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相変わらずメーターの数値に変動はない。5.024682。
この数字に何か意味があるのかはわからないし、いったいどこが基準でこの世界線が変動率5%なのかはわからない。
ぼんやりとメーターを見つめてみる。オレンジ色の数値が痛い。見続けているのは苦痛ではないが、逆にこれがなんなのかという疑問で頭を痛めた。
そして、俺と同じあの機体。いったい誰だったんだろう。
またぼんやりとメーターを見つめてみる。頭が、メーターのことでいっぱいになる。
それを切り開いたのは、マハラの声だった。


マハラ「拙いですよ、シエロさん!」
シエロ「なんだマハラか・・急いでどうした」
マハラ「僕達の乗ってきたアレが、1000年前に使われたものと同じという報道が!」
シエロ「・・・また逃げなきゃいけないのだろうか」
マハラ「そうかもしれません。幾多もの時間軸を飛び越えなければならないのかも」
シエロ「しかし、ここより1001年後以上には飛べない。おそらく戦争が終わる500年後には悪魔軍によるディストピアが構築され、俺達の行き場はなくなる」
マハラ「そうなんですよね。そこが問題なのかも」
シエロ「400年というと、俺達の主観では一瞬でも、普通の人々に取ってはn百年という世界だ」
マハラ「でも、1000年経った今でもコキュートスの事件は連続して考察されています」
シエロ「となると、やはり逃亡劇を続けるしかないな」
マハラ「・・・あまりやりたくなかった手法ですが」

ドンッという壁を割るような音がガレージにこだまし、どこかで聞いたことがあるような台詞が出てくる。

天使軍「ここはサークル「コキュートス」だな!?お前らには一度、着いて来てもらおうか!」

ぼんやりと、しかし確実に、似ている。
あの時と殆ど同じ。仕方ない。

シエロ「逃げるぞ!」

タイムマシンは、なぜか撤去されておらず、もとあった場所にそのままだった。なぜかと俺は聞きたかったが、聞く相手はおらず、マハラに聞くのも野暮なので、そのまま乗り込むことにした。
行き先は、2000年前。
つまり、俺の主観からは3000年、マハラの主観からは1000年前、ということになる。
今回は適当に入力しなかった。
日記・製造器・ダイバージェンスメーター、全て所持し、俺達は過去へ跳んだ。
ふっと記憶が傾く。マハラは慣れてない様子だったが、俺は3度目のトラベル。生易しいものだった。
そして、それが眠気へと変わる―――

YX10/10/13⇒WX10/10/13
DIVERGENCE 5.024682⇒5.103281

―――成功。2000年前に飛ぶことができていた。今の時間軸は、WX10/10/7。
合っている。タイムマシンの正確さに感動した。どうでもいいけど。
タイムマシン?そういえば、何か一つ、重大なことを忘れているような気が―――

―――そうだ、タイムリープマシンだ!
記憶を過去へ飛ばすことができる、あれを使えばなにかできるかも知れない。
ふと覗いたメーターの数値は、少しだけ変わっていた。

あれ?前は確か、5.024682・・・だったはず。
今は、5.103281・・・
0.1%刻みで変化している。
これはいったい・・・

まあ、考えるのも野暮なので、マハラに提案した。
すると予想外にも、こんな答えが返ってきた。

マハラ「それだと物理的なものを持っていけないじゃないですか。製造器、日記、あとそのメーター・・・どうするんですか?」

ぐう、考えてもいなかった。
ふとそこで、シビリアン時代のことを思い出す。

シエロ「タイムカプセルはどうだ?」
マハラ「物品が使い物にならなくなる可能性がある」
シエロ「むぅ」

そうか・・・これは仕方ない。今はタイムリープマシンは使えないか・・・
とにかく逃げ続けるしかないのか・・・・?

WX10/10/8 DIVERGENCE 5.103281
俺達を知るものがいない時代で、だれが俺達に干渉するのだろう。
すると、一人のシビリアンが、タイムマシンを見て感嘆の声を上げる。

市民「これ、人工衛星かなにかかい?」
シエロ「少し違うな。乗り込める形になっている」
市民「ほう・・・タイムマシンとか?」
シエロ「フフッ、面白い事を言うのだな。残念だが違う」
マハラ「?」
シエロ「まあ、そのうち撤去するさ」
市民「・・・ふーん」
市民「ところで、君に渡したいものがあるんだよね」
シエロ「俺に?なんで?」
市民「今年の10月8日にこの噴水広場に行き、君に渡せ、って言われてる『箱』があるんだよ」
シエロ「箱・・・?」
市民「俺にもよくわかんないんだ」
市民「突然現れてさ。君と同じ機体だったかな・・・」

まただ。また『俺と同じ機体』が現れた。
いったいどういうことなんだ・・・?

市民「箱は、すぐ開けていいらしい」
シエロ「ふむ・・・開けてみるか」
市民「俺は中身を見ちゃダメなんだ。だからここでお暇するよ」

箱の中身は、小さな紙と、もう一つの箱。
小さな紙には、「メーターの数値が4%台になったら、元居た場所へタイムトラベルせよ」と書いてある。
やはりやつは未来から来たロボ・・・?
もう一つの箱には、「次タイムトラベルしたときに開封しろ」と印刷してある。

な、なんて回りくどいんだ・・・


次の日のことだった。
2000年前なのに。
時間軸が違うのに。
なぜかヤツらは俺達を捕らえようとして。
天使軍のロボが追って来て。
タイムトラベルせざるを得なかった。

WX10/10/18⇒WX10/10/5
DIVERGENCE 5.103281⇒5.573876

<時間詐称のテクノヴィジョン Fin.>
最終更新:2011年07月05日 21:28