アウタリアンは惑星アウタリオ出身のエイリアン種族で、竜人属系統に分類される。
竜人属だが顔つきは猛禽類に似ており、先細りした口を持っている。また、頭の角はこめかみに近い部分から1本ずつ生えているが、成人時には水牛のように上に向かって湾曲する事で知られる。
小規模星間同盟であるアウタリア自由主義同盟の盟主格だが、波乱の歴史を含んで誕生した経緯がある。
時間は旧ロメニア帝国時代に遡るが、惑星アウタリオはこのロメニア帝国の領域とそう遠くない位置に存在し、当時宇宙に本格進出して間もなかったアウタリアンは、旧ロメニア帝国への迎合を強要された。
旧ロメニア帝国より科学技術が劣りながらもアウタリアンは強く反発し、友好関係にあったいくつかの惑星国家と軍事同盟を結んで対抗した。しかしこれらの国家群はいずれもアウタリアンと同等の宇宙進出経験であり、ある程度の歴史を踏んでいた旧ロメニア帝国は依然として脅威だった。
旧ロメニア帝国は税率軽減の特別適用や経済支援、科学技術供与、発言権の保証等を交渉のテーブルに出してきたものの、旧ロメニア帝国からの亡命者の保護でかねてから旧ロメニア帝国の評判を聞いていたアウタリアン達は、ロメニアンの徹底した管理主義に基づいた帝国主義思想を危険視していたのである。
アウタリアンや彼らと経済交易のあった惑星諸国は、実際の所かなり自由な貿易を展開しており、これはお互いに主力とする特産品や技術、科学製品等が存在しなかったことによるもので、思い切った自由貿易を行っても失うものが何もなかった事が理由である。アウタリアン達はロメニアンの支配を受ける事で、この経済繁栄の謳歌を潰されると危惧したわけだ。
だが旧ロメニア帝国は辛抱強くこの小規模な自由経済圏を懐柔しようとした。実際に外交使節団を自国領に招き、ロメニア帝国に加盟する事のメリットがデメリットに勝ると印象付けようと努力したのである。小規模星間経済圏の獲得にロメニアンが躍起になっていたのは、ここを足掛かりとする事でジェネローグ帝国に対する牽制にしようと考えていたからに他ならない。
しかし当時、旧ロメニア帝国とジェネローグ帝国は休戦協定を結んでおり、武力行使は旧ロメニア帝国側の不利に傾く事は明白であった。そこであらゆる外交手段を駆使してアウタリアン達を懐柔しようとしたのだ。彼らが実際にアウタリアン達を特別扱いしようとしたのかは今となっては分からないが、経済活動においては彼らを放任する事で莫大な経済的利益を居ながらにして懐に収められる可能性はあった。とは言え小規模経済圏なので旧ロメニア帝国全体を潤す効果はまず考えられず、やはりこれはジェネリオス達への牽制カードに使う目的が強かったという研究が有力である。
宇宙進出歴が浅かった事で、ロメニアンはアウタリアンが比較的容易に甘言に乗せられると楽観的だったらしい。
ところがアウタリアン達の領域内を、ロメニアンのスパイや小型艦艇が密かに領域内調査や機密情報に関する情報収集を秘密裏に行っていた事が発覚し、このしつこいセールスマンに辟易していたアウタリアン達はようやくロメニア帝国を拒否する絶対的理由を得たのであった。但しこれは、結論から言えばジェネローグ帝国側の工作によるものだった。
ジェネリオス達はロメニアンの動きを注視し続け、外資企業の社員を装ったスパイを送り込んで密かにロメニア帝国が尻尾を出すタイミングを窺っていたのだ。外資企業そのものは正当な民間企業だったが、ジェネローグ帝国の介入でスパイの活動拠点とする事を了承させていた背景がある。そして遂に告発する決定的な証拠を発見し、ロメニアンのスパイが流す通信を、あたかもアウタリアン側の治安組織が傍受したように見せかけたのだ。
ロメニアンの致命的な背信の発覚により、アウタリアン達は旧コルサディア共和国側に旧ロメニア帝国に対する抗議声明を提出、これを真っ先に支持したのは他ならぬジェネローグ帝国だったのは想像に難くないだろう。ジェネローグ帝国は、旧ロメニア帝国が自分との休戦協定を破るばかりでなく、再び流血の事態を引き起こそうとしていると喧伝した。さすがに流血事態への発展については旧共和国もジェネリオス側の思想誘導であると分かっていたが、旧ロメニア帝国が休戦協定を破る行為を行った事は間違いない事実として認めざるを得なかった。そして共和国側は全会一致で旧ロメニア帝国に対する非難声明と、特別指定警戒措置の適用を決定する。即ち旧ロメニア帝国は一定期間の監視状態に置かれる事である。この監視措置に置かれた国家は無条件に政治干渉(危険行為に限定されるが)を受け、これに従う事が義務付けられ、もしこれに反すれば経済制裁が行われるのだ。もっともこの措置には賛否両論があり、アムーグア帝国によって廃止され、以後この制度が復活する事はなかった。
追い詰められたロメニアンはここで勝負を焦る。つまり艦隊を派遣、威嚇する事でアウタリアン達を無理矢理屈服させようとしたのだ。ジェネローグ帝国が代わりにアウタリアン達を支配下に入れてしまうと考えたらしい。
アウタリアン達も新たに軍事同盟を締結して彼らに対抗するが、誰の眼から見ても無謀て絶望的な対抗としか言いようが無かった。それでも彼らが軍事同盟を結んだのは、彼らが覚悟を持って臨んでいたからだ。
科学力がロメニアンに劣るアウタリアン達を軍事支援したのはやはりジェネローグ帝国だった。旧共和国とは距離があるし、当時新興国ながら強大な軍事力を有していたアミティア共和国との摩擦処理にかかりきりとなっていた旧共和国に旧ロメニア帝国を押し止める実行力が無かった。
そこでジェネローグ帝国が代わりに軍事支援を表明し、それを行使するだけの十分な口実を得ていたのだった。アウタリアン達は、皮肉にも同じ帝国主義国家のジェネローグ帝国によって救われる事となった。
アウタリアンに限らず、誰の眼から見てもこの救援策を政治利用される恐れは十二分にあったが、それでも旧ロメニア帝国から自国を守る為に止むを得ずジェネローグ帝国の軍事支援を承諾したのである。
アウタリアンやその同盟国家は自国領域内の惑星や衛星へのジェネローグ軍の駐屯を許可し、補給や医療援助を行った。最終的に戦端は開かれなかったが膠着状態に陥り、後に「流血無き膠着」と呼ばれるようになる。
一応ジェネローグ帝国からは外交上の決定権を除いて自治権を保証される保護国措置を受けるが、アウタリアン達の軍事同盟も事実上解体させられ、ジェネリオス達から内政干渉を頻繁に受けるようになり、何の為の蜂起だったか分からなくなってしまったのであった。今日では、このあたりは経験値の差であると分析されている。
こうして長年支配を受ける事となるが、ジェネローグ帝国側も不利を知りながら旧ロメニア帝国に対抗した勇気を認めていたようであり、アウタリアン達は惑星ザリクのような帝政圧力を受けていなかったようである。
そういうわけで惑星アウタリオやアウタリアンと軍事同盟を組んだ惑星諸国が、ザリクのように荒廃する事はなかった。
ターニングポイントとなったのは惑星ジェネリオスの惑星変動と言えよう。
この惑星変動でジェネローグ帝国は混乱に陥り、この機を逃すまいと旧ロメニア帝国が動き出す。しかし直後にアミティア共和国がジェネローグ帝国に救援の手を差し伸べた為、結局ロメニア帝国はまたも矛を収めるが、国力を再編する為、ジェネローグ帝国はアウタリアンに独立を認めたのである。
アウタリアンがかつて旧ロメニア帝国に対抗して軍事同盟を結んだ各国の独立も求めるとジェネリオスはこれも認め、彼らの支配から解放された彼らは再結集し、経済的交易圏を設立する。軍事同盟でないのは当時の情勢を考慮して下手な刺激を与えない為だが、事実上軍事支援も視野に入れられていた。
また、国力は依然として小規模に等しかった為、アミティル連邦と経済協定を結んでこの強大な列強を後ろ盾とした。アミティル連邦は強大な軍事国家だが帝国主義国家ではなかった為、アウタリアン達としても心理的に抵抗が少なかったという事情もあるようだ。
また、いらぬ禍根を残さぬようにと、かつての支配者であるジェネローグ帝国を支援した。
ところが直後のアムーグア帝国によるコルサディル銀河系侵攻を受け、またもアウタリアン達は帝国主義国家の支配下に入った(直接支配こそ受けていないがアムーグア帝国の制定した法律が影響を及ぼしていた)。
そして、アミティル連邦と交易を結んでいた関係上、第2次コルサディル戦争ではアミティル連邦側に半ば強制的に協力させられ、主に後方支援の任に就いた。そこには領域内への軍の駐屯も含まれており、アウタリアンとしては過去の悪夢が頭をもたげたに他ならなかった。
最終的に彼らが事実上の独立を果たすのは新共和国と連邦の和解後であり、その後彼らは「アウタリア自由主義同盟」の設立を宣言、コルサディル中立同盟に身を寄せる事となる。
ただ、当のコルサディル中立同盟からは距離がある為、宙図を見ると中立同盟の領域が2つに分かれているように見える。
しかしリニューアルしたロメニア帝国とアミティル連邦の間で発生する小競り合いや紛争を調停する大役を立派に果たしており、過去の経験からアミティアンやジェネリオスとはある程度の良好な関係を築いているようである。
因みにロメニア帝国は彼らをあまり快く思っていない様子。
雌雄性で平均寿命は420年、霊力資質も筋が良く、基準年代に入ってライディエル騎士に入団する個体が増加してきている。
波乱の歴史を歩んできた為、辛抱強いが鋭い政治的感覚を持ち合わせるに至っており、過去の経緯から帝国主義を嫌う風潮が流れている(ただしジェネリオスとの交易があるなど、ケースバイケースが存在する模様)。
ジェネローグ帝国の支配を受けていた影響故か、機動性の高い艦隊が整備されている。
但し近年では中立同盟共通運用の軍用艦艇を積極購入し、独自の軍事技術の育成には消極的になりつつある。
<報告>
コルサディル中立同盟の一員にして第三勢力の盟主格の位置づけ。一応オリジナル種族ではありますが、ポーランドやハンガリーといった列強同士の争いにに揉まれた東欧諸国のイメージはあります。
独自の軍事技術育成ではなく他国からの装備購入は、戦車開発を中止したスウェーデンが参考になっていたりする(何)。