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972:earth:2024/10/12(土) 12:32:12 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp


 転生者、令和の地で斯く戦えり 第14話


 紫電改と紫電2機は重爆の正面から、雷電と紫電2機は重爆の上方から攻撃すべく高度をとる。
 重爆級は自身に迫る飛行体を排除しようと、胴体部から数多の光線を放つが、相手の接近を阻止できないと見るや手を変える。
 亜種とは言え、ネウロイであるが故に存在する黒い六角の模様の一部が盛り上がり、そこから複数の触手が飛び出した。

『うわ、キモ・・・・・・!?』

 紫電改を操っていたウルフ3が嫌な顔をするが、すぐに異変を察知して回避行動に出る。
 そしてそれは無駄ではなかった。回避した直後、かつて紫電改がいた空間に向けて無数の光線が殺到したのだ。

『ちっ! 手を変え品を変え、よくも』

 ノーマルスーツ(どこぞのエロゲーのような色気はない)の中でそう毒づきつつ、彼女は触手から放たれるレーザーを避け続けた。
 そして避けつつも、触手の先端に組み込まれた目のような機関から、赤い光線が放たれていることを確認する。
 彼女が浴びている弾幕の嵐を現地人類の航空戦力が受けたら、瞬く間に大打撃を被っていただろう。だが、TF21のMT部隊、中でも有人機を任せられた
優秀なパイロットである彼女たちからすれば、対処可能な攻撃でしかない。
 尤も【対処可能】=【楽勝】という訳ではない。

『お前はラフレシアかよ!』

 訓練時の仮想敵の一つとして用意された巨大MAを想起させる攻撃に、紫電改を操っていたウルフ4がやや焦りつつも、そう毒づいた。
 しかし毒づきつつも、彼女は四方八方から撃ち込まれる光線を次々に回避し、更に突っ込む。

『チャクラムシューター!』

 左腕から放たれた有線式のチャクラムが、紫電改を前方の触手を切り裂く。
 しかしそこでは終わらない。

『まだだ!』

 左腕を振るい、チャクラムを振り回して周囲の触手を次々に切り裂く。
 周囲の弾幕が薄くなったことで、積極的な攻撃行動に移れるようになった紫電が更に重爆級に攻撃を加えていくが、重爆級は強固なシールドを展開する
ことで、ビームの直撃を防ぐ。同じ場所に立て続けに撃ち込めば貫通できるかも知れないが、そこまでの余裕は重爆側も与えない。

『無駄に堅いな、こいつ!』
『なら、こっちから行くぜ!』

 重爆の攻撃が前方に向いたためか、砲火の密度が減った重爆の上方。
 そちらにいたウルフ2が操る雷電は、MTサイズ(MSサイズ)の日本刀を取り出す。そして紫電の援護を受けつつ、一気にその距離を縮めていく。

『センサー始動、コアは、胴体中央か・・・・・・なら!!』

 ウルフ2は雷電に搭載されたラムダドライバを用いた近接攻撃を決意する。
 減ったとは言え、弾幕を張って阻止を図る重爆。周囲の円盤機も割り込みを図るが、他の紫電改、紫電に阻まれてしまう。

(うまく起動してくれよ・・・・・・)

 純粋なヒトではない、人造生命体でしかないウルフ2であったが、人の意思を増幅させるサイコフレームは、彼女の不安を払拭するかのように彼女の
意思に従い、ラムダドライバを起動させる一助となった。
 人の意思を具現化するラムダドライバ。それはこの場において、人間にとって不可視の力を刀に凝縮させていく。

『断ち切れ!!』

 振り下ろされる刀。そしてそれに宿った不可視の力は重爆の防御シールドをまるで紙のように切り裂き、表面の装甲を切り裂き、そして内部のコアも両断した。
 大陸で猛威を振るっていた重爆級。
 現地の住民から、人の手では決して落とせないとさえ思われていた【災厄の化身】は、多くの人間が見つめる中、鋼の巨人の手で破壊され、塵と化した。

973:earth:2024/10/12(土) 12:32:59 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

 相手は天災のようなもの、と半ば諦めていた人々にとって、この光景はまさに希望であった。
 攻撃を免れていた大型客船に乗っていた多くの在中日本人達は、光景に歓喜した。

「・・・・・・や、やった!、やったぞ!!」

 フィクションの中から飛び出してきたようなロボットたちが空を飛び、ビームを放ち、更に巨大な日本刀のようなもので、明らかにサイズが段違いの敵を
真っ二つにするという、4月1日以前に口にしたなら「疲れているんだろ、休め」とか周囲に言われそうな光景だったが、今の彼らにとっては希望そのものだった。
 周囲が歓喜する中、日本企業駐在員の(やや太っている高校生の)息子は、周囲のデカい声に耳を押さえつつも、自分が夢でも見ているのかと疑った。

「・・・・・・スパロボのヒュッケバインに似たロボットが空を飛んでる? いや、え?」

 尤もすぐに半ばヤケクソ気味に開き直った。

「いや、あんな化け物共が襲来して世界を焼いているのが現実だから、スパロボの主人公勢みたいな連中が来てくれても不自然ではないか。それより写真に
 残して皆に教えてやらないと」

 本来はスマホなどでこの光景を録画したいところだったが、散布されているミノフスキー粒子によって不調になっている電子機器は多く、彼のスマホも例外では
なかった。

「・・・・・・カメラ持ち出せて良かった」

 彼は親の影響で、カメラが趣味だった。
 このためアルバイトもして好きなカメラを買っており、その中にはフィルム式のアナログのカメラもあった。それを用いて、彼は必死にこの光景を撮影する。
 彼を含め、この戦闘を写真に収めようとする人間は多い。そして、そんな彼らの行動は蓬莱側が望むものでもあった。

『さて、これだけ派手にやれば、多少は記録に残せる・・・・・・よな? 全くヒーローショーか』

 部隊長にして雷電を操るウルフ1(外見年齢は女子大生)は船団上空から、海上の様子を確認して安堵すると同時に、上からのオーダーを思い出して嘆息する。

『・・・・・・周囲の脅威はほぼ排除。後は市街地上空に残る釣鐘と、その直掩機か。出来ればもう一押ししたかったけど、仕方ない』

 想像以上に火力が高く、近づくのが厄介のため、遠距離からの攻撃に終始せざるを得なかった。いくら強力とは言え、33機という少数では、相手の物量を突破する
のは極めて困難だった。
 それでもTF21側は高い練度を活かし、釣鐘本体に何発か攻撃を命中させ、あの釣鐘の防御力が重爆級を超えるものであることは確認できている。

『よし、時間だ。全機退避』

 彼女が視線を向けた先、コックピットの一角にはついに到着したTF21本隊の姿が映し出されていた。
 33機のMTが一旦退避する様子は、赤城の戦闘ブリッジでも確認できていた。

『味方機、退避していきます』 

 AIの報告にカレンは「予定通り」と頷き、艦隊による攻撃準備を命じる。

「統制射撃を行う。目標、上海市上空の敵・釣鐘型母艦」

 赤城の左前方を航行していた三笠が艦首のハッチを開放して、艦の角度を調整して艦首の陽電子砲を目標に向ける。
 強力な火力を誇るが、環境汚染がないように改良しているが、それでも【絶対にない】とは言い切れない兵器であり、地上での使用となると多少考慮しなければならない
のだが、相手の防御力がかなり高いことが判っている以上、手加減は出来ない。

974:earth:2024/10/12(土) 12:33:32 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp

(やはり5隻程度では防衛戦は無理。一撃離脱に徹するしかない)

 そんなことを彼女が思う中、最大の火力を持つ三笠の進路変更に合わせ、赤城以下4隻も変針。変針と合せて各艦の主砲塔が旋回し、砲身の仰俯角が調整される。
 陽電子砲2門、ビーム砲18門が上海市上空に居座る巨大な釣鐘型母艦に向けられた。
 勿論、その様子に船団の人間達は唖然とした。
 人型兵器が化け物達相手に無双したと思っていたら、今度はSF映画やアニメに出てくるような宇宙戦艦とそっくりの大型艦が空中に浮いているのだ。もはや現実と
フィクションの境目さえ判らないという有り様だった。
 ちなみにガンダムを見たことのある人間は「アークエンジェル、クラップ、ラーカイラム?」と余計に混乱していたが・・・・・・
 そんな人間達の感情など考慮しないとばかりに、TF21は攻撃準備を進めていき、全ての準備を終えた。 

「撃ち方、始め!!」

 カレンの号令を受け、5隻の戦闘艦から放たれた光線が上海市上空に鎮座していた釣鐘に向かう。
 周囲の直掩機が盾になろうとするが、それらの防御力では全く意味を成さず、瞬時に爆発四散。回りの直掩機の群を破砕しつつ、光の束はそのまま釣鐘型母艦に直撃する。
 防御シールドを貼ったが・・・・・・シールドを保持できたのは一瞬であり、シールドは崩壊。そのまま釣鐘型母艦本体に命中する。
 今の人類では創造できない技術で作られたエネルギーは、強固な外周の装甲を瞬く間に融解させ、内部をえぐり取り・・・・・・コアのある中枢が蒸発させていく。
 内部で暴れ回るエネルギーは、収納されていた小型円盤やリングも容赦なく粉砕し、焼き尽くしていく。
 これまで散々に人類を焼いてきた其れ等は、何の抵抗もできず灰燼に帰していく。
 そして・・・・・・上海に現れた新型の釣鐘型母艦は、辛うじて残存していた周囲の味方を巻き込む形で盛大に爆発、四散した。

『周囲の敵影消滅を確認』
『敵の増援はありません』

 AIの報告は黒災が一時的にせよ、上海から手を引いたことを意味していた。

「船団が退避できる時間は何とかひねり出せそうね」

 派手に吹き飛んだ釣鐘をモニター越しに見つめていたカレンはほっと息を吐くと、続いて海上の船団に意識を向ける。

「さて、どれだけの人間が、どんな人間が生き残っているか・・・・・・出来れば我々にとって有益な人間が多いことを願いましょうか」

975:earth:2024/10/12(土) 12:35:50 HOST:KD106172122062.ppp-bb.dion.ne.jp
あとがき
駆け足ですが、上海沖海戦終了です。
見た目は蓬莱側圧勝ですが・・・・・・黒災からすれば、一局地戦でしかないという悲しみ。
しかし戦闘シーンは書くのが大変だ(汗)。

次回、戦後処理と日本への接触準備ですかね・・・・・・

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最終更新:2026年01月09日 22:54