●スペースパレット
四方50mの正方形型ユニットで、厚みは15m。内部にAIが搭載されており、外部からのコマンド入力に従って動作する。
四辺に渡ってトラクタービームとフォースフィールド発生装置が並んでおり、互いに引き合いつつフォースフィールドを展開する事で宇宙ドックや宇宙基地建設現場を『仮設』する用途に使われる。
この機能により、理論上は宇宙船や宇宙基地の大きさに制約されない利点を持つが、枚数が多くなればなる程に運用コストが上昇するので限度はある。
パレット内部にはAIに加えて各種工作機械が内蔵されており、これらを駆使して修理や建築、建造を行える。
規模が大きい場合、大量のスペースパレットが使われる事になるが、ある程度の枚数でまとめた「群」で使用され、その際はこれらをクラスター制御するセントラルAIによって動かされる。
コマンド入力がセントラルAIになされると、それに従ってセントラルAIがパレット群を動かして作業するのである。
スペースパレットには、ユーザーのニーズに応じて順次開発された様々なタイプが存在しており、いくつかの基本形に加えてマイノリティなカスタマイズタイプの種類が膨大に開発されている。
パレット内のAIには自己管理システムも備わっており、この為真空内での保管も可能だ。セントラルAIによるクラスター制御による一括管理を行う事により、定期メンテナンスの頻度を軽減可能だ。
パレット内部には実際にドロイドや作業員が入って保守点検を行うチューブ型の作業通路が設けられている。
・スタンダード
半分に折り畳める機能付きで、船内や基地内に大量搭載出来る為、辺境宙域にも対処出来る。
・シンプル
折り畳み機能を排除してコストを更に低減したタイプ。運用枚数の少ない企業等が使うが、大企業もスタンダードと混ぜて使う場合がある為、思いの外ヒットした。
・ハイスペック
パレット内の工作機械がエーテルポシェットによって圧縮収容されているタイプ。搭載する工作機械にも幅が出来るので必然的に高性能だが、それに比例して高価。
業界内ではパレット群の中に1、2枚混ぜて最重要部に割り当てるハイブリッド運用を採用する例が多い。
・スタンダード・セパレート
予め4枚の三角パレットに分離出来る機能が付与されたタイプ。スタンダードよりやや高価だが、小回りが利く便利品として人気がある。
・ハイスペック・セパレート
予め4枚の三角パレットに分離出来る機能が付与されたタイプ。高価なハイスペックよりも更に高価なので、オーダーメイドとなっている。
・ハイスペック・フレキシブル
ハイスペック・セパレートよりも更に高価なオーダーメイドパレット。現場の状況に応じて、内部の工作機械が動いてパレットを好きな形に切り取って運用出来るようになっている。
この際、工作機械が内部で柔軟に移動して各分離パレットに分散されるが、エーテルポシェットの技術が応用されている。
また、AIも素早く分離できるように『流動化AI』という光るジェル状AIが採用されており、自由に分離して各分離パレットに移動し、制御出来る仕組みとなっている。
異様に高いスペースパレットとして知られ、大企業でもおいそれと手出しは出来ない代物。
しかしオーダーメイドで生産は可能となっている。