依頼があればあらゆる任務をこなし、銃の扱いや体術は常人のそれを逸脱するほど。
私――龍宮真名は夕食をごちそうするでござる、という誘いに応じ楓の部屋へ遊びに来ていた。
コンビニのだがプリンを4つ手土産に持参する。
ピンポーン。チャイムの呑気な電子音が部屋へ響く。
「おっ!たつみーじゃん。ちあー♪」
「かえで姉、きたですー♪」
双子が玄関で元気よく私を出迎える。
手に提げたプリンを発見するとそれを受け取り部屋の中へ消えていく。
残った史伽が「まったくお姉ちゃんは子供ですー」と可愛らしい口調でいい部屋へ招き入れてくれた。
「おー、来たでござるか。むっ!…この香り…『ぷるっプ○ン』でござるな!?」
おぉ当たっている。
というか蓋を開けていないうえにビニール袋に入っているぷるっ○リンを香りだけで見分けるとは
侮っていたな。
「むー、折角来てくれた処申し訳ないんでござるがまだ作っている最中なんでござるよ」
楓が困り顔で言うのを聞いて少し笑う、手伝ってやるか?と聞くと
むー、と考えた後待っているようにいわれ双子の相手をしている。
ピーマンが嫌いで食べれないという史伽を注意する。
むにむにと史伽の頬で遊んでいる
と私は目を疑う光景を目撃する。
「おい、待て!待て楓!?」
「んーなんでござるか?」
私は双子との前後の会話、史伽への行為を思い出す。
我知れず冷や汗が頬を伝う。
「気のせいかもしれないんだが楓、お前が手に持っているソレはなんなんだ?」
「なにと?あぁオクラでござるよ♪」
まずった。
楓が腕によりをかけた精進料理は
私の持つ精進料理の概念を覆すもので、大変に旨い。
だが問題がただ1つ残っている、そうオクラだ。やれやれだ状況がヘヴィすぎる。
さりげなく、一流のかく乱技術を発揮しさりげなくオクラを除けながら食事を進める。
『たらのめのクルミあえ』という料理を史伽と一緒に風香の皿から奪う。
えへへー♪と楽しそうに風香が笑い楓が注意する。
そんな光景が素直に微笑ましい。
「ん?たつみーどした?」
何だか感傷に浸ってしまった私に風香が声を掛けてくる。
私はなんでもないよと笑いまたオクラを除ける。
あ、少し不自然な動作になってしまった。
私の箸の先を凝視する風香。とたん(・∀・)ニヤニヤしだした。
うわっ
楓がいる手前、史伽の手前オクラ嫌いをバラされるのはまずい。
殺るしかないんだろうか、と真剣に悩み始めたその時
シュバ!
っと風香が身を乗り出してきて私の小鉢から勢いよくオクラを奪っていった。
私に向かって勝ち誇った表情を向けてくる。
「たつみーあとで横綱プリ○買ってこーい♪」
「う、まぁ……いいだろう。というかアレはネタじゃないのか?」
「む、拙者も欲しいでござるー」
「ん、あぁ」
「えぇー2人だけずるいですー」
「あぁ解ったよ!全員分買うよ!!」
楽しい、楽しい夕食が終った。
楽しい時間は恐ろしく早く、少しだけ寂しい気持ちになる。
双子と楓に別れの挨拶を交わす。
おっと言い忘れていたな。
「あ、楓、旨かったよ」
「あいあい」
私はふふっと笑った。
なんだか知らないが、満たされた気分だ。
FIN
最終更新:2007年04月10日 04:27