682 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2026/01/28(水) 21:21:39 ID:sp49-109-140-159.tck02.spmode.ne.jp [4/6]
憂鬱SRW 融合惑星編「The Hound Dog in Megapolis」SS「前日譚 欠けた虹の橋」3.5
- 惑星2113 現地時間西暦2113年 日本 東京都 公安局ビル 分析室
そういえば、と朱に話を切り出したのは唐之森だった。
外交艦へのハッキングを調べる中で、気になることが出てきたのだ。
「不法アクセスを弾いた、エミュレーターサーバーってどういうものなの?」
「それは……実は私もよく知らないんですよね」
その問いかけに、朱は曖昧に返すしかなかった。
外交特権の一環で、そこについての情報は開示されていないのだ。
外務省さえも明かされておらず、万が一があっては怖いと連合も口をつぐんでいて、ただアクセスルートだけが提示されている。
だからこそ、こちらはその外側にファイヤーウォールを作ってセキュリティー体制を構築することくらいだったのだ。
「わかっているのは、名前の通り、こちらとあちらの通信を仲介して、エラーがないように変更しているということだけですね」
「……やっぱり、そうなのね」
「何がですか?」
「えっとね、ちょっと変じゃないかって思ったのよ……その呼び方がね」
唐之森の指摘したのは、エミュレーターサーバーという名前についての違和感だった。
「エミュレーターっていうのは、すごく乱暴に言えば内部のロジックを模倣する装置のこと。
この場合だと、時系列的に未来のあちらがこっちのソフトウェアを動かすために、こちらの通信規格などを模倣しているというなら、
一応は意味は通るの」
ただ、とタバコを一吸いして、唐之森は煙と共に言葉を吐き出す。
「通信の周波数とかを変換して合わせるだけなら、それは単にコンバーターといった方がいいんじゃないかってね」
「そう、なのでしょうか?」
「あっちとは物理法則は同じで、同じ物理法則に基づいた回線を繋げている。
違うのはその周波数の規格とか密度とか……まあ、多少違うだけよ」
言われると、なんだか引っかかる。
朱自身はコンピューターなどの機械関係に詳しいわけではないために、専門家の唐之森の指摘は今一ピンとこなかった。
「まあ、コンバーターもエミュレーターもこの場合ではどっちでも意味は通じるから、
はっきり言ってしまえば私の揚げ足取りみたいなものなのよね」
「……」
「ああ、ごめんなさいね。ちょっとした思い付きで……」
「いえ、ありがとうございます。唐之森さんの気が付きも、きっと役に立ちますから」
確証はない。けれど、何かの手掛かりになるのではと思えるのだ。
彼なら---狡噛ならこういったかもしれない、刑事の勘と。
683 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2026/01/28(水) 21:22:39 ID:sp49-109-140-159.tck02.spmode.ne.jp [5/6]
以上、wiki転載はご自由に。
エミュレーターとコンバーター。
その言葉が生まれるまでも、その言葉がたどってきた変遷も、今の人間がどういう意味を与えているかも、全て違う。
そう思わないかい?
頭の中にいる槙島が、そう呼びかけてきました。
そんな彼は藤子不二雄の作品を読んでいました。
最終更新:2026年07月20日 12:19