次元の狭間消滅の記録 はちやふ


何世紀も前の大昔、このスティルネージアでは大きな地震があったらしい。
ただの地震ではなく、世界全体が震えるようなもので、歴史に残る三大ミステリーの一つとして伝えられている。
これまで何百万、何千万人もの研究者達が生涯をかけてこの謎に挑んだが、
事件を境に次元の狭間に行った人が戻ってこないということしか分からなかった。

今では次元の狭間自体も忘れ去られ始めている。
そんなある日、僕は一枚の手紙を拾った。

その手紙の文面がこれだ。



うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ..........

やれやれ、また次元の狭間に飲まれてしまった。
あのリンクは罠だったんだな。

ん、そういえば今日はなんだか人が多いな。しかもざわついている。
関係ない、いつも通りコンティニューをするか....


.........


コンティニューが出来ない?
そんな馬鹿なっ!?

いつきてもふわふわとして気味の悪い世界だが、今日の次元の狭間は何かが違う....
何が違うんだ....何かが崩壊していくような.........

どこかいつも通りではない次元の狭間からのコンティニューはやはりいつも通りにはいかなかった。

何故だ、分からない....


ビシャアァァッッ!!!



その時、強い光、轟音と共に何かが起こった。

しばらくは目を開けていられなかった。
数十秒後、再び目を開けた時自分の目を疑った。

次元の壁が......少しずつ崩れていく?!


次元の狭間は厄介な存在だが、次元の壁になにかのはずみで穴が開いたとしても
すぐに他の次元に流れ込まないようにするという役割を果たしている。
次元の壁の修復も行われる。

ただし、修復速度にも限度がある。壁に修復しきれないほどの大きな穴が開いた場合裂け目はどんどん広がり、
あらゆる物がが第0次元に飲み込まれてしまう。

第0次元とは文字通り「何も」存在することが出来ない恐ろしい次元だ。
かつてこの次元の狭間に封じられていたという「無」よりも凶悪で、そこには時空間さえも存在しない。

第0次元を研究のために直接調べしようとした人も世界に数人居るが、全員第0次元に飲み込まれて消滅した。

このままでは....全てが消滅してしまう!


もう次元の壁の半分以上が壊れている。
全ての次元の壁が崩壊してしまった時、が世界が終わる......

人々はやはり混乱している。
状況を理解しやけくそになってる人もいる。

次元の狭間のあちこちで魔方陣が見える。誰かが魔法を唱えているのだ。

パウダー王国という国で魔法学を学んだ経験のある私にはすぐに無駄だ、と分かった。
ここまで壁が壊れてしまっていたらマナがいくらあっても足りない。魔法は万能ではないのだ。


ところが、どうしたことだろう。
新しい次元の壁が凄まじいスピードで構成されていく!

なんと成功率は一億分の一と言われている祈願魔法「ミラクル」が発動したのだ!まさに奇跡!


そして数十秒で新しい次元の壁は完成した!
人々は歓声を上げている!


これでやっと元の世界に戻ることが出来る.......
私はそう確信した。

コンティニューをしようと次元の壁に近づくとあることに気がつく。

壁が丈夫すぎるのだ。

ミラクルによって形成された次元の壁は丈夫すぎた。
なにをやっても人が通れるほどの大きさの穴は開かない。
小さな穴が開いたとしてもすぐにふさがってしまうのだ。

つまり、私は次元の狭間に閉じ込められてしまったのだ......

私とそのことに気づいた人々は絶望した......


あれから何世紀もたっただろうか?いや、数年か数ヶ月かもしれない。

人々は協力して次元の狭間に新たな世界を作り上げたのだ!
その際には形成魔法がとても役に立ち、私も手伝った。

今では「異界」と呼ばれるようになった世界で暮らし、この世界について研究をしている。

あのとき私と同じように次元の狭間に閉じ込められた友達も数え切れないほどできた。


そんなある日、部屋の整理をしているとパウダー王国で手に入れた魔法書が出てきた。
祈願魔法「ミラクル」と、
時空魔法「ディメンショナルウェイヴ」だった。

ディメンショナルウェイヴは衝撃波を起こし次元を歪ませるという魔法だった。
もしかしてあの次元の壁崩壊は加速魔法などと組み合わせてこれを使ったのだろうか....?
それにしても、あの次元の壁が崩れるとは思えないな...
あれが魔法によるものだとしたら、恐らくマナの暴走だろう。

いやはや、魔法とは実に恐ろしい力だ。
人々は魔法というものを発見しないほうがよかったのかもしれない。

私はもう一冊の魔法書「ミラクル」を手に取った。
これが発動して外界とのつながりが出来ないかな....なんてありもしないことを思いながらミラクルを唱えてみた。


翌日、異界に住む多くの人が集まってなにやら話しているので行ってみた。
何があったのか聞いてみると次元の壁に人は通れないが固定された外界とつながる裂け目を見つけたという。

そこで私は次元の狭間で何があったのかこの手紙に書き記し、外界の人々に見つけてもらうことを思いついたわけだ。
もし、誰かがこれを拾ったのなら、外界の人々、つまり君達にこの紙に書かれたことを伝えて欲しい!

私は異界から出ることが出来ないのでこれからもここで研究を続けようと思う。


頼んだぞ!
                       Powell Derrick


以上が手紙に書かれていた内容である。

パウエル・デリックとは変わった名前だな。
それにしても翻訳していてよく分からない小説だった。

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最終更新:2011年04月17日 17:07