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第二話「不可解な殺害」01

坂口安吾「明治開化 安吾捕物帖"万引一家""覆面屋敷"」
UN-GO「覆面屋敷」「素顔の家」 などより

「助けてください」
そう言ってブレイブらの元に飛び込んできたのは、一機のフログランダーだった。
このフログランダー―――名をウィンと言った―――の一家は、それこそ富豪と呼ばれるランクのロボで、大豪邸に住まいを持ち、大戦終了後は家族と隠居生活を送っていた。
何不自由なく暮らしているはずのウィンがなぜ飛び込んできたのか、それにはただ事ではない理由があった。
なんと、ウィンの自宅で、2つの屍体が見つかったのだ。

ウィンの家族は四人構成。妻・アルフと父・グラド、母・ベク、そしてそこに使用人である六機のロボを加えて、合計十人で過ごしていた。
まだほかにもいろいろ隠された話があるようだが、「それは今説明する事項ではございませんので」とウィンに拒否されてしまった。
そして、殺されたのは使用人のうちの二人。
「ティア」と、「セリオ」。
二人はその場にメッセージを残すことすら無く、静かに息を引き取っていたという。

ブレイブ「・・・これは毒殺だな。事件だ」
ウィン「一応本部のほうには連絡していますが・・・」
ブレイブ「ああ。それが懸命な判断だな。よくやった」
ウィン「はい」
ブレイブ「しかし、なぜ・・・?この使用人らに恨みを持っている人物は家内に」
ウィン「それはないと思います。使用人たちはそれぞれ仲がいいですし、われわれ家族もすごく助かっていましたので」
ブレイブ「・・・ふむ、なるほど・・・」
コスモ「やぁ。遅れてすまないね」
ファウント「また貴方たちですか・・・」
ブレイブ「おっと、今回は俺たちへの依頼だからな」
リザルト「協力して、ってことで一つ。どう?」
ファウント「・・・仕方ないですね・・・」

その後、ウィンは退出。残ったのは父とウィンの妻、そしていつもの四人。

ブレイブ「・・・しかし、殺された理由がわからないんだ。死因は毒殺だろうが、毒も少量であれば食事に使用されるようなものだ」
コスモ「まぁ、話を聞く限り分量を間違えるというミスもしないだろうね。高いお金をかけて雇っていたふうだし、悲しいだろう」
ブレイブ「この事件、まだ裏があるようだな。すこし館内を回ってみたが、まだ・・・」

『ぁああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!』

ブレイブ「!?」
コスモ「今の叫び声・・・地下から・・・!」
ブレイブ「急ぐぞ!クソっ・・・」

*

地下の一室は炎上していた。
消火を行い、燃えあがった機体を見ると、それはまさにウィンであった。

ブレイブ「これで追加の事情も聞けない・・・そして、俺たちの目の前で殺害があった」
コスモ「やはり犯人は、この家に残る七人のうちのだれか、ということのようだね」
ブレイブ「・・・いや、本当にこの家には七人しかいないのか?」
コスモ「どういうことだい?」
ブレイブ「なんでもない。ただ、本当に・・・そうなのか、と思って」
コスモ「なにを馬鹿な・・・」

使用人たちにそれぞれ話を聞くと、別々の趣味と仕事を持ち、さまざまな動き方をしていて、家族に溶け込んでいることがわかった。
先に死んだティアとセリオは料理人。もともと姉妹で、セットで入ってきたそうだ。
この家に仕える使用人としては一番長く働いている二人で、家族らは「なぜ殺されたのかがわからない」などと言っていたことから、性格はかなり温厚。
後に聞いた話も付け加えると、あまり怒ることもなく、仕事も完璧にこなしていたそうだ。

他には、ウタカ、テルヨ、アヤカ、ランの四人が使用人として働いていた。
この四人は主に掃除洗濯などの仕事を連携してこなしているが、四人それぞれ別々の趣味を持ち、それもすべて変わり者であった。
ウタカは使用人の傍ら、副業として小説を書いていた。書いた小説は出版社へ提出し、何度か賞をもらったこともあるという。
テルヨは使用人になる前は劇作家であった。なぜ劇作家から使用人に変わったのかはすごく長くなるうえあまり関係の無いことなので伏せるが、もともと劇作家であったこともあり劇鑑賞などを趣味としている。
アヤカは機体修理に長けていた。パーツ複製などもお手のもので、使用人としてもその性能を発揮し、それぞれのメンテナンスを行うこともあるという。もともとメカニックがいない家で、新しく雇うこともなく、腕も一人前ですばらしいものだ、と言う。
ランは詩を書くのが趣味であった。「詩は心を動かす」とは彼女の座右の銘で、それこそ心に響くような詩をよく書いていたという。詩はウィンやグラドなども楽しみにしていて、一家の娯楽として確立されていた。

ブレイブ「・・・この四人が三人を殺したと考えるのが適切だろう。」
コスモ「そうだね。奥さんやお父さんはわれわれに事情を説明していた、というアリバイがあるし、お母さんはショックで寝込んでいたからね」

ウィンの妻であるアルフは、使用人らに家事を任せるということもなく、ともに家事を行い、茶を嗜み、ゆったりとした一日を過ごしたという。
そしてウィンの父であるグラドは、元公共保安隊のメンバーとして戦時中活躍していたそうで、氏いわく「殺されそうになっても私ならやり返せるかもしれんな」と笑っていたのでこちらも犯行の可能性は低い。
母のベクは、ティアセリオ姉妹とかなり仲がよかった。ティアやセリオ、そしてアルフとともに料理をすることもあったし、姉妹の話になると顔が綻ぶ。グラドは、「よく笑う人だが、ここまで寝込むのは始めてだ」と言う。

これが、一家の全てである。
そして、この中に一人、犯人がいる。

*

それから一時間が経った。もっと経っているかもしれない。

ブレイブ「やはり心配だ・・・グラドさん」
グラド「ん・・・なにか」
ブレイブ「ベク夫人の様子、見させていただいてもよろしいでしょうか?」
グラド「ああ・・・まぁ顔くらいはあわせて置かないとな。私も同行しよう」
コスモ「では、私も。ファウントはここで」
ファウント「しかし・・・」
ブレイブ「ああ、リザルトもだ。よろしくな」
リザルト「おーう!任せて!」

ベクの部屋は二階にあった。
家は地下一階・一階・二階の三階構成になっている。
その二階にあるベクの部屋の前の廊下は、電気もつかず真っ暗だった。

グラド「おい、入るぞ」

こんこん、とノックをし声をかけるが、一切の返事はない。
どうやらドアの鍵は開いているようだった。

グラド「おい、探偵さんだ」
ブレイブ「どうも・・・!?」
コスモ「これは・・・死んでる・・・!」
グラド「えっ・・・!?」

ベッドに横たわったベクは、毒殺されていた。
使われた毒は、最初に殺された姉妹に使われたものと同じだった。

(つづく
最終更新:2012年09月16日 00:59