アットウィキロゴ
タイムマシンは、難なく完成した。もちろん、パーツ不足なのでプロトタイプ。つまり未完成。
仕方ない。超小型融合炉が1つ足りない。
つまり、未来に帰る燃料が足りない。これじゃ飛べないな。

シエロ「どうする?」
マル「もう一度取りに行こうぜ?」

こいつは、マル。俺はマルさんと呼んでいる。シビリアン時代からの、長い付き合い。
マルさんという名前に特に意味はない。
べつにマルさんが俺の年上や先輩ってわけじゃない。
年齢は普通にタメだし、ここに入る前はいい呑み友達だった。
単に、語呂がいいからマルさんと呼んでいる。

シエロ「マルさん、頼んだ!」
マル「いや、お前も行けよ・・・」

次の日、作戦は決行された。
予定道理。今までと同じ。
昔から、悪魔軍は学習しない。いつも同じだ。

計画は、コキュートス全員で行われた。
まず、同僚のマークス。奴は実に優秀だ。
冷静に分析できる能力も戦闘能力も高い。
マークスには、奇襲を頼んでいる。

奇襲の隙をぬって、俺・・・シエロとマルさん、そしてオーヴンが屑鉄処理施設の中へ入る。
オーヴンは屑鉄処理班なので、ここの地形をよく知っている。
俺はオーヴンを、「レンジ」と呼んでいる。地形把握能力、狙撃能力、そして何より名前だ。うん、悪くない。
そんなオーヴン・・・いや、レンジと俺、マルさんでここを走り抜ける。

オーヴン「あったぞ!」
後ろから追いかけてきていたマークスがそれに答える。
そういえば、彼にはニックネームをつけていない。まぁ、どうでもいいか。
マークス「あったか?」
オーヴン「ああ、ばっちりだ。後はリターンゲートで帰るだけだな」


あっさりだった。
いつものように、そんな馬鹿な、と思ってしまう。
そう。いつものように。


ここが悪魔軍に知られないことは、ほんの数ヶ月前に知った。
それまでは、ピットでの文通が主。
なぜこの部屋が知られないのか。それは、マークスの一言だった。
―――――ここ、監視カメラ精度悪いんだよね。ミニライト程度の明かりなら検出できないんじゃない?狭いところなら、なおさらな話だと思うけど―――――
うん。マークスGJ。賞賛を送ろう。
というわけで、レンジが持っていたミニライトを灯りにして、コキュートスができた。

と、ふとそんなことを思い出していると、
オーヴン「できたぞ!」
という声がかかる。監視カメラのことも考慮して、小声。
さすがだ。俺の設計図を緻密に組めるのはこいつしかいないと悟った。

形は、ロボ一体分くらいの大きさだった。
タイムマシン機能に加え、パラドックスを起こさないためのタイムリープ機能もある。
とりあえず試すために、5分前に跳ぶことにした。

実験は成功した。

シエロ「・・・皆有難う。俺はこのマシンで俺が居ない時代へ跳ぶ。未来を変える事も考慮して、2000年前くらいが妥当だろう。」
シエロ「おそらく世の中は戦争前。俺みたいなロボが居てもおかしくはないはずだ。」
オーヴン「未来を・・・変えてくれよ・・・」
シエロ「わかってる。・・・じゃあ行くぞ」
マークス「頼んだぞ!」
シエロ「ああ!」
マル「扉、閉めるぞ」
シエロ「あいよ!」

ガコン、と音を立てて扉が閉まり、モニタに数字を入力して、俺は過去へと。
飛び立った。

<完全理論のフラクタル Fin.>
最終更新:2012年08月12日 19:18