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319:陣龍:2025/12/30(火) 19:35:58 HOST:softbank060083066015.bbtec.net

『 自動人形ちゃん頑張る ~外伝 世は全て【事】も無し~ 』


「お疲れさんやで、【隊長】。大変やったな」
「お疲れ様です【隊長】。本日もお勤めご苦労様です」
「ああ、うん。ありがとう……何と言うか、歴戦の精鋭の代表格な二人に仇名とは言え【隊長】と言われるのは面映ゆ過ぎるよ」
「言うても【此処】見たいな私的な場所での事やでな、大して気にする事やあらへんよ」
「我々は所詮現場職にして肉体労働者。後方部門にして政務系担当の頭脳労働に比べれば気楽な物」
「たった二人で一個連隊をきりきり舞いさせて同士討ちで壊乱に追いやったと言う噂の伝説が有る二人に言われても、
何て返せば良いのよ……」



 自動人形にしかアクセス出来ない電脳空間。その中のとある箇所では『第四予備準備室』等と言う特に意味の無い
名付けがされたルームが有り、その中では複数の自動人形達がそれぞれ情報交換や交流等と称した駄弁り合いをしていた。
因みに過去何処ぞの暴走した自動人形が多数の同胞を千切っては投げ千切っては投げの千人抜きを達成した
例の電脳空間の場所だったりする。



「そうは言うてもなぁ、うち等やと今【隊長】が相対している難敵相手やとどうにも出来んでなぁ」
「軍隊で無いから武力の脅しも使いづらく、そしてあそこまで指示を曲解や独断専行する無能な働き者へ相手の対処法は、
それこそ拳銃弾しか思いつかず」
「一応、根本的な前提知識や行動仕様が此処まで違うとは夢にも思わなかった此方にも非が無きにしも非ずとは思わなくもなかったりするのよね……」


 溜息を吐く政務系担当自動人形な【隊長】に、神妙な面持ちと共に同情の目線を送る何処ぞの【特務任務】従事中自動人形の友人コンビ。
エネルギー自給とりわけ電力関連の不足や高騰問題を見た大陸連合が改善検討を提示したが早いか、
ほぼ独走の形で連合の【勅令】と言う威を借りて大規模メガソーラー発電計画を列島側の一部が画策。
当然その時点で連合の逆鱗モノなのだが、事態が発覚した時には列島側の生産力や建設力不足を理由とした某大陸国家からの
大量の太陽光パネル輸入や中近東等からの移民計画が固まりつつ有ったし、先行して土地買収すらも行われかけてすら居た。

当然ながら即時中止命令が下って完全に計画全てが潰された上、軍事裁判の如く引っ立てられた関係者達に対し
『【仮想敵国】の事を何だと思っているんだ』『無計画に等しい外国人労働者受け入れが齎す治安悪化等の対策は考えているか』等と言う当然の追及が行われたが、
返って来る答えは数値上等の経済面の事ばかりで連合日本側にとって尽くズレにズレた供述ばかりで、
挙句は発言権が財務省や宮内庁級に無い列島側の外務省のより『経済的関係により友好関係の再構築』と言う、
連合日本からして見れば完全な世迷い事が提言されると言う有様であった。此処まで来ると笑うより仕方ない。



「……それはそうと何だけど」
「どしたん」
「【交通事故の発見者】なら休日出勤で対応の由」
「サラッと飛んでも無い事言ったのは聞かなかった事にする。……あの隅っこで横倒しに寝ているのって、若しかしなくても?」


 何度目かも分からない自動人形の再発注の束が本国に再送付されて本社ビルが悲鳴と絶叫で大揺れに揺れているであろう事は
脳内から押し流しつつ、この電脳空間の『部屋』に入って視界に入って以後壁を向いた横倒れ体勢のまま
何一つ身動ぎもして居ない一人の自動人形に触れる【隊長】。


「まぁ……察して欲しいわ、あの恰好的に」
「……轟沈したのね」
「それも完膚なきまでに」
「……あの娘、本国の全ての技術を注ぎ込んで産まれた、史上最高レベルから更に上振れた特異点規模の自動人形だったと思うんだけど」
「【実績】としては『特務任務対象』従事中の自動人形の中で最も最低の進捗度でも有る」
「言うてやるな、そもそも体調不良と家業継承での離職者で人が回らんくて、例の【特務任務対象】は年末年始も正月三が日も何も無い
勤務になってしまったんやから無理もないやろ」
「相変わらずの人員不足っぷりね……」

320:陣龍:2025/12/30(火) 19:37:44 HOST:softbank060083066015.bbtec.net



 既に【同胞】の何名かは恋愛関係を超えて事実婚更には公式に婚姻関係が締結され、
その他にも順調に『特務任務対象』との関係が進行しているのに対して、自身はそもそも度重なる理不尽に飛んで来た障害による
過大な悪影響も有って恋愛以前の段階。しかも皮肉な事に、連合日本の多大なる干渉と関与で列島日本側の景気や経済が
改善・回復基調に乗りつつ有った影響からか福祉系に対する人員募集が低調を強め、
巡り巡って段階進行の切欠となるであろう年末年始と正月三が日のイベントが、『特務任務対象』が全期間丸ごと出勤と言う事で
モノの見事に消し飛んでいた。尚当事者側としては数年来以上何時もの事なので何とも思ってすら居ないのが
余計に礼の自動人形ちゃんの精神へ【大打撃】を与えた寸法である。同棲何年目なので度々同様の事は有ったのだが、
流石に重なり過ぎて心の均衡値が一時的にでも崩れた様子。


「……ある意味、世は全て事も無し。そんな風に言えるのかも知れないわね」
「原文は自然の営みや摂理を神が見守り、一切の不安や問題が無い理想的な状態を表す言葉だから、あの娘に取っては皮肉も皮肉」
「まぁ、うん、それはそうなんだけど」
「うち等としても早よ【くっつけ】とは思うとるけど、正直手詰まり感が強いしなぁ」
「ずっとこの恋愛コメディ状態を観劇していた同胞らも、殆ど変わり映えが無いか極稀に脳神経が断裂し兼ねない憤怒の事件かの二択だった事から、
最近はヒッソリ騒がず見守る姿勢にシフトしている」
「あ、一応野次馬する事自体は止めてはいないのね」
「何せ度々訳の分からん輩のこれまた訳分からん言い様で甚大な被害を受け取る実績が有るんや、何時でも横合いから
介入出来るように準備するっちゅう言い分で駄弁れるって事や」
「現実世界では何一つ問題無く行動可能な自動人形だけの特権」



 部外者の野次馬感全開で好き放題言い合っている友人や同胞にも一切無反応のまま、白目を剥いて息一つせず、微動だにもせず、
唯々灰の如く無音で倒れ伏したままの自動人形ちゃん。最早やけ食いヤケ飲みする気力すら枯渇し、
現実世界でも電脳空間と同じく同棲宅のベッドの上で横倒しになっている彼女の【彼ピ】は職場の施設で夜勤年越しである。


「……ちゃんと生きているよね?」
「大泣きして全ての食いもんと飲みもん喰らい尽くしながら何言ってるのか誰にも分からん新言語で縋りつかれるよりかは静かでええんとちゃう?」



 余談だが、以前の奇行の際に【発明】された、同胞の自動人形でも解読不能な謎の新創作言語のデータは本国に送られ、
未だに仮想敵国等が解読不能とされた既存暗号を超える新世代の暗号強度を飛躍的に強化する設計の大きな一助と化したと言う。

321:陣龍:2025/12/30(火) 19:40:37 HOST:softbank060083066015.bbtec.net
|д゚) 以上ですた、転載等はご随意に

|д゚) 最早世界の全てに呪詛が飛び出てそうな程に疲れて金属疲労的に捩じれ折れそうなエクストリームアッパーハイエンド自動人形ちゃん、
    この娘の苦労が真の意味で報われる日は何時来る事か()

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最終更新:2026年06月24日 23:19