第10章
~あの日の真実~
「君にも教えよう・・・・・あの日の本当の真実を!」
幽さんが言い放ち私の思考が・・・・止まる
この人・・・今何て言った?
本当の真実・・・・その言葉が私に重くのしかかる
「本当の真実って・・・・・何なんですか・・・・それ!!!!」
私は思わず叫んでいた
私が今までガムシャラになって生きてきた人生、その意味に直結するほど大切なことをこの男は言ったのだ
「ちょっと落ち着いてくれたまえ・・・・話が進まないだろう?」
ミケさんがやれやれと首を振る
確かにその通りなので椅子に再度腰掛けるが私が聞きたいことは変わらない
「説明をお願いします・・・・!」
しっかりとした口調で言う、それほど私にとって大切なことなのだ
「少し肩の力を抜いて聞いてくれ、そんなに睨まれると話がしずらいだろう?
それに君はもう少し自分が女性として可愛い部類に入るのを自覚するべきだ。」
「そうだぞ!キュンと来るじゃないか・・・・・」
そういう割には男の幽さんは動じずミケさんが顔を赤くしている
私はブルッと身震いする、
シップ内はいつも適温で保たれ、過ごしやすい環境だというのにどういうことだろう?
と思ったが考えるのはやめた
「わかりました、でもそこまで言うなら納得のいく説明をしていただきます」
「ふむ・・・・・俺はあまり話すのが得意じゃなくてね、見てもらったほうが早いだろう・・・・ミケ、例のやつを・・・」
ミケさんは無言でうなずくと何かを操作する・・・・すると私たちの前に大きなパネルが現れた、そして映像が流れ始める
そこに映っていたのは今は亡き父と・・・・・母だった
「くそっ何なんだこいつらは・・・キリがねえ!」
「あなた!後ろに3体!前にも5体いるわ!」
アークスシップアルカディアで起こったダーカーたちの大規模な襲撃
その中で戦う2人の男女がいた
「豪火!、貂雷!援軍に来たぞ!」
そこに駆け寄る2人のアークスだ1人は若く新人のアークス、そしてもう一人は古株で知られる1人のキャストだ
「おお!トロさん!そしてそっちのは新人さんかい?」
豪火と呼ばれた男性のアークスは目の前のダガンを斬り裂いた後、援軍として現れた古株のキャストに声をかける
「ああ!訳あって面倒見てるんだ!ほら挨拶しろ暁」
「豪火さんと貂雷さんですね?お噂は僕の耳にも届いています。お会いできて光栄です!」
近くのダガンの攻撃をよけ反撃をしながらその新人のアークスは声だけで挨拶をする
「おお!新人にしちゃいい動きじゃねえか!トロさんもいい仕事するね!」
男が称賛の声をかけると新人のアークスはどうも!と叫びトロと呼ばれたキャストは愉快そうに笑った
「ああ!なかなか見こみあるだろ?手のかからなくていい奴なんだしかもこいつ今年で6歳になる息子がいるんだぜ?」
「まじかよ・・・・・こんなわけえのにうちの娘と大して変んねえじゃねえか」
「ホントに!あなたの若いころとは大間違いね~!」
「うるせえな・・・・貂雷は昔からグチグチグチグチ・・・・・・」
「なら昔からピシッとしとくべきだったわね♪そしたらもうちょっと早く結婚してたのに・・・・・」
男女は戦いながら声をかわしていく2人は昔からのライバルで仲間で・・・そして今では夫婦だった
そこへ1人の男が女の子を連れて通りかかる
「兄貴!自分の娘くらい自分で助けやがれ!」
「おお!愛しの弟よ・・・・ありがとうな・・・・貂火を助けてくれたのか・・・・」
「ありがとう・・・・娘だけ心配だったの!私からもお礼を言うわ・・・・・」
夫婦は自分の娘の安全を知りどこか不安げだった顔がぱっと明るくなった
「ケッ!兄貴のためじゃねよ・・・義姉さんと貂火ちゃんのためだっての!」
少し赤くなった頬を掻きながら男は7歳くらいの女の子を背負った
「この子は俺が近くのシップまで連れてく!兄貴たちは存分に戦いやがれ!」
「パパ?ママ?早く帰ってきてね!」
「ああ!貂火!パパはすぐ帰るぞ?」
「叔父さんに迷惑かけないようにするのよ?」
親子が言葉を交わしたとき・・・・ガシャーン!とものすごい音がした
ビルを突き破り現れたのは大型のダーカー・・・ダーク・ラグネ
その左目には大きな傷があった
「クソッ!大物が出てきやがった!弟よ!貂火のことよろしく頼むぜ!!」
グッと男は自らの大剣アリスティンを構える
「任せろ兄貴!ほらいくぞ!貂火ちゃん!パパとママにさよならいいな!」
「またね~パパ!ママ!」
男は女の子を抱えて走り出す・・・男もアークスでは名の知れた腕利きだ、ちいさな女の子を抱えて逃げるくらいどうってことない
それを一番よく知る兄は弟に娘を託し、斬りかかろうとして
自分の手に剣がないことに気がついた
「探し物はこれか?」
そういったキャストの手には男の大剣が握られている
「トロさん・・・・どうして・・・・」
女もその光景に訳が分からず愕然とし、自分のロッドを取り落とす
「何してるんですか!トロさん!あんた・・・・まさか・・・・」
新人のアークスは眼だけでキャストを見ながらそう言った
「こいつらがいなければ私の申告・・・ダーカーの捕獲しての調査が通ったんだ・・・
あの夫婦がいればダーカーなど怖くないと・・・上層部のやつらは頭が堅い」
キャストはどこか悲しい雰囲気を醸し出しながら次の言葉を紡ぐ
「だからここで死んでもらう・・・・アルカディアが落ちれば現生種同様、ダーカーを捕獲し生態を調査できるはずだ」
男は銃を構え男と女の足に一発ずつ弾を打ちこんだ
「すまない・・・・私にはやらねばならないことがある・・・・私たちは本当の意味で奴らを知らないといけないんだと・・・そう思うから」
そう言ってキャストは1人戦線を離脱し
足を撃たれて動けない夫婦は抱き合い、寄り添うようにしながら振り下ろされるダーク・ラグネの足を仲良く見つめていた
「大丈夫かい?貂ちゃん・・・・・」
「無理もない・・・この子にはあまりにもつらい映像だ」
私はその言葉で現実に戻ってきた
涙が後から後から流れ・・・私のスカートに深い染み込んでいた
そして私の心に生まれたのは悲しみだけじゃない・・・・一層強くなった憎しみだ
「君はこのラグネに踏まれる両親の様子を遠くから見ていたんだね?」
幽さんにそう聞かれ私は深くうなずいた
あの後叔父の腕の中で泣き叫び・・・・私は心を失ったのだ
「君はあのラグネを探しているようだが・・・残念ながらもういないよ」
「え・・・・・」
「暁という青年がいただろう?あの男が一人でこの後倒している」
ミケさんの丁寧な説明を聞いて私はふと引っかかった疑問を言葉にした
「暁って・・・・まさか・・・・」
「そのまさかだ」
幽さんは深くうなずき・・・・言った
「ハガル所属でいつも任務にソロで挑み数々の撃破ランキングで上位をキープしているあの男・・・・通称・・・・無敵の男だよ」
そして私の運命の歯車は・・・物語の核心へと動き始めていた
最終更新:2012年11月24日 19:42