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神犯編 エピソードゼロ 1

神犯編 エピソードゼロ



少年は、そこに立っていた。

全てが紅い、大地の上に。

少年は、そこに立っていた。

数多の屍が転がる、その中心に。


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
大声を上げて飛び起きた少年は、まだバイクを持たない頃のショウスカー。
(夢、か…)
その灰色の肌に流れる汗を拭きながら、ショウは今まで見ていた夢を思い出す。
正直思い出すのもいやな夢だったが、その夢で見た光景は、いやでも脳裏に焼きついている。

決して忘れることのできないその傷は、自分の大切なものすべてと引き換えに刻み込まれたのだから。


それは数十年前、ひとつの予言があるライトブリンガーから発せられたことにより始まった。
「未知なる敵を恐れよ。それは民の内に潜むものなり」
この予言を知り、事前にその目を摘んでおこうと考えた光文明は、火文明と組んで世界を法で管理する集団、XENを名乗った。

そしてXEN達の管理もあり、世界の治安はずっとよくなった。


そのカゲに、多くの者達の理不尽な死を積み重ねて…


翌朝――
ショウスカーはとある行き着けの酒場に来ていた。
酒場といっても朝なのと、XEN達による管理が徹底しているのもあって、喧騒はあるものの暴力沙汰の事態にまでは発展していない。
酒を飲みに着たのではなく朝食を摂りにきたショウスカーは、いつものカウンターの端の席に座り軽めのものを注文する。
すると、
「ショウスカー」
脇で呼ぶ声がしたのでそちらを見ると、一体のリキッド・ピープルが隣の席に座っていた。
彼の名はアクア・ウォッチャー。ショウスカーに協力し、XEN達の情報を提供しているショウスカーの仲間である。
「ようウォッチャー。今回はどんなネタがあるんだ?」

――ショウスカーの生活の糧は、XEN達の妨害活動である。
ウォッチャーなどの情報屋から得た情報を基に技術を盗むなどの妨害を行い、それに応じてある場所から報酬が支払われるのだ。
しかしショウスカーはある理由からXEN達との直接の接触を避けた妨害のみを行っている。――

「今回のネタはこいつだ」
そういってウォッチャーが見せたのは、一台のバイクの写真。しかもかなりの大きさで、こいつをまともに乗りこなすのは至難の業かもしれない。
「こいつは?」
「XENの新型兵器…として製造されたはいいがお蔵入りになったらしい。今回はこいつの奪取を頼みたい」
「奪取ってことは、あいつらの基地に潜入するのか」
「大丈夫だ。基地内の警備網は既に掌握してある。お前は指示通りのルートを進んでくれればいい」
「…報酬は?」
「いつもの分にプラスして、成功したらその新型兵器をやろう」

そして、
「ここか…」
いつものスーツにマントを纏ったショウスカーが立っているのは、それほど大きくないながらも立派に聳え立つ、XEN達の研究施設。
の裏側。
整然としているであろう表と違い裏はそれほどでもなく、シンプルな扉がひとつある他は特に何もない。
「よし。いけ、ジャミングス」
「アイアISA」
ショウスカーが肩に乗るガーゴイル、ジャミングス・ストリングに命令すると、ジャミングスは肩から降りて扉のほうに向かい、その扉に弦を差し込んで開けた。

内部は外部と同じように白一色の壁になっていて、通路の各所にカメラらしきものが見える。
(…ほんとに大丈夫なのか?)
(警備は掌握済みDAZE)
ジャミングスの言葉を信じて進んでいくショウスカー。
やがて二人はある扉の前に来た。ウォッチャーの情報にあった、例の新型兵器が保管されている部屋の扉である。
「…予想よりシンプルだな。もっと厳重に封印してあるもんだと思ったが」
「オーバースペックすぎたDAKEDE、特に脅威なわけでもないKARANA」

ジャミングスの能力で開錠し扉を開けると、そこには銀と赤のボディを持つ一台のバイクが、誰の目にも触れずに静かに停まっていた。
「よし、こいつを持ち出せばいいんだな。ジャミングス、早いとこ外へ…」
いいかけたショウスカーの目がある一点を見据えてとまった。
視線の先にあるもの、それは物陰に隠れるようにつけられた、少し古びた扉。
研究施設の外観よりも昔の雰囲気をかもし出す扉は、鍵が外れてその向こうの空間への口をあけていた。

「どうSITA?」
ジャミングスが呼びかけるがショウスカーは答えずに扉を見ている。
ショウスカーには、声が聞こえる気がした。その声は、自分を呼んでいる気がした。
「ジャミングス、帰る前に調べていきたい場所がある。かまわないか?」
「…問題ないNA。ノルマは既に達成してIRU」

扉の向こうは平らな通路が奥へと続き、それなりの幅もあったので、ショウスカーはバイクを引きながら奥へと進んでいた。
仮に進んでる途中でXEN達に見つかったとしても、バイクを使えば逃げ切れると思ったからだ。
通路は最低限の明かりしかなく、足元に気をつけながら慎重に進むうちに、
この通路が長いこと使われてこなかった事にショウスカーは気づいていた。
(埃がひどいな…。几帳面なXEN達がここまで汚れを放っておく筈がない。つまり、この場所は意図的に隠されていたのか。XEN達にとってここはタブーなのか、あるいは…)
やがて通路が開け、ショウスカーは複数の機械が並ぶ大きな部屋に出た。
そこは機械の研究施設というよりは生物実験場といった趣で、部屋の各所に並べられた水槽には、いかにもそれらしい緑色の液体が詰められ光っている。
そして少し奥のほうに目を向けると、そこには別の液体で満たされた、大きな水槽が青く輝いていた。
「これは…」
「事前に得たデータNI、この施設のことはNAI」
ショウスカーは少しの間この異様な光景を見渡していたが、すぐに気を取り直し部屋の中へと入っていく。
そして部屋の中央にある青い水槽についたとき、ショウスカーが水槽の中に何かが入っていること、
そしてそれは何かということを知った。

ショウスカー達が隠れられるくらい大きな台座の水槽の中に入っていたもの、それは一人の少女だった。
手足と頭の拘束具、そして酸素マスク以外に何も纏っていないスノーフェアリーの少女が、祈るように目を閉じながら青い液体の中に浮かんでいた。
バイクを水槽の陰に隠すように置いてから、ショウスカーは改めて水槽の中の少女と対峙する。
腰の辺りまで伸びる艶やかなオレンジの髪。胸に刻まれた魔法陣から線が肩に向かって伸び、両手の甲にある印と繋がっている。
その表情を見たとき、ショウスカーの脳裏に電撃が走ったような気がした。
その少女に見覚えはない。だが、その表情は知っている。

大切なもの全てを奪われた時の顔。かつての自分がしていた表情。

まるで鏡で過去の自分と対面させられたような、それほどまでに少女の表情は似すぎていた。

ゴポッ。

水槽の前にいるこちらに気付いたのか、少女はその目を開ける。
蒼い液体が満たされている中でもわかる緑色の瞳に宿るのは、諦めと、決意の色。
恥じらいに身体をねじることもせず彼女が話した第一声は、水槽に接続されたスピーカーを通じてショウスカーの心に響いた。

「……また実験が始まるのね。何度も言うけど、私は貴方達に心まではいじらせやしない」

ガンッ!!!!!

盛大な打撃音が部屋に木霊する。ショウスカーが自分の武器であるボーンロッドを使い、水槽を思いっきり叩いたのだ。
突然のショウスカーの行動に、隣にいたジャミングスはもちろん、水槽の中の少女にも驚きの色が見て取れる。
「……」
呆気にとられて見ている二人をよそに、ショウスカーはボーンロッドと水槽を苦々しそうに見比べた後、ジャミングスの方を向いて言った。
「ジャミングス、この水槽のロックは解除できるか?」
「水槽NO?」
言われたジャミングスは水槽に近づいてぐるぐる回り始める。やがてショウスカーに向かって一言、
「時間はかかるが不可能じゃNAI」
と言った。それを聞いたショウスカーは、ジャミングスに命令気味に言う。
「よし、なら手早く頼む。ついでに拘束具の解除も任せる。俺は…」
そういいながらどこからかもう一本のボーンロッドを取り出した。
「もしものときの足止めだ」

to be continued...


エピソードゼロを書くのは初めてなので、いろいろ荒削りです。
そして久しぶりに書いたからもうなんかいろいろと(ry

感想などあれば

  • ジャミングスみたいなマスコットは好きです(そこか どうせ研究所のもっと言った所に死体安置所と言う名のゴミ捨て場でもあるんだろうな(ry -- かみど (2011-10-12 20:55:04)
  • 失敗例は地下で飼い慣らされてるモンスター(失敗例)達のエサに… これなんてバイオハザードだよ! -- ペケ (2011-10-12 21:45:18)
  • 普通にスノーフェアリーがバリバリやられてる風景がアタマによぎっちまったじゃねぇか・・・。← -- かみど (2011-10-12 23:47:44)
  • 「もう、なにも怖くない」(マミッ 一応スノーフェアリー等の人型種族で行う実験は、モンスター型で実験して結果出たやつなので人型の失敗例はほぼナシ、という設定です。 -- ペケ (2011-10-13 07:38:39)
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最終更新:2011年10月13日 07:38
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