//まとめサイト作成支援ツール@wiki http://atwiki.jp/matome/ //編集URL: http://atwiki.jp/matome/editor?url=http%3A%2F%2Fjbbs.livedoor.jp%2Fbbs%2Fread.cgi%2Fotaku%2F9191%2F1323602959%2F //掲示板タイトル: ネタの書き込み6 //掲示板URL: http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1323602959/ :533. &aa2(#008000){ひゅうが} 2011/12/18(日) 01:37:51|&aa2(c){ネタＳＳ―「安住の地」― &br() &br()――西暦１９４３年４月１１日 小笠原諸島西部 東鳥島（ガンジス）諸島 天武島 &br() &br()「ほら。降りな。」 &br() &br()山根恭平博士は、檻の中の「彼女」に優しくそう呼びかけた。 &br()黒灰色の鱗のようなごつごつした皮膚をまとった「彼女」は少し首を傾げた後、ゆっくりと二本の足で歩き始めた。 &br() &br()「新堂少佐。お願いします。」 &br() &br()「はい。」 &br() &br()伊豆諸島と小笠原諸島の間あたりに位置するこの島々の気候にあわせ、半袖の第３種軍装を着こんでいた新堂靖明少佐が合図をすると、部下たちが１４つある檻の戸を開けた。 &br()中からは、「彼女」と同じ姿をした「彼女」の一族がのしのしと歩き始める。 &br()体長は１０メートルから１２メートルほどである。 &br() &br()「君らには、迷惑をかけたな。」 &br() &br()山根は言った。 &br()「彼女」は、キュルキュルと喉を鳴らす。実は人間の言葉をある程度理解しているということを、山根はこれまでの経験から知っていた。 &br() &br()「ここなら、人は住んでいないし、立ち入らせる予定もない。それに回遊してくるや深海の大王イカやクジラも豊富だ。君らの楽園になれると思う。黒潮の分流が通っているからね。あとは任せておいてほしい。」 &br() &br()「彼女」は、愛嬌のあるしぐさで首をかしげると、まるでお辞儀をするかのように山根たちに向かって頭を下げ、何度も彼らを振り返りながら照葉樹の森へ歩いてゆく。 &br() &br()「全隊、気をつけ！」 &br() &br()新堂少佐が号令をかけると同時に、「陸海軍合同 レチル輸送隊」を構成する面々が大型の重機の前で直立不動になる。 &br() &br()「敬礼！」 &br() &br()ザッという音と共に、これまで「彼女ら」の輸送に携わってきた男たちが敬礼を捧げた。 &br()それは、彼女らを故郷であるマーシャル諸島のレチル島からこの地へ移らせてしまったことへの詫びをこめてでもあり、それを理解しながら協力してくれた「彼女」らへの感謝でもあった。 &br() &br()「彼女」――現代に生きる水陸両用の大型爬虫類「恐竜」の最後の生き残りは、広い広葉樹の森の手前でこちらへと大きく身をよじった。 &br()そして、小さな前脚――というより「手」をこちらに向けてゆっくり上下させ、再び頭を下げた。 &br() &br()山根と新堂は、思わず目を潤ませた。 &br() &br()やがて、「彼女」は森の奥へと消えていった。 &br() &br() &br()「新堂少佐。『卵』の輸送は？」 &br() &br()「完了しています。なるべくメスの近くに置いて輸送したのがよかったのでしょう。砂浜に設置をはじめています。」 &br() &br()「そうか・・・あと何カ月もせずに『彼女』たちの子供が生まれることになるな。」 &br() &br()「はい。しかし――驚きました。マーシャルに恐竜が生き残っていたなんて。それに、この島も。」 &br() &br()新堂少佐は、彼らがいる「幻の島々」を見渡した。 &br()この島は、北緯２８度７５分から３０度１２分、東経１５７度３９分から１５９度０１分にかけて点在する比較的大きな島嶼の一部である。 &br()まだ環礁になっていない島々であるが、ハワイなどと同様に太平洋ホットスポットの作用により誕生した島嶼と思われ、大小６つの島が点在している。最大の標高は１００メートル前後であるが、この周辺で多く発生する霧や海流の温度差により生じる蜃気楼のおかげで目視による確認はよほど運がよくないと不可能である。 &br()温暖な気候から植生は小笠原諸島のそれによく似ており、周囲を流れる小笠原海流の分流によって年中ほぼ一定の２４度という温暖な気候がはぐくまれていた。 &br() &br()しかし、この島々から一歩外に出れば、深さ４０００メートル以上にもなる深い海が横たわっており、漁場となるには不満があった。 &br()そのため、海図には軍管理下として記されてはいるが、そこに接近する船はほとんどいない。 &br()接近ができるようになったのも、精密なジャイロコンパスとレーダーの装備ができるようになった近年であった。 &br()一時期ミッドウェー島を目標にする航空基地を建設することも考えられたが、前記の理由で御破算になり、この小島の列は忘れられていた、はずだった。 &br()} :535. &aa2(#008000){ひゅうが} 2011/12/18(日) 01:39:42|&aa2(c){転機が訪れたのは、１９４３年初頭。 &br()核実験場となるビキニ環礁周辺の調査が行われた際である。偶然立ち寄ったレチル島において、なんと「生きた恐竜」が発見されたのだ。 &br()だが、日本政府はかつてニホンカワウソやニホンオオカミの保護で大いに苦労した経験からこのことを公表せず、その希少性に鑑みて南洋諸島からの「移送」を決定。 &br() &br()秘密裏に部隊を派遣したのであった。 &br()それに同行した山根博士と新堂少佐は、苦労を重ねつつも恐竜の驚くべき知能に助けられてこの忘れられた島々への移動を成功させていた。 &br() &br()「にしても、新堂さん。あなたの熱意はすごかったですな。『まるで前から「彼女」を知っているような態度で堂々と群れの中に分け入って行った』勇気には感服しました。」 &br() &br()山根には、この旅の間に抱き続けていた疑問がある。 &br()時には涙を流すほどの思い入れで「彼女」と心を通わせた新堂少佐は―― &br() &br() &br()「いえ。少し、夢見が悪いので。」 &br() &br()新堂少佐ははにかんだような表情で微笑した。 &br()そして何かをごまかすかのように話題を転じる。 &br() &br()「博士。そういえば、『彼女』たちの名前、どうします？」 &br() &br()山根は、言った。 &br() &br()「そうですね・・・ゴジラザウルス、というのはどうでしょう？」 &br() &br()新堂少佐の目が驚愕に見開かれたのを見て、山根の疑念は確信に変わった。 &br() &br() &br() &br()【あとがき】――ネタ元はあの水爆大怪獣映画の平成版です。 &br()ｖｓキングギドラは、突っ込みどころの多い設定ですが、あの新堂会長と向き合うシーンをもって傑作になったのでは・・・と思う次第。 &br()核実験場がビキニ環礁なので、思いついた次第です。 &br()} :536. &aa2(#008000){ひゅうが} 2011/12/18(日) 01:46:41|&aa2(c){>>533 &br() &br()>>535 &br() &br()というわけで某怪獣王ネタと、世界を超えた再会のお話です。 &br()憂鬱世界の片隅で奇跡が起こっているというネタを考えていたらなぜか新堂会長との再会話にｗ &br()なお、作中の島々は実在しません。詳細は中ノ鳥島で検索すれば分かるかなと思います。 &br()} :544. &aa2(#008000){ひゅうが} 2011/12/18(日) 05:37:55|&aa2(c){>>541 &br()の後日談じみたものを思い浮かんだので投稿します。 &br() &br()平成世界――２０ＸＸ（平成ＸＸ）年 某日 大英帝国 帝都ロンドン &br() &br()「聞いていますか？シマダ殿。そもそも王たる者が安易に仕事を避けようとすること自体が間違っているのです。 &br()そちらのわたくしは最近まで父が生きていたそうですからまだ甘いのかもしれませんけれどここのわたくしはそう甘くはありませんよ！？それでも栄えある世界最古の帝国を統べる王ですか！？大帝陛下が大目に見てくださっているからといってそれに甘えるとは――」 &br() &br()バッキンガム宮殿の一室。 &br()某任○堂のゲーム機の横で、正座するセイバーに女帝が説教をしている。 &br()それなんてカオス？と嶋田は頭を抱えたくなった。 &br() &br()その横では、女帝の御子息もなぜか正座させられていた。 &br() &br()「おい・・・辻よ・・・なんでこんなことになっているんだ？」 &br() &br()「さあ？英国情報部驚異の情報収集の結果でしょうかね？」 &br() &br()「聞いているのですか！？」 &br() &br()「は、はい女王陛下！」 &br() &br()「まったく！それでも私の猶子ですか！？」 &br() &br()「母さん。僕も発耳なんだが――」 &br() &br()「あなたは黙ってて！！」 &br() &br()「はい・・・。」 &br() &br()このカオスな光景が出現した理由は、実のところ嶋田茉莉の自業自得でもある。 &br()自家中毒状態に陥っていた平成世界と憂鬱世界がすったもんだの末に政府だけ一本化されるという平成日本の全否定に近い結末を迎えてから約１年。 &br()その間彼――いや彼女は多忙を極めた。 &br() &br()嶋田がそれなりに愛着を持つ平成世界を壊さない程度に憂鬱世界からの干渉を排除しつつ運営し、後継者がさぼっている憂鬱世界での列強最強国家のかじ取りをやらされていたのだから。 &br()正直、愚痴を言う暇もない。 &br()だが――彼女はうまくやりすぎた。 &br()伊達に１００を超える人生経験の半分を戦争や国家の指揮にあたってはいない。 &br()例えて言うなら、体力気力全開のチャーチルを相手に鳩○や空き○の類が対抗できるか？ということになる。 &br()また、人生経験と修羅場の数々を潜り抜けたために発せられるオーラに、生まれ変わってから加わった魅力全開な空気をまとわれては対抗できる者の方が少ないだろう。 &br()（ちなみにその数少ない一人は現在皇居で世界を隔てた親子対面中らしい） &br() &br()平成世界の長いものに巻かれた国民いわく「嶋田さんじゃなきゃヤダ」。 &br()「どうしてこうなった・・・」と嶋田が呟きたくなるのもむべなるかな、である。 &br() &br()でなければ、自分のアホ毛を抜いて「オルタ」こと「大宰相ＳＨＩ☆ＭＡ☆ＤＡ」と化してはいない。 &br()しかも悪いことに、その騒動の中で抜けた彼女の髪の毛は英国情報部に回収されていた。 &br()オルタ化して暴れていたときに謎の西洋剣と日本刀じみたものが目撃されていたらしく、それを「すわエクス○リバーか！？」と大慌てになっていたらしい。 &br() &br()そしてそれが分析された結果――嶋田はこの平成世界でも最強クラスの女王陛下に呼び出されることになってしまったのだった。 &br()表向きガーター騎士団への入団を許可するという話だったが、裏では嶋田がオルタ化したという情報や創作上のアーサー王もどきになっているという情報に放ってはおけなくなった女王陛下との直接面談が目的だったらしい。 &br() &br()日本のマスコミは「バッキンガムに招かれた大宰相」だなんだと言っているが・・・ &br() &br() &br()「ああ・・・シマダ首相。」 &br() &br()正座が妙に似合う皇太子殿下は苦笑しながら言った。 &br() &br()「とりあえず母には気に入られたようで・・・とりあえず姉上と呼ばせていただいても？」 &br() &br()「拒否権・・・ないんでしょうねぇ・・・」 &br() &br()猶子というのは、英国王位継承権を持たない養子のようなものだ。昔は欧州の国家の君主が猶子となることで大英帝国の後ろ盾を得ていたそうだが、当然ながら国王陛下の気に入った若い者への後援用としても使われていた。 &br() &br()今回、嶋田は後者ということらしい。 &br()最初は和やかに話していたのに、だんだん説教のようになり、最終的には最強君主の恐ろしさ全開での「王とはいかなるものたるべきか論」講義になっている。 &br() &br()さりげなく横で同じく正座している辻も、さすがに２時間を経過しては辛そうだった。 &br() &br()「なんでこうなるかな――というか、陛下はこうなると知っていたのか？」 &br() &br()出がけに微笑されながら自分を送り出した二人の主上を思い出し、嶋田は深いため息をついた。 &br() &br() &br()「聞いていませんね？」 &br() &br()「いいえ！女王陛下！」 &br() &br()「よろしい。いいですか？そもそも王というのは民の模範たるべきもので――」 &br() &br()その後、講義は１時間以上も続いたという。 &br()なお、嶋田は妙に気に入られたらしく、ますます引退の予定が遠のいたらしい。 &br()}
