470 :New ◆QTlJyklQpI:2012/04/13(金) 00:16:13
新島ネタSS ~暗黒の年~
1934年10月24日、それはほんの些細なことから始まった。
29年には過剰な生産力が危ぶまれていた合衆国経済も地震が頻発する西海岸の震災復興による特需や中露への
食糧の輸出によって解消されたとして「永遠に続く」とさえ言われた右肩上がりの米国の経済成長。
その繁栄もゼネラルモーターズの株価が80セント下落した時に終了することになった。
始めはこの事態を日系企業以外は楽観視していたがその後買い支えられずに売られていく株によって
遂には警官隊どころか一部州兵が出動することになる大混乱に拡大していくことになった。
株価は平均70ポイント以上下がり、企業は損失を埋めるため様々な資金を引き上げ始め
その動きが各国にまで影響を及ぼし始め文字通り世界恐慌に発展することになる。
特に影響を受けたのは欧州であった。
イギリスでは史実を遥かに上回る銀相場の暴落により治安がすぐに悪化。
植民地支配からの搾取を強めたために植民地の独立運動を激化させ、
ドイツではヤング案による賠償返済方式に米資本の進出の活発化で政治不安以外は安定を
取り戻しつつあったがこの大恐慌により米国資本は引き揚げられ、また史実よりは長生きしていた
ヒンデンブルク大統領がこの事態収拾の心労で死去することになり、ヒトラー率いるナチスのこの時は
まだ弱小政党に過ぎず、右翼・左翼政党が入り乱れる政治混乱を止める者はいなかった。
イタリアだけは「あ、そう」といつも通りの平常運転で米資本を呼び込もうかと考えていた統領は
「あぶね~」と言いつつ普段と変わらずにイタリアを切り盛りしていた。
フランスやポーランドは折からの米国資本に押されがちであった自国資本を盛り返そうと
植民地支配の強化や拡大政策に走り、欧州の米国資本の橋頭保になっていたドイツを
標的に定め始めていた。
そして中露の各国も食糧など各種支援が文字通り消滅したために混乱、暴動が更に酷くなり、
突如手を切った合衆国への恨みを増大させていた。
そして、唯一日本だけこの恐慌時に壮絶なマネーゲームを行い、数々の資本・技術を(本編以上に)収奪していた。
「ホォーーホッホッ!オーーホホッ!」
「辻が・・・腐じ~んに成りかけてないか?」
「まあ、あんだけ毟ったらそうなるだろう。俺だってあの額みたら卒倒しそうになったし」
「取りあえず、倒産したボーイングとかの航空会社とかドイツの技術者も招聘しよう」
後に「ヘタ●ア」という漫画で各国が血まみれで倒れるかお互いに殴り合っている中、
ツルツルした肌に清潔そうな服を着た日本がお札を数えている光景が描かれていた。
最終更新:2012年04月15日 06:27