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485:弥次郎:2025/11/05(水) 23:43:23 HOST:sp1-75-73-1.smd03.spmode.ne.jp

大陸版日企連×86 SS「悪霊の進撃」4



  • 星暦世界 サンマグノリア共和国 東部方面


 日企連のサンマグノリア共和国救援軍の展開は迅速だった。
 まず、ポルト=デ=シュヴァルの安全確保と陣地形成を並行して進めて、ゲートを中心とした防衛体制を構築した。
同時に辛うじて生き残っていたサンマグノリア共和国陸空軍を仮説基地へ収容し、迅速に手当てや情報収集などを開始したのだ。
徹底して抗戦した彼らは、心身ともに疲弊しており、もはや軍隊としての統制も保てていなかったほどだった。
温かい食事と休める場所、何よりもレギオンがいないという安心と安全は、彼らを平常へと連れ戻すことに成功していた。

 同じことは共和国民にも言えた。共和国軍が必死に逃がそうとしていた彼らも、レギオンに追跡を受けていて、それを派遣軍が救助したのだ。
無慈悲な機械の群れに殺されかけた彼らは軍人以上に疲労し、PTSDなど発症するなど、散々な状態だったのは言うまでもない。
訓練を受けた軍人でさえも正気を失いかけたのだ、ただの民間人ならばどれほどのショックなのかは推して図るべしだ。
ポルト=デ=シュヴァルが交通の要衝ということもあり、東部のあちこちから避難民は逃げ込んできたし、運ばれてきた。
日企連が用意した避難所も診療所なども瞬く間に一杯になっていくのも当然だった。

 それらの進行中に、今度は前もって構築していたホットラインを通じて、共和国政府と軍を相手に連絡を取った。
内容は単純、日企連の抱えるPMCを雇用しないかと契約を持ちかけたのだ。
保護された将校たちの証言や録画された戦闘映像も合わせることで、鮮度が良く、情報精度も高いプレゼンを実施できたのだった。
いきなりでは信じてもらえないだろうということで、同じ国の人間を巻き込んで、説得力を上乗せしたのだ。
合わせて日企連もまた宣戦布告を受けている事、多くの共和国民を保護しており扱いの指示を受けたいとのことも。

486:弥次郎:2025/11/05(水) 23:43:56 HOST:sp1-75-73-1.smd03.spmode.ne.jp

 この連絡には、サンマグノリア共和国政府も軍も大いに驚いた。
 元より魔女の巨釜状態にあったところに、さらに特大の情報がポイと投げ込まれたのだ。
沸騰するを通り越して、水蒸気爆発か何かが起こっても全くおかしくはない。
余計に大混乱に陥る可能性だって、十分にあり得たわけで、実際敗戦寸前の末期戦の様相を示していた共和国派混乱していた。
 それでもただ一つ、確かに分かったことは、怪物のいる迷宮に垂らされた一筋の糸が目の前にあるということだった。
むしろ、そういった目先の利益や勝利などに飢えている状態の共和国政府や軍にとっては望外の救いの手だったのだ。
半ば国民を人質を取られているようなものであったとはいえ、日企連の提案をわずかな逡巡もなく受け入れたのは、ある意味では異常だった。
どれくらいかといえば、提案が蹴られるだろうと、あるいは迷うだろうと予測していた日企連がドン引きしたほどに。
飛びつくようにというか、なんというか、救援を受け入れたという事実を奪い合うかのように声をあげたのだ。

 まあ、ここら辺は日企連も末期戦だとか敗色濃厚な状況に陥った経験というのがあまり縁がなかったのだ。
自然災害やそこから派生する事故の対応などで似たようなものは経験というのはあった。
それでも、国家存亡の危機というレベルになることはめったにないわけで、その感情や心情を理解しきるのは難しかった。
 ともあれ、正式な交渉などは落ち着いてからということとなり、日企連はついに欲してやまなかった大義名分を手に入れたのだ。


  • 日本大陸 日企連企業領土 某所


「……追い詰められると、どんな世界のどんな国も同じように行動するのだな」

 神崎はサンマグノリア共和国の受諾の報告を聞いて、そのように呟いた。
 神崎が推測したように、サンマグノリア共和国は逃げ場と甘美な勝利の美酒を欲してやまない状況だったのだ。
それのためであるならば、悪魔に魂を売ってでもというほどに追い詰められているのだと。
一次的なものでも、刹那的なものでも、とにかく得るものを得たいという欲求に駆られているのであると。

 神崎は「以前」の経験から知っていたのだ。
 あの時、未曽有の大津波という災害により半身不随状態にあった米国は、それでも戦争を継続した。
そうなるように仕向けていたのは自分達であったが、選択したのは米国自身の意志だったのだ。
国家の宿痾といえばそれまでだが、とにかく選択の結果として亡国への道を突き進んでいった。
後から判明したのは、米国は緒戦で大いにやられた後は、刹那的な勝利や事実のために動いていた面が多数あったのだという事実。
いくつもの証拠や資料までもついていた事実は、歴史の裏返しを見ているようで、何とも奇妙な気分になったモノだった。

 ともあれ、サンマグノリア共和国は日企連に懐を飛び込むことを許してしまった。
エコノミックモンスターだと警戒していた相手に無防備な姿をさらし、生殺与奪の権を与えてしまったのだ。
こうなったからには、もはや日企連としては止まってやる必要は全くの0となった。
後はもう徹頭徹尾サンマグノリア共和国を利用しつくし、行くところまで行くしかない。
国益のため、企業としての利益のため、ひいてはこちらの世界の未来のために、大いに怪物っぷりを示すしかない。

487:弥次郎:2025/11/05(水) 23:45:17 HOST:sp1-75-73-1.smd03.spmode.ne.jp

「……やはり神崎さんは独裁者の才能がありますね」
「褒められてもうれしくないですよ、辻堂さん」
「誇るべきです。どれほどの人間がその才能があるとうぬぼれて国家ごと破滅してきたことか。
 それに比べ、二度も独裁をして国難を乗り切っている神崎さんは実績がありますね」

 神崎としては嬉しくない言葉だ。
 いうほど独裁者は勝手気ままができるわけではなく、全てをコントロールできるわけでもなく、予測通りになるわけでもない。
ただひたすらに仕事があり、責任があり、万が一の時には自分以外のすべてが敵となって断罪されてしまう、誰かにとって都合の良い装置なのだ。

「……まあ、いいです。
 後はプラン通りに突っ走っていくだけです。
 予想以上にうまく進んでいるのはよろしいことですが、こういう時こそ何かが起こりますからね」
「確かに。『前回』もすべてが想定通りではありませんでしたからね」
「敢えて言うならば、メヒカリを忘れるな、です」

 流石の辻堂も神埼のその言葉には揶揄いを返せない。
 全くの予想外の事態により、日米開戦に匹敵するような決断と行動をする羽目になったのは、未だに覚えているのだ。

「また同じようなことになると思いますか?」
「それはわかりませんよ。不測の事態とは、予測できないからこそそう呼ぶのですから」

 ですが、と神崎は続けた。

「そんな予想がつかないことを想定するのが、選択をする人間の責務です」
「いい言葉ですね」

 いやな予感はあるのだ。人間の愚かしさに際限はない。
 日企連もサンマグノリア共和国も、際限のない愚かしい選択をする可能性がある。
どっちにしろ過ちを犯す人の集まりであり、人ゆえの宿痾に囚われるのだから。

 そして、その予感は的中することとなる。
サンマグノリア共和国が国内向けに発した共和国派大統領令6609号とそれに連なる行動という形で。
さしもの夢幻会も目を疑うような、そんなバカげたことを受け入れる「人の形をした人でないモノ」を見ることになるとは。
よりにもよって「それ」へと普通の人間が変貌していく様を目撃することになるとは知らなかったのだ。

488:弥次郎:2025/11/05(水) 23:46:05 HOST:sp1-75-73-1.smd03.spmode.ne.jp
以上、wiki転載はご自由に。

一気に駆け抜けました。
次からいよいよ白豚になり始めます(白目
目の前で変貌していく様を強制的に見せつけられるとかホラーかな?
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最終更新:2026年02月24日 16:30