679:戦車の人:2025/07/04(金) 00:31:44 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
1.概要
昭和52年より要素技術開発が開始され平成2年に採用、列島時代にのべ341台が生産配備されてきた国産戦後第3世代戦車。
同世代の戦車の中では最小最軽量の部類で、その上で120ミリ滑腔砲や複合装甲、1500馬力ディーゼル等を過不足なく搭載。
射撃指揮装置への自動追尾機能の付与、装填の完全自動化、行進間射撃能力の達成など独自要素を多数有する。
就役当時は間違いなく世界最高クラスの主力戦車の一つで、集中配備された北部方面隊の機甲打撃力の根幹でもあった。
2010年代に入るとやや旧式化は否めないが、依然として有力な主力戦車として国防の一翼を担っていた。
10式戦車が東部方面隊、西部方面隊等から優先配備されたこともあり、北部方面隊機甲部隊は90式でほぼ統一されていた。
そして2020年の日本国の大陸化を経て90式戦車も大幅に数量が増加していた、北部方面隊と教育部隊合計で1700台を超えている。
10式戦車や16式機動戦闘車の緊急増産が進んでいたとはいえ、2020年代前半の大陸日本の機甲部隊の紛れもない主力であった。
主たる配備先は北部方面隊指揮下の4個師団、中部方面隊第10師団(機甲)、西部方面隊第8師団(機甲)などであった。
そして10式や機動戦闘車の急配備が順調に進む中、段階的に90式戦車は北部方面隊及び東北方面隊へ集中配備された。
同世代では最小最軽量とはいえ国産AFVとしては最も大きく重く、広大な地形が多い同方面での運用に適していること。
既に数量が揃っているが故にロシア軍上陸等の有事に際し、機動打撃力を発揮しやすく抑止力たりうることを重視している。
穿った評価をすれば着々と配備の進む10式戦車はより有事のリスクが高い、西部方面隊などへ優先配備を陸自は行いたい。
故にウクライナ戦争で損耗したロシア軍への抑止力は古い90式でも十分と判断したのでは、と見る向きも存在する。
それは全てが間違いではないが、90式をお古の旧世代戦車と評価するのも正しいとは言えない。
これも多くの装備の通例に漏れないが大陸化に伴い90式戦車も、特に電子装備で別物に近い近代化を果たしていた。
またラインメタルとのライセンス契約を満了し、10式戦車の技術を援用した新型弾薬も普及を果たしている。
以下においては大陸化以降の90式戦車。正式名称90式戦車(C)の各種要素技術について大まかではあるが触れてゆきたい。
680:戦車の人:2025/07/04(金) 00:32:22 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
2.車体及び駆動系等
第3世代戦車の通例に漏れず車体前面こそきつい傾斜を有するが、砲塔などは垂直に近い形状で第2世代以前とは明確に異なる。
本車はメルカバのような一部MBTと異なり、防弾鋼板溶接構造の車体後部にパワーパックを搭載し、砲塔も防弾鋼板溶接を基本とする。
要所に複合装甲等を備えているが、戦車としての砲塔や乗員配置は74式と大差ない。但し装填自動化により乗員数は3名である。
車体規模は全幅3.4メートル、全高2.3メートル、車体長7.55メートル、戦闘重量51トンと自衛隊の有するAFVでは最大級である。
車体前部に操縦手、砲塔に車長と砲手が収まり、電子機器冷却装置と乗員用空調も完備されている。
なお大陸化に伴い商用トレーラーの規模も50トンまで増大したことで、長距離路上移動能力は相当に改善を果たしている。
船舶輸送に際しても海自や海上輸送群の輸送艦、政府所有フェリーなどで概ね輸送可能で、他方面隊支援にも支障はない。
また仮に自走するとしても主要国道の8割程度は履帯にゴムパッドを取り付けるなどして、道路に極端な負担をかけずに機動できる。
陸自の中では最大級の車両ではあるが、度重なる改修で60トンを超えた同世代戦車と比べれば輸送負担は軽い部類である。
駆動系は水冷2ストローク10気筒1500馬力ディーゼル、自動変速機、油気圧/トーションバーハイブリッドサスペンション等から構築。
パワーウェイトレシオはほぼ30に達し良好な性能を持つ変速機やサスペンションとあいまって、特に加速力や登坂性能に優れている。
10式戦車に比べれば流石に劣後するものの、依然として世界水準からすれば優秀な部類の機動力を維持している。
最大速度は路上毎時70キロ、路外毎時50キロ以上、航続距離は路上移動で350キロから400キロ程度とされる。
先に述べた通り特に加速力に優れており0-200メートルの初期加速は20秒前後で、同時に制動能力にも優れている。
これは敵戦車や戦闘ヘリの照準を検出してからの急発進、急停止という形で、照準を大きく阻害する生残性にも繋がっている。
第3世代戦車としては唯一軽量コンパクトな2ストロークディーゼルを用いているが、燃費はけして悪いものではない。
防衛省の公開資料を検証する限りはレオパルト2のMB873エンジンと大差ない燃費で、2ストロークとしては優秀な部類である。
実効航続距離も400キロに達すると推察されており、上述した加速力や不整地踏破能力と合わせ必要十分を満たしている。
74式戦車が我が国の起伏に飛んだ地形を用いるために備えたように、90式もサスペンションに姿勢変換機能を有している。
但し射撃指揮装置の完全なデジタル化により左右傾斜は省かれ、前後傾斜のみに簡略化されている。
後の10式では左右傾斜機能が復活しているが、90式開発及び部隊配備段階では概ね十分とされ、不評も少なかった。
また大陸化に伴い地味に大きな進歩としては電子機器のみならず、乗員用の冷暖房空調が完備したことであろう。
駆動系の発電能力の効率化により成し遂げたもので、酷寒酷暑の我が国では今や必要不可欠の装備である。
築城用ドーザーないし地雷処理装置のアタッチメントが全車に標準で装備されたことも、数字には見えにくいが大きな進歩である。
大陸化以前の技術に限っても90式は第3世代としてはかなり尖った仕様の戦車で、日本全体の技術進歩が強く伺える。
戦車は千社という標語通りその国の工業力水準のバロメーターの一つであり、自動車や電子の進化に大きく支えられている。
就役から30年を超えても良好な機動力を発揮し、居住性を改善したことは特筆に値する。
681:戦車の人:2025/07/04(金) 00:32:57 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
3.武装
90式戦車は他の第3世代戦車の大多数と同様、主砲にラインメタル120ミリ滑腔砲を日本製鋼所がライセンス生産したものを採用。
これをやはり日本製鋼所の開発した自動装填装置と組み合わせ、ほぼ2秒未満の高速安定化装填を実現している。
初期こそ信頼性に悩まされたが段階的なメーカーと運用側の能力向上により、現在では概ね信頼に足るものとなっている。
弾薬は列島日本時代、ドイツ製DM33装弾筒付翼安定徹甲弾及びDM12対戦車榴弾のライセンス品を採用していた。
前者はダイキン工業、後者は小松製作所が製造しており、90式戦車採用に際して幾らかの改修が施されたと言われている。
対装甲能力では2010年代以降やや不足気味と評されていたが、弾薬としてのバランスや命中精度は非常に優れていた。
後述する完全デジタル化及び自動追尾機能を持つ射撃指揮装置と組み合わせ、毎分15発以上の行進間射撃能力を達成。
3000メートルの射撃目標に対しても初弾命中を当然のように発揮し、諸外国に日本戦車が世界水準に達したことを知らしめた。
なおラインメタル製の砲、弾薬のライセンス価格は暴利だったが、国産試作砲及び弾薬開発により市場価格に漕ぎ着けたともされる。
大陸化以降はライセンス弾薬に加え15式120ミリ装弾筒付翼安定徹甲弾、対戦車榴弾が弾薬として追加されている。
10式戦車の弾薬技術を援用しつつラインメタル砲に適合させた新型弾薬であり、いずれもダイキン工業が開発生産を受け持っている。
小松製作所は既存火砲弾薬の生産は担当しているが、どちらかといえば特科火砲へ弾薬生産ラインを集約しつつある。
前者はJM33に比較して2-3割以上の装甲貫通効率を有し、射距離2000メートルで均質圧延装甲540ミリ以上貫通とされている。
一見低い数値に見えるが防衛省の貫通基準は20発以上を射撃し、最悪の条件でも貫通可能な数値故と言われている。
弾芯縦横比は26前後で極端に長くするよりは、バランスの取れた数値で実効貫通力を高める意図がうかがえる。
後者はJM12と構造の異なるタンデム弾頭の対戦車榴弾で、爆発反応装甲を射貫の上で高い貫通力を発揮できるとされている。
但し陸上自衛隊は諸外国の紛争や戦争の教訓から、永久築城や鉄筋コンクリート造建築に立て籠もった散兵制圧を重んじたとも言われる。
事実、イラク戦争では歩兵戦闘車の機関砲よりも戦車砲の対戦車榴弾が、建築物内の敵歩兵制圧に効果を発揮したとされる。
砲以外の武装としては住友重機ではなく豊和工業にライセンス生産が渡ったM2重機関銃、M240同軸機関銃を各1門搭載している。
いずれも世界中で採用されている重機関銃ないし汎用機関銃のマスターピースであり、列島時代の強度詐称の住友製M2。
あるいは74式車載機関銃と比べれば格段の信頼性向上を遂げており、弾薬更新以上に部隊から喜ばれたとさえ言われている。
なおM2重機関銃は日本製鋼所開発の国産RWSに搭載され、砲FCSと独立した全天候における自動追尾射撃が可能である。
当初は米国製RWSとM230チェーンガンがドローン対処の為有力視されたが、度重なる米国製装備のFMS調達の遅延。
支払いを行っても米メーカーや議会の意向が優先される有り様に陸上幕僚監部が見限ったとする説も根強い。
搭載弾薬数は120ミリ滑腔砲が砲塔即応弾薬庫、車体弾薬庫合計で40発以上。
12.7ミリ重機関銃が600発、7.62ミリ機関銃が4000発程度と推察されており、新型弾薬やRWS採用もあり第3.5世代相当と言える。
なお小改良として砲塔弾薬庫への外部給弾が砲塔上部から後部となり、幾らかではあるが負担が軽減されている。
682:戦車の人:2025/07/04(金) 00:33:30 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
4.射撃指揮装置など電子装備
90式は熱線映像装置、YAGレーザー測距儀、砲・照準器2軸安定装置、デジタル弾道計算機等から射撃指揮装置を構築。
そしてソフトウェアとして熱線自動追尾機能を付与することで、自動装填装置採用もあいまって高度な行進間射撃能力を達成。
第3世代戦車として見ても優れたシステムであり、上述した通り行進間射撃で3000メートル先の移動目標に初弾命中を期待できた。
とはいえ00年代以降となれば同様の機能を有する戦闘車両も当然となり、先進性は些か失われつつあった。
陸上自衛隊もこれを良しとはせず東芝の開発した基幹連隊指揮システムを導入したが、実用性に優れているとは言えなかった。
特に車長の操作負担が大きく第2戦車連隊(当時)ではお世辞にも好評とは言えず、普及は断念された。
後の10式戦車ではFCSと完全に連接されたC4Iが実用化され、特に共同交戦能力が大きく進歩を果たしている。
90式も実装は不可能ではなかったが、予算配分からして10式戦車や16式機動戦闘車を新造するほうが妥当であると自衛隊は判断。
他職種部隊や海自、空自のスタンドオフ攻撃能力。BMDを含む広域防空能力の拡張などからおざなりにされてしまった。
現行の90式戦車(C)はそのような不満を解消したような電子装備を有し、総じて10式戦車初期型相当に性能向上を果たした。
弾道計算機はCOTS汎用コンピュータに換装され、広域多目的無線機と連接し、実用的な共同交戦能力を構築。
小隊や中隊単位。あるいは他職種部隊と火力投射の最適化を行い、より的確迅速に脅威目標の排除が行える。
センサーシステムも刷新され砲手用照準器は熱線映像装置を第2世代へ更新、レーザー測距儀の精度を改善。
従来前方180度視界に限られた車長用旋回照準器も360度全周とした上で、第2世代熱線映像装置を有している。
10式戦車には遜色を見るが格段の全天候索敵、照準能力の改善を果たしており、消費電力も低下している。
風向測定装置などの環境センサもCOTSリフレッシュの上で性能向上を果たし、特に即応性改善に重きが置かれている。
根幹となるCOTSコンピュータも64ビットから16ビットまで複数の並列処理方式となり、射撃指揮能力を大幅に改善。
各種センサや広域多目的無線機が齎す大容量の情報を瞬時に処理し、高度な射撃統制を実現している。
上記のセンサー、ネットワーク、コンピューティングシステムが全て10式と同様、光ファイバを介したホットスワップ方式で接続。
これにより損傷時、あるいは将来の性能向上を目指した電子モジュールの換装が迅速容易なものとなっている。
電子装備の発達余裕の多寡はAFVの寿命を左右するものの一つで、90式が依然高い能力を維持できる余力を有している。
また射撃指揮装置や駆動系制御以外の電子装備の進歩として、車体前後に合計4基搭載された操縦手用外装カメラも大きい。
従来の操縦手はペリスコープないしそれに取り付けた暗視装置を用い、戦車の操縦を行う必要があった。
これら装備は依然として有用だが、COTSコンピュータ経由の暗視機能さえ有するHDカメラ情報を操縦手用HMDで投影を実施。
従来より格段の夜間悪天候、あるいは民間車両と並んだ際の操縦性を平易なものとし、交通事故抑制にも努めている。
これらはいずれも10式戦車、16式機動戦闘車を含む共通戦術装輪で実用化された技術をフィードバックしたものである。
必要な予算があれば90式戦車は依然として十分高性能な電子装備を纏い、一線級戦車として通用する証左とも言える。
683:戦車の人:2025/07/04(金) 00:34:06 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
5.装甲など防御手段
90式戦車は国産戦車としては初の複合装甲を採用したものであり、防弾鋼板で構成される基本構造の要所に適用されている。
複数のマテリアル関係企業の開発した国産品であり、チタニウム合金と拘束セラミック等から形成される内装モジュール式と考えられる。
砲塔及び車体正面に複合装甲が適用され、試作車を用いた耐久試験では120ミリ砲複数の直撃を受け戦闘能力を維持している。
それ以外は防弾鋼板の一枚板構造と推察され、あえて中空装甲を用いなかったのは正面面積の極限を企図したものと考えられる。
故に成形炸薬弾などに対してはやや不安が残るが、それでも一定以上の防護力はやはり耐久試験で確認されている。
側面に対する35ミリ機関砲の連続射撃、155ミリりゅう弾の直上炸裂、対戦車地雷爆破などに90式試作車は概ね貫通を許さなかった。
無論、足回りにはスカート装甲が適用されており、一種の空間装甲として機能しある程度の対成形炸薬弾能力を有する。
レオパルト2のようにスカート全部を中空装甲としなかったのは、全幅と正面面積抑制を当時は選択したと推察されている。
装甲以外の防御手段としてはレーザー検知器と76ミリ発煙弾発射機8門を有し、高い照準阻害能力を発揮することが可能である。
このような基本構造は大陸化以降変わりはないが、C型の仕様書と公開資料によれば複合装甲の防御効率を1-2割程も向上。
推定ではあるが対徹甲弾でRHA900ミリ以上、対成形炸薬弾で1300ミリ以上ではないかと考えられている。
やはり新型弾薬を用いた射撃試験が行われており、大きく貫通効率が向上した120ミリ徹甲弾複数の貫通を阻止している。
またスカート装甲の構造が一部変更され、操縦手や車体弾薬庫を覆う前部が中空構造となり、対成形炸薬弾防御が向上。
上述した国産RWSに搭載された12.7ミリ重機関銃、大きく性能改善を果たした射撃指揮装置に統制される同軸機関銃。
これら機関銃を用いた対人制圧能力も防御力を向上させており、特に対戦車火器を有する散兵やIED処理にも汎用性が高い。
一方でAPS搭載は当面断念された。車体容積などに問題はなかったがC4Iの刷新や空調の増設などで余剰電力が乏しかったこと。
10式戦車や機動戦闘車への搭載が優先されており、イスラエルからの輸入品故に数量確保が困難だったことも無視できない。
なおこの点を受けて防衛装備庁および複数の民間企業により、現在国産APSの開発事業が進捗し、将来の内製化を目指している。
では装甲以外の防御手段の更新が行われなかったかと言えばそうではなく、レーザー検知器を10式と同系統の新型へ外装式で更新。
砲塔前部及び後部各2基に広角度レーザー検知器を搭載することで、従来の小型検知器1基に加え格段に警戒能力を向上。
COTSコンピュータの分散処理もあってより広範な脅威を、迅速に全周検出が可能で、10式戦車とほぼ遜色ない。
発煙弾発射機は基本的には8門だが必要とあらば砲塔後部アタッチメントを介して、最大16門に増設可能な構造ともなっている。
投射される発煙弾もより妨害能力を向上させ、第3世代HD熱線映像センサや炭酸ガスレーザ等への照準阻害にも対応している。
APSと違いレーダーまでは必要とせず、電力消費の少ないパッシブ方式の防御手段故に近代化は比較的容易であった。
昨今最新の戦訓を全て導入できたとまでは言えないが、10式戦車初期型に近い装甲及び照準阻害手段の性能改善。
それによる生残性向上は果たしたと推察されており、T-80Uや99式Aと正面から渡り合える防御力は有していると考えられる。
30年以上前の戦車を過剰にならない範疇のコストで近代化したものとしては、十分な成果と概ね評価されている。
684:戦車の人:2025/07/04(金) 00:34:37 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
6.総評
大陸化の恩恵もあるが原型と比較して時代に置いていかれた隙間を埋め、第3.5世代戦車としては必要十分な能力と考えられる。
特にこれまで問題されつつあった弾薬や電子装備の陳腐化を刷新したことは大きく、生残性の向上も十分なものである。
90式戦車多数を配備している北部方面隊及び東北方面隊、その仮想敵のロシア機甲部隊には依然として大きな抑止力たりうる。
また90式改良型が北の守り、機甲部隊根幹を担うことにより、東部方面隊以西に最新の10式戦車を優先配備する猶予も生まれた。
日本国が大陸化して以降の陸自機甲部隊の再編、能力強化の土台となった功績は防衛省が公式に認めるほどである。
仮に渡洋上陸作戦を成立させたとしても、ロシア式師団編成で5個戦車師団以上の90式改良型の抑止力はそれほどであった。
ロシア側ではヒューミントやインターネットの一般情報収集の範疇でも、90式戦車の大群は相当な脅威と認識されたことが確認されている。
彼らは北方領土奪還に今度こそ自衛隊が動くとさえ警戒し、最悪の場合は戦術核を同地に使うことを考慮したことも判明している。
無論、我が国としては外交を介した領土返還を求める以上のアクションは起こしていないが、北部・東北方面隊の実力はそれほどであった。
将来的には急速生産が進む10式戦車による代替対象ではあり、何れは原液を外れることは防衛白書でも明記されている。
一方で依然として第3.5世代戦車として有力なことから、特に北部方面隊や東北方面隊の補給処。あるいは三菱重工事業所。
これら官民双方の設備において相当数が予備装備としてモスボールされ、長ければ2040年まで保管される可能性も存在する。
ウクライナ戦争の教訓からレガシーな戦術能力の維持、古くとも多数の重装備が有事には必要と防衛省が判断したが故である。
この点は74式戦車(G)や75式自走155ミリりゅう弾砲、FH70りゅう弾砲等にも適用され、各方面隊補給処等でモスボールされている。
国連常任理事国が特別軍事作戦の名前のもとに侵略戦争を始め、国連と西側諸国の抑止力がまるで機能していなかった。
その点について防衛省及び自衛隊は予算、規模、人員の拡大と充足の背景もあり真摯に受け止めたのである。
また90式戦車(C)は電子装備のほぼ全てをホットスワップ接続しているため、C4Iの近代化が既存装備の中では容易であること。
ラインメタル120ミリ滑腔砲が10式戦車系列の新型弾薬を比較的適用しやすいことも、長期モスボール対象として影響している。
令和XX年、10式戦車の東部方面隊から西部方面隊、南西集団への配備が完結。北部及び東北方面隊への戦車更新も進みつつある。
やや居住性で問題があるとは言え総合的な性能は90式戦車より高く、輸送負担も軽いことから概ね部隊では好評を博している。
恐らく向こう数年で北部、東北方面隊の機甲部隊も10式戦車で充足され、90式戦車は現役を退くと推測されている。
しかしウクライナ戦争の教訓、もはや合衆国主体のサプライチェーンと西側の平和が危ういことから、過半数の車両がモスボール指定と策定。
既に予算も獲得されており、機甲科を経験した予備、即応予備自衛官を応召した戦車隊に将来は配備予定である。
一部では防衛予算の過大負担と批判も受けているが、重装備の不足したウクライナ戦争の被災地域の惨状が国会にも提出。
民間人多数を含む犠牲者の姿を前に野党すら折れ、90式戦車を含む予備重装備のモスボール予算と予備戦車隊の予算が通過した。
列島日本時代に北の守りとして開発された本戦車は概ねその務めを全うしつつ、現役を離れてからも陸上防衛を担い続ける。
それが抑止力として機能すれば最善であり、仮に最悪の事態が生じた際に国民防護に貢献できれば次善であると言えよう。
685:戦車の人:2025/07/04(金) 00:36:37 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
7.あとがき
635様に広多無は90式戦車にも載せられますよと教えていただき、折角だからとあちこちディティールアップを施してみた90式戦車です。
一番の売りはCOTSコンピュータ分散処理と広多無連接による共同交戦能力です。10式戦車初期ロット程度の能力はあります。
照準器などセンサ系も00年代相当のCOTSモジュールで近代化しているので、C4Iではそこそこ上手く行ったかな?と思っています。
それ以外は順当に弾薬、複合装甲等を更新してみました。特に前者は90式と10式の弾薬共通化が現実で研究されてます。
基本設計が40年以上前のラインメタル砲故に10式ほどの性能ではないですが、実効貫通力や加害力はかなり向上できたと思います。
タンデム対戦車榴弾は鉄筋コンクリート造に展開した敵散兵を、第一弾頭でコンクリをぶち抜いて第二弾頭で内部を焼き払うためです。
それ以外には機関銃を概ね信頼できる製品に置き換えて、M2重機関銃は日本製鋼所の国産RWSに搭載しております。
安定供給が実現したらM230搭載RWSへの換装も悪くないですが、当面は国内サプライチェーンで賄えるもので近代化を行いました。
官民問わず
アメリカからの輸入品遅延が本当に酷いんですよね。ハーレー日本法人も売上がガタ落ちだそうです。
防御構造は複合装甲の効率を90式と10式の中間程度として、元々10式より大きな容積を用いある程度の実用性を持たせました。
恐らく99式Aの2000メートルでRHA680ミリ貫通と言われる徹甲弾程度ならば、複数弾直撃しても防げるでしょう。
元々が複合装甲の防御力に定評のある戦車でしたので、このあたりは過度に盛らなくても安心できる要素でした。
装甲以外の防御手段としては10式相当のパッシブ防御手段を準備して、対戦車火器や戦車の照準阻害に用いています。
APSは迷いましたがシステムが何れも大掛かりで、どのように搭載してみればよいのか分からない。
分からないなら描かないということで乗員空調やレーションヒーター追加、C4I近代化等で余剰電力がないよという設定です。
なお駆動系に関しては燃料噴射装置やサスペンション制御にCOTSコンピュータを用いる以外、殆ど手を入れていません。
2ストロークディーゼルなのにレオパルト2やルクレールと大差ない燃費のエンジン、極めて良好な加速性や制動性能など。
何度か総火演で実際に見てまいりましたが…重量が極端に変わらない限り、これで十分だよなあって。
何とも面白みのない。現実の最新トレンドからも半歩ほど遅れてそうな戦車ですが、ある程度のお役には立ってくれそうです。
ロシア軍がウクライナ戦争で着実に消耗してくれているから、こんな第3.5世代MBTでも抑止力になるというのもでかいですね。
ウィキへの転載はご自由に願います。しかし90式って調べてみると本当に良い戦車ですね。
686:戦車の人:2025/07/04(金) 00:38:04 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
以上です、長くなってしまい申し訳ありませんでした。
余談ですが富士や朝霞で90式を見た時は「50トンという重量の割に想像以上にコンパクト」という印象でした。
車高だけならM4より余程低いんですよね90式。
最終更新:2026年01月22日 23:08