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109:モントゴメリー:2025/07/22(火) 20:26:06 HOST:124-141-115-168.rev.home.ne.jp
FFRの街道シリーズ①——La Veine Verte(緑の血管)——

【概要】
La Veine Verte(緑の血管)とは、フランス連邦共和国(FFR)、そこのサハラ砂漠に巡らされている道路及び鉄道網のことである。
衛星軌道上から見ると、防砂用の緑地帯がサハラ砂漠に広がる血管のように見えるためそう名付けられた。
具体的には、地中海に面した「アフリカ州の玄関」ことアルジェリア県のアルジェからサハラ砂漠の中心都市であるタマンラセットを抜け、サヘル地帯の要衝ガオとマリ県の首都バマコを経由して、大西洋岸の要港ダカールへと至る、全長6,600km以上に及ぶ壮大な縦貫路である。

【計画】
『暗黒の30年』期の中盤以降、アフリカ州の物流は「線路の無い列車」ことTFLシリーズとそれを駆る乗組員の不断の努力により何とか安定傾向を示してきた。
これにより現地の治安も徐々に改善していったのだが、『鉄人』ジョルジュ=ビドー初代大統領はその現状に甘んじなかった。
本当の意味で物量網を構築するのならば、一般乗用車(せめてトラック)が通行できるしっかりとした「道」を創らなければならない。
彼はこの信念を以ってアフリカ州の道路網整備を主張し続けたが、『暗黒の30年』期のFFRにはそれを成せる力などどこにも無かった。
しかし、『鉄人』が現役を退いた後も彼の信念は受け継がれていた。
そうしてようやく30年の夜が明け、『暁の20年』と後世呼ばれる高度経済成長期が訪れると、『鉄人』の夢を形にできる環境が整いつつあった。
――サハラ砂漠縦貫道路計画は、このようにして開始された。

110:モントゴメリー:2025/07/22(火) 20:26:46 HOST:124-141-115-168.rev.home.ne.jp
【経路】
最優先目標として設定されたのは「アルジェ―ダカール間の開通」であった。
「アフリカ州の玄関」たるアルジェと、大西洋岸の要港であるダカールを陸路で繋ぐことは経済上非常に有益であるからである。
また、現在はダカール港に多くを依存しているアフリカ西部から南部の物流についてもこれで助長性が確保できる。
(当時のFFR上層部は、戦時にはヨーロッパ州とダカール間の海上交通線は維持できないと達観していた)
なので当初は両者の最短経路を試みて、アルジェから南西方面へ進みモーリタニア県を縦断する経路が設定された。
しかし、それに待ったをかけたのが『鉄人』である。
大統領職を退いた後も意気軒高であった彼はその計画の弱点を見抜いていた。
それは「最短」経路ではあるかもしれないが、「最適」経路ではないということをである。
一見、最短経路が最も難易度が低いように思われるが、そこは現在何もない「砂の海」である。
つまりゼロから全てを構築しなければならないため、必要な作業量は膨大なものとなるのである。
それに対し、『鉄人』が示した経路は以下の通りである。

  • アルジェから一度南下しタマンラセットを目指す
  • タマンラセットから更に南下し、マリ県のガオへ接続
  • その後は西進しトンブクトゥを通りマリ県の首都バマコを経由して、大西洋岸の要港ダカールへと至る

それは正しくサハラ砂漠の中心を打通するが如き経路であり、「遠回り」のように見えた。
怪訝な表情を示す関係者たちに対し、『鉄人』はこう言ったと伝えられる。

「最短距離で結ぶのは、ただの『線』だ。我々が作るべきは、内陸の心臓部を貫き、領土全体を豊かにする『大動脈』でなければならない」

以下に『鉄人』が示した経路を解説する。
まず第一に経済的な理由である。
「タマンラセット」はサハラ砂漠の中心に位置し、ここを抑えることはサハラ砂漠そのものを支配することを象徴するのである。
「ガオ/トンブクトゥ/バマコ」等これらの都市はFFRアフリカ州の中核をなすマリの主要都市であり、政治・経済・文化の中心地だ。
仮に「最短経路」を選んだ場合、これらの重要な内陸都市は物流網から外れてしまう。
その果ては沿岸部は発展するであろう。しかし広大な内陸部はその発展から取り残され、アフリカ州に「格差」が生まれてしまう。そうなればようやくほぼ鎮火した反乱の火種も再燃してしまう。
アフリカ州のフランス化に誰よりも心を砕いてきた『鉄人』にとって、それは断じて受け入れることはできなかった。

第二に政治的な理由である。
「全てのフランスの後継者」を自認するFFRは領域内の『歴史』を継承する義務があるのだ。
「タマンラセット」は古来からのサハラ交通・軍事の要衝である。19世紀からはフランス軍の軍事郵便局が設置されたほどである。
「ガオ」は7世紀から続く交易の拠点であり、ソンガイ帝国の首都でもあった。
15世紀後半にはニジェール川交易の東端として繁栄を極め、7万人の人口と千隻の舟を擁したと伝えられる。
「トンブクトゥ」もまたサハラ交易の結節点として栄え、大航海時代前の欧州では「黄金郷」と呼ばれたほどである。
(大航海時代になり衰退)
「バマコ」も同様であるが、さらに言うなら1883年に占領して以降、フランスのアフリカ統治の重要拠点であり続けた。
これらを経由することで、歴史ある交易路を受け継ぎ飛躍させるのだという政治的メッセージとするのだ。

第三は難易度の問題である。
実は、今まで示してきた経路は、『鉄人』の独創ではない。何世紀にもわたってキャラバン(隊商)が通ってきた、伝統的な「サハラ交易路(トランス・サハラ・ルート)」とほぼ一致する。
ではなぜこの道が使われてきたのか?それは、

•オアシス(水源)が点在している。
•比較的、地形が安定している。
•古くからの集落や都市が存在する。

からである。
すなわち、この経路は「砂の海」を切り拓くのではなく、インフラが(たとえ僅かでも)存在し、経済活動の歴史がある、最も現実的で建設しやすい経路でもあるのだ。
全く何もない砂漠にゼロから道路と防砂林、給水設備を建設するよりも、既存の都市やオアシスを中継拠点として活用しながら建設する方が、遥かに効率的で、建設後の経済効果も大きいのは自明の理である。
このようにして経路は決定された。

111:モントゴメリー:2025/07/22(火) 20:27:31 HOST:124-141-115-168.rev.home.ne.jp
【構造】
方針は決しても、それを実行するのはさらなる困難を越えねばならない。
何せ相手は砂である。
一日かけて整備した道路が翌日には砂の下、ということは日常茶飯事であった。
当初は道路を守る「壁」を建設しようとした。
しかし、言うは易く行うは難し。
「壁」の建設には膨大な予算が必要であるという試算の前に、この計画はしばし停滞することになる。
(「暗黒の30年」中に計画が進展しなかった主な理由である)
事態が動いたのは「暗黒の30年」末期、サハラ砂漠の地中に大量の地下水が発見された時である。
この水によりサハラ砂漠の緑地化計画は一気に推進するのであるが、同時に「壁」の問題も解決された。
「壁」をレンガやべトンではなく樹木で作るのである。
以下にその防砂林帯(Voie Verte de Protection)の構造を述べる。

1. 最外周:
ここは砂の移動を止める「物理的な壁」である。地表を転がってくる砂(クリープ、サルテーション)を物理的に受け止め、その場に堆積させるのを目的とする。
砂防林帯の中で最も過酷な環境に耐える必要がある。
具体的な植物は、「レプタデニア・ピロテクニカ(Leptadenia pyrotechnica)」や 「パニカム・トゥルギドゥム(Panicum turgidum)」である
前者はサハラやサヘルに自生する、ほとんど葉を持たない灌木。極度の乾燥と熱に強く、密生させると強力な砂のトラップとなり得る。
後者は「砂漠の草」とも呼ばれるイネ科の植物で株状に密生し、根と茎で砂をがっちりと固定する。
これらが選定された理由は現地の生態系に完全に適応しており、最小限の水で生存可能であるからだ。この層を「Béton de maréchal」製の杭と「VP」製のネットを組み合わせた機械的な柵で補強しつつ、これらの先駆的な植物を植え、最初の防御ラインを構築する。

2. 中間層
ここは地面を固定し、風を弱める「緑のカーペット」となる。目的は密な根を地中に張り巡らせて土壌そのものを安定させ、地表付近の風速を大幅に減速させることである。
具体的な植物は「アカシア・トルティリス(Acacia tortilis)」や「ジジフス・マウリティアナ(Ziziphus mauritiana - インドナツメ)」である。
前者はサヘル地帯を代表するマメ科の樹木。非常に強い乾燥耐性を持ち、根を深く広く張るため土壌の安定化に絶大な効果を発揮する。また、根粒菌との共生により土壌を肥沃にする効果も期待できる。
後者は成長が早く、棘のある枝が密生するため、風除けとして非常に優秀であるばかりか、果実は食用にもなる。
これらを密植することで、砂が舞い上がるのを根本的に防ぐ。
3. 中心層
ここでは舞い上がる砂を捕らえる「空中のフィルター」を形成する。
中間層を越えて空中に舞い上がった、より細かい砂塵(浮遊)を高い樹木で濾し取り、道路や線路への到達を防ぐ最後の砦とする。
具体的な植物は「ナツメヤシ(Phoenix dactylifera)」である。
これは「オアシス」を象徴する樹木で知名度も高い。背が高く、その葉は空中の砂塵を捕らえるフィルターとして理想的である。加えて果実(デーツ)は貴重な食料となり、経済的な価値も生み出す
「ユーカリ・カマルドゥレンシス(Eucalyptus camaldulensis)」も有力な候補であったが、豪州が原産であるため見送られた。
中心層はその高さと密な葉で、最後の防御壁を形成する。またナツメヤシは食料生産という副次効果も大きく、沿線に生まれるサービスエリアや集落の経済基盤にもなり得る。

道路自体の幅は上下線、中央分離帯、サービスエリアなどを含めれば50~60メートルに及ぶ。
その外周に中心層が左右約40mずつ、中間層が約100mずつ、最外周部が約80mずつと並び、全てを合計すると500mほどの幅となる。
また300から500km毎に全天候型サービスエリア(Relais du Désert - 砂漠の駅)が設置されており、燃料・電力供給のみならず簡易休憩所ではできない車両整備工場(TFL対応)、や「TFL-3」で培われた快適な宿泊施設が完備され、砂漠を行く人々の命綱となっている。
(この他50から100kmおきに、果実用の比較的小規模な「収集・一次加工拠点(Centre de Collecte et de Traitement Primaire, CPPC)」が、設置されているが、今回は割愛する)

【運用】
La Veine Verte(緑の血管)は計画始動から数十年を経た2010年代に全線開通した。
その後はアフリカ州の物流の根幹となるまさしく「動脈」となったのである。

112:モントゴメリー:2025/07/22(火) 20:28:01 HOST:124-141-115-168.rev.home.ne.jp
以上です。
ウィキ掲載は自由です。
FFR物流シリーズでございます。いつまでもTFLシリーズ頼りでは限界が来ますからね…。
最初は文中でも言った通り最短経路で行こうと思ったんですが…

FFRの皆さん「パリダカじゃないんだから、一般道でそんなルート通らんよ」

と一刀両断されまして()
彼らの話を聞いて設定したのが本文のルートです。
皆様グーグルマップにでも投影してみてください。

…浅学非才で影の薄い私にはひゅうが先生や戦車の人氏のような派手な作品は作れませんので、文字通り「我が道」を行きまする。

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最終更新:2026年03月12日 22:56