393 名前:モントゴメリー[] 投稿日:2026/01/12(月) 22:15:13 ID:124-141-115-168.rev.home.ne.jp [31/79]
プリンセス・プリンシパル×クラガリ
シリーズ支援——『豆』乙女たちの憂鬱——
「え?戦争がのうなった?どういうことやマルコ」
ガルマ侯国軍装甲師団の新米戦車兵、アンリエッタ・ペチーノ(通称アン)はコンビを組む操縦手マルコ・ゼンへ訪ねた。
「何でもアメストリスがこっちの要求を全部受け入れて同盟に参加することになったんだって」
マルコはそう言ってから溜息をつく
「はぁ~あ。今度こそ戦場で手柄を立てられると思ったのに…」
「オスマン帝国と休戦協定結んだ時も同じセリフ吐いとったなマルコ」
アンは愛する相棒である『豆タンク』、L1軽戦車の砲塔から身を乗り出して操縦席を覗き込んだ。
「そんな悪いこっちゃとちゃう気がするけどなー。ウチかて死にとうは無いし、戦争が無くなって仲間も死なんで済むならええこっちゃ!」
「アンはそう言うけど、僕は手柄を立てるために軍に入ったんだよ…。これじゃあ何のためにドラクマなんて遠い国まで来たかわからないじゃないか…」
「ええやん、見たこともない所まで来れたんやから。遠足だと思い!」
「やかましいぞペチーノ兵長!まだ待機命令は解除されていない!!」
アンたちの上官であるリリア・マクレーヌ中隊長の雷が落ちた。
「うへー、すんません中隊長…」
「わかったなら大人しくしてろ!」
リリアはそう言いつつ離れていった。
「……(オスマン帝国に続き今回は助かったが、『次』はそうもいかないだろうな)」
リリアは心中でそう遠くない未来を想い、気を重くして行った。
394 名前:モントゴメリー[] 投稿日:2026/01/12(月) 22:17:06 ID:124-141-115-168.rev.home.ne.jp [32/79]
——所は変わってガルマ師団本営である。
「しかし、よくアメストリスはこちらの要求を飲みましたね」
主席参謀であるダイア・ヘルシオーネ少佐がそう切り出した。
彼女は対アメストリス戦を既定事項として師団の兵站や進撃路の策定を行っていたため、ここ数日の努力が無駄になった形である。
「大総統の決断だろうね。あそこは建前上は民主主義国家なのに、僕らローマ帝国陣営やオスマン帝国よりもトップダウンで国が動くから」
師団長にしてガルマ侯国の君主、ジョヴァンニ・ダンピアーノ侯爵が分析を示す。
「…にしても残念だな。戦いが無くなってしまった。」
「あらお兄様、いつもなら『また楽して儲けられた』と喜ぶところですのに?…そう言えば今回はえらく乗り気でしたわね。帝国上層部にお兄様の方から参陣を願い出たくらいですし…」
ジョヴァンニの妹にしてガルマ師団の師団長代理(実質的な司令官)であるメリッサ・ダンピアーノ中佐の疑問に答えたのは、情報参謀であるバルバラ大尉だった。
「ここである程度戦力を消耗させれば、それを口実に『次』の参陣を断れることもできたかもしれませんからね」
「ご明察。さすがバルバラだ」
ジョヴァンニが微笑を浮かべるのとは対照に、メリッサは顔をしかめながら話を継いだ。
「『次』の戦い…本当にやるのね、欧州への進撃」
「お偉方は欧州への『帰還』と言っているがね。我々があの土地を脱出してから少なく見積もっても1500年は経っているというのに」
「ですがお兄様、帝国の上層部や宗教家たちの威勢が最近いいのは存じてますが本当にやるのですか?
過去はともかく、今あの土地はアルビオンの領域です。そこに手を出すということはアルビオンと全面戦争になるということですわよ?」
「覚悟の上と言うことさ。そうでなければ、1000年以上いがみ合ってるオスマン帝国と休戦なんてしないよ」
ジョヴァンニは達観したような顔で告げた。
「…その場合、アルビオン王国はともかく数年前に分裂した共和国との関係はどうなるのですか?あそことは対王国のために国交を開いてましたが」
「それに関しては私がお答えします」
バルバラが衝撃の事実を伝える
「アルビオン共和国は、我々ローマ帝国陣営とオスマン帝国の欧州帰還を容認いたしました」
「そんな馬鹿な!百歩譲ってイタリア半島は傀儡国家による間接統治だからまだ妥協できるとして、ローマ帝国上層部はイタリア半島だけでなく最低でもガリア(=フランス)の領有権も主張していたじゃない。
あそこは歴としたアルビオンの直轄地よ!?」
「右腕を差し出してでも“頭”が欲しいということだよ、メリッサ。」
「…お兄様、つまりアルビオン共和国は祖国統一に乗り出すと?」
「そういう事さ。もうお偉方の間では話がまとまっているのだろうね。後はいつ始めるということだけ。
…我々もこのまま行けば巻き込まれる」
ジョヴァンニも今度は顔をしかめた。
「今までは運も味方してのらりくらり過ごしてきたけど、次の戦いはそうも行かない。旗色を鮮明にしないと領地接収もあり得る。
…だから今回でほどほどに消耗したかったんだけどなぁー」
「欧州へ進撃するとなると、我々が先鋒を務めることになりますからね」
ダイアが主席参謀としての推測を示す。
「イタリア半島はもちろん、フランス地方のインフラも我々の領域と比較にならないほど貧弱です。
ローマ帝国の主力部隊やオスマン帝国が運用する戦車でも重すぎて進むだけでも難渋します」
「対して僕らの主力である『豆タンク』は軽くて速いからねー。悪路でもヘッチャラな所が今までは長所だったけど、今回はそれが裏目に出るね」
「更に付け加えますと、アルビオン陸軍の装備相手なら『豆タンク』でも通用してしまいますしね。上層部からしたら投入しない理由がないかと」
「でも飛行艦に空から狙われたらおしまいよ?」
「それはオスマンのヤウズでも同じだからね。まあ、上は最近戦力化できた航空戦力をぶつければ勝てると踏んでいるみたいだけど…」
ジョヴァンニは立ち上がり、最後にこう言った。
「絶対に楽な戦いにはならないだろうねー…」
395 名前:モントゴメリー[sage] 投稿日:2026/01/12(月) 22:17:37 ID:124-141-115-168.rev.home.ne.jp [33/79]
以上です。
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「重機甲乙女 豆だけど」第一巻を読破した記念に作成いたしました。ガルマ師団の皆さんを私の全力を挙げて描写してみました。
最終更新:2026年06月23日 17:18