ハガル艦隊ダーカー襲撃事件
たくさんの人と・・・・たくさんの絆が消えた・・・・あの事件
その事件は、1年たった今でも誰もの心に残り、傷跡は・・・まだ消えないでいた
でもそんな事件の本当の黒幕・・・・そして結末は報道されず
一握りの限られた人間しか知らなかった
そしてその事件で過去を断ち切り・・・前を向いて歩きだした1人の青年と・・・少女がいたことを
誰も・・・・・しらない
そんな中、その事件で父を失ったある一人の少年が・・・・新しい一歩を踏み出そうとしていた
貂火の章アフターストーリー 1章 ~波乱の始まりと墜落した場所~
ゆっくりと息を吸い・・・・・吐く
深呼吸は僕の癖のような存在だ
それを隣で見た幼馴染がクスクスと笑う
「もー・・・・響ってば・・・・・まだ緊張してるの?」
僕はそんな楽しそうな幼馴染に少しだけ文句を言ってやった
「当たり前だろ?アークスっていうのは本当に大変で、責任ある仕事なんだぞ?」
そう言って僕の幼馴染・・・奏の頭をこつんと叩いた
「いったあ・・・・・あんたねぇ・・・・・力強いのよ・・・!」
あれ?軽くたたいたつもりなのに、我が幼馴染さまはたいへんご立腹でいらっしゃる
「ごめん!痛かった?」
罪悪感もあり素直に謝った僕を見て彼女はまたクスクスと笑いだした
「も~あわてちゃってさ・・・・・まあいいけど、あんた力強くなったわね、昔は私のほうが強かったのに」
ぷくっと頬を膨らませた彼女の銀色の髪がさらさらと宙に広がる
「まあアークスになるために小さいころから勉強してきて・・・ここ一年は特に体を鍛えたからね」
そう言ってちからこぶを作ってみせると、またクスクスと笑い始めた
「あんたに先を越されちゃったけど、私もアークスになるからね!」
そう言ってビッ!と指を僕に突き付け腰に手を当てた彼女はとてもかわいいと思った
「だから・・・しぬんじゃないわよ・・・しんだら許さないから・・・・・」
「うん・・・・絶対僕は生きて帰るよ!・・・ってまだちゃんとアークスにはなってないけどね、今日の試験頑張らないと・・・」
そう言ってニコッと彼女に笑いかけると彼女は少し赤面してぷいっと横を向いた
「ふ・・・ふん!せいぜいお父さんのことを越す前に死なないことね!!!」
舌をべーっと突き出し彼女はエレベーターまで走りだすそして突然振り向いて僕に叫んだ
「すぐに追いついてやるんだからっ!勝手に死んだら承知しないわよ!!!がんばれ!バカひびきっ!!!!!」
僕も叫び返した・・・・天国の父にも家で待つ母にも届くように・・・
「行ってくるよ!!!!!父さんみたいに、たくさんのものを見て、たくさんのものを聞いて・・・・そしてみんなを守れるくらい強くなるために!!!」
僕はあらかじめ予約してあったキャンプシップに乗るために、彼女と反対の方向へ
父も昔通っていたであろうゲートに向かって走り出した
惑星ナベリウス凍土エリア
そこでは1人の少女がとぼとぼと歩いていた
少女はふと、通信相手に話しかける
「ね~みけー」
<なんだい?貂ちゃん?>
通信相手はすぐに少女の語りかけに答えた
「すごい寒い・・・・・」
<あたりまえだろ?そこは凍土エリアだぞ?寒くないわけがない>
ズズっとコーヒーをすする音が通信越しに聞こえ、少女はそれにぴくっと反応した
「みけ・・・・・あんた・・・!こんな寒いとこに一人で来させて・・・自分だけコーヒーとか飲んでるの・・・?」
少女は肩をぴくぴくさせながら通信先の女性に静かに語りかける
<コーヒーは熱いのに限るね・・・・・だけど僕は本当にすまないと思っているよ、君一人に今回の調査をお願いして>
その言葉に自分を心配してくれる仲間の温かさを感じ、少女はすこし悪いことをしたな・・・・と思った
「いいよいいよ!ちょっとさびしかったから話し相手いなってもらおうかと思っただけ!」
<すまないね・・・本当に・・・僕も戦えたらいいのに・・・・・>
通信先の女性がため息をつくのを聞いて少女は罪悪感でいっぱいになる
「みんなチームを大きくする!そのためにはメンバー勧誘だ!!!!とかなんとかいって出ていったしね・・・」
<そうだね・・・それに肝心のマスター幽くんときたらめんどいとか言ってそこのソファで寝ているよ・・・しかもリリ君の膝枕ときた・・・まったくもう少しマスターとしての自覚ってものがほしいね>
はあっと何度目かのため息をつく通信先の女性の言葉に少女は少し疑問を抱き聞いてみる
「あれ?でもそんなことしてたらクリスや嫉妬に燃えた変・・・・じゃなくて天さんあたりに怒られるんじゃない?」
そんな疑問を口にすると通信先の女性はやれやれといった感じで答えた
<クリス君はさっきまで文句を言っていたが幸せそうなリリ君をみて気まずそうにどこかへ行き、天さんなら俺も彼女欲しーーー!!!とか泣きながら走り去ったよ>
「さすがうちのメンバーだ!!!!!!」
少女は納得したようにうなずくと、また歩き出す
<まあ君には本当に悪いと思っているからね・・・・・帰ってきたら何か御馳走しよう>
「お!いいね!ミケ!!!!!楽しみにしてる!!!」
笑顔になった少女は足取りを軽くさせ跳ねるように雪の中を歩く
<それと冷え切った体を僕が温めてあげよう・・・・肌と肌で・・・・・ね?ホテルを予約しておく>
「それは遠慮しておきます」
少女は寒さではない何かでぶるっと体を震わせ前を向きなおした・・・すると
「あーミケ・・・通信あんがと、お客さんだ」
前には敵意をむき出しにしたイエーデが5匹とキングイエーデが2匹いた、家族だろうか
<戦闘回避はできないかい?早く調査を進めたい>
「無理そう、向こうもこっち見てるよ・・・」
少女は前を向いたまま、両の手で背中の柄をつかむ
<そうか・・・でも気をつけるんだよ?>
通信先の女性が心配そうに言い
「うん!あんがと♪」
少女はそれに答えると背中に吊った2本の刀、錦を
シャラン・・・・という音とともに抜刀し・・・・駆けだした
「ふ~もうすぐワープ終了か、はやいな~さすがはアークスの技術力ってとこなのかな・・・・・」
呟きながら手元の大剣タルナーダのチェックを行う
17とはいえ父から受け継がなかった小柄な体には少し大きい・・・・でもこれを自在に操るために体を鍛えてきた
父の名は暁・・・・昔は毎月の撃破ランキングで常に上位をとりみんなからは一目置かれる存在だったらしい
そんな父だ・・・毎回任務の後には帰ってくるのが当たり前で、あの頃の僕には父の死は突然すぎた・・・・
でもその事件のあと・・ある背の高い女性が僕にこの剣を持ってきてくれたんだ・・・
そして話してくれた、父は自分たちを守り自分たちの仲間が事件を解決するために道を開いてくれたのだと・・・
僕は知りたい・・・・・
いつか、父を失ったあの事件の裏で、何が起こっていたのかを・・・・
その女性もその人はチームメイトだが、どのように解決したか知らないと言っていた・・・でも
作戦に参加したのなら・・・・そしてチームメイトなら本来そんなことはおかしい!
だから僕はアークスとして働いて事件を解決した人たちに会いたい!そして聞きたいんだ!
でも復讐がしたいわけじゃない、何かが憎いわけじゃない
僕は知りたいだけなんだ・・・父が何を想い・・・何を守って死んだのかを
父が切り開いた道の先で、何が起こっていたのかを・・・・
そんな想いのためにこの1年は一生懸命体を鍛えてきた
そしていつか超えるんだ!父の背中を
そう思い窓から景色を見る・・・・見えるのは惑星・・・・・ナベリウス
ある一点の白い凍土エリアを除いて、緑の美しい星だ
「そろそろ座標確定になって・・・ここから降りれるんだよな・・・・」
今はどんよりとした灰色の水面・・・座標確定が終わり美しい色になったここに飛び込めば、体がフォトン化され落下できるはずだ
なお、正式アークスの方に聞いた話だとこの瞬間が一番楽しいらしい
僕はそんな事を思いながらも胸を躍らせ今か今かと水面を見ていると・・・・異変が起きた
ドガン!!!!という音と大きな揺れ、そして鳴り響く警告音・・・・・
<警告!謎の衝撃により、システムが大きな損傷を受けました!我がキャンプシップは航空不能に陥り惑星の重力に逆らえず・・・・墜落します>
そんな警告を聞いた僕の頭は真っ白になった・・・・とりあえず握りしめた大剣タルナーダを粒子化させ収納する
その作業が終わると僕の頭は驚くほどクリアになっていた・・・・心の中にあるたった一つの思いのおかげで・・・それを口に出し、叫ぶ!
「父さんの生きてきた世界を・・・・見てきたものを見ずに・・・・こんなところで死ねるもんか・・・・・!!!!!」
そして浮かぶ幼馴染の顔と・・・・・言葉・・・・
″私がアークスになって2人で一緒に任務に行くまで、死ぬんじゃないわよ!!!!!〟
「ああ!死なない・・・死んでたまるもんか・・・・!奏に会うためにも!!!!!」
僕は幼馴染の名前を呼ぶと目の前にパネルを呼び出し、キャンプシップの操作メニューを出す・・・そして・・・墜落地点を決めた
「凍土エリアの真ん中に大きな湖がある・・・?なぜ凍ってないんだろ・・・?」
そんな疑問もあったけどそれ以上は考えるのをやめた・・・・生き残るにはそれしかない・・・・
僕が墜落座標をタッチするとともに・・・・キャンプシップは大気圏に突入した・・・
「ふぃーーーーーー・・・みけー!おわったよ~」
そういって刀を背中に戻す少女の足元には血まみれの骸が7つあった・・・・
返り血を浴びた少女の表情はどこか楽しそうだ
アークスの粒子化装置の機能の一つ汚れ落としで血が服から落ち顔についた血もきれいに落ちる
「この服動きにくいから戦いにくかったよ・・・・・」
そう言いながら少女は自分の服を・・・・なぜか着ている巫女服を見渡した
<たしか天さんの趣味だっけ?僕もなぜか着せられたよ>
「うん・・・今日の朝女子は勧誘するから全員この服着用!!!人事部からの命令!!!とかいってたよ」
はあっとため息をつく少女に通信先の女性は答える
<まず彼に人事を任せるのがどうかと思うね!僕は!たしかに彼はなかなかに優秀な面もあるが、新人に見せられる人間ではないと思う!!>
「ん~同感だねそれは、あの人変態だし」
二人は言いながらははっと笑いあった
ふと少女は空を見上げると・・・・
「ちょ!みけ!なんか落ちてきてる!!!」
あわてた声で通信先の女性に叫ぶ
<ん?そう言われても分からないね、映像を回してくれ>
「おっけー☆」
そういうと少女は呼び出したパネルを操作、自分のマグ(戦闘補助小型ロボット)が見ている映像を通信先に送る
<ふむ・・・これはキャンプシップだね、左翼に損傷・・・小惑星にでもあたったんだろう>
「え!?それやばいんじゃ・・・・・」
<うん、もしあれに人が乗っていれば絶望的だ>
そうきっぱりと言う女性に少女は叫んだ
「見に行く・・・墜落するとこ・・・・・」
少女が静かに言うと通信先の女性は少しあわてたように言う
<君!調査はどうするんだ!まだいろいろと・・・>
「そんなこと関係ないよ!!!!!!!!」
少女は女性の言葉を途中で切り叫んだ
「私は目の前で誰かが悲しんだり、苦しんだりするのを放っておかない・・・・放っておけないの!!!」
その言葉を聞いた女性は彼女の過去を知っている・・・だからこそ今自分の言った言葉に恥を感じ謝った
<すまない・・・君のことを理解したつもりでいたが、君はもう一人前のアークスの顔をしているね>
そう言った後の言葉は強く少女を動かした
<行くんだ!!!!貂火!!君の想いを!!!!君の願いを!!!!その優しい心で奇跡を起こすために!!!>
「ありがとう!ミケ!『展開!!ラムダアリスティン!!!!』」
一振りの大剣を音声展開してその剣にフォトンを込める
人並み外れたそのフォトン量は呪われた力かもしれない・・・でも
少女は守りたいもののためにその力を使う
握られた大剣が目のくらむような蒼い光に包まれて
「いっけぇ!!!!!!!!」
少女はその剣に乗り、勢いよくとびだした!!!
「う・・ううん・・・・・・」
顔に当たる水の感触で目を覚ました僕は
船の中を見渡す・・・・・
「助かったみたいだね・・・・・・」
そうつぶやくが床には水が浸水している
「このままじゃ沈むな・・・・外に出ないと・・・」
僕は扉まで歩くと・・・叫んだ
「いくぞ・・・・『展開!!タルナーダ!!!』」
父の形見でもある大剣が右手に握られ僕はそれを構える
「ふう・・・・はあ・・・」
深呼吸をひとつして剣にフォトンを込めた
淡く青白い光が刀身を包む・・・・そして
「はあっ!!!」
剣を一閃し斬りつけた瞬間、込めたフォトンを開放する
スパンッ!!!!!という音とともに扉が両断され大量の水が入ってくる
剣を急いで収納し、なんとか流れに逆らって外に出た・・・目の前に広がるのは・・・・水
何も見えないが深くてなかなか水面に上がれない・・・光が差し込み水の中はきれいだ
光に向かって泳ぐ・・・・・そして
ザバッという音とともについに水面に出た水面からはキャンプシップからだろう煙が上がっている
幸い近くに岸がありそこに上がった
寝転がりはあはあと息を整える・・・
息が整うと周りを見渡してみた
そして今まで気にならなかった周りの異様さに気がついた
そこは一言で例えれば・・・・岩場・・・いや・・・・建物があるため、岩場とはいえない
ならこの場合どう表現すればいいか響は分かっていた、でも思考が追いつかない
「うそ・・・だろ?ナベリウスには文明は皆無のはずだ!!!でもなんで・・・・・」
響が驚くのも無理はない・・・・・なぜならそこは・・・・・・・
本来なら存在しない・・・存在してはならない・・・・場所だったのだから
だがそう表現しなくてはならない・・・人々は誰もがここを見ればそう思うだろう
その場所は・・・古代の遺産・・・・・・文明のないナベリウスにはあってはならない場所・・・・
後にその場所は見た目のままこう呼ばれることとなる
遺跡・・・・・・と
続く
最終更新:2012年11月20日 20:04