587:戦車の人:2025/08/07(木) 01:51:45 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
1.概要
フランス共和国海軍がナチス・ドイツ占領前に2隻を送り出した、当時最大級にして最強クラスの高速戦艦。
基準排水量6万トン、38サンチ主砲4連装4基を搭載、最大30ノットと欧州戦艦としては破格のレベルである。
同型艦はリシュリュー及びジャンバールの2隻であり、ブレスト工廠及びサン・ナゼール造船所で1940年までに辛うじて就役。
将来のフランス奪還のため当初は英国、やがて北アフリカアルジェに臨時首都を移した自由フランス軍に参加している。
スエズ運河及び中東油田を狙ったドイツ(欧州連合)軍を前に、日本からの各種支援もあり一歩引かずに奮戦。
イタリア海軍精鋭と死闘を展開し、最新戦艦インペロを始め大型軍艦相当数を撃沈・大破に追い込んでいる。
北アフリカ戦線が日英仏の勝利に終わった後はポートサイドまで進出した、日本海軍の自走乾ドックに入渠。
破損箇所の修理や日英仏共通規格のマイクロ波レーダー、高角兵装の増設。ダメコン設備の冗長化工事などを実施。
ほぼ間違いなく次はケベック州領有権を旗印に戦場となるカナダへ、他の自由フランス艦隊と共に戦場を移している。
なお当初は45000トン級高速戦艦として計画されており、同型艦も2隻ではなく4隻が計画されていた。
ブレスト工廠及びサン・ナゼール造船所が複数の大型船台保有まで拡大され、けして非常識でも非現実的でもなかった。
しかしドイツがヴェルサイユ条約を完全に破棄し、更には日本と欧州から阻害された合衆国と技術交流を開始。
合衆国海軍が45000トン級高速戦艦、60000トン級超弩級戦艦多数を新世代戦艦として同時着工したこと。
ナチス・ドイツが合衆国から得た技術を用い、やはり50000トン級戦艦や大型駆逐艦多数建造に踏み切り状況は変化した。
計画中の45000トン級戦艦では将来の米独戦艦、多数の高速艦艇に対抗できない。仮に日英と協働しても厳しい。
ただ幸いにして第一次世界大戦以来、概ね日英と良好な関係を築いたフランスは経済と工業力に余裕があった。
やはり第一次大戦で日本陸海軍が西部戦線や北海で勇戦、良好な兵站を維持したことで被害も比較的軽かった。
そこにやはりドイツ人とアメリカ人は信頼ならぬという民意の援護射撃で、フランス海軍は大幅な拡張を遂げることになる。
合衆国が日英同盟に恐怖しジュネーブ軍縮会議を破棄し、海軍無条約時代を招いたこともある意味では幸いしている。
新型戦艦に関しては無数の拡大案が俎上に載せられ、最終的には38サンチ主砲4連装4基の高速戦艦案が採用された。
これはフランス海軍がリヨン級やダンケルク級で4連装砲塔を熟成し、高圧機械や大出力発電機にも強かったこと。
より大口径の主砲も開発は不可能ではないが、ドイツや合衆国に対し一刻も早く対抗しうる新型戦艦竣工こそ一義である。
そのように判断され排水量に比較すれば控えめな口径の38サンチ-ただし50口径高初速砲が主砲として選択された。
主砲以外には新型軽巡と同一の15.2サンチ3連装副砲2基、55口径10サンチ高角砲連装12基等が搭載されている。
防御力も充実したものであり舷側は330ミリ/15度の分厚い傾斜装甲で守られ、水平主要部は170ミリの装甲を適用。
内部にも傾斜装甲構造が施され、広範囲にわたり重装甲化されたことから厚み以上の生残性と防御力を持つ。
水雷防御も複層船底構造と、予備燃料タンクを兼ねた低抵抗バルジが広範囲に適用され、生半な水雷攻撃で沈みはしない。
主機は日本との技術交流を行い完成した、60気圧/480度規格のボイラー8基及び二段減速タービン4基をシフト配置で搭載。
定格最大出力は24万馬力に達し、6万トンの巨大戦艦に実効30ノット以上の快速を与えている。
航続距離も巡航20ノットで1万海里と長く、高速巡航を用いて延々と走れる本クラスはドイツ海軍の天敵でもあった。
フランス軍艦らしく居住性にも優れており全艦空調完備は言うまでもなく、少尉や中尉でも2名居室が当然のように実装。
下士官兵も大部屋とは言え二段寝台が与えられ、日英海軍をしてその居住性の良好さは高い評価を与えている。
欧州海軍戦艦らしく司厨設備も充実しており、ワイン専用の冷蔵庫を有する点は、如何にもフランス海軍らしいものであった。
これほどの大型戦艦を建造末期は本土が戦場となりつつも、工程管理とブロック工法を徹底し概ね計画通り完成。
侵略者であるドイツ人の手に渡らせず、祖国奪還のために戦う自由フランス軍へ手渡せたことは特筆に値するであろう。
以下においてはリシュリュー級戦艦の各種技術的な要素について触れてゆきたいと考える。
588:戦車の人:2025/08/07(木) 01:52:26 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
2.砲熕兵装
リシュリュー級戦艦は早期竣工を確実なものとするため、あえて控えめな50口径38サンチ砲を主砲として選択している。
これはダンケルク級戦艦(33サンチ砲12門、排水量37000トン)の50口径33サンチ砲の拡大改良型である。
砲身は複層水圧自緊で製造され軽量であり、4連装砲塔は連装砲塔を並列構造に並べ、信頼性と冗長性を獲得している。
この4連装砲塔を前甲板・後甲板に各2基背負式で搭載しており、列強戦艦としては異例の16門の主砲搭載数を誇る。
早期竣工を一義とするため口径は妥協したが、手数と打撃力で遜色を見るつもりは毛頭ないフランス海軍の意向が伺える。
また主砲システムが一部を除き、後述する大出力を誇る発電機により完全電動化されたことも、優れたシステムと言える。
50口径38サンチ砲は複数の徹甲弾を準備され、欧州海域における近距離戦闘用の900キロ高初速徹甲弾(850m/s)。
合衆国海軍相手に大西洋の遠距離砲戦を想定した、1040キロの重徹甲弾(780m/s)の二種類が準備されている。
北アフリカ戦線では前者が猛威をふるい、カナダ防衛戦争では後者がZ計画艦隊を相手に痛打を浴びせている。
タービン発電機、ディーゼル発電機で冗長化された電力システムにより、砲旋回や揚弾、装填等も継続して迅速である。
射撃指揮装置も当初よりデシメートル波長レーダ、大型測距儀、リレー式計算機、方位盤安定装置などから構成。
主砲斉発時の弾着散布拡大に関しても日本より発砲遅延装置を導入し、25キロ圏内の砲戦なら相当な高精度を誇る。
副砲には新世代軽巡と同一の55口径15.2サンチ3連装砲塔を上構造物前後に各1基搭載。
弾頭重量57キロの徹甲榴弾(半徹甲弾)を1門毎分6-8発で射撃可能で、やはりレーダーを用いた射撃統制を行う。
門数こそ少ないが指向角度は大きく、威力も15サンチ艦砲としては大きい部類で、駆逐艦突撃阻止に威力を発揮した。
なお合衆国海軍は元々大型駆逐艦多数を整備しており、その影響を受けたドイツ海軍も2000トン以上駆逐艦整備に移行。
両者ともに21インチ(53サンチ)級魚雷発射管10-15門を備えているため、近代化工事が進む中でも副砲は常設されている。
寧ろ日英が完成させた半自動装填装置を導入し、毎分10発以上の実効射撃速度を獲得し、更に火力を高めている。
第一次大戦以降急速に高性能化を果たした航空機への対応も必要で、この点はダンケルク級の失敗から教訓を得ている。
すなわち高角砲と副砲を兼用する両用砲を4連装砲塔で運用は流石に困難で、両者を分離するほうが効率的という教訓である。
故にリシュリュー級は15サンチ副砲とは別個に55口径10サンチ高角砲を連装12基24門備え、航空機への備えとしている。
本高角砲は14キロの通常弾・対空弾を850m/sの高初速で放ち、電気機械操砲により1門毎分15発の発射速度を有する。
竣工当初は近接信管砲弾こそ有さなかったが、デシメートルレーダーを有する高射装置と連動し、効率的な防空火力を構築している。
欧州制覇に猛威を振るったルフトヴァッフェも、リシュリュー級の効果的な対空射撃に苦戦を強いられたことを率直に認めている。
高角砲以外にはオチキス37ミリ高射機関砲を連装24基も搭載し、こちらも砲4基あたり1基の光学高射方位盤が管制している。
700グラムを超える機関砲弾を800m/sを超える初速、連装砲架で毎分200発以上を発射可能で、即応性にも優れている。
日英がパテントを購入したボフォース40ミリ機関砲よりやや控えめだが、全て内製化の上で有効な防空火力構築は大きい。
リシュリュー級が主に戦った相手は北アフリカ戦線ではイタリア海軍、ドイツ及びイタリア空軍でほぼ竣工状態で干戈を交えている。
レーダー技術などで日英にやや遜色を見るとは言え、総じて効率的な火力システム構築に成功し、それは実戦でも証明された。
イタリアの16インチ砲9門を備えるヴィットリオ・ヴェネト級戦艦相手に優位な打撃戦を展開、空襲に対しても一歩も引かぬ防空戦を展開している。
北アフリカ戦線が落ち着いて以降は日英仏の戦闘艦艤装共通化計画に従い、各種捜索・射撃管制レーダをマイクロ波を用いるものに更新。
高角兵装は既存の10サンチ弾と互換性を確保した上で、日本製の65口径10サンチ高角砲連装12基へと換装。
機関砲もボフォース40ミリ4連装12基等に置き換えられ、戦線が広大な大西洋に至るを想定し主砲弾薬もも重徹甲弾へ完全移行している。
射撃管制レーダや主砲弾薬、高角兵装全般を近代化したリシュリュー級の火力は、ドイツ軍カナダ侵攻に際しても十分有力であった。
カナダへ攻め寄せたZ計画戦艦フリードリヒ級や英海軍鹵獲艦艇を相手に奮戦。僚艦と協力し相当数を無力化している。
また長10サンチ高角砲と40ミリ機関砲からなる防空火力は、ドイツ海軍攻撃機を多数撃墜し、深刻な損耗を強要した。
589:戦車の人:2025/08/07(木) 01:53:01 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
3,防御構造
リシュリュー級は6万トンに達する巨大戦艦としては、日英の同時期の戦艦と比較してやや装甲厚が薄い印象は否めない。
特に同世代の大和型戦艦などは410ミリ/20度の舷側装甲、水平230ミリの重防御を誇るなど破格である。
ではリシュリュー級の装甲防御や生残性が薄弱であるかと言えばそうではない。40サンチ砲を相手と想定すれば相当重厚である。
装甲板自体がシュナイダーやサン・シャモンの開発したニッケル、クロム、モリブデンを適量含有した非浸炭表面硬化装甲を採用。
特に靭性に優れ同時に低コストであり、その上で均質圧延装甲と同等の防御力を達成し、フランスの高い冶金技術を伺わせる。
また第一次大戦でフランス海軍は当時最新鋭のリヨン級を投入し、流血を伴う戦訓に基づく効率的な装甲防御配置を確立。
舷側に広範囲にわたる330ミリ/15度装甲を、水平主要部に170ミリに達する装甲を適用し、内部に傾斜装甲構造を配置。
主砲塔は防楯450ミリ、側面及び背面250ミリ、上面200ミリの装甲を。司令塔には500ミリの重装甲を適用。
良質な装甲板を全体に適用し、船体及び上構造物全体を電気溶接で構築することで、より実効的な防御力を高めている。
水雷防御に関しては二重船底構造を採用し、1930年代以降に普及しつつあった磁気信管水雷直下炸裂に対応。
日英が用いている重油タンクを兼ねた低抵抗バルジを広範囲に適用し、舷側水雷直撃への防御力も高いものである。
また水線下防御区画にはエボナイトムースと呼ばれる、衝撃吸収素材を充填し、さらなる水雷防御向上を企図していた。
ダメージ・コントロールも当時の水準として劣るものではなく、消火設備や注排水装備などは相当に冗長化されている。
日英海軍が導入しつつあった応急分隊の専門化、応急指揮所常設なども行われており、海軍先進国に劣るものではない。
一部マニアの偏見とは異なりフランス、あるいはイタリア海軍は世界水準で見ても十分先進国であったのだ。
仮に一部マニアの偏見どおりならばイタリア新型戦艦の高初速16インチ砲、あるいはZ計画艦隊の42サンチ砲戦艦。
このような強敵を相手に正面から殴り合うことは困難だった筈で、それを制したあたりにリシュリュー級の生残性の高さが伺える。
ヒトラーもフランス戦闘艦のしぶとさを前に、ヴィシーフランス経由で技術取得に努めたが「現物」が脱出した故に成果は乏しかった。
装甲やダメコン以外に生残性を高めた要素としては、後述する機関システムのシフト配置構造も一役買っている。
ボイラー8基及びタービン4基を交互に配置することで機械室は大型化するが、被弾に際し冗長性は大きなものとなる。
パラレル配置でも機械室を装甲隔壁で覆うことで、ある程度の補完は可能だがフランス海軍はシフト配置を選んだ。
機械区画の延長により船体は大型化するものの、シフト配置方式により得られる生残性のメリットは上回ると判断している。
この点はドイツが合衆国との技術交流により、空軍攻撃機に実用的な魚雷配備に成功した点も影響している。
軍艦にとって砲弾よりも恐ろしい水雷を、3次元で機動可能な航空機が多数投射する脅威を重視したのである。
一方で船体が長くなる。つまり縦横比が大きくなることを用い水中抵抗を相対的に減少させ、高速発揮も意図している。
操舵特性ではやや難を生じるが、それでも6万トン級戦艦が30ノットを発揮できるメリットはけして小さくない。
高速発揮をコンスタントに行えるというのは、水上艦であろうが航空機であろうが、照準を著しく困難とするが故である。
このようなコンセプトに基づいたリシュリュー級の防御システムは、概ねに置いて成功したと評して差し支えない。
北アフリカの戦いでは地中海で多数の爆弾、砲弾、水雷を被弾しつつも、それを跳ね除け25ノット以上の戦闘速度を維持。
同世代のイタリア最新戦艦さえ撃沈し、多数の敵機を吸引し護送船団や対潜艦艇を間接的に守り通した。
ポートサイドへ進出した日本海軍の自走乾ドックを用いた工事では、戦闘指揮所や方位盤にも適用された電算機。
パラメトロン演算器をダメコン指揮所に備えることで、より実際的かつ的確なダメコン分隊運用を可能としている。
自由フランス軍の兵員の大多数が植民地出身であることを考慮すれば、機械化による訓練短縮は概ね間違っていなかった。
カナダ戦線へ転戦したリシュリュー級はその生残性を用い常に最前線にあり、自由フランス艦隊や英連邦艦隊の主軸として奮戦。
最終的に欧州連合海軍の物量を前に撤退を余儀なくされても、南米航路を無理なく突破できる航海性を維持している。
対艦誘導弾さえ多用される第三次世界大戦でもその堅牢さは健在で、祖国を失ったフランス人に希望を与え続けた。
590:戦車の人:2025/08/07(木) 01:53:35 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
4.船体及び主機
全幅37メートル、全長280メートル、喫水線11メートル、基準排水量61000トンは当時破格の巨大戦艦であった。
日本の高千穂型戦艦より一回りほども大きく、合衆国海軍最後にして最強のモンタナ級戦艦にほぼ匹敵するものである。
オーシャンライナーたる豪華客船ノルマンディーを建造し得た、フランスの造船能力の粋を傾けたと評して差し支えない。
一見野放図に大型化したようにも見えるが、上述した戦闘艤装を過不足なく収め、冗長性を確保すること。
また後述する機械類により30ノットの俊足、20ノットで1万海里近い航続距離を発揮する縦横比の獲得のためである。
フランス海軍は第一次世界大戦の戦訓から快速艦、それも高速戦艦が一度走り出せばどれほど厄介な存在になるか。
犠牲を支払う形で学んでおり、その点でもリヨン級以前の旧世代の戦艦とは設計思想が大きく異なっている。
縦横比を大きく取るのみならず、艦首構造をバルバス・バウとし減速に抵抗低減構造のバルジを船型と一体化し装備。
戦闘速度や高速巡航を無理なく行うべく工夫が凝らされ、操舵も2枚方式となり旋回半径は大きいが反応速度は早い。
同世代の列強戦艦の通例に漏れず船体バイタルパート内部には、広大な容積の戦闘指揮所が設けられている。
無数の各種通信機や戦況表示用アクリルボード、複数のレーダー表示装置が竣工当初より備えられていた。
やがて日英規格のマイクロ波レーダー多数の増設改修を受けるが、広大な戦闘指揮所はそれを無理なく受け入れた。
旗艦としての指揮通信能力は非常に高く、それこそ竣工当時のフランス水上艦全軍を統率可能とさえ言われた。
事実、ドイツ軍による鹵獲を免れるために祖国を脱した際、多くのフランス艦艇に捲土重来を呼びかけ、それに成功している。
祖国を仮初とは言え捨て去るは忸怩たるものだが、将来に仇を討ち奪還することを選んだ者は多かった。
上構造物はダンケルク級のそれを拡大改良した機能的なもので、塔型艦橋やマック方式煙突なども踏襲されている。
戦闘艦橋の容積も必要十分であり、指揮通信システムを冗長化することで継戦能力も大きく取られている。
長大な船体と機能的な上構造物は他国海軍にも強い印象を与え、重武装ながら優美さを損なわない姿であった。
駆動系はフランスが得意とする高圧機械、高効率発電機から構築され、やはり他国戦艦と一線を画するものである。
主機は60気圧と当時破格の高圧罐8基及び2段減速オールギヤードタービン4基をシフト配置で備え、4軸推進としている。
定格最大出力は24万馬力に達し、日本海軍の大和型の22万馬力を凌駕する高出力駆動系であった。
燃料搭載量は9000トンほどに及び最大速度30ノット、巡航20ノットで1万海里近い健脚を支えている。
また平時に限るが機械操縦室からの遠隔操縦方式を導入し、後のエムゼロ運転も技術的には可能な構造となっている。
高圧に耐える堅牢なボイラーとタービンを持つことから、平時より待機運転を行い即時出港を行うことさえ可能だった。
発電系はタービン及びディーゼルの二種類を併用しており、こちらもフランス海軍が得意とする電気機械である。
2000キロワットタービン発電機6基及び1000キロワットディーゼル発電機4基を、やはりダメコンを意識し分散配置。
合計16000キロワットとやはり破格の発電量を叩き出し、4連装主砲4基を筆頭とする戦闘艤装に十分な電力を与えた。
リシュリュー級は竣工時で乗員数2700名、後の近代化工事を経て3000名以上の乗員を擁することなった。
では居住性が劣悪かと言えば大いに異なり、当初より相当な冗長性を持ち、最後まで全員寝台起居を保っている。
寝台についても他国が三段式のところを二段式とし、大部屋の水兵でも就寝環境で悩むことはほぼなかった。
また第一次大戦の戦訓から生物化学兵器対策として、BC兵器防御と並行し冷暖房空調を全艦に完備。
地中海の高温であろうが大西洋の酷寒であろうと、彼女を操る将兵に過度な負担を防ぎ、疾病予防にも貢献している。
司厨設備と食堂もフランス艦らしく優れたもので、下士官兵向けの配食すら日英海軍は将校用と誤解したとさえ言われる。
ではこれほどの巨大戦艦を作るにあたって遅延が生じたかと言えば、ブロック工法とリレー電算機を用いた工程管理をフル稼働。
ブレスト海軍工廠とサン・ナゼール造船所の能力拡大もあり、起工から竣工まで4年程度で収めている。
基本的には陸軍国であるフランスだが、数多の輸出用商船を建造し、高性能な戦闘艦を戦間期に生み出した技術は高かった。
591:戦車の人:2025/08/07(木) 01:54:14 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
5.竣工以降
1940年内に相次いで竣工したリシュリューとジャンバールであるが、祖国防衛に果たした貢献は乏しかった。
そもそも竣工したばかりで慣熟訓練を急ピッチで行っていた最中であり、実戦投入は率直に言って困難な練度であった。
一方で艦長などの幹部士官に人を得ていたことが幸いし、フランス降伏に伴う海軍からの秘匿命令。
可能な限りの戦力を引き連れ脱出し、捲土重来を期して外地で屈辱に耐えるべしに応えることは可能だった。
リシュリュー及びジャン・バールは士官学校生徒、海軍工廠や造船所の技術者の希望者を乗せフランスを脱出。
その過程で今なお健在なフランス海軍艦艇に優れた通信能力を用い、我に続けを発信している。
当然ドイツ空軍等に目の敵にされたが豊富な高角兵装と重厚な防御力は、2隻のリシュリュー級を驀進させ続けた。
後に自由フランス海軍となる彼女たちにとって幸いだったのは、本国も洗浄となり余裕のない英国ではない。
その同盟国である日本海軍が受入と整備補修を申し出たことであった。先の戦争より日仏関係が良好なことも幸いした。
相当数の僚艦や輸送船を引き連れ北アフリカに腰を落ち着けた彼女たちだが、補修整備以外の休養はなかった。
ドイツの同盟国たるイタリアがその強力な海軍を差し向け、その背後には多数のドイツ軍輸送船が控えていた。
現状の練度で全てを阻止することは困難を承知で、リシュリュー及びジャン・バールは出撃を行った。
本土を失いドイツ空海軍を相手に痛打を浴び、重装備や航空機すら失ったフランス軍を鼓舞するには手段を選べない。
これ以上退けば暫定首都アルジェはおろか他のアフリカ、東南アジア植民地すら危険にさらされる。
自分たちが背水の陣であることを承知したリシュリュー級2隻と乗員たちは、僚艦や日英海軍と共に果敢に出撃。
想像以上に勇敢かつ近代化されたイタリア海軍を相手に激戦を展開し、かなりの僚艦を失っている。
一方でリシュリュー級2隻は練度不足ながら士官候補生さえ現場で鍛えつつ、戦艦としての能力発揮に努めている。
その最たる成果がイタリア最新の16インチ砲戦艦インペロの撃沈で、その勝利はけして小さくない炎を自由フランス軍に灯した。
日本と満州、やがて英連邦やフランス植民地からの無数の兵器と良好な兵站。人員補充により北アフリカ戦線は勝利に終わった。
1942年末の段階でリシュリュー級2隻の損傷は浅くなかったが、日本海軍が持ち込んだ自走乾ドックや工作艦が功を奏した。
海軍国家らしく外地でも新型戦艦、装甲空母の修理さえ前提とした浮かぶ工場は、リシュリュー級の傷をほぼ完全に癒した。
それだけではなく正式に日英と同盟関係を結んだ自由フランス軍の協定に基づき、電波装備や高角兵装を一新。
射撃指揮装置も日英で標準化しつつあったパラメトロン演算器を用いたものに代わり、実効戦闘力は大幅に向上した。
また弾薬供給の観点から主砲徹甲弾も中遠距離砲戦を意識した、1040キロの重徹甲弾へ統一されている。
そして-北アフリカで軍事侵攻を阻止されたドイツを宗主国とする欧州連合、彼らの次なる侵略目標は誰の目にも明らかった。
ヴィシー政権に忠誠を誓っていないとは言え、帰属問題でどうとでも文句をつけられるケベック州を含むカナダである。
仮にパナマ運河が使えないとしても、これ以上ドイツ人を相手に引き下がるつもりはない自由フランス海軍は主力をカナダへ移動。
ドイツZ計画艦隊を相手として日英軍と戦列をならべ死闘を展開し、最終的に撤退を余儀なくされるとは言え、大いに奮戦を示した。
既に練度も十分なものとなっておりフリードリヒ級戦艦複数の撃破、装甲巡洋艦以下の相当数の水上戦闘艦を撃沈。
ここで自由フランス海軍を失うわけにはゆかぬと中破状態で南米を経由し、撤退せざるを得なかったが十分に意地を見せている。
なおフランス海軍も如何に巨大戦艦とは言え2隻だけでは戦力として乏しいことは、十分以上に承知していた。
故に3番艦及び4番艦まで予算が成立しており、各地の工場で戦闘艤装が製造されていたが、戦争に間に合うことはなかった。
また船体そのものが完成しておらず鹵獲対象にすらなりえず、造艦技術をドイツ人に学ばせる程度に留まっている。
リシュリュー級は最終的に欧州連合が瓦解する、1990年の
第四次世界大戦まで自由フランス海軍の最たる戦力であった。
祖国凱旋後もしばらくは現役にあり続け、やがて空母とミサイル駆逐艦を主力とする新海軍再編に伴い退役。
今はブレスト及びサン・ナゼールの故郷において、広く一般に公開される記念艦として往時の勇姿を長くとどめ続けている。
592:戦車の人:2025/08/07(木) 01:59:41 HOST:110-130-196-35.rev.home.ne.jp
今回も長くなってしまい申し訳ありませんでした。最後まで拝読頂き有難うございます。
モントゴメリー様から頂いた6万トン案リシュリュー級戦艦、その要素技術と生涯についての概略です。
当初は圧倒されましたが史実でもフランスが高い造船能力を有していたこと、この世界ではWW1の傷が浅い。
何より日英同盟及び欧州諸国から嫌悪されている合衆国が、モンロー主義故に軍事力増強に走った。
そのような背景事情を考えれば、これほどの戦艦を建造することも十分あり得ると考え筆を執ってみました。
そもそもRSBC世界は通商破壊と海上護衛戦が続く一方で、巨大戦艦と空母が大量に揃う世界観ですので…
同型艦は2隻に留まりましたが原作で2回目の北米戦争、第四次世界大戦まで彼女たちは健在です。
自由フランスの象徴とも言える戦艦であり、傷つき戦い続けても沈みはしなかった…という物語です。
wikiへの転載はご自由にお願いします。
最終更新:2026年04月09日 22:37