大血管の損傷
蘇生術後変化において、胸骨圧迫を施行したことによる心臓や大血管の損傷が確認される。
具体的には、大動脈裂傷・心嚢内血腫・心外膜血腫・心筋挫傷などである。
心嚢は強固な構成となっているが、心嚢内血腫がある状態で胸骨圧迫をおこなった場合、心嚢が破裂し、胸腔内血腫が形成される場合がある。
部品: 肋骨骨折
蘇生術後変化において、胸骨圧迫による肋骨骨折は成年に多く確認され、小児では少ない。
人知類の場合、胸骨圧迫で折れる肋骨は第二~七肋骨が多い。
正確な胸骨圧迫の場合、肋骨の背側には負荷がかからないため、骨折する場合、前胸部・側胸部の肋骨である。
また、胸骨圧迫による肋骨骨折は皮膚側に生じず、肺側にのみ生じるという特徴的な所見がある。
提出書式
大部品: 死亡時画像診断 RD:7 評価値:5
-部品: 死亡時画像診断とは
-大部品: 死後変化 RD:3 評価値:3
--部品: 死後変化とは
--部品: 心臓拡大・血管径減少
--部品: 血液就下・血液凝固
-大部品: 蘇生術後変化 RD:3 評価値:3
--部品: 蘇生術後変化とは
--部品: 心・大血管の損傷
--部品: 肋骨骨折
部品: 死亡時画像診断とは
死亡時画像診断とは、デジタルX線テレビやCT・MRIなどのモダリティを用いて、遺体の身元確認や死因究明をおこなう制度である。
体表からの臨床所見では死因を特定することは難しいが、遺族の心情、医師不足や費用面の問題などから剖検されない遺体は多い。
そこで遺族の承諾を得て、遺体をモダリティで撮影し、その画像から死因を究明する。
遺体をモダリティで撮影して得られた画像は、死後画像と呼ばれる。
腐敗や損壊で顔や指紋などから身元を判別できない遺体も、モダリティを用いた撮影によって、亡くなった者が誰か判別できることがある。
たとえば、陳旧性の骨折の痕跡や完全埋伏歯、銀歯やボルトのような金属などのアーチファクトといった根治治療の痕跡などは亡くなった者が誰か判別する際、有力な手掛かりとなる。
なぜなら、治療痕や治癒痕は、外傷や疾病の既往歴・治療歴があることを示唆するため、生前資料の存在が期待できるからである。
体内に埋入する医療器具のうち、人工骨頭のような製造番号や型番が記載されているものは、解剖で取り出して製造番号・型番を確認し、生前の診療録と比較することで身元を確認できる。
また、心臓ペースメーカーなどの医療器具では、機械内部に電子的に記録された情報から身元が判明することもある。
歯科治療が少ない場合、歯根の形状や歯並び、顎骨内の疾患なども遺体の身元判別の手掛かりになる。
モダリティで亡くなった者が誰かまでは特定できなくても、歯の成長や骨の加齢による変化などから、亡くなった者の年齢を推定できる。
また、腐敗や焼損などで外性器・内性器の形態から性別の判断が難しい場合でも、骨の形態学的特徴から亡くなった者の性別を推定できる。
ただし、遺体の画像を診断する際、生体の臨床画像と異なり、死後変化や蘇生術後変化を病変と誤診する恐れがある。
死後変化や蘇生術後変化を病変と区別するためには、遺体の置かれた状況や心肺蘇生の有無などを確認したうえで、遺体の画像診断を専門とする者に診断してもらうことが望ましい。
そのため、撮影された画像は診断の信頼性を高める目的で、遠隔地にいる画像診断の専門家へ送信されることもある。
この専門家が客観的・中立的立場から診断・助言をおこなうことで医療事故の隠蔽を防ぐことが期待できる。
ただし、CTやMRIの撮影画像の枚数が多い場合、大容量の画像を高速で送信できる手段が必要になる。
死亡時画像診断と血液検査で、剖検をある程度代替できるが、剖検でなければわからないこともある。
たとえば、死亡時画像診断でのどに異物が詰まって窒息死したことが分かっても、その異物の具体的に何であるかを特定するためには剖検が必要である。
逆に、体内に溜まったガスの存在などは剖検では気づくことができないが、死後画像ではガスの分布や量まで確認できる。
また、全身を骨折した場合、剖検で全身を切り開いてすべての骨折を確認するのは手間がかかるが、死亡時画像診断では容易に確認できる。
そのため、理想としては死亡時画像診断と剖検の両方をおこなうことが望ましい。
この場合、死亡時画像診断で怪しい箇所のみを剖検することで、剖検の労力を減らすことができる。
また、死亡時画像診断によって、体内の病巣を同定することで、解剖前に指摘できるため、解剖時の二次感染や環境汚染を防ぐことができる。
/*/
死亡時画像診断では、剖検と同様、死体を扱うため、病気を感染する恐れがある。
そのため、施設によっては患者や医療従事者の感染を防ぐ目的で、死体専用のモダリティを用意する場合もある。
死体専用のモダリティがある場合もない場合も衛生面に配慮し、モダリティの消毒・殺菌などをおこなう。
また、遺体をモダリティまで運ぶ際は、他の患者の心理的影響に配慮し、生きた患者を運んでいるように思わせるため、遺体に話しかけることもある。
X線撮影やCTでは、知類の身体に悪影響を及ぼす恐れのある放射線を浴びせるが、死亡時画像診断は死体解剖と同様に、死体損壊罪には該当しない。
そのため、遺体に対するCTでは、ヘリカルスキャンより走査時間が長く、浴びる放射線量が多いが、鮮明な画像を得られるノンヘリカルスキャンを用いることが多い。
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死亡時画像診断は、Autopsy imagingを略してAiとも呼ばれる。
なお、人工知能(Artificial Intelligence)や人工授精(Artificial Insemination)、鳥インフルエンザ(Avian Influenza)などもAIと略すため、それらと区別できるよう、死亡時画像診断はiを小文字にしてAiと表記する。
部品: 死後変化とは
死後変化とは、個体の死亡直後から始まる動物の物理的・化学的・生物学的変化の総称で、死体現象とも呼ばれる。
死体現象は早期死体現象や後期死体現象などに分けられる。
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早期死体現象とは、死亡直後から生じる死体現象のことである。
具体的には、瞳孔散大、対光・角膜反射消失、眼圧低下、筋弛緩、腱反射消失、体温低下、乾燥、角膜混濁、死斑・血液就下、死後硬直などが早期死体現象である。
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後期死体現象とは、死後数日で現れる死体現象のことで、晩期死後変化とも呼ばれる。
具体的には、自己融解、腐敗、白骨化などが後期死体現象である。
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死後変化は、遺体の置かれた状況に左右される。
たとえば、腐敗が進行しないような特殊な環境に遺体が置かれた場合、ミイラ化・死蝋化・石胎などの特殊な死後変化が現れる。
ミイラとは、細菌が繁殖しないほど乾燥した遺体のことである。
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石胎とは、母親の体内で石灰化した胎児のことである。
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死後変化は、時間の経過で変化していくため、死亡時画像診断において、撮影時の死後経過時間は重要な要素である。
死亡直後と解剖直前に撮影した死後画像を比較した報告では、後から撮影したほうで死後変化が増強、あるいは消失しているものがあった。
死亡直後に撮影した死後画像は、死後変化の影響が少ないため、死因や死に至る経過の判断に適していると考えられる。
解剖直前に撮影した死後画像は、解剖によって消失する所見を客観的な記録として残すことができ、また環境汚染や二次感染など解剖時の安全性に関する情報が得られるため、有用である。
部品: 心臓拡大・血管径減少
死亡時画像診断では、死後変化として、心臓の拡大傾向が確認される。
特に上大静脈から右心房にかけて拡張が確認される。
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また、収縮によって肥厚した血管壁が確認される。
部品: 血液就下・血液凝固
血液就下とは、心拍動が停止し、循環が止まることにより、重力によって赤血球が血管内に沈降する現象である。
体表面からは、死斑として観察できる。
血液就下は、急死の場合に明瞭な傾向があり、死後CTにおいては心臓・大血管・脳・肺において明瞭に確認される。
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死後変化において、血液凝固とは、暗赤色の柔らかいゼラチン様の凝固塊で、長い死戦期や慢性疾患死の遺体から確認される。
死戦期とは、死に至る直前の、体の種々の機能が失調をきたした状態のことである。
中毒・焼死・窒息などの急性死でも血液凝固が確認されるが、悪性腫瘍や慢性炎症の場合とは血液凝固の組成が異なる。
部品: 蘇生術後変化とは
蘇生術後変化とは、心臓マッサージによる肋骨の骨折や、バッグバルブマスクの換気による消化管の拡張など、心肺蘇生をおこなったことによる変化の総称である。
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なお、換気による消化管の拡張は、蘇生術後変化に限定されず、換気死後CTでも発生する。
換気死後CTとは、気管内挿管チューブや経口・経鼻エアウェイなどを介し、人工呼吸器を用いることで、生前の吸気状態に近い環境下で死後CTを撮影するものである。
肺炎などの病的変化の有無を評価する際、換気死後CTによって、死後変化の影響を軽減し、評価を容易にできると報告されている。
部品: 心・大血管の損傷
蘇生術後変化において、胸骨圧迫を施行したことによる心臓や大血管の損傷が確認される。
具体的には、大動脈裂傷・心嚢内血腫・心外膜血腫・心筋挫傷などである。
心嚢は強固な構成となっているが、心嚢内血腫がある状態で胸骨圧迫をおこなった場合、心嚢が破裂し、胸腔内血腫が形成される場合がある。
部品: 肋骨骨折
蘇生術後変化において、胸骨圧迫による肋骨骨折は成年に多く確認され、小児では少ない。
人知類の場合、胸骨圧迫で折れる肋骨は第二~七肋骨が多い。
正確な胸骨圧迫の場合、肋骨の背側には負荷がかからないため、骨折する場合、前胸部・側胸部の肋骨である。
また、胸骨圧迫による肋骨骨折は皮膚側に生じず、肺側にのみ生じるという特徴的な所見がある。
インポート用定義データ
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最終更新:2021年06月04日 20:30