部品構造
- 大部品: 交通事故 RD:7 評価値:5
- 部品: 事故発生時の対応
- 大部品: 交通事故調査 RD:6 評価値:4
- 部品: 事故調査とは
- 大部品: 交通事故鑑定 RD:5 評価値:4
- 部品: 交通事故鑑定とは
- 部品: 制動過程
- 部品: 摩擦係数
- 部品: ノーズダイブ
- 部品: 車両火災
部品定義
部品: 事故発生時の対応
交通事故とは、交通機関の故障や運転・操縦の誤りなど、さまざまな要因によって異常をきたし、人畜の死傷や財貨の損害などが発生することである。
広義では鉄道事故や航空事故も含まれるが、狭義では自動車事故や道路交通事故を指す。
/*/
交通事故が発生した場合、まず運転者は車を止め、負傷者がいないか確認する。
負傷者がいる場合、救急車を呼ぶか、負傷者自身で動けるようであればなるべく早く病院に行ってもらう。
/*/
車を運転して交通事故を起こしてしまった場合、運転者の義務として、警察に通報しなければならないことが法令で定められている。
交通事故を起こした運転手が現場から立ち去ってしまうと、ひき逃げとして懲役刑が科されることもある。
通報する手段としては、事故現場に警察官がいる場合、警察官に報告する。
また、警察官が現場にいない場合、電話で最寄りの警察署・派出所・駐在所などに連絡する。
警察に報告すべき内容は、交通事故が発生した日時と場所、交通事故による死傷者数や負傷の程度、交通事故に対して講じた措置などである。
相手方の言い分や警察の説明が、自分の把握している事実と異なる場合、あいまいにせず、自分の主張を伝えることが重要である。
運転者が負傷して報告できない場合、代わりに同乗者や事故の目撃者が報告する。
/*/
損害賠償の請求に備え、事故の当事者は現場の状況を確認し、事故現場や被害を写真に撮影したり、手帳に書き留めたりするなどして、証拠を保全する。
事故の相手方の氏名・連絡先・自動車免許書番号・保険会社名などを確認することも重要である。
その後、自分の契約している保険機関へ事故を報告する。
たとえ自分が被害者であったとしても、あとから自分に過失があったことが判明したり、相手方が保険に加入していなかったりした場合、自分の保険を使わなければならない場合がある。
そのため、被害者も自分の保険機関に事故を報告することが望ましい。
保険機関に報告する内容は、警察に報告した内容に加え、事故を届け出た警察署や事故を担当する警察官の氏名、相手方の氏名・住所・連絡先・車名・修理工場名、負傷者の氏名・住所・連絡先・病院名・症状などである。
事故直後の状況によっては、報告すべき内容のすべてを確認できない場合もあるが、最低限、相手方や負傷者の氏名・連絡先は確認・報告すべきである。
部品: 事故調査とは
交通事故の連絡を受けた警察や保健機関は、事故現場に急行し、事故を詳細に調べ、実況見分調書などの記録を作成する。
この記録は、その後の裁判の基礎資料となるため、車体や路面状況などの物的証拠を含むもろもろの記録を正確にわかりやすく保持する必要がある。
交通事故・事件の裁判は、審議に時間がかかり、原告・被告ともに心理的・経済的負担が大きい。
実況見分調書などの記録は真実が記されているべきであるが、担当捜査官の努力にもかかわらず、時間や環境などの厳しい制約で、必ずしもそうならない場合がある。
そのため、不完全な記録が作成された場合、真実を明確にするため、第三者による鑑定作業が必要になることが多い。
部品: 交通事故鑑定とは
交通事故は単純な現象と考えられやすいが、事故の状況を解析するためには、さまざまな要素の因果関係を明確かつ合理的に再構築する必要がある。
そのため、交通事故の鑑定は、複雑で高度な専門知識が必要である。
たとえば、自動車の衝突事故を考えた場合、どれほどの速度でどの方向からどの地点で衝突したか、衝突後はどのように走ってどのように停止したかなどを推察するためには、衝突力学の鑑定が必要である。
また、負傷部位や負傷の程度から、車体衝突時、乗員や歩行者がどのような挙動をしたかを推察する場合、法医学の鑑定が必要である。
そのため、交通事故を鑑定する際は、事故の鑑定について経験豊かな、工学系と医学系の専門家による複数名の共同作業が望ましい。
部品: 制動過程
運転手が危険を認知してから、車両が停止するまでの過程を制動過程と呼ぶ。
また、危険を認知してから車両が停止するまでの時間を停止時間、停止時間の間に車両が進んだ距離を停止距離と呼ぶ。
/*/
停止時間は、空走時間と制動時間に分けられる。
また、停止距離は、空走距離と制動距離に分けられる。
/*/
空走時間は、さらに反応時間・踏み替え時間・踏み込み時間に分けられる。
人知類が車両を運転する場合、通常、アクセルペダルとブレーキペダルはともに右足で操作する。
そのため、運転手が危険を認知した場合、アクセルペダルから足を離し、ブレーキペダルに足をのせ踏み込む。
反応時間とは、危険を認知してから、アクセルペダルから足を離すまでの時間である。
踏み替え時間とは、アクセルペダルからブレーキペダルに足をのせかえる時間である。
踏み込み時間とは、ブレーキペダルに足をのせ、踏み込み、減速が開始されるまでの時間である。
反応時間の長さは、運転者の反応の速さが関係する。
飲酒運転や運転者が違法薬物を使用している場合は、反応が鈍くなるため、空走時間・空走距離ともに長くなる。
前車の急ブレーキ音やブレーキランプの点灯など、ブレーキを踏む必要性がわかりやすいものがあれば、そういったものがない場合と比べ、反応が速くなる。
空走時間の長さが同じでも、車両の速度が速い場合、空走距離が長くなる。
/*/
制動時間とは、減速を開始してから車両が停止するまでの時間である。
制動時間の間に進んだ距離を、制動距離と呼ぶ。
ブレーキペダルを強く踏むと、車輪の回転が止まり、タイヤが路面を擦るため、スリップ痕が路上に残される。
このスリップ痕の長さと路面の摩擦係数から、車両の速度を算出することができる。
ただし、スリップ痕がなかったからといって、必ずしも制動しなかったということではない。
急ブレーキした場合、ブレーキペダルを踏み始めてから車輪の回転が止まるまでには最大で0.2秒ほどかかる。
車輪の回転が止まるまでの間、路面上にスリップ痕はできない。
なお、車輪が制動をうけながら回転している状態のほうが、車輪の回転が完全に止まった状態より、タイヤと路面の間の摩擦力が大きい。
急ブレーキ時にタイヤと路面の間の摩擦力が最大となるよう、機械や電子制御によって、車輪の回転状態を監視・制御する装置をABSと呼ぶ。
ABSとは、アンチロック・ブレーキ・システム(anti-lock brake system)の略称である。
ABSが装備された車両は、ブレーキペダルを踏んでも、路面上にスリップ痕が残りにくい。
部品: 摩擦係数
摩擦係数とは、ふたつの物体の接触面に働く摩擦力の大きさと、2面を垂直に押しつけている力との比である。
自動車の場合、このふたつの物体は路面とタイヤである。
/*/
摩擦係数は、路面の状況によって異なる。
たとえばアスファルトで舗装された道路か、コンクリートで舗装された道路か、あるいは砂利を敷いた場所かなどで、摩擦係数は異なる。
また、舗装が同じ素材でも、交通量が多く舗装が摩耗した場合、摩擦係数は低下する。
路面が乾燥か湿潤かによっても摩擦係数が異なり、アスファルトやコンクリートの場合、乾いた路面のほうが摩擦係数が高い。
路面の泥やほこりが雨で洗い流される前と比べ、雨の降り初めは、摩擦係数が急激に低下する。
路面に雪が積もっていたり、路面が凍っていたりすると、さらに摩擦係数は低下する。
また、積雪による路面は、新雪か圧雪かシャーベットかなどによっても摩擦係数は大きく変化する。
路面の温度も摩擦係数に影響する。
乾いたアスファルト路面の場合、温度が低いほうが摩擦係数が高く、摂氏0度から20度前後までは、おおむね温度が1度上昇するごとに摩擦係数が0.01減少する。
路面温度が摂氏30度を超えると、摩擦係数は安定する。
/*/
タイヤの性能は、摩擦係数に関係する。
タイヤの性能には、氷上性能・雪上性能などがある。
氷上性能は凍結した路面で、安全に止まり曲がることができる性能のことである。
雪上性能は雪上路面で、安全に止まり曲がることができる性能のことである。
冬用タイヤは、低温でもやわらかさを保ちやすい素材を使っている。
そのため、低温でも路面の凹凸に合わせて密着でき、夏用タイヤよりタイヤ性能の低下が小さい。
摩耗したタイヤや古いタイヤは、タイヤ性能が劣化し、摩擦係数が低下する。
タイヤ性能の劣化に気づくためには、硬度計でタイヤの硬さを点検したり、タイヤの溝の深さを確認したりといった方法がある。
直射日光や雨があたる場所でタイヤを保管していると、早く劣化する。
タイヤの空気圧の過多や不足がある状態で走ると、タイヤの異常摩耗が起き、摩耗が早まる。
積雪路・凍結路・ぬかるみなどで走った場合、普通のタイヤでは非常に危険である。
そのため、このような場所を走る際は、タイヤチェーンが使用される。
タイヤチェーンとは、積雪路・凍結路・ぬかるみなどでの滑り防止を目的として、自動車のタイヤに装着するチェーンである。
路面状況によっては、法令に基づいて、タイヤチェーンの装着がない自動車の走行が禁止される場合もある。
ただし、金属製のタイヤチェーンで乾いた路面を走ると、チェーンが摩耗し、切れたり緩んだりするおそれが大きくなる。
また、金属製のタイヤチェーンが路面を損傷させることにもなる。
そのため、金属製のタイヤチェーンは、路面に合わせて小まめに脱着する必要がある。
積雪路・凍結路・ぬかるみと乾いた路面が混在している道では、ゴムや樹脂など非金属性のタイヤチェーンを装着する。
非金属性のタイヤチェーンは、金属製と比べ、走行時の振動や騒音が小さいが、高価である。
タイヤーチェーンは、素材・走行距離・整備状況などによって、その寿命は大きく変わる。
酷使されたタイヤーチェーンは、切れるおそれが大きいため、定期的に買い替える必要がある。
部品: ノーズダイブ
自動車が走っているときに急ブレーキを踏むと、車体は一時的に前部が沈み込む姿勢になる。
このことをノーズダイブ(nose dive)と呼ぶ。
ノーズダイブが起きる理由は、車両の重心がサスペンションより高い位置にあるため、慣性の法則により、フロントサスペンションが縮むからである。
このとき、リアサスペンションが伸びており、車体の後部が持ち上がる。
このように、車体の後部が持ち上がることをテールリフト(tail lift)と呼ぶ。
サスペンション(suspension)とは、乗り心地をよくし、振動から車体や各種装置の損傷を防ぐことを目的とした、車輪からの振動を緩衝させるばねのことである。
急ブレーキを踏みながら前方の車両に衝突した場合、追突した車両のフロントバンパーが、追突された車両のリアバンパーの下に潜り込みながら衝突することになる。
そのため、追突した車両のフロントバンパーの上にある剛性の低い部品や装置が、追突された車両のリアバンパーに衝突し、追突した車両の損傷が大きくなる。
前方の車両も急ブレーキを踏んでいた場合、この傾向はより顕著になる。
このように、追突時の車両の損傷状態から、車両がブレーキを踏んでいたか推察できる。
なお、ノーズダイブやテールリフトは慣性によるもののため、制動開始時の初速が高かったり、乗員数が多く車体の総重量が増えていたりすると変化量も大きくなる。
部品: 車両火災
車両火災とは、燃焼対象物が車両の火災である。
事故調査の際、車両火災は火災の原因部分が消失している場合も多く、調査が難しいため、見極めるべき点を把握しておくことが重要である。
車両火災は、電気系・燃料系・エンジン系・排気系・放火系に分類される。
/*/
電気系統が車両火災の原因の場合、火災の前兆として、最初に白い煙を生じる場合が多い。
自動車の所有者や運転者から聴取すべき点は、バッテリーの交換時期・エンジンルームの異物の置き忘れ・改造部品の有無などである。
火災の原因として、電気系統が疑わしい場合、点検すべき主要な部位は、バッテリーやヒューズボックスの配線短絡などである。
/*/
燃料系の車両火災は、火災の前兆として、最初に黒い煙を生じる場合が多い。
燃料系が原因の火災は、燃料漏れやオイル漏れなどに分類される。
火災の原因として、燃料系が疑わしい場合、点検すべき主要な部位は、燃料ホースや配管の亀裂・ひび割れなどである。
/*/
エンジン系車両火災の原因のひとつにオーバーヒートがある。
そのため、出火時の水温計の上昇やラジエータの水漏れの有無などを聴取すべきである。
/*/
排気系の車両火災とは、たとえな車両の後部や底部に枯草・廃材・段ボール・衣類などの可燃物があり、排気熱で可燃物に着火した場合などである。
排気管上に可燃物が落下して出火した場合も、排気系の車両火災である。
/*/
車両火災の原因として、もっとも多いものが放火である。
放火は、第三者による場合もあるが、車両の所有者が保険金を目的に放火する場合もある。
そのため、放火が疑わしい場合、火災で利益を得る者の経済状況を確認することが重要である。
提出書式
大部品: 交通事故 RD:7 評価値:5
-部品: 事故発生時の対応
-大部品: 交通事故調査 RD:6 評価値:4
--部品: 事故調査とは
--大部品: 交通事故鑑定 RD:5 評価値:4
---部品: 交通事故鑑定とは
---部品: 制動過程
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---部品: 車両火災
部品: 事故発生時の対応
交通事故とは、交通機関の故障や運転・操縦の誤りなど、さまざまな要因によって異常をきたし、人畜の死傷や財貨の損害などが発生することである。
広義では鉄道事故や航空事故も含まれるが、狭義では自動車事故や道路交通事故を指す。
/*/
交通事故が発生した場合、まず運転者は車を止め、負傷者がいないか確認する。
負傷者がいる場合、救急車を呼ぶか、負傷者自身で動けるようであればなるべく早く病院に行ってもらう。
/*/
車を運転して交通事故を起こしてしまった場合、運転者の義務として、警察に通報しなければならないことが法令で定められている。
交通事故を起こした運転手が現場から立ち去ってしまうと、ひき逃げとして懲役刑が科されることもある。
通報する手段としては、事故現場に警察官がいる場合、警察官に報告する。
また、警察官が現場にいない場合、電話で最寄りの警察署・派出所・駐在所などに連絡する。
警察に報告すべき内容は、交通事故が発生した日時と場所、交通事故による死傷者数や負傷の程度、交通事故に対して講じた措置などである。
相手方の言い分や警察の説明が、自分の把握している事実と異なる場合、あいまいにせず、自分の主張を伝えることが重要である。
運転者が負傷して報告できない場合、代わりに同乗者や事故の目撃者が報告する。
/*/
損害賠償の請求に備え、事故の当事者は現場の状況を確認し、事故現場や被害を写真に撮影したり、手帳に書き留めたりするなどして、証拠を保全する。
事故の相手方の氏名・連絡先・自動車免許書番号・保険会社名などを確認することも重要である。
その後、自分の契約している保険機関へ事故を報告する。
たとえ自分が被害者であったとしても、あとから自分に過失があったことが判明したり、相手方が保険に加入していなかったりした場合、自分の保険を使わなければならない場合がある。
そのため、被害者も自分の保険機関に事故を報告することが望ましい。
保険機関に報告する内容は、警察に報告した内容に加え、事故を届け出た警察署や事故を担当する警察官の氏名、相手方の氏名・住所・連絡先・車名・修理工場名、負傷者の氏名・住所・連絡先・病院名・症状などである。
事故直後の状況によっては、報告すべき内容のすべてを確認できない場合もあるが、最低限、相手方や負傷者の氏名・連絡先は確認・報告すべきである。
部品: 事故調査とは
交通事故の連絡を受けた警察や保健機関は、事故現場に急行し、事故を詳細に調べ、実況見分調書などの記録を作成する。
この記録は、その後の裁判の基礎資料となるため、車体や路面状況などの物的証拠を含むもろもろの記録を正確にわかりやすく保持する必要がある。
交通事故・事件の裁判は、審議に時間がかかり、原告・被告ともに心理的・経済的負担が大きい。
実況見分調書などの記録は真実が記されているべきであるが、担当捜査官の努力にもかかわらず、時間や環境などの厳しい制約で、必ずしもそうならない場合がある。
そのため、不完全な記録が作成された場合、真実を明確にするため、第三者による鑑定作業が必要になることが多い。
部品: 交通事故鑑定とは
交通事故は単純な現象と考えられやすいが、事故の状況を解析するためには、さまざまな要素の因果関係を明確かつ合理的に再構築する必要がある。
そのため、交通事故の鑑定は、複雑で高度な専門知識が必要である。
たとえば、自動車の衝突事故を考えた場合、どれほどの速度でどの方向からどの地点で衝突したか、衝突後はどのように走ってどのように停止したかなどを推察するためには、衝突力学の鑑定が必要である。
また、負傷部位や負傷の程度から、車体衝突時、乗員や歩行者がどのような挙動をしたかを推察する場合、法医学の鑑定が必要である。
そのため、交通事故を鑑定する際は、事故の鑑定について経験豊かな、工学系と医学系の専門家による複数名の共同作業が望ましい。
部品: 制動過程
運転手が危険を認知してから、車両が停止するまでの過程を制動過程と呼ぶ。
また、危険を認知してから車両が停止するまでの時間を停止時間、停止時間の間に車両が進んだ距離を停止距離と呼ぶ。
/*/
停止時間は、空走時間と制動時間に分けられる。
また、停止距離は、空走距離と制動距離に分けられる。
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空走時間は、さらに反応時間・踏み替え時間・踏み込み時間に分けられる。
人知類が車両を運転する場合、通常、アクセルペダルとブレーキペダルはともに右足で操作する。
そのため、運転手が危険を認知した場合、アクセルペダルから足を離し、ブレーキペダルに足をのせ踏み込む。
反応時間とは、危険を認知してから、アクセルペダルから足を離すまでの時間である。
踏み替え時間とは、アクセルペダルからブレーキペダルに足をのせかえる時間である。
踏み込み時間とは、ブレーキペダルに足をのせ、踏み込み、減速が開始されるまでの時間である。
反応時間の長さは、運転者の反応の速さが関係する。
飲酒運転や運転者が違法薬物を使用している場合は、反応が鈍くなるため、空走時間・空走距離ともに長くなる。
前車の急ブレーキ音やブレーキランプの点灯など、ブレーキを踏む必要性がわかりやすいものがあれば、そういったものがない場合と比べ、反応が速くなる。
空走時間の長さが同じでも、車両の速度が速い場合、空走距離が長くなる。
/*/
制動時間とは、減速を開始してから車両が停止するまでの時間である。
制動時間の間に進んだ距離を、制動距離と呼ぶ。
ブレーキペダルを強く踏むと、車輪の回転が止まり、タイヤが路面を擦るため、スリップ痕が路上に残される。
このスリップ痕の長さと路面の摩擦係数から、車両の速度を算出することができる。
ただし、スリップ痕がなかったからといって、必ずしも制動しなかったということではない。
急ブレーキした場合、ブレーキペダルを踏み始めてから車輪の回転が止まるまでには最大で0.2秒ほどかかる。
車輪の回転が止まるまでの間、路面上にスリップ痕はできない。
なお、車輪が制動をうけながら回転している状態のほうが、車輪の回転が完全に止まった状態より、タイヤと路面の間の摩擦力が大きい。
急ブレーキ時にタイヤと路面の間の摩擦力が最大となるよう、機械や電子制御によって、車輪の回転状態を監視・制御する装置をABSと呼ぶ。
ABSとは、アンチロック・ブレーキ・システム(anti-lock brake system)の略称である。
ABSが装備された車両は、ブレーキペダルを踏んでも、路面上にスリップ痕が残りにくい。
部品: 摩擦係数
摩擦係数とは、ふたつの物体の接触面に働く摩擦力の大きさと、2面を垂直に押しつけている力との比である。
自動車の場合、このふたつの物体は路面とタイヤである。
/*/
摩擦係数は、路面の状況によって異なる。
たとえばアスファルトで舗装された道路か、コンクリートで舗装された道路か、あるいは砂利を敷いた場所かなどで、摩擦係数は異なる。
また、舗装が同じ素材でも、交通量が多く舗装が摩耗した場合、摩擦係数は低下する。
路面が乾燥か湿潤かによっても摩擦係数が異なり、アスファルトやコンクリートの場合、乾いた路面のほうが摩擦係数が高い。
路面の泥やほこりが雨で洗い流される前と比べ、雨の降り初めは、摩擦係数が急激に低下する。
路面に雪が積もっていたり、路面が凍っていたりすると、さらに摩擦係数は低下する。
また、積雪による路面は、新雪か圧雪かシャーベットかなどによっても摩擦係数は大きく変化する。
路面の温度も摩擦係数に影響する。
乾いたアスファルト路面の場合、温度が低いほうが摩擦係数が高く、摂氏0度から20度前後までは、おおむね温度が1度上昇するごとに摩擦係数が0.01減少する。
路面温度が摂氏30度を超えると、摩擦係数は安定する。
/*/
タイヤの性能は、摩擦係数に関係する。
タイヤの性能には、氷上性能・雪上性能などがある。
氷上性能は凍結した路面で、安全に止まり曲がることができる性能のことである。
雪上性能は雪上路面で、安全に止まり曲がることができる性能のことである。
冬用タイヤは、低温でもやわらかさを保ちやすい素材を使っている。
そのため、低温でも路面の凹凸に合わせて密着でき、夏用タイヤよりタイヤ性能の低下が小さい。
摩耗したタイヤや古いタイヤは、タイヤ性能が劣化し、摩擦係数が低下する。
タイヤ性能の劣化に気づくためには、硬度計でタイヤの硬さを点検したり、タイヤの溝の深さを確認したりといった方法がある。
直射日光や雨があたる場所でタイヤを保管していると、早く劣化する。
タイヤの空気圧の過多や不足がある状態で走ると、タイヤの異常摩耗が起き、摩耗が早まる。
積雪路・凍結路・ぬかるみなどで走った場合、普通のタイヤでは非常に危険である。
そのため、このような場所を走る際は、タイヤチェーンが使用される。
タイヤチェーンとは、積雪路・凍結路・ぬかるみなどでの滑り防止を目的として、自動車のタイヤに装着するチェーンである。
路面状況によっては、法令に基づいて、タイヤチェーンの装着がない自動車の走行が禁止される場合もある。
ただし、金属製のタイヤチェーンで乾いた路面を走ると、チェーンが摩耗し、切れたり緩んだりするおそれが大きくなる。
また、金属製のタイヤチェーンが路面を損傷させることにもなる。
そのため、金属製のタイヤチェーンは、路面に合わせて小まめに脱着する必要がある。
積雪路・凍結路・ぬかるみと乾いた路面が混在している道では、ゴムや樹脂など非金属性のタイヤチェーンを装着する。
非金属性のタイヤチェーンは、金属製と比べ、走行時の振動や騒音が小さいが、高価である。
タイヤーチェーンは、素材・走行距離・整備状況などによって、その寿命は大きく変わる。
酷使されたタイヤーチェーンは、切れるおそれが大きいため、定期的に買い替える必要がある。
部品: ノーズダイブ
自動車が走っているときに急ブレーキを踏むと、車体は一時的に前部が沈み込む姿勢になる。
このことをノーズダイブ(nose dive)と呼ぶ。
ノーズダイブが起きる理由は、車両の重心がサスペンションより高い位置にあるため、慣性の法則により、フロントサスペンションが縮むからである。
このとき、リアサスペンションが伸びており、車体の後部が持ち上がる。
このように、車体の後部が持ち上がることをテールリフト(tail lift)と呼ぶ。
サスペンション(suspension)とは、乗り心地をよくし、振動から車体や各種装置の損傷を防ぐことを目的とした、車輪からの振動を緩衝させるばねのことである。
急ブレーキを踏みながら前方の車両に衝突した場合、追突した車両のフロントバンパーが、追突された車両のリアバンパーの下に潜り込みながら衝突することになる。
そのため、追突した車両のフロントバンパーの上にある剛性の低い部品や装置が、追突された車両のリアバンパーに衝突し、追突した車両の損傷が大きくなる。
前方の車両も急ブレーキを踏んでいた場合、この傾向はより顕著になる。
このように、追突時の車両の損傷状態から、車両がブレーキを踏んでいたか推察できる。
なお、ノーズダイブやテールリフトは慣性によるもののため、制動開始時の初速が高かったり、乗員数が多く車体の総重量が増えていたりすると変化量も大きくなる。
部品: 車両火災
車両火災とは、燃焼対象物が車両の火災である。
事故調査の際、車両火災は火災の原因部分が消失している場合も多く、調査が難しいため、見極めるべき点を把握しておくことが重要である。
車両火災は、電気系・燃料系・エンジン系・排気系・放火系に分類される。
/*/
電気系統が車両火災の原因の場合、火災の前兆として、最初に白い煙を生じる場合が多い。
自動車の所有者や運転者から聴取すべき点は、バッテリーの交換時期・エンジンルームの異物の置き忘れ・改造部品の有無などである。
火災の原因として、電気系統が疑わしい場合、点検すべき主要な部位は、バッテリーやヒューズボックスの配線短絡などである。
/*/
燃料系の車両火災は、火災の前兆として、最初に黒い煙を生じる場合が多い。
燃料系が原因の火災は、燃料漏れやオイル漏れなどに分類される。
火災の原因として、燃料系が疑わしい場合、点検すべき主要な部位は、燃料ホースや配管の亀裂・ひび割れなどである。
/*/
エンジン系車両火災の原因のひとつにオーバーヒートがある。
そのため、出火時の水温計の上昇やラジエータの水漏れの有無などを聴取すべきである。
/*/
排気系の車両火災とは、たとえな車両の後部や底部に枯草・廃材・段ボール・衣類などの可燃物があり、排気熱で可燃物に着火した場合などである。
排気管上に可燃物が落下して出火した場合も、排気系の車両火災である。
/*/
車両火災の原因として、もっとも多いものが放火である。
放火は、第三者による場合もあるが、車両の所有者が保険金を目的に放火する場合もある。
そのため、放火が疑わしい場合、火災で利益を得る者の経済状況を確認することが重要である。
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"title": "交通事故鑑定とは",
"description": "交通事故は単純な現象と考えられやすいが、事故の状況を解析するためには、さまざまな要素の因果関係を明確かつ合理的に再構築する必要がある。\nそのため、交通事故の鑑定は、複雑で高度な専門知識が必要である。\nたとえば、自動車の衝突事故を考えた場合、どれほどの速度でどの方向からどの地点で衝突したか、衝突後はどのように走ってどのように停止したかなどを推察するためには、衝突力学の鑑定が必要である。\nまた、負傷部位や負傷の程度から、車体衝突時、乗員や歩行者がどのような挙動をしたかを推察する場合、法医学の鑑定が必要である。\nそのため、交通事故を鑑定する際は、事故の鑑定について経験豊かな、工学系と医学系の専門家による複数名の共同作業が望ましい。",
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{
"title": "制動過程",
"description": "運転手が危険を認知してから、車両が停止するまでの過程を制動過程と呼ぶ。\nまた、危険を認知してから車両が停止するまでの時間を停止時間、停止時間の間に車両が進んだ距離を停止距離と呼ぶ。\n/*/\n停止時間は、空走時間と制動時間に分けられる。\nまた、停止距離は、空走距離と制動距離に分けられる。\n/*/\n空走時間は、さらに反応時間・踏み替え時間・踏み込み時間に分けられる。\n人知類が車両を運転する場合、通常、アクセルペダルとブレーキペダルはともに右足で操作する。\nそのため、運転手が危険を認知した場合、アクセルペダルから足を離し、ブレーキペダルに足をのせ踏み込む。\n反応時間とは、危険を認知してから、アクセルペダルから足を離すまでの時間である。\n踏み替え時間とは、アクセルペダルからブレーキペダルに足をのせかえる時間である。\n踏み込み時間とは、ブレーキペダルに足をのせ、踏み込み、減速が開始されるまでの時間である。\n反応時間の長さは、運転者の反応の速さが関係する。\n飲酒運転や運転者が違法薬物を使用している場合は、反応が鈍くなるため、空走時間・空走距離ともに長くなる。\n前車の急ブレーキ音やブレーキランプの点灯など、ブレーキを踏む必要性がわかりやすいものがあれば、そういったものがない場合と比べ、反応が速くなる。\n空走時間の長さが同じでも、車両の速度が速い場合、空走距離が長くなる。\n/*/\n制動時間とは、減速を開始してから車両が停止するまでの時間である。\n制動時間の間に進んだ距離を、制動距離と呼ぶ。\nブレーキペダルを強く踏むと、車輪の回転が止まり、タイヤが路面を擦るため、スリップ痕が路上に残される。\nこのスリップ痕の長さと路面の摩擦係数から、車両の速度を算出することができる。\nただし、スリップ痕がなかったからといって、必ずしも制動しなかったということではない。\n急ブレーキした場合、ブレーキペダルを踏み始めてから車輪の回転が止まるまでには最大で0.2秒ほどかかる。\n車輪の回転が止まるまでの間、路面上にスリップ痕はできない。\nなお、車輪が制動をうけながら回転している状態のほうが、車輪の回転が完全に止まった状態より、タイヤと路面の間の摩擦力が大きい。\n急ブレーキ時にタイヤと路面の間の摩擦力が最大となるよう、機械や電子制御によって、車輪の回転状態を監視・制御する装置をABSと呼ぶ。\nABSとは、アンチロック・ブレーキ・システム(anti-lock brake system)の略称である。\nABSが装備された車両は、ブレーキペダルを踏んでも、路面上にスリップ痕が残りにくい。",
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{
"title": "摩擦係数",
"description": "摩擦係数とは、ふたつの物体の接触面に働く摩擦力の大きさと、2面を垂直に押しつけている力との比である。\n自動車の場合、このふたつの物体は路面とタイヤである。\n/*/\n摩擦係数は、路面の状況によって異なる。\nたとえばアスファルトで舗装された道路か、コンクリートで舗装された道路か、あるいは砂利を敷いた場所かなどで、摩擦係数は異なる。\nまた、舗装が同じ素材でも、交通量が多く舗装が摩耗した場合、摩擦係数は低下する。\n路面が乾燥か湿潤かによっても摩擦係数が異なり、アスファルトやコンクリートの場合、乾いた路面のほうが摩擦係数が高い。\n路面の泥やほこりが雨で洗い流される前と比べ、雨の降り初めは、摩擦係数が急激に低下する。\n路面に雪が積もっていたり、路面が凍っていたりすると、さらに摩擦係数は低下する。\nまた、積雪による路面は、新雪か圧雪かシャーベットかなどによっても摩擦係数は大きく変化する。\n路面の温度も摩擦係数に影響する。\n乾いたアスファルト路面の場合、温度が低いほうが摩擦係数が高く、摂氏0度から20度前後までは、おおむね温度が1度上昇するごとに摩擦係数が0.01減少する。\n路面温度が摂氏30度を超えると、摩擦係数は安定する。\n/*/\nタイヤの性能は、摩擦係数に関係する。\nタイヤの性能には、氷上性能・雪上性能などがある。\n氷上性能は凍結した路面で、安全に止まり曲がることができる性能のことである。\n雪上性能は雪上路面で、安全に止まり曲がることができる性能のことである。\n冬用タイヤは、低温でもやわらかさを保ちやすい素材を使っている。\nそのため、低温でも路面の凹凸に合わせて密着でき、夏用タイヤよりタイヤ性能の低下が小さい。\n摩耗したタイヤや古いタイヤは、タイヤ性能が劣化し、摩擦係数が低下する。\nタイヤ性能の劣化に気づくためには、硬度計でタイヤの硬さを点検したり、タイヤの溝の深さを確認したりといった方法がある。\n直射日光や雨があたる場所でタイヤを保管していると、早く劣化する。\nタイヤの空気圧の過多や不足がある状態で走ると、タイヤの異常摩耗が起き、摩耗が早まる。\n積雪路・凍結路・ぬかるみなどで走った場合、普通のタイヤでは非常に危険である。\nそのため、このような場所を走る際は、タイヤチェーンが使用される。\nタイヤチェーンとは、積雪路・凍結路・ぬかるみなどでの滑り防止を目的として、自動車のタイヤに装着するチェーンである。\n路面状況によっては、法令に基づいて、タイヤチェーンの装着がない自動車の走行が禁止される場合もある。\nただし、金属製のタイヤチェーンで乾いた路面を走ると、チェーンが摩耗し、切れたり緩んだりするおそれが大きくなる。\nまた、金属製のタイヤチェーンが路面を損傷させることにもなる。\nそのため、金属製のタイヤチェーンは、路面に合わせて小まめに脱着する必要がある。\n積雪路・凍結路・ぬかるみと乾いた路面が混在している道では、ゴムや樹脂など非金属性のタイヤチェーンを装着する。\n非金属性のタイヤチェーンは、金属製と比べ、走行時の振動や騒音が小さいが、高価である。\nタイヤーチェーンは、素材・走行距離・整備状況などによって、その寿命は大きく変わる。\n酷使されたタイヤーチェーンは、切れるおそれが大きいため、定期的に買い替える必要がある。",
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{
"title": "ノーズダイブ",
"description": "自動車が走っているときに急ブレーキを踏むと、車体は一時的に前部が沈み込む姿勢になる。\nこのことをノーズダイブ(nose dive)と呼ぶ。\nノーズダイブが起きる理由は、車両の重心がサスペンションより高い位置にあるため、慣性の法則により、フロントサスペンションが縮むからである。\nこのとき、リアサスペンションが伸びており、車体の後部が持ち上がる。\nこのように、車体の後部が持ち上がることをテールリフト(tail lift)と呼ぶ。\nサスペンション(suspension)とは、乗り心地をよくし、振動から車体や各種装置の損傷を防ぐことを目的とした、車輪からの振動を緩衝させるばねのことである。\n急ブレーキを踏みながら前方の車両に衝突した場合、追突した車両のフロントバンパーが、追突された車両のリアバンパーの下に潜り込みながら衝突することになる。\nそのため、追突した車両のフロントバンパーの上にある剛性の低い部品や装置が、追突された車両のリアバンパーに衝突し、追突した車両の損傷が大きくなる。\n前方の車両も急ブレーキを踏んでいた場合、この傾向はより顕著になる。\nこのように、追突時の車両の損傷状態から、車両がブレーキを踏んでいたか推察できる。\nなお、ノーズダイブやテールリフトは慣性によるもののため、制動開始時の初速が高かったり、乗員数が多く車体の総重量が増えていたりすると変化量も大きくなる。",
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{
"title": "車両火災",
"description": "車両火災とは、燃焼対象物が車両の火災である。\n事故調査の際、車両火災は火災の原因部分が消失している場合も多く、調査が難しいため、見極めるべき点を把握しておくことが重要である。\n車両火災は、電気系・燃料系・エンジン系・排気系・放火系に分類される。\n/*/\n電気系統が車両火災の原因の場合、火災の前兆として、最初に白い煙を生じる場合が多い。\n自動車の所有者や運転者から聴取すべき点は、バッテリーの交換時期・エンジンルームの異物の置き忘れ・改造部品の有無などである。\n火災の原因として、電気系統が疑わしい場合、点検すべき主要な部位は、バッテリーやヒューズボックスの配線短絡などである。\n/*/\n燃料系の車両火災は、火災の前兆として、最初に黒い煙を生じる場合が多い。\n燃料系が原因の火災は、燃料漏れやオイル漏れなどに分類される。\n火災の原因として、燃料系が疑わしい場合、点検すべき主要な部位は、燃料ホースや配管の亀裂・ひび割れなどである。\n/*/\nエンジン系車両火災の原因のひとつにオーバーヒートがある。\nそのため、出火時の水温計の上昇やラジエータの水漏れの有無などを聴取すべきである。\n/*/\n排気系の車両火災とは、たとえな車両の後部や底部に枯草・廃材・段ボール・衣類などの可燃物があり、排気熱で可燃物に着火した場合などである。\n排気管上に可燃物が落下して出火した場合も、排気系の車両火災である。\n/*/\n車両火災の原因として、もっとも多いものが放火である。\n放火は、第三者による場合もあるが、車両の所有者が保険金を目的に放火する場合もある。\nそのため、放火が疑わしい場合、火災で利益を得る者の経済状況を確認することが重要である。",
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最終更新:2021年01月18日 21:18