924:earth:2024/10/10(木) 21:52:50 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
転生者、令和の地で斯く戦えり 第13話
TF21は警戒陣で悪天候と夜の闇に紛れ、日米台中の誰にも妨害されることなく一気に宮古海峡を突破していた。
自衛隊や米軍は謎の巨大飛行物体が列をなして宮古海峡を突破したとの未確認情報を得てはいたが、レーダー、無線が使い物にならない状態であったこと、
更に中国海軍の残存艦艇が日米海軍の進出を阻まんと動いていたこともあり、偶発的衝突を回避するためにまともな身動きは取れなかった。
尤も、その中共海軍、空軍は黒災との戦闘で消耗していたこともあり、日米が察知した未確認飛行物体の存在を全く探知できなかった。
かくして誰の妨害も受けることなく、TF21は陣形を【赤城】を中心にした輪形陣に再編し、上海から見て南東方向から船団の救出を図る。
「MT部隊、発進せよ」
戦闘ブリッジに移動していたカレンは淡々とそう命令を下した。
司令官の命令を受領した三笠、赤城、最上、三隈、鈴谷の5隻からは、11個小隊・合計33機の人型機動兵器・MT(Metal Trooper=鉄騎兵)がカタパルトを用いて
母艦から整然と飛び立っていく。
最低限の直掩機(予備戦力)を除いての全力出撃だった。
「MSでもなく、PTでもなく、MT・・・・・・まぁオリジナリティを出したい創造主の拘りなんでしょうけど」
そんなカレンの呟き通り、TF21が発進させたMTはオリジナルに色々と手を加えている。
全機がテスラ・ドライブを搭載し、空中戦にも対応した機体となっている。量産型ヒュッケバインMk-2こと【紫電】はGインパクト・キャノンやグラビティ・ウォールを
撤去して戦力が低下した分を補うため、左腕へのビームシールド追加に加え、ライジングフリーダムのシールドブーメランを追加で装備している。
ヒュッケバインMk-2こと【紫電改】は比較的原型に近いが、それでも空中戦闘能力は強化されている。
そして尤も異様な進歩を遂げたのがビルトシュバインの改良型・【雷電】。この機体は対オカルトを考慮して、サイコフレームを使用した上でラムダドライバを搭載。
その分だけ扱いが色々と難しい機体ではるが(故に雷電の名前がつけられたとも言える)、今回のように魔法がある世界の化け物と戦うには必要な戦力と
考えられていた。
雷電3機、紫電改8機の11機を隊長機(有人機)とし、残りを無人の紫電22機で構成されたMT部隊は船団の上空に陣取る黒災の航空戦力を掃討するために、
空を駆けていく。
しかし相手側も素直に奇襲を受けるお人好し(?)ではない。
周囲の戦況を示す天井のモニターには上海を沖を目指す33機に対し、黒災の機影が向かってくるのも映し出されていた。
「・・・・・・量子レーダーは有効ね」
TF21に配備された量子レーダーは晴れた上海沖の空を飛行する黒災の群を正確に捉えていた。
電波に頼ることなく、量子のもつれ現象を利用して対象を捉えるレーダーは、NJも、ミノフスキー粒子による攪乱も撥ねのけ、黒災たちの姿を丸裸にしていたのだ。
異世界に転移することでスパロボ世界の呪縛から解き放たれ、開発に成功した七道は「これが普及したら、人型ロボの価値が下がるから、人型ロボットが活躍する
ことが前提の世界だとそうそう出せないだろうな」と評していた。
ミノフスキー粒子やNJの影響を受けず、高度な索敵能力を持つ量子レーダー、艦隊のデータリンクを可能とする量子通信・・・・・・そして戦場の膨大な情報を円滑に
処理するための高性能な演算装置。
今の人類が使えなくなったものを蓬莱機関は全て持っている。それこそが彼らの強みの一つでもあるのだ。
これまで一方的に人類を狩っていた侵略者は、人類が如何に恐ろしく、手強い存在であったかを、改めて思い出すことになる。
『敵と接触します』
【赤城】を動かすAIの人工音声と同時に、MT部隊と黒災の小型円盤群の戦闘が始まった。
925:earth:2024/10/10(木) 21:53:28 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
小型円盤群は向かってくる人型の機影に対し、すぐさまレーザー攻撃を浴びせようと展開する。
そんな小型機の攻撃をMT部隊は難なく回避する。
人型の飛行物体とは到底思えないほど軽やかな機動を披露した後、前衛を務める紫電は先制攻撃とばかりにM13ショットガンを放つ。散弾により、20機近くの円盤が
纏めてたたき落とされる。更に生き残った円盤は突進してきた紫電が投げつけてきたブーメランシールドにより、次々に切り刻まれていく。
何とか反撃を試みる円盤群であったが、「そうはさせない」とばかりに後衛を務めていた雷電、紫電改がフォトンライフルからビームを叩き込み、掃討していく。
円盤では歯が立たないとみたのかリングがかけつける。リング群は更に後方に展開していた重爆級から放たれたレーザーを、リング内側の重力レンズで曲げて、
MTに当てようとするが、そのどれもが回避される。
それどころかレーザーを曲げるために動きを止めたリングはMT部隊に攻撃され、次々に火を噴いて墜ちていく。短時間の内に、MT部隊は被害ゼロで敵を殲滅した。
それは現地の人類ではなし得なかった戦果であったが、MT部隊のパイロットたちは冷静さを保つ。
『思ったより脆いぞ、こいつら』
『侮るなよ、ウルフ3。こいつらは前座だぞ』
『へいへい』
パイロットを務めるのは、オリジナルに合せて(コストと時間などの諸事情の問題で)肉体のみ女性にされた狼男の怪人たち(精神年齢は高校生~大学生)。
彼女たちはケモ耳美少女パイロットという色んなジャンルを組み合わせたような存在であったが、仕事に対しては至って真摯であった。
『重爆級3、リング18、円盤36接近。更にその後方、上海市街上空に新型と思われる敵影。釣り鐘のような形状。リングや円盤を表面の発進口から発進させている』
先行しているウルフ6より報告が入ると、パイロットたちはコンソールを操作し、周囲の情報を確認する。
全周囲モニターの一角に映像が拡大投影される。そこにはホルテンHo229を大型化したような重爆級を中心にした第二派、更にリングの母艦と思われる機体が現れていた。
釣り鐘のような形状でありながら、大きさは重爆級を超える巨躯であり、その外径部には横に細長い四角穴がいくつもある。そこから円盤やリングを吐き出しているのが
見て取れる。
『敵の母艦?・・・・・・連中も焦っている? ここで落とせば』
『リングは内側の重力レンズでレーザーを曲げるだけでなく、内側に誘い込まれたらこの雷電以外だと押しつぶされる可能性がある。単独で接近するな。お前は勇み足が過ぎる』
『・・・・・・了解』
『ただし、予定時間までに敵は減らしておくぞ』
さすがのカレンもMT部隊ですべてケリがつくとは思っていない。
先行したMTに敵航空戦力に痛手を負わせて、制空権を確保。その状態で全艦で艦砲射撃を敵残存部隊に浴びせ、一時的にせよ安全を確保して避難船団を安全圏に逃がす
つもりだった。彼女は独力で上海奪還、或いは上海に取り残された人々の救援などは考えてはいなかった。
『あとは釣り鐘型の敵についても一当てして情報を集めておく』
『了解』
上海沖の戦いは第二幕を迎える。
そしてこの戦いは上海から逃げ出した船団からも見ることが出来た。
黒災の攻撃で1隻、また1隻と船が沈められていく様に絶望していた人間達は、突然降臨した巨大人型ロボットの群が、自分達では全く歯が立たなかった化け物共を叩きとしていく光景に
唖然とし、次に歓喜した。
あのロボットが味方という情報は無かったが、船団を守るかのように黒災のみを攻撃していく光景を見て、彼らはあの巨大人型ロボットの群を味方と判断したのだ。
「化け物を倒してくれ!」
「家族の仇を討ってくれ!!」
「ざまぁみろ、化け物共!!」
「生きて日本に帰れる!」
一方で科学技術、軍事技術に多少でも詳しい人間は、しばし喜んだ後、あまりに非現実的な光景に唖然ともした。
「嘘だろ・・・・・・」
「なんであんな機動が出来るんだ?」
「SF小説やアニメじゃないんだぞ」
レーザーを軽やかに回避し、更に命中したとしてもそれを跳ね返す装甲。
戦車や軍艦の装甲を焼き切る光線兵器を受けても尚、平然と反撃するロボットたち。
「一体、どこの国の兵器なんだ?」
927:earth:2024/10/10(木) 21:54:46 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
というわけで人型兵器無双。
次回は敵母艦との戦闘&艦隊による統制射撃ですかね。
人型兵器の活躍の後、巨大空中戦艦群による艦砲射撃を見せられる人々の
SAN値はどうなるか。
最終更新:2026年01月09日 22:52