……あれからどれくらいの時間がたったのだろう?不意にそう思ったときにはもう目は覚めていた。
目の前に広がっている光景は、先ほどの森林とはまったく変わっていない。
一つの人物を除いて
「え……誰?」
不意にそう言葉をこぼすと、相棒は不思議そうに答えた。
「ん?人がいるのか?俺には見えないけど……。それより相棒、いきなりびっくりしたぜ?急に倒れたかと思ったらけろっとしてるし……」
おかしい。相棒ことアフィンがこの人に気づかないのはおかしい。
だって、この人はアフィンの目の前で見える距離に立っている。もちろん周りには司会の妨げになるような障害物はおろか、草木だって生えていない地点なのだ。何がどうあっても、目の前にいるこの人物に気づかないわけが無いのだ。
そんな矛盾に自問自答をしていると、不意にその人物から声が聞こえてきた。
「君は……まだ始まってないのか……」
その、問いともとれる声に、私は耳を傾ける。もはや相棒の声は聞こえていない。
「まだ始まってないとすれば……チャンスかもしれないな……」
男とも女とも取れる声。今まで聞いたことの無いような声。だけど、長年待っていたような声。そんな声に、私は夢中だった。
「君に、一つの可能性を与えよう。これで変わることができるのならば……歴史は動きだす!!!」
一瞬だ。ものの一瞬で当たりは暗くなり、空気はよどんだ。
相棒もあわてているようだが、言葉は相変わらず聞こえない。耳にはさっきの声の主の言葉のみだ。
「目覚めよ。そして見せてくれ、可能性の力を……示してくれ、未来を……」
その言葉が終わると同時に、私の体を取り巻き始める黒い渦達。相棒は心配そうに私に声をかけるが、そんなことはどうでも良かった。不思議と、この渦に取り込まれることを待っているかのような感覚だった。
心地いいとも取れる感覚が終わると、もう迷いなど無く、目の前の人がおいしそうに見えた。タベタイ。
「グァァアアアアアア!!!」
その日を境に、歴史は始まった。この、混沌とした物語の。この、悲しき物語の。
そして、ひとりの少女は、この物語の巻き込まれるかたちで、悲劇を目の当たりにすることになるのであった。
「ああ~……おなかすいた~……リク~!!!飯作れやごるぁ!!!」
ファンタシースターオンライン2
第一章 完
最終更新:2013年01月13日 23:13