暗闇の中
一筋の光が差し込む
不安や孤独を打ち消すように
彼はただ優しく私の手を掴んだ
X’masの章
序章
出会い
まただ、また「あの人」が居ない
今日はチームの会議がある日なのに
何時もこうだ、
そう、ぶつくさ呟きながら機械の少女は
賑やかなロビーを行ったり来たりしている
ここはアークス所属のチームタナトスの指チームルーム
仲間が集いし場所
今日は毎週行われる定例報告の日だ
少しイライラしながら機械の少女はソファーに腰掛けている一人の髪の長い少女に声をかけた
「幽さん見ませんでしたか?・・・・・・」
全くあの人はすぐどっかに行っちゃうんだからと不満を漏らしながらさらに続けた
「今日は大事な新メンバーの紹介もあるのに、全く・・・」
機械の体をもつ種族であるキャスト
その一人である少女
外見は
小柄で赤い装甲に身を包み
どこか無機質な印象を受ける顔立ち
「あはは、クリスも大変だね」
髪の長い少女は苦笑いを浮かべながら答えた
X’mas(クリスマス)彼女の名前である
通称はクリス
「マスターだよね?マスターならさっき森林(惑星ナベリウス)に行くって出て行ったよ」
「はあ?!!」
クリスと呼ばれた少女は素っ頓狂な声を挙げその直後にはぁ~っとため息をついてこう続けた
「あの人は何を考えているのでしょうか?」
「私にはよく分からない時があります・・・」
そんなクリスの様子を見て少女は楽しげに言った
「クリスはマスターの事大好きだよね」
「え? なに言ってるんですかそんなわけないじゃないですか」
なにを言い出すのだろうか
あんないい加減な男好きなはずがない
そうだ
彼への思いはそんなものじゃない・・・
愛とか好きとかそなものじゃなくて
・・・・・・
暗く
ただ広く
何もない
そこが私の居場所
いつからだろう?
この暗い空間に一人でいるのは
もうエネルギーがなくメモリー(記憶)もかなり失った
もう自分が誰かも解らない程に
少しずつ消えゆく自分
全てが無になってゆく感覚
死
寂しくて
辛くて
なにより
怖い
まだ死にたくない
助けて
誰か助けて・・・
タスケテ
惑星アムドゥスキア
激しい地殻変動によりマグマが噴出する灼熱の星
一人の男(アークス)が初めてこの星に任務でやってきた
「おいおいマジかよ・・・・」
この星の環境に言葉を失う
それも当たり前だ
ここは人間の住める場所じゃない
「こんなことなら、空豆さんやToloriさんについて来てもらうんだった」
この二人はついこのないだ行われた
アークス入団試験の時に知り合い
意気投合したのだ
「確か依頼の内容は・・・」
昔の戦闘の痕跡発見及び回収・・・か
まったく難儀なトコだねアークスってのは
・・・・・・
暫く歩き進んでみるとそこには無数の機械の残骸と人間であったらしい物体が転がっていた
「・・・ふう、こうはなりたくないねー」
っと、こりゃキャストか
まだ生きてるみたいだな
そう思い男は壊れたキャストに近寄った
タスケテ
ダレカ
ワタシヲ・・・
暗闇の中
優しい何かが私の頬をなでた
その温もりが全てを包んでいく
・・・
「ここはどこ?」
目を開けるとそこには一人の男がこちらを見つめていた
男は
「大丈夫か?俺が見えてるかい?」
「・・・」
キャストはただ虚ろな眼差しで
「あなたは誰?」
と訪ねた
「俺か?」
「俺は・・・・・・ 幽、アークスさ」
男は優しい笑顔でそっと此方に手を差し伸べた
「幽」
・・・・・・
「クリス?おーいクリスってば?」
ふと我に返るクリス
その様子に髪の長い少女は心配そうにこちらの様子を聞いてきた
「あ・・・いえ少し考え事をしてました」
「ふーん? でマスターはいいの?」
そう髪の長い少女が聞くとクリスは
ふふっと笑ってこう続けた
「全くしょうがない人ですよね、仕方がないので少し探してきます」
そう言って彼女は嬉しそうにチームルームのロビーを後にした