晩夏の夜
「…短い夏だったな」
ぼそりと呟いてしまった。
この夏私は何度か楓の修行している山へ来ていた。
楓に出会ってすぐの時は楓に誘われて来ていたのだが、今は何と無しに楓と2人っきりの時をここで過ごすようになっていた。
どことなく、吹く風も涼しげになっていると感じるのは気のせいだろうか。
「…まだ暑いが」
夏休みの終わりまで今日を入れて2日。今日は楓のところに泊まろうと思い、ここに来た。
隣で眠っている楓の顔を覗く。
幸せそうな寝顔だった。「裏」とは無縁な、一中学生にしか見えない。
それに安心したのか、私も夏の午後の温みの中で眠った。
目を覚ましたときには、楓の膝枕の上だった。
「お前…」
「ふふ、可愛らしい寝顔でござるな」
―――お前もだよ
気づけば辺りはもう静寂と闇の世界だった。
「そろそろ飯にせぬと」
1時間後。
少し遅い飯の後、恒例のドラム缶風呂である。
物はドラム缶なので狭い。だがそれが良い。
無理やり2人で入る。
楓が私の後ろに陣取って、首に腕を絡めて来る。
「今晩は拙者が上になるでござる」
「何を言っている、私が攻めだろう」
「覚悟するでござるよ」
「返り討ちにしてやる」
普段は私が攻めることが多い。だから一度ぐらいは仕返ししたいのだろうか。
楓に攻められるのも悪くない。しかし、楓には負けたくない気がした。
さて、今日はどうしてやろうか。そう思いながら、布団へ向かった。
二人きつく抱き合って、唇を重ねる。
言ってきた通り、楓は私の上だった。舌先から、唾液を流し込んでくる。
大丈夫。まだチャンスはある。…はずだ。
私の寝間着を脱がせてくる。もう楓は待ちきれないようだ。
楓はとりあえず上をはだき、私の胸にむしゃぶりついた。
「……ん…んぁ…ぁぁ…」
とりあえずは楓の攻めを受け入れる。
大丈夫。これだけ焦るように攻めてきているのだから、いつか隙ができる。…多分。
しかし、楓は攻勢を緩めない。本当に大丈夫か?私。
「…っ…くぅ…」
しばらくすると、私の反応に機嫌を良くしたのか、胸から口を離すと、
むにゅうっ
「!」
楓が私を抱きしめた。
自分の胸に、私の顔を埋めて。
谷間に挟み込まれ、かなり息苦しい。しかし、決して嫌では無いのが不思議だ。
私はまんまと楓の罠にはまった。窒息しそうなのに、抜け出す気を削がれてしまう。
そして意識が半分フェードしたところで解放され、あっという間に下も脱がされた。
何が起こっているのか私は理解できないうちに、秘所に口づけをされていた。
ものの見事に楓の術中にはまった私。
攻めるどころの話ではない。このペースだとあっという間に絶頂に押し上げられるだろう。
楓は物も言わず、私の体を貪っていた。
「…ひ…ひぁぁっ…か…えで…ぇっ」
呼びかけにも応えない楓は、私の真珠をくりくりと弄りだした。
―――マ、マズイ…
何とかして形勢を変えるべく必死に模索するが、楓から送られてくる快楽のパルスに邪魔される。
「…も、もう…限界…だ…」
もう私が達しようとしたそのとき、楓は愛撫をやめ、私の体に擦り寄ってきた。
「しからば…拙者も…気持ち良くして…」
「…いいのか、もっと攻めなくて」
「夜は長いでござるから」
「朝がけだるいぞ」
「構わぬでござるよ」
楓は愛撫をねだって、私の手を自分の胸に置いた。
私は寝転がっていた楓を座らせ、後ろについた。
わきの下から腕を通し、乳首を人差し指で弄りながら胸をほぐすように揉む。
「ああん…真名ぁ、気持ち良いでござるよぉ…」
「まだまだこれからだぞ…それより、胸…大きくなってないか…?」
「それは…真名と交わってるからでござるよ…///」
「よく言うよそんなこと…」
楓の秘所の中に指を入れ、かき回す。
「ら…らめぇ…かき混ぜちゃ…」
「ならもっと指を増やしてやる」
楓は息を荒げながらも、必死に声を我慢していた。
「そろそろイかせてやる」
楓の秘所の前に陣取り、楓の真珠を弄る。
「…勃ってるな」
「…恥ずかしいでござるよぉ…」
言いつつ、私はさっきの仕返しとばかりに強く吸い付いてやった。
「ひいっ…く…くああああっ…」
我慢の限界か、ついに楓は悶絶の声を上げた。
「我慢しなくていい…いるのはお前と私だけだ」
一言囁くと、堰を切ったように楓は喘ぎだした。
「も、もう…うう…」
楓が限界を知らせた。
「分かった…」
楓の秘所に口をつけ、愛液を啜り上げると、楓は一瞬電気が走ったように体を硬直させて達した。
結局その後私と楓は裸の体を寄せ合って眠った。
朝。
「ふふ…気持ち良かったでござるよ…」
楓はそう言う。しかし、
「お前はイかせてやったが、私は寸止めだったじゃないか。ちゃんと今度は私も満足させるんたぞ」
「ん~♪寸止めしてイジメるのも悪くないでござるなあ…」
「意地悪か」
「真名が焦らされてる時の顔…とっても可愛いでござるよ」
「…楓なんて嫌いだ」
「見え見えの嘘は損するだけでござるよ」
「こいつ……言わせる気か」
「嫌でござるか?」
「……好きだ」
「ニンニン♪」
そう言うと楓はふわっと私に抱きついた。
―――いつまでも2人でいたい
夏の終わりの一晩。
最終更新:2007年10月28日 01:23