タイムマシンは、難なく完成した。もちろん、パーツ不足なのでプロトタイプ。つまり未完成。
仕方ない。超小型融合炉が1つ足りない。
つまり、未来に帰る燃料が足りない。これじゃ飛べないな。
シエロ「どうする?」
マル「もう一度取りに行こうぜ?」
こいつは、マル。俺はマルさんと呼んでいる。シビリアン時代からの、長い付き合い。
マルさんという名前に特に意味はない。
べつにマルさんが俺の年上や先輩ってわけじゃない。
年齢は普通にタメだし、ここに入る前はいい呑み友達だった。
単に、語呂がいいからマルさんと呼んでいる。
シエロ「マルさん、頼んだ!」
マル「いや、お前も行けよ・・・」
次の日、作戦は決行された。
予定道理。今までと同じ。
昔から、悪魔軍は学習しない。いつも同じだ。
計画は、コキュートス全員で行われた。
まず、同僚のマークス。奴は実に優秀だ。
冷静に分析できる能力も戦闘能力も高い。
マークスには、奇襲を頼んでいる。
奇襲の隙をぬって、俺・・・シエロとマルさん、そしてオーヴンが屑鉄処理施設の中へ入る。
オーヴンは屑鉄処理班なので、ここの地形をよく知っている。
俺はオーヴンを、「レンジ」と呼んでいる。地形把握能力、狙撃能力、そして何より名前だ。うん、悪くない。
そんなオーヴン・・・いや、レンジと俺、マルさんでここを走り抜ける。
オーヴン「あったぞ!」
後ろから追いかけてきていたマークスがそれに答える。
そういえば、彼にはニックネームをつけていない。まぁ、どうでもいいか。
マークス「あったか?」
オーヴン「ああ、ばっちりだ。後はリターンゲートで帰るだけだな」
あっさりだった。
いつものように、そんな馬鹿な、と思ってしまう。
そう。いつものように。
ここが悪魔軍に知られないことは、ほんの数ヶ月前に知った。
それまでは、ピットでの文通が主。
なぜこの部屋が知られないのか。それは、マークスの一言だった。
―――――ここ、監視カメラ精度悪いんだよね。ミニライト程度の明かりなら検出できないんじゃない?狭いところなら、なおさらな話だと思うけど―――――
うん。マークスGJ。賞賛を送ろう。
というわけで、レンジが持っていたミニライトを灯りにして、コキュートスができた。
と、ふとそんなことを思い出していると、
オーヴン「できたぞ!」
という声がかかる。監視カメラのことも考慮して、小声。
さすがだ。俺の設計図を緻密に組めるのはこいつしかいないと悟った。
形は、ロボ一体分くらいの大きさだった。
タイムマシン機能に加え、パラドックスを起こさないためのタイムリープ機能もある。
とりあえず試すために、5分前に跳ぶことにした。
実験は成功した。
シエロ「・・・皆有難う。俺はこのマシンで俺が居ない時代へ跳ぶ。未来を変える事も考慮して、2000年前くらいが妥当だろう。」
シエロ「おそらく世の中は戦争前。俺みたいなロボが居てもおかしくはないはずだ。」
オーヴン「未来を・・・変えてくれよ・・・」
シエロ「わかってる。・・・じゃあ行くぞ」
マークス「頼んだぞ!」
シエロ「ああ!」
マル「扉、閉めるぞ」
シエロ「あいよ!」
ガコン、と音を立てて扉が閉まり、モニタに数字を入力して、俺は過去へと。
飛び立った。
<完全理論のフラクタル Fin.>
最終更新:2012年08月12日 19:18