次元融合。
それは2013年7月11日に世界を突如見舞った怪奇現象で、2つの似て非なる世界が一緒くたに混ざり合ったものだった。
その初日、2つの世界の住人はこの未曽有の事態を前に、大混乱に陥った。
秩序が崩れるか崩れないかの瀬戸際にあった時、日本の首相官邸から国際社会に向けてのメッセージが、緊急記者会見にて発せられた。
「どうも……外務次官の東郷と言います」
カメラの前に立った若い日本の政治家はそう名乗り、目の前の記者達、そしてカメラの向こうの無数の視聴者達に向けて語り始めた。
各国の政治家達も当然、このライブ中継にテレビやラジオのチャンネルを合わせ、耳を傾けた。
「自分が今から皆さんにお話しすることは、非常識なものであることをお断りしておきます。
ですが、自分の中では、これがこの“現象”を説明する、最も合理的な解釈と信じています」
その前置きに、多くの者が首を傾げた。
これからこの東郷という男が一体何を語ろうとしているのか、何を考えているのか、本当に突拍子もない事なのか…とにかく人々は身構えて、次の言葉を待った。
僅か2、3秒の間は1時間にも2時間にも感じられた。
「推測の結論から言えば……『2つの世界が交じり合った』ということです」
その話は、意外にも冷静に受け止められたものである・・・もっとも驚きや思考停止も生んだが、受け止めざるを得ないものだったからだ。
例えばアメリカのホワイトハウスのウエストウイングでは、2人の大統領が東郷の発表を聞いた直後に無表情に顔を見合わせたし、英国のウエストミンスター宮殿では2人の首相が互いに困惑の表情を浮かべつつ、躊躇いながらも握手を交わした。
現在進行形で起こっている状況は東郷の言葉を裏付けており、誰かがこの現象を伝えなければ混乱は混沌に陥っていたかもしれなかっただろう。
その混乱の、「一応の収束」の役目を担ったのが、偶々東郷一義という日本の男だったというわけである。
最後に、東郷外務次官はこう呼びかけた。
「ご覧の通りです……我々がすべきことは対立ではなく、協調だと考えますがいかがですか?」
2013年7月12日
「東郷外務次官の発表は国際社会に衝撃をもたらしましたが・・・」
BBCのニュースキャスターは昨日の日本政府による衝撃の声明のニュースを読み上げている最中、臨時ニュースが入った事を知らされた。
その内容に、ニュースキャスターは何か皮肉めいたものを感じながら淡々と読み上げるのであった。
「西アフリカのシエラレオネ共和国で、2つの反政府武装勢力の抗争が勃発、周辺地域の住民にも多数の死傷者が出ている模様です。昨日から発生した怪奇現象との関連は不明ですが、抗争の拡大と、かつての内戦の再来が懸念されています。シエラレオネ政府は軍に出動を命令し、鎮圧を試みています。また同時に、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)に西アフリカ諸国経済共同体監視団(ECOMOG)の派遣を要請中です」
それから半日が経過したが、事態は悪化の一途を辿っていた。
「反政府ゲリラ同士の抗争は激化しており、両勢力が首都フリータウンに侵入、激しい銃撃戦を展開している模様です。多くの住民が逃げ遅れ取り残されているとの事ですが、ゲリラ同士が彼らを捕まえて人間の盾にしているという情報も入って来ております」
「シエラレオネ軍とECOMOGはフリータウンを包囲しましたが、反政府ゲリラ同士が逃げ遅れた住民を捕らえて人間の盾にしており、彼らへの誤射を懸念し、直ちにフリータウン内へ突入する事は断念されました」
「シエラレオネ政府は英政府に軍の派兵を要請、ランカスター首相は要請に応じる姿勢を示し、ボールドウィン国防大臣に軍の派遣を命令しました」
「フランコフォニー国際機関とポルトガル語諸国共同体は共同声明を発表」
その内容とはこうであった。
『我々はシエラレオネで起こっている深刻な危機に大変憂慮している。一刻も早くこの事態が解決される事を強く望む。引き続き我々は強い関心を持って、事態の推移に注視していく』
2013年7月14日
シエラレオネ共和国は1808年から英国の直轄植民地にあったが、1962年4月27日に独立を果たして今に至る。
独立を果たした後も英国を宗主国とする英連邦の一員として加盟し続けており、今回の事態で英政府に軍の派兵を要請したのもこういう国際事情があったからである。
首都のフリータウンは、同国南西部のフリータウン半島に位置し、英国の解放奴隷が建設した欧米型の港湾都市で、シエラレオネ共和国内では最大の規模を持つ。
シエラレオネ政治の中核もここにあり、だからこそ2つの反政府武装勢力は抗争を続けながら、ここを掌握して主導権を握ろうとフリータウンへ我先にと雪崩れ込んだのであった。
その動きは予想以上に早く、首都の住民は逃げ遅れ、次元融合の混乱の最中にあった軍の反応が遅れてしまったのである。
BBCのニュースキャスターが言った「かつての内戦」とは、1991年~2002年にかけてシエラレオネ共和国を苛んだシエラレオネ内戦の事だ。
革命統一戦線(RUF)と呼ばれる反政府武装勢力と政府軍との間で繰り広げられた7万5千人以上の死者を出した悲惨な内戦で、フリータウンも戦火に見舞われたが、最終的に双方が停戦に合意して漸く終わりを告げた。
内戦の悪夢が、こんな大変な時に再発しようとしていたのである。
どこだか分からない一室の真ん中に置かれた粗末な作りの木製の椅子に男が1人、顔に古びたずた袋を被せられた状態で座っている。
手足は拘束されていないが、その後ろには各々AKMアサルトライフルを持った2人の男が立って監視し、彼らと真向かいに左目に縦の一本線の傷がついた男が立っていた。
「取れ」
この男が命じると、見張りの1人が乱暴にずた袋を剥ぎ取った。
椅子に座る男は、正面の男にすぐ気付いた。
「ウゴ!」
「わざわざ死にに来たのか、カロン?」
革命独立戦線(RIF)リーダーのウゴ・モリスは、腰に付けたホルスターからトカレフ自動拳銃を引き抜くと、いきなり銃口をムワナ・カロンの額に押し当てた。
カロンは怯まず要件を切り出す。
「違う。停戦交渉の提案だ」
「それであんたがお使いか」
モリスが更にトカレフを押し当てる力を強めたので、カロンの頭が少し後ろに傾いた。「あんた子飼いの民兵団で奴らを始末してくれよ」
「これ以上一般人を巻き込むな」
「奴らを皆殺しにしてくれたら話は済むぜ」
モリスの言う『奴ら』とは、自分達と銃撃戦を繰り広げている別の反政府武装勢力の事で、名前は『シエラレオネ愛国の戦士』たちと言う。
「おい、もうやめるんだ」
「友達気取りか?」
「今でも大切な友達だ」
いつ引き金が引かれるか分からない緊迫した状況で、モリスは根気強く元戦友の反政府ゲリラリーダーを説得しようとした。
「油断させる腹だろ?とっとと失せな。俺の気が変わらんうちに」
「ウゴ…」
「もう一度そう呼んだら殺す。これ以上用は無い」
カロンの額からトカレフが離れた。
モリスがトカレフを持つ手を振って合図すると、またカロンの頭にずた袋が被せられた。
「待て!後悔するぞ!」
手下に立ち上がらせられながらカロンは言った。
その只ならぬ雰囲気に、背中を見せていたモリスは振り返る。
「…突入する気だな?」
「そうじゃない!同じ話を相手にもしているんだ!」
「…ちっ」
顎をしゃくると、手下がまたカロンを座らせて、ずた袋を取った。
手下同士も、カロンの言葉の意味を理解したのか目配せで無言の会話をしている。
「はったりじゃねえだろうな?」
「本当だ。もし断ったら非を問われるぞ。この上助かる道を閉ざしてどうするんだ」
「ふん。今更何だよ」
と、モリスは鼻でせせら笑った。
どこか諦観にも似た、自嘲気味の表情だ。
「俺がこれまで何をしてきたか知ってるだろ?それを今更、助かる道だなんて虫が良すぎるぜ」
「この場で殺される事だけは避けられるじゃないか?」
「で、その後は?グアンタナモか?他にやばい所か?まあどこだろうと知った事じゃないがな」
「いいからこの話に乗ってくれ」
「そうやって話を長引かせて何を企んでいる?」
「何も企んでいないし、君の猜疑心が長引かせてるんじゃないか。どうする?これ以上の長話が嫌なら答えてくれ」
いつの間にか前のめりに訴える元友人に、モリスも再考せざるを得なくなった。
今は袂を分かっているが、これでも少年兵時代は共に地獄のような死線を掻い潜って来た、信頼し合った戦友なのだ。
「…よし。もし嘘ついてやがったら、人質を殺す」
「じゃあ、無線を返してくれ。軍に連絡するから」
「良いだろう。お前は帰るのか?」
「いや、ここに残る。連絡係に必要だろ?」
「相変わらず馬鹿な奴だ」
すぐに手下が別の部屋に行って、カロンから取り上げた無線機を持って戻って来た。
フリータウンから南へ30kmほど沖合の海上では、英海軍のヘリコプター揚陸艦「オーシャン」がゆっくりと航行していた。
その前後には23型フリゲート「ランカスター」と、リバー級哨戒艦「セヴァーン」が護衛に就き、左右にはシエラレオネ軍の上海Ⅱ級哨戒艇が1艇ずつ航行し、機関砲や機関銃を外側に向けて近付く不審船がいないか警戒している。
「ネルソン艦長。RIFが停戦交渉に応じるようです」
艦内CIC(戦闘情報センター)で、何事かを話し合っていた艦長のダラス・ネルソン大佐と副長のロバート・シンクレア中佐は、MI6(情報六課)所属のケネス・タカクラからの最新情報で話を中断した。
「SPW(シエラレオネ愛国の戦士たちの略称)は?」
「まだ何も。今も私の部下が説得しているものと思われます」
「応じると思うか?」
シンクレアの質問にタカクラは迷わず答えた。
「ええ。自分達だけ交渉を拒めばマイナスポイントになります。RIFにリードされたくないと思う筈です」
「少しでもリーダーに理性があればな。必ずしもそうとは限らんだろう」
「まあ、それは連中次第じゃないかな?だろ、ケン」
ケネス・タカクラは名前の通り日系英国人だが、ケンとはケネスの愛称で、この愛称で呼ぶとより日本人ぽくなるのだった。
「艦長の仰る通りです」
タカクラは首肯した。「リーダーのサンコーは冷酷で猜疑心の塊だが、狂ってはいない男です」
「とは言え」
ネルソンは一瞬の間を置いた。「万が一の事を考えねばな。オコーナー大佐は、SASをフリータウンに潜入させるつもりだ」
「2人纏めて始末するつもりですか?」
「これ以上、ややこしくならないでほしいがね」
「全くです」
「このホワイト・マンズ湾から上陸する」
SAS隊長のロドニー・バスキーフィールド大尉は、フリータウンの地図の北東側を指で押さえた。
ヒューム・ニコルス伍長の視線が、湾から南東へ600~700m程先に動く。
「スタジアムの目の前ですね」
「そうだ。ここが停戦協議になる予定だ。交渉が決裂したら、ゲリラのリーダー2人を排除する」
「合意に達したらどうなります?」
と、チーム2リーダーのハリス中尉が聞いた。
「何もしない」
「何も…でありますか?」
「そうだ。民間人の命が最優先だ。リーダーの排除は、最後の手段だ」
「大尉、もう1つ懸念する事が」
「何だ伍長」
ニコルスはスタジアムの更に南東にボールペンで円を描きながら、
「ここに戦車が配置されています。停戦協議の際は用心棒に絶対連れて来ると思いますが」
全員が意味ありげに視線を交わす。
ニコルスもそれに気付いて、
「何ですか?」
「…お前が乗りたいだけだろ」
バスキーフィールドが呆れたように言う。
「いえ大尉。Ⅳ号戦車なのは偶然ですよ。それに無視できないでしょう?幾ら大戦中の骨董品だからって」
「その時点でお前は楽しそうに喋ってるから勘繰るんだよ」
「何で奴ら、こんなものを」
トンプソン軍曹が言った。
ゲリラは時として装甲戦闘車両を保有している事はあるが、ニコルス伍長の言うように、Ⅳ号戦車は第二次世界大戦で活躍したドイツの戦車だ。
「RIFの連中が使っているそうだ。大方、シリア辺りから密輸したんだろう」
「この国は戦車戦力が無いに等しいんですよ」
シエラレオネ軍はT-72を2輌保有しているとされるが、稼働状況は不明だ。
「ドラゴンスレイヤーの世界だから、そういう事なんだろうよ」
「ああ、大砲で猛獣狩りする世界でしたっけね」
OCD世界の住人にとってのMPW世界の認識は上記の通りであった。
「そう言えばそのRIF、野砲も配備していましたね。俺の見たところ、旧ソ連製のT-12・100mm対戦車砲です。あ、戦後生まれの大砲ですね」
「お前本当に詳しいな」
「こう言う事はお任せを、大尉」
「それは確か、埠頭に配置されていたんじゃ?」
「はい軍曹。海からの舟艇接近に備えているんでしょう。きっとSAMやRPG-7で防御している筈です」
「だな。ここは『オーシャン』のアパッチで排除する事になっている…万が一の場合はな」
ギニアから200kmほど沖合の海上。
ジョゼフ・ロボネン少佐は全長87mのエランド級哨戒艦の艦橋の右舷側の張り出し部に出て、双眼鏡を目に当てていた。
その前方、レンズの中にはクアッドローターの偵察ドローンが滞空しており、その下では1艇のモーターボートが波に身を任せてぷかぷか揺れていた。
見たところ無人のようだが、そのモーターボートの周りを偵察ドローンが、用心深い狼が獲物の隙を伺うように円を描いて飛んでいる。
このモーターボートはボグハマーという俗称がつくスウェーデン製の全長13mの高速哨戒艇だが、テロリストの装備としても扱いやすい艦艇である。
そして実際、このボグハマーの舳先にも旧ソ連製のKPV14.5mm重機関銃が1丁据え付けられていた事から、明らかに武装勢力の所有だったようだ。
「トラップらしきものは見当たりません」
偵察ドローンの操作担当が報告すると、ロボネンは一度双眼鏡を下ろすと操舵室に顔を向け、
「複合艇を出せ」
と副長に命じた。
それからすぐに哨戒艦の傍で待機していたゴムボートが船外機の唸りと共に走り出し、ボグハマーに向かって行った。
その間も偵察ドローンは飛び回ってトラップの有無を念入りに確認したが、やはりそれらしきものは見つからなかった。
副長がロボネンの一歩後ろに立つ。
「乗り捨てたのでしょうか?」
「なんのために?」
「例えば…我々が来る事を知って」
先日、反政府武装勢力に買収されていたギニア海軍士官が1名検挙されたばかりである。
副長もギニア海軍から出向しているが、この件に関して酷く腹を立てていた。
「でもそれなら、適当に逃げれば済むだろう?」
複合艇がボグハマーの右から横付けして、2人の水兵が離れないよう固定し始めた。
「エンジンの故障で、修理出来なかったとか?」
副長の仮説を確かめるかのように、ボグハマーへ乗り込んだ水兵の1人が船外機の蓋を開けて中身を覗いた。
ロボネンは部下から無線機を受け取ると、
「船外機はどうだ?」
船外機を調べた水兵が作業の手を止めて、応答する仕草を見せた。
『…故障していません』
ロボネンは首を巡らして副長と見合わせた。
「…分かった。調査を続けろ」
『了解』
「では何でしょう?」
「さあな…そうだ、この辺りを通る予定の船舶情報を問い合わせてくれ」
「はい少佐」
副長は艦内に戻って行った。
マジアカ=ヨナバーナ・ハイウェイを疾走するECOMOGの車列。先頭車両はフランス製のパナールAML90偵察戦闘車。その後ろからランドクルーザー、パナールM3装輪装甲車、トラック、重機関銃搭載のテクニカルが続く。
マジアカ=ヨナバーナ・ハイウェイとBai Bureh
Roadの境目に当たる橋をシエラレオネ軍が封鎖しているが、ECOMOG部隊の増援を事前連絡しているので道を通してくれる。
それから15分程突っ走り、シエラレオネ共和国「合同」軍が前線司令部を置いたシアカ・スティーブンス・スタジアム前に停車すると、状況説明を受ける。
最大幅400m以上にもなるアバディーン川から甲殻類のような怪物の群れが出現し、フリータウンを蹂躙し始めたという。
岬の方には逃げ遅れた民間人がホテルに避難して立てこもっている。
敵は内陸部に侵攻してきたが、今は休止状態にあるという。その間に体勢を整えて攻勢を仕掛ける予定。
この司令部にはMPWのシエラレオネ共和国軍と、OCDのシエラレオネ共和国軍が詰めており、やって来たECOMOG部隊はOCD側で、OCDのシエラレオネ共和国軍の指揮を執る大佐はECOMOG部隊の指揮官と顔見知り。
MPWのシエラレオネ共和国軍の話では、英国を通して国連太平洋軍の派遣を要請したとの事。以前から西アフリカ沿岸で不穏な動きがあり、国連太平洋軍側も動き始めていた。
国連太平洋軍は米海兵隊の応援も要請しており、合同部隊を組んでシエラレオネに向かってるという。
甲殻類の群れが侵攻再開。3m~15mの間で大小様々だが同じ種類と思しき甲殻類の群れである。
MPWのシエラレオネ共和国軍は、ウラニウム徹甲弾を装填した69式ロケットランチャー(中国のRPG-7無断コピー品)で大型個体を攻撃して撃破に成功。
ECOMOGもパナールAML90や重機関銃、RPG-7で応戦して何体か撃破に成功するが、群れの勢いに押されて後退を余儀なくされる。
前線司令部としていたスタジアムを放棄し、フォーアー・ベイ大学に指揮所を移す事が決定する。
<イベント:前線司令部のシアカ・スティーブンス・スタジアム防衛>
押し寄せて来る甲殻類の群れに対し、シエラレオネ軍とECOMOGの共同部隊、及び合流したブリッジ部隊の隊員数名による防衛戦。
敵は重機関銃も十数発叩き込めば死ぬレベルだが、数に任せた攻撃で弾丸が不足し、部下を車輛で脱出させた後、包囲されたスタジアムからシエラレオネ軍のヘリコプターで脱出する。
そこへ国連太平洋軍と米海兵隊が到着し、米海兵隊はコッカリル湾から揚陸開始。
Gフォース特殊作戦連隊、通称ブリッジ部隊も到着。
<イベント:甲殻類の群れに対する反撃>
ガイア級重強襲母艦2番艦「コンステレーション」から発艦した試験運用の無人機部隊による大規模空爆の為、様々な建物の屋上に展開したブリッジ部隊隊員が、GPS多目標同時照準システムを用いて甲殻類を事前ロック、自動追尾モードにする。
到着した無人機部隊がブリッジ部隊の間接誘導に従ってロックオンし、マイクロミサイルを大量投射。群れの最前列を次々と粉砕する。
勢いを削がれた甲殻類の群れに、米海兵隊の攻撃ヘリ部隊や地上部隊、陸戦に移行したブリッジ部隊等による畳みかけで掃討や撃ち漏らしの各個撃破を行う。
最終的に甲殻類の群れの侵攻を食い止め、撤退に追い込む。
甲殻類の群れの生き残りはアバディーン川に逃げ込む。
ブリッジ部隊はアバディーン川に無人潜航艇スティングレイ(SGSの海外派生型)を投入して調査を開始し、営巣を作り始めている事までは突き止めるが破壊されてしまう。
国連太平洋軍は甲殻類の簡単なスキャンでデストロイアの因子を含んでいる事を突き止め、微量ながらミクロオキシゲンも検出された。
火器攻撃した事で変異を促した恐れがある(飽和状態に陥ると耐えきれずに死ぬが)。
過去の事例から、合体して巨大怪獣に成長する恐れがあるとの事で、強襲揚陸艦ではハリアーに爆装させて待機中との事。
戦術も冷凍攻撃に切り替える事が決定し、火器攻撃に関しても飽和状態に追い込める重火器による各個撃破とする。
冷凍爆弾を装備したハリアーの発艦作業に入った時、アバディーン川から甲殻類の群れが再び上陸してくる。
営巣地で英気を養ったらしく、外見にも変化が見られ、小型の個体でさえ、飽和攻撃に持ち込める筈のウラニウム徹甲弾が致命傷にならないほどに防御力がアップしていた。
更に個体によっては濃縮ミクロオキシゲンを吐きつけて来る個体もあり、思わぬ損害を受ける。
冷凍攻撃やハリアーの空爆で一時優位に立つが、大型個体が先頭に立って進撃してきた為、後退する事になる。
<イベント:前線司令部となったフォーアー・ベイ大学防衛>
押し寄せて来る甲殻類の群れを迎撃。
無人機等による空爆支援があるが、続々と押し寄せてきて撤退を余儀なくされる。
司令部要員を車輛で撤退させた後、指揮官等は「コンステレーション」から派遣されたヘリコプターで拾われて脱出に成功し、新たな前線司令部になったルンギ国際空港に移転する。
ルンギ国際空港にて。
連携の取れた攻撃から詳細にスキャンすると、ある種の電磁波コミュニケーションを取っている事が突き止められ、営巣地を爆破する事で彼らの動揺を誘い、反転させられるかもしれないと一か八かの作戦に打って出る。
国連太平洋軍、ブリッジ部隊、米海兵隊、ECOMOG、シエラレオネ共和国軍の連合軍が後退しながら応戦している間に、ブリッジ部隊と国連太平洋軍に同行してきたネイビーシールズがアバディーン川に潜入して営巣地の爆破作業に入る。
このネイビーシールズはMPW側の方の海軍特殊部隊で、ブリッジ部隊と共同訓練の経験あり。
<イベント:アバディーン川営巣地爆破作戦>
航空隊や艦砲射撃による支援を受けながらヘリコプターでアバディーン川近辺に降下。
また、CH-53で空輸してきたヴィーゼル空挺戦闘車やハンヴィーに分乗する。爆薬や水中スクーターが積載されており、隊員達は全員がダイビングスーツを身に着けている。
酸素ボンベとマスクは突入直前で身に着ける。
殆どが侵攻に出払っているとはいえ、それでも多数の甲殻類の個体がそこら中を徘徊しており、本能的に営巣地を攻撃しに来たと察知して次々と押し寄せて来る。
途中、大型個体の攻撃で部隊は分断されてしまい一端二手に分かれて後で合流する形となる。
GRF-2ペガサスが再度投下した無人潜航艇スティングレイでアバディーン川の中を探りつつ、侵入ポイントを探す。
営巣地は川底にあり、甲殻類の質感を持ったイボヤギか何かのような異様な光景を呈していた。
敷き詰められるように生えているフジツボのようなコブの中に甲殻類が収まっている。
「こちら●●。敵の営巣地は想定より面積が大きい」
「了解●●。プランBに移行する。準備出来次第…」
「待て。プランCを要請する」
「何を見つけた?」
「川底に魚の白骨化死体が大量に沈んでいるのを見つけた。今突入したら俺達も分解される」
「くそっ…了解●●。命令再変更。プランCに移行する。シーホーク隊が到着するまで現状維持」
「了解。シーホーク隊が来るまで現状維持」
シーホーク隊は冷凍弾頭を詰めたドリル短魚雷を爆装して待機していた。
しかしもっと悪い事に、この営巣地も甲殻類の大型個体の一種(ホームキャリアー)の群れで、危険を感じた彼らは手持ちの戦力を放出するとアバディーン川を浮上してくる。
「こちら●●。プランDは用意しているか?」
「していない。全くの想定外だ」
「さてどうしたものか」
ホームキャリアー達と、彼ら率いる子分達の群れと対峙。
シーホークはドリル短魚雷なので上陸されると無用の長物と化す。
シーホーク到着まで彼らの上陸を阻止してアバディーン川の内部に押し止める事となる。
しかし敵の侵攻速度は速く、シーホーク隊到着前に上陸を許してしまう。
しかも悪い事に、フジツボの構造物からより小型の甲殻類の個体を落としてくる(デストロイアの戦時急造個体)。
フジツボの構造物を支援するハインドやヴァイパーに攻撃するよう要請し、機関砲で次々潰していく。
ホームキャリアーはこれに動揺して進撃速度が緩む。
更に群れがホームキャリアーの背中を守るように這い上って「肉壁」となる。
ホームキャリアー達がアバディーン川に撤退していく。
シーホーク隊に出番。
ホームキャリアー達が川の中に逃げ込んでからドリル短魚雷を投下。数体を撃破するが、尚も撃ち漏らしが2体いる。
妨害による遅延もあったが、営巣地の爆破に成功し、群れを反転させる事に成功。
アバディーン川に戻って来る甲殻類の群れに対し、爆薬を抜いた爆弾攻撃による間接誘導攻撃で大型個体を各個撃破し、残りは冷凍弾で次々と制圧。
フリータウンから甲殻類の群れの一掃に成功する。
ただ、どさくさ紛れに太平洋に逃れた個体もある可能性があり、予断は許さないというところでエンディング。