211 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/12/11(木) 23:32:00 ID:p750131-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [56/245]
憂鬱スパロボ
Fルート 未来編
天から見下ろす者
欧州中央は王国が弱り、共和国が未だに勢力を温存している関係からそのパワーバランスの変化に
振り回されていた。北米における干渉や代理戦争は各自に王国の余裕を削っており、王国と言う抑止力の
興味を欧州から北米へと移させていた。その間に蠢く共和国を含めた欧州諸国の思惑によって、各地では
小規模な軍事衝突や蜂起等も起こり緊張が高まっていた。
北方の海軍国ホルベックと中欧の有力国家ヴァイセンとの激突もそのさなかに起きた戦闘である。
海上や河川における機動性と海上における優位性を持って後方や僻地からの浸透を実行、想定外からの
地域へと進攻するホルベックの騎兵隊や河川戦闘艦が伸び切った補給線に食いついており、前線を
脅かしていた。
そうした地上の騒乱を雲の合間に浮く、人影が一つ存在した。この世界においては本来あり得ない、
航空機ですらない人間の単独による飛行と言う異質な存在は、周辺に同じようにこの世界では存在
し得ない4枚羽に円錐のある種のミサイルを思わせる存在を従えており、この戦場を俯瞰していた。
「デグレチャフ中将、サラマンダーⅡより帰還を願う通信が…」
「もう少し待たせておけ、大体、この世界には未だ鈍重な飛行艦くらいしか軽空脅威は無い。
この空で落とされる程、私が耄碌したとでも?」
「いえ…」
「帰りの燃料の余裕を見ても、もう一時間は行けるだろう。」
4枚羽からの言葉に対して上空から戦場を俯瞰していたターニャはにべもなくそう返すと再び眼下の戦場を
見続けていた。この世界に生まれるより二つ前以上、ある意味ではこの姿となるきっかけとなった世界を
思い起こさせるような戦場、またはその前段階と成り得る戦いの様子は彼女にとってもある意味では懐かしい光景である。
とはいえ、未だに鉄火量は嘗て身を置いた帝国と比べるまでも無く、少なくあの頃に比べれば小雨の如き有様ではあった。
(期待外れだな…)
心配する護衛機を尻目に彼女はある意味では落胆していた。中欧における覇権争い、と言えば、
彼女からすると思い出されるのはラインでの日々であったためだ。拡大する蘇同盟への牽制の為、
ライヒと皇国で建てられていた中欧への接触計画であったが、この分ではまずライヒや皇国が要求するような鉄量や生産力を持つことは難しい。それがターニャの判断であった。それは繋げている下の観戦武官や諜報担当からの情報とも合致しており、心を固めるには充分であった。
「隊長、12時の方向に何か…」
「アレはホルベックの騎兵隊か?随分と主戦場から外れた地域にいる。」
「残存兵力への掃討でしょうか?」
そんな中、部下の声を聴いて偶然目に留まったのは小規模なヴァイセンと他国の兵士との混成集団と
ホルベックの騎兵隊との戦闘であった。調べると、小国バーゼルラントの第二王子率いる義勇兵部隊が襲撃を受け所在不明となっており、それがこの近くまで敗走してきた事は想像に難くなかった。
少数のヴァイセン軍人達も負傷者は少なくなく容易く踏みつぶされるのは目に見えていたと言える。
ターニャの目を引いたのは彼等の持つ有刺鉄線であった。
陸軍国であるヴァイセンでもあまり見なかったそれを彼等は騎兵へと向けて、展開して機動性を奪って見せたのだ。
そして、其処に持ち出して来た物も彼女を驚かせた、ミトラィユーズと思われる連射式の火器である。
鉄量による騎馬の粉砕、期待に近い戦法を実行して見せた部隊が彼女のすぐ真下に居たのである。
212 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/12/11(木) 23:32:37 ID:p750131-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [57/245]
「有刺鉄線による足止めに機関銃による突撃の阻止…居る所には居るという事だな。あの部隊を指揮
して居るのは?」
「望遠からの識別ですが、恐らく主体として指揮を取って居るのはヴァイセン王国のベルント・バルツァー特務少佐かと…」
「成る程、雑誌に寄稿していた複数の論文の…伊達では無かったという事か。」
先ほどよりは機嫌が良くなったターニャは、送られてきた情報を空中へと投影しながら一人笑顔を
見せている。元々身長が伸び悩んでいた上にウィッチとしての特性や強化によるアンチエイジングによって
最盛期に近い姿をしている彼女の少女らしい声とは裏腹に、その笑顔は見た者に強烈なトラウマを
植えつけるような戦争狂のソレである。
「帰るぞ」
「宜しいのですか?」
「見る物は見た。軍事支援計画の完全な停止は時期尚早と考えても良いだろう、しかし問題は渡して扱えるか、だ。」
そう言いながらターニャは一気に戦場を離脱するべく飛行を開始した。その後を追従する様に護衛として
展開していた航空機たちも追従していく。一方、その頃ノルウェー海の上空を飛行する重コルベット
サラマンダーⅡは未だに帰還しないターニャを迎えるべく高空にて待機を続けていた。周辺には40m級の
コルベットも複数展開しており、周辺の動きを哨戒している。
「中将はまだ戻られないのか?」
「レーダーには何も…」
「すぐに戻ると言われてもう一時間だぞ…何か有れば我々の首が飛ぶ…」
胃の痛みを感じた艦長は腹部を抑えながらも前方一面の海を眺めながら、未だに返答の無い上官の帰還を待ちわびていた。
現在のターニャはライヒの将官であると同時に過去の大戦での功績で貴族としての階級まで上がった重要人物である。
その彼女に何かあったと有れば出世にも響く、ソレを想像しただけでも艦長の胃は悲鳴を挙げそうになっていた。
そんな中、監視レーダーが複数の高速で飛行する物体を捕らえた。この世界では現状友軍以外は早々考えられない超音速での飛行物体に即座にオペレーターが照会を開始した。
「アレは…」
「デグレチャフ中将です!」
「無事に帰って来てくれたか…」
『済まない。思った以上に散歩が長引いた様だ。』
「もう少しで私の胃に穴が開くところでしたよ…」
通信に出たターニャに対して艦長はほっとした様にそう答えた。画面を見ると彼女の後を追う様に、
ON-23W型のアーマーに身を包んだ、護衛達も追従しており現地偵察に赴いた全員が帰還している事が
伺える。徐々に減速した彼女達は艦後方より格納庫に入り、各々強化装甲の展開の解除や
ストライカーユニットから足を外している様子も確認できた。それを見届けた艦長は周辺の護衛部隊にも
通達を出すと共に間もなく欧州の勢力圏を離脱して、太平洋上のライヒ勢力圏へと帰還している。
何処の国にも気取られる事の無かったこの小さな騒動は後々の欧州情勢へと大きな影響を与えるライヒの
軍事支援や進出の重要な根拠情報となっており、それが小国であるバーゼルラントを翻弄する大きな
流れとなって彼等を翻弄する事となっている。
213 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2025/12/11(木) 23:33:32 ID:p750131-ipxg02901akita.akita.ocn.ne.jp [58/245]
以上です。WIKIへの転載は以上です。
一先ずはデグちゃまの欧州旅行の一部とか軍靴のバルツァー関連の
動きとかを軽くをば…
最終更新:2026年05月18日 20:03