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560:弥次郎:2025/11/07(金) 20:43:47 HOST:sp1-75-73-228.smd03.spmode.ne.jp

大陸版日企連×86 SS「亡霊狩り」


  • 星暦世界 サンマグノリア共和国 東部方面


 日企連の救援軍の展開は、ポルト・デ・シュヴァルを起点として南北に伸びた。
 地形と要衝を踏まえたうえで東部の主要都市をラインで結んでいくことで、レギオンの後方浸透を阻止する。
兎にも角にも安全を確保するためには防衛線を敷いて、後背地まで共和国民が避難するまでの間、阻止を続けなくてはならないのだ。
南北に長く伸びる防衛ラインを急遽構築する必要があったため、ラインは割と隙間があり、縦深は浅いものにならざるを得なかった
それでも、機能としては十分だった。レギオンの方が救援軍を脅威とみなし、積極的に襲い掛かってくるようになったのだ。
つまり、待っていれば勝手に向こうが発見して押し寄せてきてくれる。脅威度判定を行ってその情報を共有した結果なのだろう。
念のため、救援軍はドローンを多数放って哨戒網を構築することで、ラインの隙間を埋めるように努めた。

 同時並行でラインより後方に浸透しているレギオンを探し出して潰していく掃討部隊(スイーパー)が解き放たれる。
何も道は一本ではなく、その高い踏破能力によってレギオンの進行ルートはかなり自由が効いているのだ。
救援軍が展開するまでに共和国領土内に踏み込んだ集団も確認されていて、これの排除は必須であった。
レギオンは救援軍の視点から見れば弱いが、既存兵科ばかりの共和国軍にとっては脅威でしかない。
まして、陸空軍が壊滅的な被害を被っている状況下においては、わずかな抵抗さえも難しいのだ。
そんなことをして徒に死者を増やすよりも組織的な避難を行うために活動してほしいわけである。

 そして、このスイーパーとして投入されたのがアーマードコアであった。
 言うまでもないが、コジマ粒子をばらまいてしまうネクストなどではない、ノーマルACだ。
数機で小隊を形成し、それが輸送ヘリコプターと連携して飛び回って駆逐を続けていく。
MTなどよりもよほど快速で展開力に優れ、尚且つ殲滅力や適応能力に優れているノーマルACは少数でも大多数を駆逐できる。
そも、MTよりもさらに強力なジェネレーターとフレーム構造を持ち、全高の高さから常にトップアタックを仕掛けられるACはレギオンにとって死神なのだ。
MTをさらに拡張発展させて、MTなどをまとめて相手にできるスペックを持っているのだからさもありなん。
量産性や運用コストの面から画一的な武装と内装を持ち、特段カスタムされていなくとも、レギオンは圧倒できるほど、彼我の差は大きい。
そのノーマルにしても、派遣する人員の都合からフォーミュラブレインによる制御というのだから、なんともギアーデ帝国に救いはない。

 そして、日企連がサンマグノリア共和国より傭兵雇用を受けて参戦してから3日も経つ頃には、概ね戦線は落ち着いていた。
 この落ち着いているというのは、レギオンの後方への浸透を許さず、防衛線で食い止め続けられているという意味だ。
ドローンやMTやノーマルACなどで何とか支えていた防衛ラインも、徐々に物資と兵器の供給がされて防衛陣地の形成が進み、分厚さを増していた。
同時に、避難してくる共和国民を収容しながらも前線の押上げも行われており、既にギアーデ帝国との国境付近まで巻き返しを完遂していた。

561:弥次郎:2025/11/07(金) 20:44:28 HOST:sp1-75-73-228.smd03.spmode.ne.jp

 また、北のロア=グレキア連合王国や南のヴァルト盟約同盟の領土を経由することで進行してくるレギオンへの対策として、防衛ライン自体の延長も進んだ。
レギオンも考える脳みそがあるのか、それとも後方にいる人間が指示を与えているのか、前線を意図的に膠着させている間に、迂回を試みていたのだ。
愚直に突っ込んで性能と物量だけで押しつぶそうとするだけが能ではないということが判明し、日企連としては多少は評価をあげた。
 とはいえ、それだけだ。迂回をしたところで、既に敷設されている哨戒網やレーダー網が待ち構えていて、即応部隊だって控えている。
どうされたらまずいかなどと言うのはわかり切ったものでしかなく、その対応策も十分に打つ時間が存在していた。

 ここまで優位であるならば、他国の救援というのも考えられなくもなかったが、日企連はそれを選ばなかった。
 理由としては単純に金にならないからである。もっと正確に言えば利益を出費が上回るのだ。
時間をかければMTもノーマルACもさらに投入できるのであるが、保証が乏しい報酬のために他所の国にまで踏み込むリスクは避けたかった。
日企連の派遣軍はあくまでサンマグノリア共和国に雇用されているわけで、建前的にはサンマグノリア共和国軍所属だ。
そんな軍隊が他国に断りもなく踏み込んでいけば問題となってしまう---たとえ同じギアーデ帝国に宣戦布告されていても、だ。
そんな歯がゆさは「誤射」という体裁の長距離砲撃でレギオンの頭数を減らすことで何とか抑えられていた。
どれほどかはわからなくとも、レギオンの侵攻に影響を与えることはできるだろう。それによって人の死が少しでも減る可能性もある。
 そんなわけで、日企連の派遣軍の活動は順調だった。「亡霊狩り」はこれ以上になく、スムーズに進みつつある。


  • サンマグノリア共和国 ポルト=デ=シュヴァル 高速道路上


 日企連の渉外担当らを乗せた車両は、サンマグノリア共和国の高速道路の上を走っていた。
 周囲を護衛のMTやヘリで固め、万が一が起こらないようにと周辺に哨戒の部隊も配置した、かなり慎重かつ厳重な体制だ。
物々しいどころではない。完全ではないにしろ、レギオンの浸透を阻止して後方の安全を確保しているにもかかわらず、この対応は警戒が強すぎる。
 とはいえ、それも無理もないことだった。
 今、サンマグノリア共和国の首都エベルト・エト・エガリテに向かう一団の仕事は、ギアーデ帝国との戦争についての一連の交渉なのだから。

「上層部もかなりプランを用意するあたり、気にかけているようですね」
「当然でしょう。この世界の資源にはとんでもない価値がある。それこそ、我々の世界を一変させるようなね」
「だからこそ継続的に手に入れたいし、それを有効活用したい。
 それがこれからの交渉にかかっているとあれば、当然の判断でしょう」

 走行する車内で、渉外担当者たちは興奮を隠せずに話をしていた。
この世界の資源---まさに夢のような資源の山。それをわしづかみできるチャンスとあれば、食指が動こうというものだ。
 とはいえ、奪うと言う手には出ていない。手順と建前を守り、慎重にやらなくては長続きしないからだ。
 だからこそ、資源獲得の取っ掛かりとなりうる交渉を、まずはサンマグノリア共和国と行う。

562:弥次郎:2025/11/07(金) 20:45:02 HOST:sp1-75-73-228.smd03.spmode.ne.jp


 これまでサンマグノリア共和国軍の下請けとしてPMCを展開させて行った業務の報告は序の口だ。
 まずは今後の活動方針や戦略レベルの話を行って、どのような戦争計画を立てているかを伺い、すり合わせを行う必要がある。
状況が状況ゆえに迅速に行動しなければならなかったため、そこら辺については大雑把にしか定めていなかったのだ。
とにかくレギオンの浸透を食い止め、共和国民とその資産とを避難させたり、守ったりするのが第一義だったことによる。
今後どのように動くかが定め、必要なことを順々に熟していく必要があるので、これは必須だ。

 次いで、報酬についても交渉がある。これは至極単純な話だ。サンマグノリア共和国は軍事力の提供を受け、その見返りを支払う義務がある。
その報酬の支払いはどのくらい支払うべきか、あるいはどのように行うべきかが定まっていないのだ。
何しろ、異世界の勢力なのだから共通の貨幣があるわけがない。言語などは通じても、そればかりは同じではなかったのだ。
共通の貨幣などがないから報酬を支払えませんでは、日企連としては汗を流した意味がない。
かといってどちらかの貨幣で行った場合には物価の差などもあって、とてもではないが公平な取引はできないだろう。
それこそはした金で済まされてしまう恐れだってあるわけで、営利企業としてはそれをなんとしても避けたかった。
幸いにして星暦世界の物価についての調査も進んでいるので、今後星暦世界で活動するための諸費用と割り切れば支払いも不可能ではない。

 とはいえ、日企連が報酬の支払い方法として求めるのは「現物払い」のウェイトが大きい。
文字通り、星暦世界で入手できるものに価値や価格をつけ、それによって現金による支払いを代替するわけである。
そも、貨幣制度が通用するのは互いの信用や信頼やルールの順守があった上での話。互いが共通の価値観や尺度を持つから成立しうる。
そういう意味では貨幣では不安定というか、何かの拍子に価値を失ってしまう可能性が大いにありうる。
 だが、物納ならば?星暦世界で得られる資源は日企連側の世界で途方もない価値があるものが多い。
何しろコジマ汚染をはじめとした環境汚染などが比較して少なく、保存されているものが多いのだ。
これだけでどれだけの価値があるもので溢れているかが分かろうというもの。

 さらには、このギアーデ帝国との戦争の中で勝ち取った信用と信頼を元手に、さらに活動をしていくことが計画されている。
サンマグノリア共和国だけでなく、他国からも資源や技術を輸入し、自分たちの世界に取り入れていきたいのだ。
今後の通商や交流を行うことで、積極的に推進し、自分たちの世界の復興や発展の一助としたい。
ひいては、既存の企業支配体制の下で起こっているコジマ汚染の蔓延の阻止や戦争経済による消耗などを回復したい。
もっと欲を言えば、日企連が優位となる状況を作っていきたいのだ。

564:弥次郎:2025/11/07(金) 20:45:58 HOST:sp1-75-73-228.smd03.spmode.ne.jp


 けれど、懸念もある。
 サンマグノリア共和国などが素直に交渉の席についてくれるのか、そして支払いなどをしてくれるか、という問題だ。

「あちらはちゃんと支払ってくれるのだろうか?」
「あれだけ必死になっていたのだから、それはないと思いたいがな……」
「どうだかな。案外レギオンの脅威が引いてしまったら、反故するかも」
「そうなっては欲しくないが……虐殺など好んでやりたくはないしな」

 渉外担当者たちもそこは懸念していた。今まではサンマグノリア共和国政府も軍も協力的だった。
 けれど、何時までもそうとは限らない。いきなり踏み倒したり、あるいは

「それに政治や軍の都合もあるだろうからな」
「……有効な手立てを打てなくて、他所の勢力に頼りっきりというのは面子が潰れるからな」

 そうなのだ。結局のところ、国家は権力を有してはいるが責任や責務が伴う。
支配者とはふんぞり返っている暇などなく、ひたすらに仕事などを熟し、ひいひい言いながらも奴隷のように働くのだ。
そして必ずしも努力は報われるとも限らない。天井から切っ先を下にした剣をつるした部屋で生きているようなもの。
何かが起これば、あっけないほど簡単に、そして瞬く間に破滅へと追いやられるのだ。
 そういう観点から言えば、何もできないという醜態をさらした政府と軍は、落ち着いたら民衆という民主制における権力者に咎められる可能性が高い。

「そうなる前に何かをしでかす---考えたくはないが、ありうるのが怖いな」

 考えられるのは政府や軍の暴走---クーデターやテロ、あるいは自分達を人質として何かをしでかすというもの。
企業によって面子を潰されたという感情がどういう行動を招くのかは正直未知数だし、ひょっとしなくとも暴力に訴える可能性もある。
だからこそ臆病なまでに護衛を張り付けて行動しているのだ。

 先ほど民衆のことを述べたが、ギアーデ帝国との戦争が終わっても民衆への受難は終わらないのだ。
日企連への報酬を支払いつつ、尚且つ軍の立て直しを行い、国土復興を進めるのは国であるが、その活動の財源となるのは国民から徴収する税だ。
戦争のためだからと言って素直に増税などを受け入れるはずもない。ましてや、役に立たなかった政府が言い出し、役に立たなかった軍のためというのは。
感情の問題だから、今後のためにも必要だということは二の次三の次となって、政府や軍への攻撃となるだろう。
政治家は民衆からの指示を失えば失職するし、運が悪ければそのままただの人に戻って何もできなくなる。

 先ほども述べたように日企連としては異世界故に物価も貨幣も何もかもが違うということもあって、どちらかというと現物による支払いを求める予定だった。
今後日企連が求めるものを物納してもらう確約が得られるならば、それこそ万金にも値する価値のある権利を得られるためだ。
 それでも、民衆はそんなことを知らぬとばかりに考え、言葉にして、行動に移してしまうものである。
 民主制国家だからこそ、民衆というのは時に無責任な暴君と化して思うが儘に動いてしまう。
その時には政治家も政府も制度に記されたとおりに従うか翻弄されるしかないのだ。

「……救援を申し出た時の態度などを考えると、冷静さなどを失っている可能性が高いからな」
「それにつけ込んだのは我々だが、そのツケを支払うことになるかもしれないと?」
「そういうことになる。ともすれば、とんでもないことをしでかすだろうな。
 責任と責務から逃れたくなるように仕向けたことで今があるが、その結果何が生じるかは未知数だ」

 一人の言葉に、渉外担当者たちは沈黙してしまう。それぞれが、思わず考えてしまったのだ。
国家という、恐ろしい怪物でありながらもとても不安定で、ある種のパラノイアにすらなりうる集団の恐ろしさを。
その恐ろしさは国家に代わって支配者になった企業に属しているからこそ、分かってしまうのだから。

 そして、結論から言ってその懸念は正しかった。
 予想外の事態は、レギオンではなく、サンマグノリア共和国の側で発生したのだ。
 死神は身構えている時には襲ってこない。隙を晒したその瞬間にこそ、鎌を振り下ろしてくるのだった。

565:弥次郎:2025/11/07(金) 20:47:22 HOST:sp1-75-73-228.smd03.spmode.ne.jp

以上、wiki転載はご自由に。

とっくに落ちていっている最中というべきか。
表面化していませんが、既に原作と似たような流れになりつつありますね。

事が発覚する話のタイトル、現在どういうのがいいかなと模索中です。
こういう時にパッといい感じのが出てきてくれない……
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最終更新:2026年02月24日 16:36