391 :earth:2012/04/11(水) 23:10:29
北米での小競り合いに端を発した第三次世界大戦の結果、これまで世界をリードしてきた日欧は大きく力を失った。
彼らの弱体化に付け込むように台頭したのがインド、中東、南米、オーストラリアなどの国々だった。南半球に位置する彼らは
被害が少ないこともあり、戦後の地球における主導的役割を担うようになった。
「大国のエゴがこの大惨事を引き起こしたのだ。我々はその過ちを繰り返すべきではない」
あらたな覇権国家を中心に日独の影響力を排した国々は地球連邦政府を樹立。
その首都を旧オーストラリアのメルボルンに置いた。
一方で多くの領土と利権を失い、弱体化を余儀なくされた日本帝国、そしてドイツ第三帝国は起死回生を図るため、未開発の
宇宙への進出を推進した。
「地球に残っていても、一地方の中堅国家でしかなくなる」
彼らはそう判断し残された国力を振り絞って宇宙への植民を開始する。
最初は落ちぶれた覇権国家の悪あがきと嘲笑っていた国々だったが、日独の底力によって本当に宇宙開発が進むと慌てた。
そして彼らは思い出す。かつての日本帝国は開国して100年も経たないうちに世界最強国家にまで上り詰めた国だったことを。
ドイツもまた第一次大戦で敗戦し屈辱的な降伏を余儀なくされたにも関わらず、不死鳥のように蘇って世界を二分する国家にまでなったことを。
「あの亡霊共を好きにさせてはならない!」
恐怖が恐怖を呼び、地球連邦は日独への制裁を開始する。
しかし伊達に覇権国家を務めた2カ国ではなかった。彼らに残された資源はまだ豊富であり、未だに影響下にある国々や地球連邦に不満を
もつ国々とも連携して制裁を骨抜きにし、宇宙開発を推進していった。
加えて宇宙に生産拠点を設けた日独両国から供給される工業製品や各種技術が必要不可欠なものになっていくと地球連邦も強硬な姿勢をとる
ことが出来なくなっていった。
このため地球連邦も最終的に宇宙開発に着手せざるを得なくなった。このときをもって宇宙世紀が始まる。
392 :earth:2012/04/11(水) 23:11:01
そして宇宙世紀0079。世界は3つの国家によって分断された。
L2の工業用コロニー群と月の裏側に建設された地下都市群に国家の中枢を移した大日本帝国、L5に建設されたコロニーに拠点を移した
ドイツ帝国、そして地球に残る国々の多くを統制する地球連邦。
圧倒的に人口で劣る日独だったが、その技術力と連邦加盟国への工作で隠然とした影響力を有していた。しかし日独の考え方には大きな隔たりがあった。
日本は地球という星への回帰など考えておらず、外宇宙への進出を目論んでいた。
「火星、そして木星へいち早く生存圏を構築するのだ!」
宇宙軍の某中将(S元帥の子孫)は公然とそう主張して止まなかった。
一方、ドイツ帝国は違った。彼らは地球の覇者として大きな顔をして、自分達に色々と口出しし、商売の邪魔をしてくる連邦への憎悪を滾らせていた。
そして彼らの怒りは、連邦政府がかつて彼らの祖国であった地を連邦政府の直轄領にしようする動きによって爆発した。
「傲慢なる地球連邦に、今こそ裁きの鉄槌を下すのだ!」
ドイツ帝国が密かに開発を進めていた人型兵器群、そしてそれを運用可能にする航宙艦隊が動き出す。
一方、日本も密かに動き出していた。尤も当事者達、正確に言えば復活した
夢幻会の面々は頭を抱えていたが。
「よりにもよって、サイド3に相当するコロニーでガンダムを作るか?」
「まぁ普通ならザクが定石だろうが、それはドイツが作ったからな……」
「ではコロニー落としは?」
「衝号のような惨劇を引き起こす作戦をするつもりはないよ。まぁドイツ人は、かなりエグイことをやる気のようだ」
「やれやれ。まぁ良い。どちらにせよ軍の増強を急がせよう。我々の出番も近い」
かくして1年戦争と呼ばれる戦いの火蓋が切って落とされる。
最終更新:2012年04月15日 06:36