データベースを利用可能にするには、インスタンスを起動しデータベースファイルをオープンにする必要がある。
データベースの起動方法
- EnterPrize Managerを使用する方法
- SQL*Plusを使用する方法
データベースの管理ユーザーで接続後、startupコマンドを実行すると停止状態のデータベースは後述するOPENの状態まで起動される。
データベースの停止方法
- EnterPrize Managerを使用する方法
- SQL*Plusを使用する方法
shutdownコマンドを使用する。
管理ユーザーの認証方法
ユーザー名やパスワードなどのOracleデータベースのユーザーアカウント情報はデータファイル中に保存されている。このアカウント情報はデータベースが停止しているときは利用できない。したがって、データベースを起動するユーザーは、データファイル中のユーザーアカウント情報を利用できないため、別の情報を使用して認証する。
- OS認証:OSに登録されているユーザー情報を認証に利用する方法。
- パスワードファイル認証:パスワードファイルと呼ばれるファイルに保存されているユーザー情報を認証に利用する方法。
データベース起動の流れ
停止しているデータベースを使用可能にするには、データベースをOPEN状態にする必要がある。SHUTDOWN状態とOPEN状態の間には、NOMOUNT,MOUNTと呼ばれる途中のステップがある。各ステップは、Oracleサーバーが読み取ったファイルによって区別されている。
SHUTDOWN:データベースが停止した状態
↓初期化パラメータファイルもしくはサーバーパラメータファイル
NOMOUNT:インスタンスが起動した状態
↓制御ファイル
MOUNT:データベースをマウントし、Oracleサーバーが物理構成を認識した状態
↓REDOログファイルおよびデータファイル
OPEN:データベースがオープンされ、使用可能な状態
データベース停止状態からテキスト初期化パラメータファイルもしくはサーバーパラメータファイルを読み取ってインスタンスを起動した状態。つまり、SGAが確保されてバックグラウンドプロセスが起動した状態ともいえる。EnterPrize Managerでは「データベースの起動」と表現される。
インスタンスを起動した上で制御ファイルを読み込み、物理構成を認識した状態。この段階で、次にオープンするひつようがあるREDOログファイルとデータファイルがシステムに認識される。EnterPrize Managerでは「データベースのマウント」と表現される。
マウント時に認識した物理構成情報を使用してREDOログファイルとデータファイルを読み取り、データベースが使用可能な状態。EnterPrize Managerでは「データベースのオープン」と表現される。
データベース起動時のオプション
データベースを起動する際、EnterPrize Managerの「高度な起動オプション」を指定することにより、NOMOUNT(データベースの起動)やMOUNT(データベースのマウント)状態にすることができる。
SQL*Plusを使用して起動する場合は、以下のコマンドを使用する。
- データベースの起動:STARTUP NOMOUNT
- データベースのマウント:STARTUP MOUNT
- データベースのオープン:STARTUP
データベース停止時のオプション
EnterPrize Managerを使用してデータベースを停止する際、4種類の停止モードを選択できる。
データベースに接続中のユーザーが存在する場合、そのユーザーのセッションが切断されるまで停止処理を待機する。
現在実行中のトランザクションが存在する場合、そのトランザクションが終了するまで停止処理を待機する。トランザクションが終了すると、接続中のユーザーのセッションを切断し、停止処理を実行する。
データベースに接続中のユーザーが存在する場合、そのユーザーのセッションを切断し、停止処理を実行する。実行中のトランザクション処理が存在した場合は、ロールバック処理される。
チェックポイントによるファイルの書き出しを行わずにインスタンスを強制的に停止するモード。このモードで停止した場合、次回のデータベース起動時にはインスタンスリカバリが必要になる。データベースファイルに障害が発生した場合など、このモード以外での停止ができない場合に指定する。
※重要
中断以外の停止方法ではいずれもチェックポイントが実行され、データベースバッファキャッシュ上の変更データがデータファイルに書き出された後、データベースが停止される。従って、次回のデータベース起動時にインスタンスリカバリは実行されない。
SQL*Plusからデータベースを停止する場合は、それぞれ次のコマンドを使用する。
- 標準:SHUTDOWNもしくはSHUTDOWN NORMAL(NORMALは省略可能)
- トランザクション:SHUTDOWN TRANSACTIONAL
- 即時:SHUTDOWN IMMADIATE
- 中断:SHUTDOWN ABORT
初期化パラメータ
SGAのサイズや使用する制御ファイルの名前など、データベースやインスタンスに関わる様々な設定項目を初期化パラメータと呼ぶ。
【初期化パラメータの例】
| 初期化パラメータ |
説明 |
| MEMORY_TAEGET |
Oracleシステム全体の使用可能なメモリーサイズを指定する |
| LOG_BUFFER |
REDOログバッファのサイズを指定する |
| CONTROL_FILES |
1つ以上の制御ファイルの名前を指定する |
| DB_NAME |
データベース識別子を指定する |
| LOG_ARCHIVE_DEST |
アーカイブログファイルを作成する場所を指定する |
| UNDO_MANAGEMENT |
UNDO領域管理モードを指定する |
パラメータファイル
初期化パラメータを記録しているファイルをパラメータファイルという。パラメータファイルはインスタンス起動時に読み込まれ、このファイルに記録されている内容でデータベースやインスタンスが設定される。
パラメータファイルには、サーバーパラメータファイル(SPFILE)とテキスト初期化パラメータファイルがある。
サーバーパラメータファイル(SPFILE)
Oracleサーバーによって読み書きが可能なバイナリファイルである。データベース起動中にコマンドで変更したパラメータ情報を保持することができるため、再起動時にも変更が有効となる。主導では編集しない。また、テキスト初期化パラメータファイルに優先して読み込まれる。このファイルはSPFILEとも呼ばれる。
テキスト初期化パラメータファイル
初期化パラメータを記述したテキストファイルである。Oracleサーバーは読み込みはできるが、書き込みはできない。手動で編集できるが、編集した内容を反映させるためにデータベースを再起動する必要がある。
初期化パラメータの編集
初期化パラメータに関する設定は、EnterPrize Managerの「初期化パラメータ」ページで変更できる。
EnterPrize Managerの「初期化パラメータ」ページには「現行」と「SPFile」の2つのタブがある。
「現行」タブでは現在のインスタンスが使用しているパラメータ値を表示し、「SPFile」に登録されている値を表示する。「動的」列にチェックが入っているパラメータは、インスタンスを再起動することなくパラメータ値を変更することができる。「動的」列にチェックがついていないパラメータ値を変更するには、インスタンスの再起動が必要となる。
なお、「現行」タブで行ったパラメータ値の変更は実行中のインスタンスに即座に反映されるが、「SPFile」タブで行った変更の反映は以下のいずれかから選択可能である。
- SPFile内のパラメータ値のみ変更(データベースの再起動後に有効になる)
- 実行中のインスタンスとSPFile内のパラメータ値を変更(即座に反映され、データベースの再起動後も有効)
「初期化パラメータ」ページの「SQL表示」ボタンをクリックすると、パラメータ値を変更するために自動的に実行されるSQL文を確認できる。
【SCOPEオプション】
| オプション |
説明 |
| SCOPE=SPFILE |
SPFile内のパラメータ値のみ変更 |
| SCOPE=MEMORY |
実行中のインスタンスのパラメータ値のみ変更 |
| SCOPE=BOTH |
実行中のインスタンスとSPF内のパラメータ値を変更 |
【要点チェック】
- データベースを起動するコマンド:STARTUP
- 各状態に遷移するときに読み込まれるファイル
- NOMOUNT:テキスト初期化パラメータファイルもしくは、サーバーパラメータファイル
- MOUNT:制御ファイル
- OPEN:REDOログファイル、データファイル
- 【条件1】データベースに接続中のユーザーが存在しても、ユーザーのセッションを切断してデータベースを停止できる
【条件2】次回のデータベース起動時にインスタンスリカバリが発生しない
- SHUTDOWN TRANSACTIONAL,SHUTDOWN IMMEDIATE
- 次の初期化パラメータに関する説明で対応する初期化パラメータの名前
- Oracleシステム全体の使用可能なメモリーサイズを指定する:MEMORY TARGET
- 制御ファイルの名前を指定する:CONTROL_FILES
- アーカイブログファイルを作成する場所を指定する:LOG_ARCHIVE_DEST
最終更新:2014年03月29日 16:19