917 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/10/29(水) 23:10:26 ID:p684199-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [125/153]
憂鬱大陸スパロボ
合惑星 戦後ネタ短編
とある避難区画の最後 その3
始まりは何であったか既に誰もが忘れていた。しかし、国土を二つに分けた戦争は開戦から既に3年の月日
が過ぎ、余計なお節介を焼いた似たような国旗を掲げる国と、それを警戒して支援して来たもう一つの
国も既に疲弊しきり、多国籍の傭兵が周辺国から送られてそれでお互いの戦線を保持していた。
俺達の国は選べる立場に居て、資源と農業そしてそれを元にした工業が出来る狭くとも前の故郷に似た
土地に越してきていたが、その時に面倒な問題を棚上げして国の中の人間を大別して北と南へと分けた。
多分、それがいけなかったのだろう。新しい高値で売れる資源を見つけた時に北は南の人間を排除して、
一方的に南側の土地を切り取った。
それが南側にとっては耐えがたい事だった、何せ区分けを舌の根も乾かない内に一方的に変更したんだ、
裏切りとしか言えない行動だ。前の大戦で討ち取った独裁者の連中と何も変わらない。反応は過激だった。
それまで差別の対象であった事に加えて約束も守らないなんてのは、国への忠誠なんて物を消すには
充分だったのさ。
「ダニエルズ分隊長、小隊長がお呼びです。」
そう呼びかけて来る声に振り向くと、部下の一人が立っていた。既に3年近く立つ戦場に於いて歩兵は
最も損耗する兵科である以上、自分の下に付けられた補充の兵士達も元々いたメンバーとりも更に
年若い物となっていた。彼の伝言を聞いて小隊の指揮所となっているテントには既に同じ小隊の
分隊長たちも集まっており、自分が最後の入室の様だった。席に座る際、テント内の端に見慣れない
人物が見えたが、小隊長も気にしておらず一等軍曹から着席を促された事でそのまま席に着いた。
その事を皮切りに小隊長が口を開く。
「既に聞いていると思うが、此方を支援していたパックスアルマータが後退を開始している。」
「それはやはり敵の?」
「ああ、南の雇ったアトラス社の進出に合わせてだ。」
南部が雇ったアトラス社は周辺の自治区でも特に大きな力を持つ民間軍事企業の一つだ。現在、北部を
支援しているパックスアルマータ社を技術面に於いては優越しており、この戦争で工業面能力では
優位な筈の北部を苦戦させている理由である。北部を支援している有志連合も居るが、技術面は一朝一夕で
どうにかなる問題ではなく戦力比では優位な此方が押されている。
「クソ、南部の連中…」
「隊長、大隊からの指示は?」
「我々は此処から20㎞先の地点に進出して敵本隊に対する攻撃作戦を行う。此処を奪い返されれば、
我が軍は北部領まで連中を素通しせざるを得なくなる。」
「しかし、今の軍と有志連合だけでは…」
「其処で我々が来た。」
分隊長の一人の言葉を遮るように、端に座っていた男の一人が前に出た。服装からすると恐らく何らかの
機体に乗ると思われる彼等は、現在の味方している勢力のどれとも合わない服装をしており、国が新しく
何処から引き入れた勢力だと思われる。
918 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/10/29(水) 23:11:07 ID:p684199-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [126/153]
「あんた達は?」
「ODIN自治区からの増援だ。」
「何処だ?」
「我々の自治区群より北方に位置する地域だ。アトラス社にも比肩する技術力を有したな…」
「何故、そんな所から…」
「利害が我が国と其方で意見が一致したという事だな。我々はエネルギーが欲しい、そちらは兵力が
欲しい調度良かったという訳さ。」
新しい地域からの増援と言う事に対して、困惑はしつつも分隊長たちは納得していた。この国の資源
埋蔵量は周辺に確固たる資源を有さない自治区からすれば多少の犠牲を払ってもリターンが大きいらしく
既に南部にも北部にも複数の国が有志連合として参加している。今更一つ増えた所で気にすることは
無いと言えるのだ。
「今回の作戦には、我が国の海兵隊の部隊の中でも屈指の精鋭も参加する損はさせんさ。」
「彼等の装甲部隊と共に我々も2時間後に前進を開始する。」
小隊長の言葉を最後に各分隊長は拠点の外に出た。近くにはこの歩兵小隊が所属する大隊に配備された
ルクレールとM4中戦車の他、16式機動戦闘車が複数並べられており、その何れもがエンジンに火を入れ
始めていた。少し離れた所にはASやレイバー、或いはナイトフレームと呼ばれる以前では考えられない
人を巨大化させた装備も含まれていた。
「ダニエルズ軍曹!」
自身の名前を呼ばれた事で振り返ると、先ほど会議を終えて解散したばかりの少尉が其処に立っていた
何かしら伝え忘れた事があるのかと、しゃべろうとするのを遮り、少尉は付いてこいと言わんばかりに
後ろへと歩き始めた。訝しみながらも隊長である少尉へと付いて行くと、其処は軍で徴用した元民間の
農場の倉庫であった。見張りと話すと間もなく、その倉庫の扉が開かれ中が露になり、その様子に
思わず声を漏らした。
「コイツは…」
「俺も分からんが軍の上が何処からか手に入れたらしい…なんでも歩兵が着ると大幅な戦力になるという事だ。」
「らしいって事は何もわからないんですか?」
「ああ、何とかODIN自治区の技術者に依頼して動く様にしてもらったが…彼等も系統が違うから確かとは
言えないらしい。」
「コレをどうしろと?」
「コレをお前に預ける。」
「いきなりですか?運用の為の訓練も受けて居ませんよ?」
当たり前の話であるがこの自治区でこんな奇怪な機械に触れる経験等、誰も無いのである。何せ自分たちの
父親が若い頃に漸く飛行機が動力付きで飛んだとかそう言う時代だ。そんな物を使えと言われた所で使い
こなせるようなものではなく、混乱は深まるばかりであった。
「上の方は目新しい英雄を求めている。未知の新兵器に乗った兵士が活躍するという戦場伝説にすがる
程度には支持率が危ないらしくてな…」
「そんなに…」
政治家の考える面倒ごとに巻き込まれたと思うとうんざりするような気持になると同時に、こんな訳の
判らない物を頼りにしないと成らなくなっている現状に対して頭を抱えたくなったが命令を拒否する訳にも
行かず。渋々、目の前にある機体を見る。人を巨大化させた様な外見は外で傭兵などが乗っていた人型にも
近い物だが、見かけには差異があり恐らく違うものである事が伺える。機器についている言語等を見ると
アジア圏で使用されていた物の様だ。
「小隊長コイツの名前は?」
「機体情報が掛かれた書類等も大半が失われていてな、唯一読めた名前がレイヴン…その試作型と言う話しだ…」
この会話の二時間後、新型機を与えられた部隊を含む連隊は防衛を図るべく。前進を開始し、大量の犠牲を
出しながらも北部が南部側の攻勢を阻止する事でこの戦線に於ける、南部軍の北部への突破を防いでいる。
しかし、別の地点で戦力を集中した南部軍は北部領近郊の都市部へと侵攻激しい、戦闘の末北上の為の
拠点を手に入れる等、情勢は混沌としたまま犠牲ばかりが積み上がっている。
919 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/10/29(水) 23:12:52 ID:p684199-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [127/153]
以上です。WIKIへの転載は自由です。一先ず前にネタにすると言っていた融合惑星の低強度紛争の様子の一部をば…
最終更新:2026年01月10日 15:09