推理の森!!名もなき戦士と【天生】のSPEC

~とある森の奥深く~

三日月が照らす森の中にたたずむ少年は・・・

少年「・・・あれ?ここはどこだ?」

自身の状況を理解できないでいた

 

アロケン「お待ちしておりました」

少年に声をかけてきたのは,黒服に身を包んだ執事のような男

金色に輝く片グラスの奥には,底知れぬ灰色の目がうごめいている

 

少年「え~と,何が何やら状態なんですけど?」

アロケン「ほほほ・・・確かに不自然な状況かもしれませんが,これは夢なのです」

少年「あぁ夢なのね。夢なら不自然極まりても仕方ないね」

 

アロケン「・・・それでは私と少しゲームでもしましょうか」

少年「唐突な提案だけど夢だから仕方ないね。で,どんなゲームをしようって?」

アロケン「”真実の名ゲーム”・・・巷では10Qなどと呼ばれる推理ゲームですよ」

少年「あぁ知ってる知ってる。出題者の考えた”ナニカ”を回答者が10回の質問であてるってやつね」

アロケン「早速始めましょう。私が出題者です。今宵,あなたに当てていただくのは・・・」

アロケン「『名のなき戦士の正体』・・・にございます」

 

~決闘★開始~

少年「・・・なにそれ?」

アロケン「おやご存知ありませんでしたか。なに,小国に伝わる歴史上の人物ですよ」

少年「ですよといわれても,その『名のなき戦士』の正体なんて見当もつかないなー」

アロケン「・・・それではヒントを差し上げましょう。名のなき戦士はASキャラとして登場している

 

~第壱問答~

少年「ん~ASってなんだ?ま,夢だから仕方ないか」

少年「じゃー早速質問させてもらおう。名のなき戦士は男である?

 

アロケン「申し訳ございません。答えられません

少年「なにー!?名のなき戦士の性別はわからないのかよー?」

アロケン「分からないのではなく,答えられないのです

少年「まー夢だからな。しかたないな。次は何を聞こうかn」

 

パリーン

突如。木々の間の空間がガラスのように割れ,奥から誰かが飛び出してきた

???「だめよ。ぜんぜんだめ」

アロケン「お・・・お前は・・・」

???「あなたは序列第52位のアロケン=ルートビヒね。いいのかしら?このままゲームを続けて?」

アロケン「ど・・・どういうことだ・・・?」

???「私が知らないとでも思って?このゲームには『証人喚問』のルールがある。その説明を省いてゲームに興じた事がが”あの方”の耳に入ったら,あなたはどうなるでしょう?」

アロケン「・・・私にどうしろというのですか?」

???「話が早いわ。なに条件といっても簡単よ。私もゲームに参加させてもらうだけ。」

アロケン「・・・あなたが『証人喚問』者としてなら,どうでしょう。『証人喚問』者はゲーム中1度しか選択できませんが」

???「解答権はない上に,ほかの誰かを呼び出すことはできないってことね。いいわそれで」

 

少年「あの~僕の夢の中で勝手に動き回らないでもらえますか?せっかくゲームをしようってなってたんですけど」

???「これは夢じゃないわ。現実よ。あなたは悪魔とゲームを興じる寸前だったのよ」

少年「そんなこと急に言われても・・・あ、こんな展開やっぱ夢なんだ♪」

???「このままじゃなにを言っても信じてもらえないようね。ふぅ」

 

彼女が少年の頭に手をかざし「目覚めなさい」とつぶやく

するとどうだろうか

少年の意識ははっきりとしたものになり,この世界を現実と認識しだしたのだ

 

少年「これは夢じゃない・・・現実だ!!」

???「はっきりしたところで自己紹介といこうかしら。私は果倉部かもめ。先生と呼んでください」

少年「僕の名前は・・・あれ?思い出せない・・・」

かもめ「一時的な記憶障害ってところでしょう。名前が無いのは不便でしょうから,しばらくはあなたを”ホシミツ”と呼ぶというのはどうですか?」

ホシミツ「・・・うん,いい名前です」

 

かもめ「意識がはっきりしたところで,改めて問題を確認しますね」

かもめ「名のなき戦士とは,アンモライレモンド王国に伝わる伝説のひとつに登場する人物

かもめ「ゲームの勝利条件は、その正体を暴くこと。あなたの第壱問答の攻撃はどうだった?」

ホシミツ「ん~性別は答えられないそうです。名のなき戦士に性別は存在しないのでしょうか?」

かもめ「いくつか考えられることはありますが・・・そもそも歴史上の人物であるはずの名のなき戦士が,ASキャラとして登場しているヒントをどう受け止めるかね」

ホシミツ「そーですね。じゃあ」

 

~第弐問答~

ホシミツ「名のなき戦士は時間を飛び越える能力を持っている

アロケン「また答えにくい問いですね。ですがあえて答えましょう」

アロケン「名のなき戦士は時間を支配する類の能力を有してはいません

ホシミツ「くそーはずしたー」

 

かもめ「ホシミツ君。無鉄砲に質問攻撃しても彼にかわされるだけよ。質問権の上限はいくつだったかしら?」

アロケン「10にございます。ホシミツ様はすでに2つを消費し,残り質問権は8にございます」

ホシミツ「すいません・・・思いつたまま質問権を使ってしまって・・・」

かもめ「でも特別な能力をもっているかもという視点はいい発想ね」

かもめ「ちょっと耳を拝借」ゴニョゴニョ

ホシミツ「灯台もと暗し」ピキーン

 

~第参問答~

ホシミツ「今,この場に名のなき戦士が存在している!!

かもめ「うんうん♪」

ホシミツ「ここにいる3人はそれぞれ素性がはっきりしているものではない。その中に名のなき戦士がいる可能性は否定できない。もちろん僕も含めてね」

アロケン「答えはNOです。ここにいる3人は名の無き戦士ではなく,一切のかかわりがありません


~第四問答~

ホシミツ「よし,これで3人は名のなき戦士候補から外れたってわけだ」

かもめ「『●●は質問の答えですか?』という質問は効率が悪く,外れた代償が大きい。ですが空間を指定してやればある程度の掌握が可能です。これを『空間否定法』といいます」

ホシミツ「べんきょうになるー」

 

アロケン「・・・次の質問はどのような攻撃でしょうか?まだまだ解答には程遠いようですが・・・」

 

ホシミツ「じゃあ思考を戻して能力を探ってみよっと」

ホシミツ「名のなき戦士が持つ特殊能力は不老不死である!!

アロケン「答えはNO!!ですが肉体に限っての解答である,と補足しておきます

かもめ(それは私のSPECね)

 

~第五問答~

ホシミツ「ん~能力を特定するには選択肢が多すぎるか・・・」

ホシミツ(これじゃぁ名のなき戦士の正体を特定するのは不可能だよぉ・・・ん?正体を特定する・・・)

ホシミツ「ははーん。ちょっと閃いちゃったかも♪」

 

ホシミツ「名のなき戦士の「名前」は確定されていない!!

アロケン「おや。急に確信に近づきましたね。答えはYES。名のなき戦士は登場してはいますが,名前は明らかにされていません

 

~第六問答~

ホシミツ「予想通り!!真実の名ゲームなのに,問題が「正体を明かせ」ってのが引っかかったんだよね」

ホシミツ「さて,次は先生に聞くね・・・聞いていいんだよね?」

アロケン「解答に直接関係あるものでなければ可能です」

かもめ「一応中立的な立場ですからね。答えられる範囲で協力しますよ」

 

ホシミツ「それならその範囲で教えてください。名前が明かされていないASキャラは何人いるんでしょう?」

 

かもめ「・・・一人よ(純然たる悪意編開始時点での話ね♪)」

ホシミツ「もらったぜ。答えは・・・」

かもめ「アロケン。ひとつ確認します。解答権はいくつあるのですか?」

ホシミツ「先生・・・俺の見せ場をとらないd」

かもめ「お答えなさい。解答権はいくつ?」

 

アロケン「解答権は1つのみです。質問権を行使しての解答は認めませんので,一度きりのお答えを大事に使ってくださいますようおねがいします」

 

かもめ「はい。ホシミツ君。私ができるのはここまでよ」

ホシミツ(・・・先生が邪魔するわけない。冷静に考えれば質問権はまだ5つあるんだ。全て使い切ってから解答権を行使しても遅くない)

ホシミツ「俺は質問権を行使する」

ホシミツ「第四問答の解答から,名のなき戦士が魂の不老不死的能力を持っていると推察できる」

ホシミツ「おそらくは名のなき戦士の魂は時代を超えてさまざまさ人間に,器に転生しているんじゃないだろうか」

ホシミツ「この仮説が正しければ,名のなき戦士を特定することはできない。器の数だけ性別があり,答えがあるんだからな」

ホシミツ「正体を明らかにする。という問題にも合点がいくし」

 

かもめ(彼の知識を補完する為に私を『証喚』したのに。足りなすぎる情報からここまで導くなんて・・・私の【天帝】で彼の眠れる”ナニカ”を目覚めさせてしまったのかしら)

 

ホシミツ「アロケン,あなたに問う。名のなき戦士の魂は転生し,現代にまでその命はつむがれ続けている!!

 

アロケン「グッド!!名のなき戦士は【天生】のSPECを持ち,現時点ではあるASキャラに転生しています

 

~第七問答~

ホシミツ「よし,だいぶ明らかになってきた。次は名のなき戦士の最初の魂が誰だったのか特定できれば・・・」

ホシミツ「先生,名のなき戦士の物語には主要な人物が2人います。一人は戦士。もう一人は・・・」

かもめ「シャカイナですね。世界の根源を書き換えた能力を利用し,混濁したルールをもたらしました。物語は戦士がシャカイナの力を受け継ぐところで終結します」

ホ シミツ「力の受け渡しの描写を見るとシャカイナが【天生】のSPECを持っていたようにも見えるんですが,どうもしっくりこない。【天生】によって世界の ルールを書き換えた?無理があると思うのです。かといってそもそも名のなき戦士が【天生】を有していたと言い切るにも不十分だ」

ホシミツ「・・・もしかしたら【天生】は2人のSPECが融合して生まれたんじゃないでしょうか?その可能性はあるのでしょうか?」

かもめ「【天生】は『三天のSPEC』がひとつ。この宇宙が誕生した時間の奥底で発現しました。ですが,その能力が誰かに継承されたのは実は最近のことなのです」

ホシミツ「やはりそうですか。質問権を行使!!名のなき戦士とシャカイナの戦いの後,【天生】が継承された!!

アロケン「YES!!

 

~第八問答~

ホシミツ「先生,最初の名のなき戦士の名前を明らかにすることはできるのでしょうか?俺が知る限り,名のなき戦士の情報は,この伝承以外に存在しないと思うのですが」

かもめ「現存確認できるものではこれだけでしょう(魔導書の中にはあるやも知れませんが)」

ホシミツ「ということは名のなき戦士のオリジナルの正体はパンドラの函。どうとでも解釈できる存在だということだ」

ホシミツ「あとは・・・現在の名のなき戦士の器が何者かを明らかにすべきときがきたな」

ホシミツ「現時点における名のなき戦士の器は「アポロニウス」と名乗る人物である!!

アロケン「ご名答!!もっともすでに確定事項ではあったのですがね

かもめ「すでに詰めの終盤に来てるということね」

 

~第九問答~

ホシミツ「先生,【天生】によらない魂の転生はありえるんでしょうか?」

かもめ「否定はできないわね。生前の精神の強さが後に生まれた人間の魂に強く共鳴することはある。赤き竜に選ばれしシグナーの祖の精神がジャックアトラスに共鳴し,彼自身が【荒魂】を手にしたようにね」

ホシミツ「シグナーの力・・・精神の強さ・・・英雄的な存在ですね・・・もしや・・・」

 

ホシミツ「質問権を行使!!アポロニウスは水の国の英雄アポロンの精神を継ぐものである!!

アロケン「そこまで解き明かすとは・・・正解にございます

 

~第終問答~

ホシミツ「最後の質問権はあとにとっておきます」

アロケン「どういうことでしょう?」

ホシミツ「おや,解答権を行使した後に質問権を行使してはいけないルールは聞いてないぜ?あの方にいってやろうか?」

アロケン「・・・みとめます。では解答権を行使するということですね」

ホシミツ「あぁ・・・いくぜ!!これが答えだ!!」

 

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結論から言おう。現時点においての「名のなき戦士」はアポロニウスだ。

だが,その魂は,かつてアンマライレモンド王国で戦った2人の魂が【天生】したものだ。

そして,その器は,水の国の英雄アポロンが転生したものだ。


「名のなき戦士」の正体・・・それはかつての大国を救った2人の英雄が,現世に現れた英雄的戦士だ!!

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アロケン「反論ありません。ホシミツ様の勝利です」

~決闘★終了~

 

ア ロケン「補足しておきましょう。パンドラの函・・・最初の名のなき戦士は,【天滅】のプロメテウスという男です。彼のSPECは「三天のSPEC」になれ なかった能力・・・宇宙の意思から外れた力・・・そして今,水の国の英雄アポロンとプロメテウスは1人の魂となり,【神託】のアポロニウスが宇宙の意思を 投影しているのです」

 

かもめ「さてゲームに勝ったわね。もちろん報酬は忘れてないわね」

アロケン「これでもゲームマスターの端くれ。それについては偽称の砂ほどもありません」

ホシミツ「おー報酬があったのかー先生,報酬ってなんですか?」

かもめ「その前に最後の質問権を使っておいたほうがいいわ。さぁ何を問うの?」

ホシミツ「あぁそうでしたね。それじゃあ最後の質問権を行使します」

 

ホシミツ「先生,俺は先生の子供として生まれるんでしょうか?

かもめ「・・・残念だけど,私ではないわ。でも,あなたは私のかわいい教え子よ」

ホシミツ「そうですか・・・この名前も忘れてしまうんでしょうね。先生,できるならまた」

 

ホワッ

彼は小さな光の塊になって宙を舞い,森の外へと飛び去っていった

 

かもめ「話の途中なのに邪魔したわね」

アロケン「誕生の時間まではわたくしの制御外ですので。ゲームの報酬「誕生の確定」は規定通り付与いたしました。それにしても・・・彼はどこまでの答えを導いていたのでしょう。【天帝】の影響が強すぎたのでは?」

かもめ「ええ。でも私の【天帝】の影響だけじゃないわ。あの子が生まれながらにして持つ・・・いえ,生まれる前から持つ力は宇宙の意思を秘めたものなのでしょう」

 

アロケン「ゲームは終了しました。かもめ様もご退場願いますか?」

かもめ「土足でお邪魔しました♪またゲームをするときは呼んでくださいね」

アロケン(・・・あなたが来ると必ずイレギュラーが起きる・・・かといって場所を変えてもあなたは現れる・・・)

かもめ「そんな嫌な顔しないでよ。でもね・・・私がいる限りはあなたの自由にはさせないわよ?」

 

かもめ「純然たる悪意さん♪」

 

 

~とある病院~

赤さん「オギャー」

母「名前は何にしましょう?」

赤さん「オギャー(ホシミツですー)」

父「そうだな・・・今晩はいい天気だ。星の光が満ちている」

父「この子の名前はスライ。スターライト=カッパーフィールドの誕生だ」

赤さん「おぎゃー(いい名前です。でも,おしい・・・よ・・・あれ・・・意識が・・・)」

 

スライの記憶が呼び起こされるのはこれから数年後。

【天帝】によって星の力が引き出されたその日。

そして同時に彼は理解する。先生の死を。そして

 

純然たる悪意の侵略を・・・

最終更新:2013年02月02日 11:11