神狩り
神は本当にいるんだろうか。
ロッソ・プルクニは最近そんなことを考える。それは作業の合間の休憩時間だったり、人づてに聞いた信じられない程素晴らしい話だったり、その反対の酷い話を聞いて思う。
ロッソがジュノー科学アカデミーでアーティファクトに携わるようになって
数年が過ぎた。幼いころから猛勉強をして、念願だった科学アカデミーに入れたのだ。好きな考古学で食べていけるなんてこんな嬉しいことはない。
イズルードの海底神殿は何故沈んでしまったのか?アユタヤの文明は何故滅びてしまったのだろうか?
そんなことを考えるだけで眠れなくなってしまう。
遺跡調査に出かける時新米は雑用係だが、皆が寝静まってからがロッソの本番がはじまる。昔から思い描いていた遺跡達が側にあるのに、静かにしていることなんて出来ないのだ。
そのおかげか時々新発見をして周囲を驚かせた。最近だとアビスレイクの独特の生態系についての考察が認められた。
だがロッソは認められようとどうだろうと全く気にしない。周りが騒いでるのが煩くてしょうがない。それよりも次の発掘計画を立てるのが楽しいのだ。
それでも自分が世間知らずなことも自覚している。理想では世界が回らないことは理解しているが、トレジャーハンターのハルバー・レイモンドだけは最低だと思う。あいつは遺物を発行すれば増えるお札だとでも思っているんだろうか?
そうそう。神についての話だ。
最近ロッソはランクが上がってより深くアカデミーのデータベースから記録を読めるようになった。貴重な資料が山ほど出てくるんだから、食べるのも寝るのもおざなりになるのは、ロッソにとって自然の流れだ。
だからかもしれない。そこの奥深くに埋もれた資料を見つけてしまった。
それは石壁に書かれた絵とも文字ともつかないものだった。
くいいるように写真を見続けた。石壁の質感からいうとエノク文字の時代だろう。だがエノク文字とは全然違う。文字にはつきものの法則性がまったく見つからない。普段なら法則性がないものは絵のはずである。それでもそれが文字だと誰もが感じ取る力がそれにはあった。
まばたきをするのを忘れるほど見つめていたため、少し視線を外してまばたきをした。すると写真の隅に小さく文字が書かれているのを見つけた。
遠慮するようにひっそり、神文字と。
最終更新:2007年06月18日 19:24