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98ホワイトベアー:2025/08/27(水) 22:32:50 HOST:om126166186204.28.openmobile.ne.jp
日米枢軸ルート 小ネタ 非日常編

秋の午後、やわらかな日差しの下、校庭は人の波であふれていた。
模擬店の焼きそば、クレープ、文化部の展示、体育館のステージ発表。
そのすべてが、学園祭という一日を彩る色鮮やかな舞台だ。

この日は校内が一般開放されており、校舎内では、保護者や受験を控えた中学生の他、兄や姉が生徒として所属している小学生たちも見学に訪れていた。
そうした多くの人々の一員である親子は特に楽しげに笑い合っていた。

「お母さん、ぼく先に二階見てきてもいい?」

「ちょっと……走っちゃだめよ!」

——母親はそう注意しようとしながら子供を引き留めようとするのだが、子供はもう階段を駆け上がっていく。
そして。

「きゃあっ!」

足を滑らせ、階段の中腹から勢いよく転げ落ちる小さな身体。
ゴツン、ゴツン、ガタン、上下の階を繋ぐ階段では嫌な音が響き渡り、母親のみならず付近にいた生徒や一般人も凍りつく。

「だれか、だれか呼んできて!」

「先生は!? 保健室は!?」

沈黙を破ったのは周囲にいた生徒たちであった。彼ら彼女らが顔を青くし、慌てて叫んだことでほかの人々も、ようやく麻痺していた思考が動き始める

「風紀委員呼んで! 早く!」

生徒の一人が言ったのであろう、その言葉に反応した男子生徒がすぐさま駆け出す。
幸いにしてそこまで時間をかけずに廊下の先で立っている風紀委員を見つけることができ、声を張り上げた。

「そこの風紀委員!! 急いで来てくれ! 階段で子供が!!」

焦りと軽いパニックで彼は詳しい状況を伝えることができなかった。しかし、風紀委員の少女を動かすのにはそれだけで十分だ。
男子生徒の助けを聞いた彼女たちは、即座に駆け出した。

制服のスカートが翻り、ポーチを揺らしながら走るその目は、すぐに冷静に状況を見据えていた。
現場に着くと彼女は腰のポーチを両手で構え、少年の脇に膝をつく。

「皆、離れて 」

周りに集まっていた人たちに、優しさと安心を感じさせる落ち着いた声色で指示をする。
声のトーンは明るく落ち着き、けれど動きは迷いがなかった。

呼吸音を確認。右肺の呼吸音が極端に弱い。
肋骨の変形を確認。触診による痛み反応強し、肺への穿刺疑い。
出血は外部よりも内部リスクが大。

患者や親御さんが見ているため表情には出さないが、かなり絶望的な状況である。
今この瞬間の応急措置が生死が分かれるレベルには、少年の容体は想像以上に危険だった。

駆け寄ろうとした母親が、別の風紀委員に止められながら泣きそうな顔で叫ぶ。

「お、お願い…息子を助けてください!!」

少女は柔らかく目を細めた。

「大丈夫です、お母さん。私達が必ず彼を助けます。落ち着いて、息子さんの手を握ってあげてください」

彼女の両手はすでに動いていた。携帯型超音波診断装置を引き抜き、患部に沿わせる。
内蔵AIが骨格と臓器の輪郭をリアルタイムで描き出し、肺の圧迫状態が一目でわかる画像が表示された。
小型端末に表示されたデータを確認し、少女は小さく息をつく。

「肋骨4本骨折、うち1本が肺を圧迫している。緊急脱気胸処置を行う」

周囲に集まっていた別の風紀委員に伝えるべくそう口にする。
同時に彼女はカートリッジ式の胸腔穿刺器を取り出し、患者の皮膚を消毒し、正確かつ手慣れた手つきでポイントを探る。

99ホワイトベアー:2025/08/27(水) 22:34:44 HOST:om126166186204.28.openmobile.ne.jp
「少しチクっとします。お母さん、彼の手を握っていてくださいね」

カチリ、と小さな音と共に器具が刺入され、肺から空気が抜ける音が聞こえる。

「呼吸、回復。安定化確認」

補佐に回ってくれていた少女の報告を聞いた彼女は、次に自動展開式の酸素マスクを広げ、少年の口元に装着。
彼女は担架をもって周りに集まっていた風紀委員達に指示をだし、少年を担架に乗せる。

担架に横たわった少年の顔色は蒼白だったが、酸素マスク越しの呼吸は浅く、けれど安定している。

最低限の処置はできた……ホッと安心しつつもスマホのような端末を起動させ、風紀委員会の緊急連絡システムに接続する。

「こちら立川市立東高校警備隊より立川警備隊司令部、階段転倒負傷者発生、緊急搬送要請。どうぞ」

『こちら立川警備隊司令部、申請を受託。待機しているヘリを送る。患者の容体は?オクレ』

「肺穿刺対応完了、患者安定化済み。どうぞ」

『把握した。内容をヘリのPJにも共有する。ヘリの到着まで8分。通信周波数は規定通り。以後はヘリと直接回線を許可するオクレ』

「了解」

無線でやりとりをしながら、並列してヘリコプターをどこに誘導するか思考を巡らせる。
校庭には屋台としてテントが少なくない家事展開されている。ヘリを近づけるのは危険だ。なら目指す先はどこか、そう考えると一つの候補が浮かぶ。屋上だ。

そうとなれば話は早い。彼女は手短にヘリに要請を出すと、周囲の委員に的確に指示を飛ばした。


「救難ヘリがすぐに屋上に到着しましす。4人で担架の左右を確保、衝撃を避けるためにペースは私に合わせて。階段では頭側を上に傾け、血流を確保してください」

了解!そう答えが返って来るやいなや、担架がゆっくりと持ち上げられる。
それだけであるはずなのに周囲に緊張感が張り詰め、見守っていた保護者や生徒たちは息を呑む。

「息子は、息子は大丈夫なのですか?」

「お母さん、慌てずに。容体は安定していますし、すぐに救難ヘリが屋上に来ます。息子さんは絶対に助かります。私たちが誘導しますから、息子さんのことだけ考えてください」

風紀委員の1人がそう言いながら母親の手を引き、母親は涙ぐみながらも、別の風紀委員に支えられて後ろをついていく。

廊下を抜け、屋上へと続く階段前に着く。
風紀委員の一人が先行し、ドアの施錠を解除、階段の途中で万一の事故がないよう一段一段を慎重に確認する。

「後ろ、異常なし!段差注意!」

「了解、頭側カバーする!」

階段では二人が前、二人が後ろ、絶妙な角度で担架を傾け、振動を極力抑えたまま上昇する。
母親は何度も泣きそうになり、足元がふらついたが、少女は彼女の腕をしっかりと支え続けた。

屋上のドアが開かれると、秋の空気が一気に吹き込んできた。

「屋上、異常なし!屋根面クリア!」

彼女たちが屋上へ到着して時間を置かずに連絡を受けた救難ヘリが上空に接近。ローターの爆音が頭上を震わせ、少女は無線で応答する。

「こちら立川市立東高校屋上、要救助者1名、保護者1名、準備完了。吊り上げ用ワイヤー降下してください」

風が強く、担架の上の少年の髪が微かに揺れた。
少女は膝をつき、彼の額に手を当て、小さく囁く。

「もうすぐだよ……もう少し、頑張ろう」

救難ヘリからパラレスキューが降下してくる。少女は迅速に手順を確認し、ヘリから降下してきたパラレスキューに患者の状態を手短に説明する。

「肺穿刺部位は応急固定済み、安定化完了。酸素供給中、意識レベルE3V4M6」

「了解、引き上げ開始!」

説明と同時にワイヤーがカチリと担架に固定されていき、降下してきた風紀委員の機内に引き上げられていく。

母親は涙に濡れた顔で、担架の息子を見つめながら必死に声を絞り出した。

「お願い……神様、息子を……どうか息子を助けてください……!」

風紀委員の少女はその声に静かに頷き、母親の手にそっと手を置いた。

「大丈夫です。必ず助かります。お母さんも信じてあげてください」

ゆっくりと宙に浮く担架が、救難ヘリへと引き上げられていき、機内に収容された。
その後、母親にも安全ハーネスが装着され、再び涙を零しながらも、今度は息子の名前を呼び続けながら、同じように空へと引き上げられていった。

残された少女達は、ようやく張り詰めていた肩の力を抜き、遠ざかるヘリを見上げた。
一瞬だけ、心の奥底で何かが温かく弾けたような気がしたが、それも一瞬のことだった。

「任務完了。後は後方班に引き継ぎましょう」

周囲の委員たちにそう告げ、彼女たちは再び校舎へと戻っていった。

100ホワイトベアー:2025/08/27(水) 22:35:39 HOST:om126166186204.28.openmobile.ne.jp
以上、東京都風紀委員会による学校での警備・救難の対応となります。wikiへの転載はOKです。

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最終更新:2026年04月19日 22:10