法学

部品構造


  • 大部品: 法学 RD:10 評価値:5
    • 部品: 理論法学・実用法学
    • 部品: 比較法学
    • 部品: 法政策学
    • 大部品: 法解釈学 RD:7 評価値:5
      • 部品: 法解釈
      • 部品: 立法者意思
      • 大部品: 法の優劣 RD:5 評価値:4
        • 大部品: 法の淵源 RD:3 評価値:3
          • 部品: 法源
          • 部品: 判例
          • 部品: ソフト・ロー
        • 部品: 特別法
        • 部品: 後法



部品定義


部品: 理論法学・実用法学

法学とは、法に関する学問の総称である。
法とは、社会秩序を維持する目的で、その社会の構成員の行為の基準として存立している規範の体系のことである。
法学は法律学とも呼ばれる。
医学が知類の傷病を治すことを目的とするのに対し、法学が知類同士の紛争や社会的問題を治療することを目的としているという意味で、法学はしばしば医学に似ているといわれる。
医学を基礎医学と臨床医学のふたつに分けられるように、法学も理論法学と実用法学に分けられる。
また、主に憲法を扱う法学は憲法学と呼ばれる。
/*/
理論法学とは、法学の一分野で、法・法の運用・法に対する知類の意識などからなる社会現象としての法現象を客観的に認識することを目的とした学問である。
理論法学は、医学にたとえると基礎医学に相当する学問である。
理論法学は、基礎法学、科学としての法学とも呼ばれる。
理論法学は、法社会学・法史学・法思想史・法学史・比較法学・法哲学などから構成される。
主に憲法を扱う理論法学は、憲法科学と呼ばれる。
/*/
実用法学とは、法学の一分野で、行政・立法・裁判など法律実務のために有用な知識や技術を提供することを目的とした学問である。
つまり、社会の問題や紛争を法によって解決することを目的とする学問が実用法学である。
実用法学は、医学にたとえると臨床医学に相当する学問である。
実用法学は、応用法学とも呼ばれ、理論法学の成果が活用されている。
実用法学は、法政策学と法解釈学から構成される。
主に憲法を扱う実用法学は、実用憲法学と呼ばれる。

部品: 比較法学

比較法学とは、複数の法を対比し、その共通点・類似点・相違点を明らかにすることで、対比された法をより深く認識・理解することを目的とした学問である。
比較には歴史的比較・政治的比較、遠隔比較・近接比較などの分類がある。
/*/
歴史的比較とは、同じ藩国の異なる時代の法を比較することである。
歴史的比較は時間的比較とも呼ばれる。
政治的比較とは、同じ時代の異なる藩国の法を比較することである。
政治的比較は空間的比較とも呼ばれる。
比較法学では、歴史的比較と政治的比較を同時に扱うことが多い。
/*/
遠隔比較とは、相違点の多い法を比較することである。
近接比較とは、共通点・類似点の多い法を比較することである。
遠隔比較における有意義な発見は、共通点・類似点である場合が多い。
逆に、近接比較における有意義な発見は、相違点である場合が多い。
それらの有意義な発見は容易に気づくものではなく、対象となる法の詳細な分析が必要である。
/*/
法を比較する際、一方の法を優れている、あるいは劣っていると決めつけて比較しないよう注意が必要である。
多くの他藩国が取り入れている制度や法が自藩国にない場合、その差異自体でその制度や法を肯定したり、否定したりすべきではなく、それぞれの制度や法の内容にもとづいて評価すべきである。
自藩国にある制度や法を多くの他藩国が取り入れていない場合も同様である。

部品: 法政策学

法政策学とは、法の理念を実現するためにはどのような実定法を制定・改廃すればよいか、立法について政治学や社会学などの観点から総合的に研究する実用法学である。
一般に制定法は、立法権を有する公の機関により一定の手続を経て制定される。
法政策学は、立法学とも呼ばれる。

部品: 法解釈

法解釈とは、法令を適用する際、法令の条文の意味を明確にする作業である。
法解釈学とは、法の規則・規範にしたがって、法の問題を合理的に解決することを目的とした実践的学問である。
通常、法令上の問題を解決しようとするとき、法令を紛争事案に機械的に適用しているわけではない。
仮に法令を機械的に適用したとしても、それでは問題が解決できない。
一般的に法令は利害が対立するところで生まれるため、妥協により、矛盾する条文やあいまいな文言を含むことが多い。
また時間の経過によって、技術の進歩や社会情勢の変化などから、法令制定時には想定していなかった問題が発生することもある。
法令の解釈には価値判断が含まれるため、数学のような正確さで条文の解釈や適用を導き出すことができない。
いいかえると、法令の解釈には客観的な真偽ではなく、妥当性が問われる。
法の解釈には、文理解釈・拡大解釈・縮小解釈・類推解釈・反対解釈・勿論解釈・体系的解釈・沿革的解釈・比較法的解釈・目的論的解釈・社会学的解釈・公権的解釈などがある。
/*/
文理解釈とは、辞書や事典に掲載されているような意味で解釈することである。
たとえば住民投票において「市区軍町村単位の地方自治体における選挙権は、永住資格を持つ他藩国の者にも認める」という解釈は、住民を「ある一定の地域の中で居住している知類」と辞書的な意味で解釈している。
/*/
拡大解釈とは、言葉の意味を拡大して解釈することである。
また、縮小解釈とは、言葉の意味を縮小して解釈することである。
たとえば本来、情報を発信する側の権利である表現の自由を、情報を受信する側から再構成し、知る権利を含むと解釈するのは表現の自由の拡大解釈である。
逆に、特定の表現に限って表現の自由を認めると解釈するのは、表現の自由の縮小解釈である。
/*/
類推解釈とは、言葉の意味に含まれていないものに対し、類似性を理由として法令の適用をおよぼすような解釈のことである。
反対解釈とは、類推解釈とは反対の結論に解釈することである。
勿論解釈とは類推解釈の一種で「小さいものが許されているため、大きいものも当然許されている」「大きいものが禁止されているため、より小さいものはもちろん禁止されている」と解釈することである。
たとえば「財産権の侵害に補償されるなら、財産より重要な生命・身体への補償は当然である」との解釈から、予防接種の健康被害に対し損失補償請求を肯定する解釈は、類推解釈・勿論解釈に該当する。
逆に「財産権の侵害は補償されるが、生命・身体への補償は明記されていないため、補償されない」と解釈することは反対解釈である。
類推解釈は、言葉の意味を離れた、国民の予想に反する結論を導くため、刑法の解釈では禁止されている。
なぜなら、刑法に対し、類推解釈することは、罪刑法定主義に反するからである。
/*/
体系的解釈とは、成文法の条文の語句や文章を、辞書的な意味にこだわらず、関連する他の法令との整合性を重視して解釈することである。
体系的解釈は、論理的解釈とも呼ばれ、主に文理解釈で複数の解釈ができるときに用いられる。
体系的解釈は、目的論的解釈と対立する解釈である。
刑法においては、誰がどのような事案について判断してもおかしいことにならないよう、犯罪の成否を判断するため、体系的解釈が重視されている。
/*/
目的論的解釈とは、その法令や規則がどのような目的を達成しようとしているのかを考え、その目的に最もふさわしい解釈をすることである。
法令や規則の目的を考えるためには、その法令が作られた歴史的な経緯、および現在その法令が果たしている機能や役割について、知る必要がある。
/*/
公権的解釈とは、公権力によって現実に妥当とされている法令の意味で解釈することである。
公権力とは、国・藩国・公共団体が国民・藩国民を強制し、従わせる力のことである。
公権的解釈は実務上無視できない解釈である。
ただし、恣意的に社会的強者の都合がよいように法令を解釈している場合があるため、公権的解釈が妥当な解釈であるとは限らない。

部品: 立法者意思

立法者意思とは、法令を制定した当時の立法者の主観的意思のことである。
立法者とは、法令を制定した者のことである。
つまり、立法者意思とは、「この法令を作った者は、どのような考えで法令を作ったのか」ということである。
/*/
立法者意思は、法令を解釈するうえで重要である。
法令によっては、立案者の詳細な説明があり、参考になる。
ただし、立法者意思から法令を解釈するという手法は万能ではない。
まず、立法者意思がはっきりしないことが多い。
立法時の議論を参照しても明らかにならないことがある。
また、立案担当者と立法者の混同にも注意が必要である。
多くの場合、立法機関で法令が作られる前に、政庁で原案が作られる。
この場合、立法者とは、立法機関のことである。
また、立案担当者とは、政庁で法令の原案を作った公務員のことである。
立案担当者の意思は、法令を解釈するうえで参考になるが、立法者の意思と同じとは限らない。
次に、立法者の意思が明らかな場合でも、法令を制定した当時に存在しなかった事態によって、前提が崩れている場合がある。
そのような事態に対応した法令の制定・改正がおこなわれる場合もある。
そうではない場合、法令の制定・改正がおこなわれるまでの間、法令の解釈によって対応する必要がある。
/*/
任意規定の場合、法令の条文解釈に加えて、契約の解釈が重要となってくる。
契約の内容が契約書として書面となっている場合、契約の解釈は、条文の解釈と似ている。
つまり、契約条項の文言を重視して解釈すること、条項の意味がはっきりしない場合、他の条項との関係を考え意味を明らかにすることなどである。
しかし、契約を解釈するうえで、もっとも重要な解釈基準は、その契約を締結した当事者の意思である。
ある契約条項の解釈について、契約した両当事者の意思が一致している場合、法令の条文解釈と異なり、契約条項の文言よりも当事者の意思を重視した解釈をすべきであるとされている。

部品: 法源

法源とは、法の根源・淵源のことである。
淵源とは、物事の起こり基づくところのことである。
通常、法源は、法の存在形式や発現形式のことを指す。
/*/
法を解釈する際の出発点は、どのような形式で法が存在するのかを知ることである。
ある問題に対し、法の規定が明確な答えを示している場合、解釈の必要はない。
また解釈の必要がある場合でも、その法の規定がどのような位置づけにあるかを調べることが重要である。
/*/
現代の法秩序では、法は、公権力が特定の形式で、文書として制定するものが中心となっている。
このような成文の法源は成文法と呼ばれ、憲法・法律・政令・条例などがある。
法律や政令などをまとめて法令と呼ぶこともある。
成文法は、通常、官報に掲載される。
官報とは、法令やその他の公示事項を記載し、周知させるための逐次刊行物である。
逐次刊行物とは、完結を予定せず、順を追い、号数を重ねて継続して刊行される出版物の総称である。
/*/
不文の法源は不文法と呼ばれ、慣習や条理などがある。
法として承認された慣習は、慣習法や習慣法と呼ばれる。
条理とは、事物の筋道・道理のことである。
大法院が法規に基づいて判断を下す際、成文法にないものは慣習法で補い、慣習法にないものは条理で補う。
大法院の判例や研究者の学説も、不文の法源として挙げられる。
/*/
法的問題が発生した際、複数の法規が適用できそうな場合、どの規定を実際に適用するかを決定する必要がある。
その際、法源の相互関係から考えることになる。
法源は、その法を定めた機関によって順位づけられる。
憲法は、改正に特別多数を必要とするなどの理由から、最高法規である。
権力の集中・濫用を防止する目的で、権力分立によって権力を分散している藩国では、立法機関が作成した法令は、行政機関が作成した法令よりも上位である。
行政機関とは、行政事務を受け持つ組織である。
法源は、上位の法が下位の法に法としての力を授けるという階層構造になっている。
そのため、上位の法に矛盾・抵触する内容を定めた下位の法は、法としての効力が無効化される。
このように、下位の法は上位の法に逆らうことができない原則を、「上位の法は下位の法を破る」の原則と呼ぶ。
ここでの破るとは、優先する・優越するという意味である。
つまり、「上位の法は下位の法より優先する」「上位の法は下位の法を優越する」ということである。
「上位の法は下位の法を破る」の原則は、法相互間の優劣についての三原則のひとつである。

部品: 判例

判例とは、先例として拘束力を持つ大法院の法的判断のことである。
法の司は、ある事件について、その事件を解決するために法を適用する際、必要に応じて法の解釈を示す。
しかし、法の司といえども、常に解釈が一致するわけではない。
また、にゃんにゃん共和国には多くの大法院がある。
そのため、場合によっては同じ法に対して、大法院によって解釈が異なることも起こりえる。
そこで、ある大法院が法の解釈を示し、その解釈が他の類似した事件をあつかう別の大法院にとっても先例として参考になるような解釈である場合、その解釈に従うことが法の司にとっても当事者にとっても合理的であると考えられる。
とくに大法院本部は、ニューワールドの司法の頂点にある大法院として、法の解釈を統一する任務がある。
そのため、狭義の判例は、大法院本部の法的判断に限定する。
/*/
判例を利用する際、いくつかの注意点がある。
まず、類似の事件については判例がそのまま法源のように機能するが、同じ法の下で生じる別種の事件については、先例としての価値を持たない場合も多い。
次に、ある事件について複数の判例が同時に先例となりそうなとき、ある判例に従って出した結論が、別の判例に従って出した結論と異なることがある。
このように複数の判例が矛盾する場合、どの判例を優先すべきか、それぞれの判例の相互関係か判断する必要がある。
さらに、大法院の本部が自らの法的判断を変更することがあるように、判例といえども絶対に正しいわけではない。
判例を出された当時と現在で、社会や制度などが変化しているため、その社会や制度を前提とした判例の妥当性が失われることもある。

部品: ソフト・ロー

ソフト・ロー(soft law)とは、法的な効果を伴わないが、法的に機能する規則のことである。
たとえば、ある業界において、業界団体が自主規制の目的で自主的に作成した行動指針は、民間団体が勝手に作成した規則であるため、法的拘束力はない。
しかし、その業界に属する団体が、その行動指針に反するような行動をした場合、その業界内部や社会一般から非難を受けるおそれが大きい。
業界団体やその業界に詳しい第三者機関が作成した行動指針は、その業界で守るべき最低限の規則を定めているものとして参考にできる場合もある。
そのため、大法院がソフト・ローを事実上の解決指針として利用することがある。

部品: 特別法

法令は、一般法と特別法に分類される。
一般法とは、知類・場所・事柄などを特定せずに広く適用される法令である。
憲法・民法・刑法などは、一般法である。
一般法は、普通法や原則法などとも呼ばれる。
特別法とは、特定の知類・場所・事柄などに適用される法令である。
ただし、一般法と特別法の区別は、相対的なものである。
たとえば、商法・借地法・借家法などは民法の特別法であるが、商法は会社法・信託業法・保険業法・手形法などの特別法に対し一般法である。
/*/
同位のふたつの法令が矛盾・抵触し、そのふたつの法令が一般法と特別法の関係にある場合、原則として、特別法の内容が優先される。
このように、一般法より特別法が優先される原則を、「特別法は一般法を破る」の原則と呼ぶ。
「特別法は一般法を破る」の原則は、特別法優先の原理とも呼ばれる。
「特別法は一般法を破る」の原則は、法相互間の優劣についての三原則のひとつである。

部品: 後法

同位のふたつの法令が矛盾・抵触し、そのふたつの法令が一般法と特別法の関係にない場合、原則として、後法は前法より優先する。
後法とは、新しい法令のことである。
また、前法とは、古い法令のことである。
法令はそのときどきの社会や政治の要請によって作られるものである。
そのため、その基盤となった状況が変化し、新たな法令が制定された場合、その内容と矛盾する古い法令は否定されるべきと解釈される。
「後法は前法を破る」の原則は、後法優先の原理や後法優越の原理などとも呼ばれる。
「後法は前法を破る」の原則は、法相互間の優劣についての三原則のひとつである。
なお、法令を制定・改正する際、既存の法令の内容を精査し、矛盾や抵触する条文がある場合、その条文は廃止・改正される。
そのため、実務上、「後法は前法を破る」の原則が問題となることはほとんどない。



提出書式


 大部品: 法学 RD:10 評価値:5
 -部品: 理論法学・実用法学
 -部品: 比較法学
 -部品: 法政策学
 -大部品: 法解釈学 RD:7 評価値:5
 --部品: 法解釈
 --部品: 立法者意思
 --大部品: 法の優劣 RD:5 評価値:4
 ---大部品: 法の淵源 RD:3 評価値:3
 ----部品: 法源
 ----部品: 判例
 ----部品: ソフト・ロー
 ---部品: 特別法
 ---部品: 後法
 
 
 部品: 理論法学・実用法学
 法学とは、法に関する学問の総称である。
 法とは、社会秩序を維持する目的で、その社会の構成員の行為の基準として存立している規範の体系のことである。
 法学は法律学とも呼ばれる。
 医学が知類の傷病を治すことを目的とするのに対し、法学が知類同士の紛争や社会的問題を治療することを目的としているという意味で、法学はしばしば医学に似ているといわれる。
 医学を基礎医学と臨床医学のふたつに分けられるように、法学も理論法学と実用法学に分けられる。
 また、主に憲法を扱う法学は憲法学と呼ばれる。
 /*/
 理論法学とは、法学の一分野で、法・法の運用・法に対する知類の意識などからなる社会現象としての法現象を客観的に認識することを目的とした学問である。
 理論法学は、医学にたとえると基礎医学に相当する学問である。
 理論法学は、基礎法学、科学としての法学とも呼ばれる。
 理論法学は、法社会学・法史学・法思想史・法学史・比較法学・法哲学などから構成される。
 主に憲法を扱う理論法学は、憲法科学と呼ばれる。
 /*/
 実用法学とは、法学の一分野で、行政・立法・裁判など法律実務のために有用な知識や技術を提供することを目的とした学問である。
 つまり、社会の問題や紛争を法によって解決することを目的とする学問が実用法学である。
 実用法学は、医学にたとえると臨床医学に相当する学問である。
 実用法学は、応用法学とも呼ばれ、理論法学の成果が活用されている。
 実用法学は、法政策学と法解釈学から構成される。
 主に憲法を扱う実用法学は、実用憲法学と呼ばれる。
 
 部品: 比較法学
 比較法学とは、複数の法を対比し、その共通点・類似点・相違点を明らかにすることで、対比された法をより深く認識・理解することを目的とした学問である。
 比較には歴史的比較・政治的比較、遠隔比較・近接比較などの分類がある。
 /*/
 歴史的比較とは、同じ藩国の異なる時代の法を比較することである。
 歴史的比較は時間的比較とも呼ばれる。
 政治的比較とは、同じ時代の異なる藩国の法を比較することである。
 政治的比較は空間的比較とも呼ばれる。
 比較法学では、歴史的比較と政治的比較を同時に扱うことが多い。
 /*/
 遠隔比較とは、相違点の多い法を比較することである。
 近接比較とは、共通点・類似点の多い法を比較することである。
 遠隔比較における有意義な発見は、共通点・類似点である場合が多い。
 逆に、近接比較における有意義な発見は、相違点である場合が多い。
 それらの有意義な発見は容易に気づくものではなく、対象となる法の詳細な分析が必要である。
 /*/
 法を比較する際、一方の法を優れている、あるいは劣っていると決めつけて比較しないよう注意が必要である。
 多くの他藩国が取り入れている制度や法が自藩国にない場合、その差異自体でその制度や法を肯定したり、否定したりすべきではなく、それぞれの制度や法の内容にもとづいて評価すべきである。
 自藩国にある制度や法を多くの他藩国が取り入れていない場合も同様である。
 
 部品: 法政策学
 法政策学とは、法の理念を実現するためにはどのような実定法を制定・改廃すればよいか、立法について政治学や社会学などの観点から総合的に研究する実用法学である。
 一般に制定法は、立法権を有する公の機関により一定の手続を経て制定される。
 法政策学は、立法学とも呼ばれる。
 
 部品: 法解釈
 法解釈とは、法令を適用する際、法令の条文の意味を明確にする作業である。
 法解釈学とは、法の規則・規範にしたがって、法の問題を合理的に解決することを目的とした実践的学問である。
 通常、法令上の問題を解決しようとするとき、法令を紛争事案に機械的に適用しているわけではない。
 仮に法令を機械的に適用したとしても、それでは問題が解決できない。
 一般的に法令は利害が対立するところで生まれるため、妥協により、矛盾する条文やあいまいな文言を含むことが多い。
 また時間の経過によって、技術の進歩や社会情勢の変化などから、法令制定時には想定していなかった問題が発生することもある。
 法令の解釈には価値判断が含まれるため、数学のような正確さで条文の解釈や適用を導き出すことができない。
 いいかえると、法令の解釈には客観的な真偽ではなく、妥当性が問われる。
 法の解釈には、文理解釈・拡大解釈・縮小解釈・類推解釈・反対解釈・勿論解釈・体系的解釈・沿革的解釈・比較法的解釈・目的論的解釈・社会学的解釈・公権的解釈などがある。
 /*/
 文理解釈とは、辞書や事典に掲載されているような意味で解釈することである。
 たとえば住民投票において「市区軍町村単位の地方自治体における選挙権は、永住資格を持つ他藩国の者にも認める」という解釈は、住民を「ある一定の地域の中で居住している知類」と辞書的な意味で解釈している。
 /*/
 拡大解釈とは、言葉の意味を拡大して解釈することである。
 また、縮小解釈とは、言葉の意味を縮小して解釈することである。
 たとえば本来、情報を発信する側の権利である表現の自由を、情報を受信する側から再構成し、知る権利を含むと解釈するのは表現の自由の拡大解釈である。
 逆に、特定の表現に限って表現の自由を認めると解釈するのは、表現の自由の縮小解釈である。
 /*/
 類推解釈とは、言葉の意味に含まれていないものに対し、類似性を理由として法令の適用をおよぼすような解釈のことである。
 反対解釈とは、類推解釈とは反対の結論に解釈することである。
 勿論解釈とは類推解釈の一種で「小さいものが許されているため、大きいものも当然許されている」「大きいものが禁止されているため、より小さいものはもちろん禁止されている」と解釈することである。
 たとえば「財産権の侵害に補償されるなら、財産より重要な生命・身体への補償は当然である」との解釈から、予防接種の健康被害に対し損失補償請求を肯定する解釈は、類推解釈・勿論解釈に該当する。
 逆に「財産権の侵害は補償されるが、生命・身体への補償は明記されていないため、補償されない」と解釈することは反対解釈である。
 類推解釈は、言葉の意味を離れた、国民の予想に反する結論を導くため、刑法の解釈では禁止されている。
 なぜなら、刑法に対し、類推解釈することは、罪刑法定主義に反するからである。
 /*/
 体系的解釈とは、成文法の条文の語句や文章を、辞書的な意味にこだわらず、関連する他の法令との整合性を重視して解釈することである。
 体系的解釈は、論理的解釈とも呼ばれ、主に文理解釈で複数の解釈ができるときに用いられる。
 体系的解釈は、目的論的解釈と対立する解釈である。
 刑法においては、誰がどのような事案について判断してもおかしいことにならないよう、犯罪の成否を判断するため、体系的解釈が重視されている。
 /*/
 目的論的解釈とは、その法令や規則がどのような目的を達成しようとしているのかを考え、その目的に最もふさわしい解釈をすることである。
 法令や規則の目的を考えるためには、その法令が作られた歴史的な経緯、および現在その法令が果たしている機能や役割について、知る必要がある。
 /*/
 公権的解釈とは、公権力によって現実に妥当とされている法令の意味で解釈することである。
 公権力とは、国・藩国・公共団体が国民・藩国民を強制し、従わせる力のことである。
 公権的解釈は実務上無視できない解釈である。
 ただし、恣意的に社会的強者の都合がよいように法令を解釈している場合があるため、公権的解釈が妥当な解釈であるとは限らない。
 
 部品: 立法者意思
 立法者意思とは、法令を制定した当時の立法者の主観的意思のことである。
 立法者とは、法令を制定した者のことである。
 つまり、立法者意思とは、「この法令を作った者は、どのような考えで法令を作ったのか」ということである。
 /*/
 立法者意思は、法令を解釈するうえで重要である。
 法令によっては、立案者の詳細な説明があり、参考になる。
 ただし、立法者意思から法令を解釈するという手法は万能ではない。
 まず、立法者意思がはっきりしないことが多い。
 立法時の議論を参照しても明らかにならないことがある。
 また、立案担当者と立法者の混同にも注意が必要である。
 多くの場合、立法機関で法令が作られる前に、政庁で原案が作られる。
 この場合、立法者とは、立法機関のことである。
 また、立案担当者とは、政庁で法令の原案を作った公務員のことである。
 立案担当者の意思は、法令を解釈するうえで参考になるが、立法者の意思と同じとは限らない。
 次に、立法者の意思が明らかな場合でも、法令を制定した当時に存在しなかった事態によって、前提が崩れている場合がある。
 そのような事態に対応した法令の制定・改正がおこなわれる場合もある。
 そうではない場合、法令の制定・改正がおこなわれるまでの間、法令の解釈によって対応する必要がある。
 /*/
 任意規定の場合、法令の条文解釈に加えて、契約の解釈が重要となってくる。
 契約の内容が契約書として書面となっている場合、契約の解釈は、条文の解釈と似ている。
 つまり、契約条項の文言を重視して解釈すること、条項の意味がはっきりしない場合、他の条項との関係を考え意味を明らかにすることなどである。
 しかし、契約を解釈するうえで、もっとも重要な解釈基準は、その契約を締結した当事者の意思である。
 ある契約条項の解釈について、契約した両当事者の意思が一致している場合、法令の条文解釈と異なり、契約条項の文言よりも当事者の意思を重視した解釈をすべきであるとされている。
 
 部品: 法源
 法源とは、法の根源・淵源のことである。
 淵源とは、物事の起こり基づくところのことである。
 通常、法源は、法の存在形式や発現形式のことを指す。
 /*/
 法を解釈する際の出発点は、どのような形式で法が存在するのかを知ることである。
 ある問題に対し、法の規定が明確な答えを示している場合、解釈の必要はない。
 また解釈の必要がある場合でも、その法の規定がどのような位置づけにあるかを調べることが重要である。
 /*/
 現代の法秩序では、法は、公権力が特定の形式で、文書として制定するものが中心となっている。
 このような成文の法源は成文法と呼ばれ、憲法・法律・政令・条例などがある。
 法律や政令などをまとめて法令と呼ぶこともある。
 成文法は、通常、官報に掲載される。
 官報とは、法令やその他の公示事項を記載し、周知させるための逐次刊行物である。
 逐次刊行物とは、完結を予定せず、順を追い、号数を重ねて継続して刊行される出版物の総称である。
 /*/
 不文の法源は不文法と呼ばれ、慣習や条理などがある。
 法として承認された慣習は、慣習法や習慣法と呼ばれる。
 条理とは、事物の筋道・道理のことである。
 大法院が法規に基づいて判断を下す際、成文法にないものは慣習法で補い、慣習法にないものは条理で補う。
 大法院の判例や研究者の学説も、不文の法源として挙げられる。
 /*/
 法的問題が発生した際、複数の法規が適用できそうな場合、どの規定を実際に適用するかを決定する必要がある。
 その際、法源の相互関係から考えることになる。
 法源は、その法を定めた機関によって順位づけられる。
 憲法は、改正に特別多数を必要とするなどの理由から、最高法規である。
 権力の集中・濫用を防止する目的で、権力分立によって権力を分散している藩国では、立法機関が作成した法令は、行政機関が作成した法令よりも上位である。
 行政機関とは、行政事務を受け持つ組織である。
 法源は、上位の法が下位の法に法としての力を授けるという階層構造になっている。
 そのため、上位の法に矛盾・抵触する内容を定めた下位の法は、法としての効力が無効化される。
 このように、下位の法は上位の法に逆らうことができない原則を、「上位の法は下位の法を破る」の原則と呼ぶ。
 ここでの破るとは、優先する・優越するという意味である。
 つまり、「上位の法は下位の法より優先する」「上位の法は下位の法を優越する」ということである。
 「上位の法は下位の法を破る」の原則は、法相互間の優劣についての三原則のひとつである。
 
 部品: 判例
 判例とは、先例として拘束力を持つ大法院の法的判断のことである。
 法の司は、ある事件について、その事件を解決するために法を適用する際、必要に応じて法の解釈を示す。
 しかし、法の司といえども、常に解釈が一致するわけではない。
 また、にゃんにゃん共和国には多くの大法院がある。
 そのため、場合によっては同じ法に対して、大法院によって解釈が異なることも起こりえる。
 そこで、ある大法院が法の解釈を示し、その解釈が他の類似した事件をあつかう別の大法院にとっても先例として参考になるような解釈である場合、その解釈に従うことが法の司にとっても当事者にとっても合理的であると考えられる。
 とくに大法院本部は、ニューワールドの司法の頂点にある大法院として、法の解釈を統一する任務がある。
 そのため、狭義の判例は、大法院本部の法的判断に限定する。
 /*/
 判例を利用する際、いくつかの注意点がある。
 まず、類似の事件については判例がそのまま法源のように機能するが、同じ法の下で生じる別種の事件については、先例としての価値を持たない場合も多い。
 次に、ある事件について複数の判例が同時に先例となりそうなとき、ある判例に従って出した結論が、別の判例に従って出した結論と異なることがある。
 このように複数の判例が矛盾する場合、どの判例を優先すべきか、それぞれの判例の相互関係か判断する必要がある。
 さらに、大法院の本部が自らの法的判断を変更することがあるように、判例といえども絶対に正しいわけではない。
 判例を出された当時と現在で、社会や制度などが変化しているため、その社会や制度を前提とした判例の妥当性が失われることもある。
 
 部品: ソフト・ロー
 ソフト・ロー(soft law)とは、法的な効果を伴わないが、法的に機能する規則のことである。
 たとえば、ある業界において、業界団体が自主規制の目的で自主的に作成した行動指針は、民間団体が勝手に作成した規則であるため、法的拘束力はない。
 しかし、その業界に属する団体が、その行動指針に反するような行動をした場合、その業界内部や社会一般から非難を受けるおそれが大きい。
 業界団体やその業界に詳しい第三者機関が作成した行動指針は、その業界で守るべき最低限の規則を定めているものとして参考にできる場合もある。
 そのため、大法院がソフト・ローを事実上の解決指針として利用することがある。
 
 部品: 特別法
 法令は、一般法と特別法に分類される。
 一般法とは、知類・場所・事柄などを特定せずに広く適用される法令である。
 憲法・民法・刑法などは、一般法である。
 一般法は、普通法や原則法などとも呼ばれる。
 特別法とは、特定の知類・場所・事柄などに適用される法令である。
 ただし、一般法と特別法の区別は、相対的なものである。
 たとえば、商法・借地法・借家法などは民法の特別法であるが、商法は会社法・信託業法・保険業法・手形法などの特別法に対し一般法である。
 /*/
 同位のふたつの法令が矛盾・抵触し、そのふたつの法令が一般法と特別法の関係にある場合、原則として、特別法の内容が優先される。
 このように、一般法より特別法が優先される原則を、「特別法は一般法を破る」の原則と呼ぶ。
 「特別法は一般法を破る」の原則は、特別法優先の原理とも呼ばれる。
 「特別法は一般法を破る」の原則は、法相互間の優劣についての三原則のひとつである。
 
 部品: 後法
 同位のふたつの法令が矛盾・抵触し、そのふたつの法令が一般法と特別法の関係にない場合、原則として、後法は前法より優先する。
 後法とは、新しい法令のことである。
 また、前法とは、古い法令のことである。
 法令はそのときどきの社会や政治の要請によって作られるものである。
 そのため、その基盤となった状況が変化し、新たな法令が制定された場合、その内容と矛盾する古い法令は否定されるべきと解釈される。
 「後法は前法を破る」の原則は、後法優先の原理や後法優越の原理などとも呼ばれる。
 「後法は前法を破る」の原則は、法相互間の優劣についての三原則のひとつである。
 なお、法令を制定・改正する際、既存の法令の内容を精査し、矛盾や抵触する条文がある場合、その条文は廃止・改正される。
 そのため、実務上、「後法は前法を破る」の原則が問題となることはほとんどない。
 
 


インポート用定義データ


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     "title": "法学",
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       {
         "title": "理論法学・実用法学",
         "description": "法学とは、法に関する学問の総称である。\n法とは、社会秩序を維持する目的で、その社会の構成員の行為の基準として存立している規範の体系のことである。\n法学は法律学とも呼ばれる。\n医学が知類の傷病を治すことを目的とするのに対し、法学が知類同士の紛争や社会的問題を治療することを目的としているという意味で、法学はしばしば医学に似ているといわれる。\n医学を基礎医学と臨床医学のふたつに分けられるように、法学も理論法学と実用法学に分けられる。\nまた、主に憲法を扱う法学は憲法学と呼ばれる。\n/*/\n理論法学とは、法学の一分野で、法・法の運用・法に対する知類の意識などからなる社会現象としての法現象を客観的に認識することを目的とした学問である。\n理論法学は、医学にたとえると基礎医学に相当する学問である。\n理論法学は、基礎法学、科学としての法学とも呼ばれる。\n理論法学は、法社会学・法史学・法思想史・法学史・比較法学・法哲学などから構成される。\n主に憲法を扱う理論法学は、憲法科学と呼ばれる。\n/*/\n実用法学とは、法学の一分野で、行政・立法・裁判など法律実務のために有用な知識や技術を提供することを目的とした学問である。\nつまり、社会の問題や紛争を法によって解決することを目的とする学問が実用法学である。\n実用法学は、医学にたとえると臨床医学に相当する学問である。\n実用法学は、応用法学とも呼ばれ、理論法学の成果が活用されている。\n実用法学は、法政策学と法解釈学から構成される。\n主に憲法を扱う実用法学は、実用憲法学と呼ばれる。",
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       {
         "title": "比較法学",
         "description": "比較法学とは、複数の法を対比し、その共通点・類似点・相違点を明らかにすることで、対比された法をより深く認識・理解することを目的とした学問である。\n比較には歴史的比較・政治的比較、遠隔比較・近接比較などの分類がある。\n/*/\n歴史的比較とは、同じ藩国の異なる時代の法を比較することである。\n歴史的比較は時間的比較とも呼ばれる。\n政治的比較とは、同じ時代の異なる藩国の法を比較することである。\n政治的比較は空間的比較とも呼ばれる。\n比較法学では、歴史的比較と政治的比較を同時に扱うことが多い。\n/*/\n遠隔比較とは、相違点の多い法を比較することである。\n近接比較とは、共通点・類似点の多い法を比較することである。\n遠隔比較における有意義な発見は、共通点・類似点である場合が多い。\n逆に、近接比較における有意義な発見は、相違点である場合が多い。\nそれらの有意義な発見は容易に気づくものではなく、対象となる法の詳細な分析が必要である。\n/*/\n法を比較する際、一方の法を優れている、あるいは劣っていると決めつけて比較しないよう注意が必要である。\n多くの他藩国が取り入れている制度や法が自藩国にない場合、その差異自体でその制度や法を肯定したり、否定したりすべきではなく、それぞれの制度や法の内容にもとづいて評価すべきである。\n自藩国にある制度や法を多くの他藩国が取り入れていない場合も同様である。",
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       {
         "title": "法政策学",
         "description": "法政策学とは、法の理念を実現するためにはどのような実定法を制定・改廃すればよいか、立法について政治学や社会学などの観点から総合的に研究する実用法学である。\n一般に制定法は、立法権を有する公の機関により一定の手続を経て制定される。\n法政策学は、立法学とも呼ばれる。",
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       {
         "title": "法解釈学",
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         "children": [
           {
             "title": "法解釈",
             "description": "法解釈とは、法令を適用する際、法令の条文の意味を明確にする作業である。\n法解釈学とは、法の規則・規範にしたがって、法の問題を合理的に解決することを目的とした実践的学問である。\n通常、法令上の問題を解決しようとするとき、法令を紛争事案に機械的に適用しているわけではない。\n仮に法令を機械的に適用したとしても、それでは問題が解決できない。\n一般的に法令は利害が対立するところで生まれるため、妥協により、矛盾する条文やあいまいな文言を含むことが多い。\nまた時間の経過によって、技術の進歩や社会情勢の変化などから、法令制定時には想定していなかった問題が発生することもある。\n法令の解釈には価値判断が含まれるため、数学のような正確さで条文の解釈や適用を導き出すことができない。\nいいかえると、法令の解釈には客観的な真偽ではなく、妥当性が問われる。\n法の解釈には、文理解釈・拡大解釈・縮小解釈・類推解釈・反対解釈・勿論解釈・体系的解釈・沿革的解釈・比較法的解釈・目的論的解釈・社会学的解釈・公権的解釈などがある。\n/*/\n文理解釈とは、辞書や事典に掲載されているような意味で解釈することである。\nたとえば住民投票において「市区軍町村単位の地方自治体における選挙権は、永住資格を持つ他藩国の者にも認める」という解釈は、住民を「ある一定の地域の中で居住している知類」と辞書的な意味で解釈している。\n/*/\n拡大解釈とは、言葉の意味を拡大して解釈することである。\nまた、縮小解釈とは、言葉の意味を縮小して解釈することである。\nたとえば本来、情報を発信する側の権利である表現の自由を、情報を受信する側から再構成し、知る権利を含むと解釈するのは表現の自由の拡大解釈である。\n逆に、特定の表現に限って表現の自由を認めると解釈するのは、表現の自由の縮小解釈である。\n/*/\n類推解釈とは、言葉の意味に含まれていないものに対し、類似性を理由として法令の適用をおよぼすような解釈のことである。\n反対解釈とは、類推解釈とは反対の結論に解釈することである。\n勿論解釈とは類推解釈の一種で「小さいものが許されているため、大きいものも当然許されている」「大きいものが禁止されているため、より小さいものはもちろん禁止されている」と解釈することである。\nたとえば「財産権の侵害に補償されるなら、財産より重要な生命・身体への補償は当然である」との解釈から、予防接種の健康被害に対し損失補償請求を肯定する解釈は、類推解釈・勿論解釈に該当する。\n逆に「財産権の侵害は補償されるが、生命・身体への補償は明記されていないため、補償されない」と解釈することは反対解釈である。\n類推解釈は、言葉の意味を離れた、国民の予想に反する結論を導くため、刑法の解釈では禁止されている。\nなぜなら、刑法に対し、類推解釈することは、罪刑法定主義に反するからである。\n/*/\n体系的解釈とは、成文法の条文の語句や文章を、辞書的な意味にこだわらず、関連する他の法令との整合性を重視して解釈することである。\n体系的解釈は、論理的解釈とも呼ばれ、主に文理解釈で複数の解釈ができるときに用いられる。\n体系的解釈は、目的論的解釈と対立する解釈である。\n刑法においては、誰がどのような事案について判断してもおかしいことにならないよう、犯罪の成否を判断するため、体系的解釈が重視されている。\n/*/\n目的論的解釈とは、その法令や規則がどのような目的を達成しようとしているのかを考え、その目的に最もふさわしい解釈をすることである。\n法令や規則の目的を考えるためには、その法令が作られた歴史的な経緯、および現在その法令が果たしている機能や役割について、知る必要がある。\n/*/\n公権的解釈とは、公権力によって現実に妥当とされている法令の意味で解釈することである。\n公権力とは、国・藩国・公共団体が国民・藩国民を強制し、従わせる力のことである。\n公権的解釈は実務上無視できない解釈である。\nただし、恣意的に社会的強者の都合がよいように法令を解釈している場合があるため、公権的解釈が妥当な解釈であるとは限らない。",
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最終更新:2020年03月20日 22:42