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829 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/11/22(土) 01:38:22 ID:p750131-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [141/186]
憂鬱スパロボ

Fルート 未来編

霧の都での邂逅


堀川公暗殺を未然に防いだプリンシパル達の元に新たにチセが合流した数日後、拠点であるクイーンズ・
メイフェア校の博物倶楽部には、とある連絡が届いていた。それは先日助け、そして共和国との取引を
行った堀川公を通して共和国へと齎された物である。

「コントロールはなんて?」

「なんでも東洋の新興国からの依頼らしい。ライヒって国に聞き覚えあるか?」

「帝国…東洋にありましたっけ?」

「紛争地帯になって久しい大陸の地域に、そう名乗った国があったとは聞きますが…」

10年前の革命以来、極東周辺では新興国の成立や旧植民地の独立が起きており、堀川公が所属する皇国の
様に小国でも比較的歴史のある国家で無ければ、既に外交的にも情報的にも殆ど存在しないに等しいという
国家も多く存在していた。その為、政治に明るいプリンセスや裏事情に詳しい共和国の面々も知らないのも
無理はないという状況である。しかし、その中で唯一違う反応を示したのチセであった、その顔には
苦々しい表情が浮かんでいる。

「ライヒは10年前のアルビオンの騒乱の直後、突然現れた国だ。」

「突然現れた?独立したとか、元々あった国家が分裂したんでなく?」

「皇国に居た時に訳あって調べたが…国の公式記録や新聞にすら、突然現れるようになったとしか
言えん。国民は欧州の人間に似ているが…クラガリに潜るなど正気の行動とは思えない事をする連中だ。
それに…」

クラガリとは皇国に於ける地下世界の総称である。多くは貧民窟や犯罪勢力の拠点となっている領域で
あるが、彼女の言からそれ以上の物が見て取れる。又、それ以上に言葉を選ぶように言い淀む珍しい
姿にチームのメンバーが注目する中、彼女はゆっくりと話し始めた。

「それに、連中…同じ人とは思えん…」

「人間じゃない?」

「差別している訳ではない。しかし、職業柄人の構造や気配を読む事には自信があるが…」

「奴等の多くは人でありながら、人らしい気配がまるでしない。一部に至っては意志があるのは解るのに
まるで人形が如き有様だ。異常としか言いようがない。読めなさと言う意味においては十兵衛の比では
無いだろう。」

チセの言葉に対して、他のメンバーは返答が出来ずにいた。チームの中でも特に近接に優れ、優秀な剣士
としての姿と見せる彼女の言は否定は出来ないものであったためだ。新興国からの依頼と言う不可解さに
加えて彼女の話、異質とも言える住民の話。俄かに一団の中に緊張が走るが…その空気を一変させたのは
プリンセスの言葉だった。

「お話は分かりました。話の真実は先ずは遅れらてくる方と会って確かめて見ましょう。」

「そ、そうだな、偶々チセの会ったって言う人物がそんな感じなだけかもしれないし…」

「その合流予定の人は何時来るんですか?」

「連絡だと今日の正午…」

其処まで話した所で、正午の鐘と教室をノックする音が同時にした。意を決して入室を促すとその声に
合わせて一人の女性が部屋へと入ってきた。金髪に碧眼と言う欧州でも見られる顔立ちの彼女は、
胡散臭そうに周囲を見回しながら、中にいるプリンセスとアンジュの顔を見ると少し驚いた顔をした後、
得心した顔をした。

830 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/11/22(土) 01:38:55 ID:p750131-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [142/186]
「話には聞いていたけど本当にプリンセスが居るのね。それ位居ないと作戦に不都合が生じるから
何でしょうけど…」

「貴女は?」

「先に名乗るのが礼儀だったわね…ビスマルクよ。本来は男性名だけど、襲名性の名前だと思って貰えば良いわ。
コントロールから連絡は貰っているんでしょ?」

「確かに情報と一致してますね。」

彼女の言葉通り、コントロールから齎された情報と彼女の情報は一致しており、彼女が件の客人で
間違いはないようである。納得を得られた彼女は得意げになると、腕を組んでチームの面々を見渡した。
身長や身長相応のスタイルに対して得意げな表情をする彼女は、見かけに対して幼げにも見えた。
その姿に若干毒気を抜かれた彼女たちは、彼女の言葉へと耳を傾ける。

「ライヒの…ゲネラールの見立ても中々見たいね…話しが早そうだし、早速本題に入るわ。」

「此方の依頼は一つ、地下の調査よ!」

「地下…と言うとこのロンドンのですか?」

「本来なら、このアルビオン全体…と言いたいところだけど、現状はそれだけね…」

「ケイバーライトが狙いか?」

アルビオンの生命線であるケイバーライト、加工により重力を遮断するこの物質こそアルビオンが擁する
空中艦隊の要と言える戦略物資であった。ロンドンの地下を調べるという話に対して真っ先に思いつくのは
それであるが、彼女は逆に困惑した様な顔をする。

「ケイバーライト???…ああ!例のエキゾチック物質ね!珍しいけどソレじゃないわ!私が調べる様に
言われているのは、この倫敦の地下階層…所謂クラガリよ!」

「クラガリだぁ?確かに、倫敦も入り組んでいるけど…」

「あなた達がクラガリに拘る理由は何?皇国でも動いて居る様だけど…」

「此処から先は機密。知りたければ、任務を共にしなさい。それで答えが見つかるかもね?」

先ほどまでの表情とは打って変わり、急に真顔で機密だと言い切るビスマルク。その顔は先ほどまでの
少女ではなく、軍人の其れを思わせる表情であった。しかし、その雰囲気もすぐに霧散し、元の少女らしい
表情に戻ると話を続ける。

「任務に協力してくれている間は、あなた達のチームに協力するわ。それが上同士の取引、これからよろしくね。私は転入手続きがあるから」

ビスマルクはそう言うと、踵を返して部室から出て行った。嵐の様にやってきてさって行った彼女を見て
緊張が解けたのか、ベアトリスが最初に口を開く。

「す、すごい方ですね…」

口をついてそう話したのは彼女の本心であった。当然と言えば当然である。アルビオンの派遣を支える
ケイバーライトに興味がないとまで切って捨てるというのは中々、常識からはかけ離れた発言と言えた
からだ。しかし、それ以上に困惑していたのは、ドロシーやアンジュ、チセと言った本業側の人間だった。

「今のどう見る?」

「嘘は言っていない…と言うか、本当に話していたのは人だったの?」

「言った通りだったであろう?」

「皆さんどうしたんですか?気になる事でも?」

「普通、人が会話する時や嘘を付く時ってのは、何かしら兆候が表れるもんだけど、アレじゃまるで…」

「鼻の動きも無ければ、瞳孔も変化しない。まるでそう作られた見たいに…」

「チセの話が正しかったって訳だ。トンデモナイ爆弾を抱えたなこりゃ…」

そう話していると、部室内の空気が一気に冷え込んだように感じだ。チセの感じた人ではない様な気配、
それが紛れもない事実である事は共和国、王国共にとんでもない爆弾を抱えた可能性があるという事を
示していたのである。

831 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/11/22(土) 01:39:28 ID:p750131-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [143/186]
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最終更新:2026年02月24日 18:29