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8:弥次郎:2025/10/31(金) 18:25:57 HOST:sp1-75-75-127.smd03.spmode.ne.jp

大陸版日企連×86 SS「異世界間接近遭遇」3


 諜報部の人員から予算折衝のついでに聞いた話だが、かなり星暦世界はきな臭いことになっているそうだ。
星暦世界の国同士が割と水面下でバチバチに対立している、という話は知っている範疇であった。
それだけでなく、どうにも日企連というイレギュラーを巻き込んだうえで、ということらしい。
予算の増額交渉のための雑談ということもあるだろうが、私は興味をそそられて話をついでに聞いてみた。

 元々、日企連が最初に接触を果たしたサンマグノリア共和国というのは、民主革命を最初に起こした国であった。
その革命については、実に民主主義らしく流血と腐敗と騒乱と悲劇があったもの、今日の平等と平和を勝ち取れたと誇りにされているという。
その先頭に立ったのが聖女「マグノリア」というらしく、今日の国名にも反映されるほどの有名人らしい。
 そんな共和国の革命は当然だが他国から見れば恐ろしいものだった。王権を否定して、多数の民衆に国家の未来をゆだねるというものだから当然。
まして、そんな体制を300年も維持しており、隣国として接しているというのは影響を避けられないのだから、敵視もやむ得ないだろう。
共和国もそれを理解していないわけではないにしても、民主主義を否定せず積極的に肯定しているのだから、余計に拗れるというわけだ。
 だからギアーデ帝国はサンマグノリア共和国を仮想敵に据えているし、サンマグノリア共和国も同様というわけだ。

 そこに上乗せされたのが、我らが日企連、そしてこちら側の世界という情報だったわけだ。
既存の権力に牙をむいたのが民どころか、その集合体の一つである企業であり、惑星上のすべての国家を解体しきって統治体制を構築した。
全ての民は企業の元でコロニーに押し込まれ、糧食を得るために労働に従事し、市場は独占され、戦争経済によって維持されている。
嘗て民主制国家に暮らした記憶があるから言えるが、これは劇物以外の何物でもないだろう。

 さらに、そんな国がサンマグノリア共和国の領土内に入り口を持っているというのだから余計に怖くなる。
遥か遠方とか、そういうのであるならばまだしも、隣国の領土内にその企業の勢力圏への入り口があるのは恐ろしいだろう。
交流などは今行われているわけだが、気が付いたら日企連の傘下の企業が進出してきて、経済的に掌握され、領土を侵食される恐れまであるのだから。

「ギアーデ帝国では既に人や物資の動員まで始まっているという情報もある……おっと、オフレコだぞ」
「そういうのがあるから情報漏洩があるんだろうに……」
「その時は、分かっていると思うがよろしく頼む」

9:弥次郎:2025/10/31(金) 18:27:09 HOST:sp1-75-75-127.smd03.spmode.ne.jp


 言外に予算増額を依頼され、私は諜報部の人員と分かれた。
 戦争。こちらの世界においてはごくありふれているものだ。何しろそれによって経済を回している。
 企業間で資源や領土などをめぐってというのは序の口、互いの生産や資源採掘を邪魔するために、抱えている戦力を削るために、いろいろな理由でやっている。
 とはいえ、無秩序ではないし、無遠慮でもないので、案外コントロールされているのも事実だ。
紛争における協定は企業間で結ばれているので、コジマの過度の使用や大量破壊兵器の使用は禁じられ、戦闘禁止区域の順守が要求されている。
例えば、環境が比較的維持されている地域、人の暮らすクレイドルとそれを支えるアルテリア、あるいは海上都市群ラインアークの周辺などなど。
リンクス戦争時の反省という点もあって、各企業は一線を守り続けているというわけだ。
ネクストの集中投入、コジマ兵器の大量使用---特にソルディオスによるコロニーの無差別蹂躙、衛星破壊兵器の使用。
それらが巻き起こしたものはあまりにも大地に深く浸透してしまっており、今なお復興や浄化といった苦労が絶えていない。

 そういう価値観の元にある日企連としてみれば、戦争は歓迎できるものではないのだ。
 もしも星暦世界との戦争になれば、それは天然資源などの溢れているあちらの世界を戦場としなくてはならなくなる。
そうなれば荒廃などは避けえず、我々が求めているこちらの世界の復興の種火やリソースが失われてしまうことを意味する。
ゲートの周辺を防衛するだけならば簡単だが、相手国が戦略兵器やなりふり構わない動員などを仕掛けてくる可能性もあるので、余計にやりにくい。
 そも、戦争経済という裏でブックができている戦争とは違い、国家を相手にした戦争などを行ったところで、利益は出ないのだ。
戦争がなあなあで終わる段階は通り過ぎているわけで、最終的には戦争を吹っかけてくる国のある星暦世界に乗り込まなくてはならない。
それだけのことで、とっくに帳簿は真っ赤になるだろう。財務部トップの辻堂氏が許すはずもない。
防衛戦争に終始すればいずれは相手が息切れする可能性もあるが、こっちだって財布の問題から息切れになりかねないのも事実。

 だからこそ、フェイクや虚勢も交えつつも、日企連では穏当路線を進めていた。
 相争っても双方に利益はないのだと説き続け、あくまでも対等な取引を続けるだけにとどめていた。
 だが、こちらがどう考えていても、どのように振舞っても、それを受け取る相手次第だった。
国が違えば、歴史が違えば、政治体制が違えば、どのように考えるかは当然異なる。
 そして、それによって生じる行動もまた、異なるものとなる。

10:弥次郎:2025/10/31(金) 18:27:48 HOST:sp1-75-75-127.smd03.spmode.ne.jp

 ああ、紛らわしい言い方はやめよう。
 要点のみをいうなら、共和国歴358年、星暦2139年にギアーデ帝国はついに宣戦布告を行った。
 日企連のみならず、星暦世界においてギアーデ帝国の周辺国すべてに対し、同時に宣戦布告を行い、戦端を開いた。
 我々がなってほしくはなかった、世界をまたいだ戦争になったということだ。
 段階は第五種接近遭遇を飛び越え、第八種接近遭遇---戦争へとシフトしたのである。

 ギアーデ帝国が如何に強大とはいえ、それだけ戦争を行う兵力や物資の備蓄などがあったのか、と驚きはしなかった。
何しろ、諜報活動により、以前より物資と兵力の蓄積の傾向がみられていたのだ。
それだけの戦線を抱えることができる理由もまた、把握していた。

 要するに、人が介在するから金がかかり、限界が生じる。ならば人を介在させなければいい。
 AIを用いた自律式無人戦闘機械---人命を消費せず、人に依存せず、ただひたすらに戦うことが可能な軍隊。
 戦闘も移動も兵站管理も兵科ごとの割り当ても---戦争遂行の命令さえ下せば、あとは自動で全てこなせるように設計・開発された機械の群れ。

 それは一体なんであるか。
 開発コードを聞いた時、私は何という皮肉だ、と口にしたものだ。
 ギアーデ帝国の最新兵器、自律式無人戦闘機械---その名は「レギオン」。
 新約聖書の「マルコによる福音書」にて「ゲラサにおける悪霊祓い」のエピソードで登場する悪霊の名を冠する兵器。
 名前を問われ、「我々はレギオン。我々は大勢であるがゆえに」と答えたように、無数を超えた戦闘機械は主の命と許可の元に解き放たれたのだ。

11:弥次郎:2025/10/31(金) 18:29:14 HOST:sp1-75-75-127.smd03.spmode.ne.jp

以上、wiki転載はご自由に。

始まっちまいました。
本編もサクサクいきますわー。
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最終更新:2026年02月24日 16:09