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378:弥次郎:2025/11/03(月) 22:40:27 HOST:sp1-75-75-97.smd03.spmode.ne.jp

大陸版日企連×86 SS「悪霊の進撃」3



  • 星暦世界 サンマグノリア共和国 ポルト=デ=シュヴァル


 ポルト=デ=シュヴァル。
 サンマグノリア共和国の首都リベルテ・エト・エガリテから見て東北東に存在する巨大な都市だ。
東部方面に伸びていく街道が集中する立地、街道が整備しやすい適度な平野部が広がる地形、湧き水によって担われる水源。
これらをもって、古来からサンマグノリア共和国東部における交易都市の一つとなり、人とモノの集まる場所として繁栄をしてきた。
軍事的な要素を見ても、陸路における要衝であり、各方面へのアクセスのしやすさということもあって、重要な意味が存在していた。
 そんな、道と道の交わる場所に異世界との「ゲート」が出現したというのは、なんとも意味深なものを感じざるを得ない。
古来、交差する道---辻というのは異なる世界がまじりあう場所とされている。道と道が交わるとは、そういうことなのだ。
そういう意味で言うならば、違う方向に進んでいた異世界を結ぶゲートの出現箇所として、これほどふさわしい土地もないだろう。

 そして、そんなポルト=デ=シュヴァルの郊外は---控えめに言って、地獄のような戦場が繰り広げられていた。
 押し寄せるのはギアーデ帝国が開発し、開戦と同時に周辺国すべてに進撃させた無人兵器「レギオン」。
悪霊の名を冠する、鈍い銀色の機体は大小さまざまに種類があり、いずれもが「敵(エネミー)」と判断された存在を飲み込まんと押し寄せてきた。
 阻電攪乱型が空を覆いつくし、長距離砲兵型の長距離砲撃支援の下、斥候型と近接猟兵型と戦車型の主力が前進する。
対人を想定した自走地雷も押し寄せてくるという、徹底的に既存の兵科や兵力にメタを張った殺戮機構は、しかし、進撃を食い止められていた。
つい数時間前まではサンマグノリア共和国軍の必死の抵抗を簡単に食い破り、大地を血で染め、蹂躙していたというのに、その姿は今や消えつつある。
蹂躙していた鈍い銀色が、特徴的なエンブレムを張り付けた兵器群により駆逐されているのだ。

 それは、大日本企業連合が派遣したサンマグノリア共和国救援軍である。
 まず遠距離のレギオンに対し、即席ながらも構築された砲陣地からは自走砲や砲撃型MTによる砲撃が叩きこまれていく。
勿論反撃も飛んでくるわけであるが、陣地周辺は電磁バリアドローンと電磁バリア展開装置で防護されており、有効打を弾いていた。
そんな砲撃の嵐を抜けてきたレギオンには、装脚タイプのMT「イーゲル」、二脚歩行MT「シュトルヒ」を中核にした集団が対応に走り回る。
イーゲルは弾幕火力で、シュトルヒは高威力のレーザーで迫りくるレギオンを次から次へと屠っていく。

379:弥次郎:2025/11/03(月) 22:41:07 HOST:sp1-75-75-97.smd03.spmode.ne.jp

 それらを突破できているのは装甲と速力が優れている戦車型ばかりで、残りはとっくに落伍して屍を晒していた。
生き残った戦車型に関しても、結局はいい的であるわけで、軽快に走り回る日企連製三輪型MT「火車」の攻撃により沈んでいた。
如何に火力と装甲に優れていようとも、側面や背面に回り込まれ、あるいはトップアタックを仕掛けられれば、どうしても弱点を晒す。
センサー能力の低さや巨体故の小回りの利かなさという弱点が見事に突かれた形だ。

 勿論、レギオンもただではくたばらない。
反撃の砲撃が飛び、あるいはロケットを放ち、ありったけを叩きつけて突破を試みる。
レギオンは自律機械だ。故に恐怖はなく、痛みもなく、怯みも何もなく前進と迂回と攻撃を続ける。
命じられたとおりに「敵」を見つけ、殺し、蹂躙し、制圧することこそが使命であり、存在意義。
 だが、それに立ちふさがるのは同じく機械の頭脳により制御される大量のMT、そしてそれらを構築する高度な技術であった。
 よく見れば、レギオンの攻撃はほとんどMTに通用していない。直撃弾を得ても、わずかばかり怯ませたり動きを鈍らせるばかりだ。
MTの装甲は貫通力に優れたAP弾でも破られることはなく、あるいは電磁バリアなどで爆風も爆圧も凌がれてしまい、通用しない。
戦車型の砲撃さえもそうなのだから、それ以下の砲撃が通用することもない。

 ならばと近接狩猟型が白兵戦を仕掛けようと殺到し、辛うじてその高周波ブレードが食らいつくも、それさえも装甲が拒んだ。
貧弱に見えるシュトルヒの脚部、その関節部目がけて正確に振り下ろされたそれは、音を立てて弾かれる結果となったのだ。

「----」

 そして、無情にもシュトルヒはその脚部で近接狩猟型を蹴り飛ばし、ストンプで粉砕する。
決して貧弱ではないはずの近接狩猟型の装甲があっけなく砕け、内部構造までも破壊され、パーツやナノマシンをまき散らしながら砕け散る。
そのシュトルヒらの動きは連続し、懐に入ってきたレギオンの個体を次々と粉砕していく。
機械ゆえの精密さと容赦のなさが、同じ機械に襲い掛かっていたのだった。

「すごい……これが本当に現実なのか」
「圧倒的過ぎる……」

 その光景を見ているのは、ポルト=デ=シュヴァル基地にいた共和国軍の兵士達だ。
 彼らはポルト=デ=シュヴァル基地まで這う這うの体で後退してきて、時間稼ぎのためにとそれでも戦うことを選んでいた。
火器と資材とを組み合わせ、ポルト=デ=シュヴァル基地に籠城して時間稼ぎという手を選んだほどに追い込まれていたほどに。
そうしている間に、何とか民間人を可能な限り後方へと逃がすという軍としての責務を果たそうとしたのだ。
その結果は惨憺たるものになったであろうことは想像に難くない。

380:弥次郎:2025/11/03(月) 22:41:46 HOST:sp1-75-75-97.smd03.spmode.ne.jp

 だが、これはなんだ?
 悪霊の蹂躙に決死の覚悟で抗おうとしていたら、突如として救援が現れ、瞬く間にひっくり返してしまったのだ。
 そして、所属というか配置がポルト=デ=シュヴァル基地だった共和国軍人は気が付いた。
レギオンと真っ向から撃ち合い、押している兵器についているエンブレムは、異世界から来たという「大日本企業連合」の物だと。
ポルト=デ=シュヴァル基地の任務が、ゲートから現れた日企連への警戒と万が一の際の対応だったこともあり、彼らは少なからず日企連の戦力を見ていた。
確認できた限りでは、音に聞くフェルドレスの亜種らしき兵器とパワードスーツ兵、後は戦車や歩兵と、自国との大差がないとされていた。
 なのに、この差はなんであろうか?
 これまで見たことがない新種を繰り出した、いや、出さずにいたのを送り出したというのもあるだろう。
 だが、そういった事情よりも、今この状況下においては味方がとても強いということを喜ぶべきであった。
少なくとも一兵卒としてレギオンに立ち向かい、散々な目にあわされ、苦汁を飲まされた身としてはそちらがまさっていた。

「少しいいだろうか?」
「あ、あ……はい!」

 そんな彼らに声をかけてきたのは、日企連のエンブレムを付けた将校らしき一団だった。
 下士官ばかりの彼らは、思わず反射で返礼してしまった。

「あ、いやそのままで。
 取り急ぎ確認したい。君たちはサンマグノリア共和国軍の軍人かな?」
「その通りです」
「よし。ならば、出来るだけ上位の階級の……できれば将校と話がしたい。
 それと、周辺の基地や民間人の多い街の配置なども知りたいのだが」
「いや、それは……」
「救援をしてくれると、そういうことなのですか?」
「その通りだ。
 だが、助けるためとはいえ勝手に踏み入れるのは問題がある。その許可を取り付けたいのだ」

 兵士たちは逡巡した。
 確かにこの戦力が救援をしてくれるのは心強い。自分達では勝てなかったレギオンをあっという間に蹴散らしてくれた。
 だが、彼らは異世界の勢力にして企業。その情報と彼らを引き入れることの危険性は周知がされていたのである。
経済活動で侵略と浸食をしてくる他国のようなものであるからして---しかし、これ以上にないほど強力な味方だ。

「基地司令に問い合わせを、してみます。
 軍本部ともできることならば」
「おい、いいのか……?」
「俺たちの役目を思い出せ。ここでグダグダと時間を浪費して、友軍や民間人を見殺しにすることか?」
「それは……そうだが」

 肯定的だった兵士の言に、もう一人は口をつぐむしかない。
 この状況下だ、使える手は何でも使わなくてはどうにもならない。
救いの手を振り払えば、遠からず自分たちは死ぬし、守るべき国民も次々と殺されてしまうだろう。
 だから---

「どうにか我々を、無辜の民を救ってほしい。あまりにも非力な自分達が恨めしいが、背に腹は代えられない。
 上さえ納得するなら我々も協力したい」
「わかった。案内を頼む」

 彼らは救いを求めた。
 たとえそれが恐ろしい相手であろうとも、職務に忠実であろうとして、しかし無力ゆえにかなわなかった彼らに、選択肢などなかったのだ。

381:弥次郎:2025/11/03(月) 22:42:34 HOST:sp1-75-75-97.smd03.spmode.ne.jp

以上、wiki転載はご自由に。

救いの手を取らないわけにはいかない。
協力を求められれば、応じるしかない。
彼らは良き兵士であったがゆえに……
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最終更新:2026年02月24日 16:27