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失敗は、成功のもと―――

コキュートスに入ってからは、使うことのなかった言葉。
でも、過去に飛んで、世界線を跳んで、この言葉の大切さに気付く。


無線が、ひとつ。
かかっていた。

未来シエロ「…辛かったか」

当然だろ・・・

未来シエロ「その辛さは、決まっていたことだったんだよ」

どういうことだ?
これすらも、世界の収束だって言うのかよ・・・

未来シエロ「お前が失敗しなければ、未来のお前・・・つまり俺は―――」
未来シエロ「こうやって、無線を送ることもなかっただろう」
未来シエロ「マハラが倒れたから、世界が技術で溢れていたから」
未来シエロ「俺は、こうやって過去にデータを送る事に成功している」

未来シエロ「・・・立てよ、世界を歪曲させるんだろうが」
未来シエロ「"失敗"した俺の努力を無駄にするなよ」

努力を、無駄に―――
言ってくれるじゃないか・・・
俺は・・・

シエロ「諦めるわけには―――」

シエロ「いかないんだよっ!!」

未来シエロ「過去のお前―――最初のお前が観測したのは、どういう状況かは覚えているな?」
未来シエロ「お前は、"マハラが倒れていた"ことだけを観測している・・・つまり」
未来シエロ「殺さずに、うつ伏せで、倒れていたことにしてしまえばいい」
未来シエロ「そうすれば、マハラは死ななかった、"最初のお前"が観測した状況もそのままだった―――」
未来シエロ「そういう状況が、作り出せる」

未来シエロ「世界線には、収束の影響を受けない、未知の世界線―――抜け穴のようなもの、が存在する」
未来シエロ「そこに飛び込むためには、マハラが死なず、後に"マハラ論文"と呼ばれるものがマハラ自身の手によって発表され―――」
未来シエロ「意見の相違による戦争が起こらないこと、が条件だ」
未来シエロ「―――どれも、マハラが死ななければいいだけ、だがな」

未来シエロ「―――「最初のお前」を騙せ。」
未来シエロ「世界を、騙せ。―――」

やはり俺は、
無茶な要求をけしかけてくるもんだな―――

―――やらない理由が、ないじゃないか・・・!

ZX10/10/5⇒WZ18/10/5

過去へ飛ぶ。
確か、過去の俺の行動パターンはどうだっただろうか。
2回見たから、それは完璧に把握していた。

まず、研究室を出てくる。
その後、通路から2階に降りて、
エレベーターでB通路のある8階まで上がった。

ということは、今から数分の間にエレベーターを動かしてしまって、先に上がっておけばいい。


エレベーターの前に行くと、そこには見たことのある顔があった。
マハラに向って、ナイフを取り出した、
小柄な機体。

―――どう見ても、マルさんだった。

マルさん。
悪魔軍の時の、5%台の、親友。
しかし、俺とマルさんに面識はないみたいだった。

マル「こんにちは」

軽く、声を掛けてくる。
俺は、何も返すことができなかった。
きょとんとした表情。
この顔で中にナイフを持っているんだよな、と柄にもない適当なことを考えていると、エレベーターが着いた。

8階に上がると、予想通りマルさんは書斎に行った。
マハラを呼び出しに行ったのだ。
逆方向、前と同じ場所で待機する。

暫くすると、前と一言一句変わらないあの声で、喋っているのが聞こえた。

マルさんの手からナイフが見えて、
気がついたら、飛び出していた―――

<未来永劫のロジック fin.>
最終更新:2011年08月04日 20:39