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緑化防衛回廊論——大陸を貫く生命線、補講②
前回は「乙女の涙」の生産に関する副産物——高級飼料——について述べたが、「緑の血管」の主要産業は別にあるのを覚えておいでであろうか?
そう、「緑の血管」の主要産業は「牧畜(牛やヤギ・羊などの小反芻)」である。そしてこちらの副産物——二次生産物もまた素晴らしい恩恵を与えてくれるのだ。
まず前提をおさらいすると、「緑の血管」で飼育される家畜数は
である。そしてこれらは生物であるため「出すものは出す」のである。「出すもの」すなわち「家畜糞」である。
厄介者とされがちであるが、適切な運用すれば莫大な利益をもたらしてくれるものでもある。
ではその量を計算してみよう。牛(300kg級・放牧)1頭が出す糞尿は「約20kg/日」であり年間では「7.3トン」となる。 これが25万頭分で
7.3 トン× 25万=約182万トン
次に小反芻(羊・ヤギ 35kg)は「約2kg/日」で、年間では「0.73トン」である。 これが414万頭で
0.73トン × 414万= 約302万トン
合計で「約484万トン/年」となる。
この糞の活用方法であるが、第一に「燃料(バイオガス)」が挙げられる。
糞1トンあたりから約30~40 m³のメタンガスが生成できる。今回は中央値を採用し「35 m³/トン」とする。
すると年間メタン生産量は
484万トン × 35㎥=約1億6940万 m³
これをエネルギー換算する。メタンガスは「1 m³ ≒ 10 kWh」のエネルギーになる。すなわち
1.69億 × 10 kWh= 約17億 kWh(1.7 TWh)
となる。1.7TWhとは中規模火力発電所1基分に相当するエネルギー量である。
例えば「乙女の涙」を生産する蒸留所は蒸留酒1Lあたり約8~12MJのエネルギーを使う。
中央値を取って「10MJ/L」とすると、蒸留所全体では
6600万 L × 10MJ=6.6×10⁸ MJ
つまり「約183 GWh」のエネルギー消費量となるが、これは家畜糞がもたらすエネルギーの10%程度でしかない。
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そしてこれで終わりではない。メタンガスを採取した家畜糞は「消化液」と呼ばれる物体となるが、これは「肥料」として極めて有効である。
むしろ重量は減る(約90%になる)のに必要な栄養素(窒素・カリ・リン)はほとんど残留するので肥料として扱いやすくなるのである。
ここから得られる年間肥料量は
484万トン × 0.9= 約435万トン
次に「栄養価」を算出する。平均的な家畜糞ベースの各成分含有率は
窒素(N):0.5%
リン(P):0.2%
カリ(K):0.5%
である。なので栄養量は
N:約2.2万トン
P:約0.9万トン
K:約2.2万トン
となる。「緑の血管」の必要肥料量を求めると
面積:8910 km²(=89.1万ha)
乾燥地改良型農業の必要量は、かなり控えめに見積もって
N:50 kg/ha
P:20 kg/ha
K:50 kg/ha
である。よって必要量は
N:89.1万ha × 50kg= 4.45万トン
P:89.1万ha × 20kg= 1.78万トン
K:89.1万ha × 50kg= 4.45万トン
となる。ここから家畜糞から得られる栄養価のカバー率は
- 窒素(N):2.2万 / 4.45万=約50%
- リン(P):0.9万 / 1.78万=約50%
- カリ(K):2.2万 / 4.45万=約50%
結論として、「緑の血管」は必要とする肥料の「約50%」を 有機肥料で賄うことが可能となるのである。
ただし、これは「単純施肥量ベース」の話である。実際には
有機物により「保水性向上」「微生物活性」「肥料効率向上」が起こり、 実効的には 「+10~20%補正」が入る。
「水源近傍」や「高収量区画」に重点投入することにより化学肥料の使用効率が上昇する。
これらの要素を考慮すると、実質的な依存度は
有機肥料:55~65%
化学肥料:35~45%
となる。
そしてこれで探求の旅を終えるFFRではない。
三大栄養素の一つ「窒素(N)」については『第二梯団』を用意している。
FFRは「緑の血管」にマメ科植物(例:アカシア、クローバー、アルファルファ等)を導入しているが、これらは根粒菌により「年間50~200 kg/ha」の窒素を地中に固定できる。
乾燥地・樹木主体なので保守的に「80 kg-N/ha/年」の数字を採用する。
そしてこれらを「緑の血管」全体の60%に普及させたとすると
89.1万 × 0.6=約53.5万ha
すなわち窒素供給量は
53.5万ha × 80 kg=約4.28万トン
となる。家畜糞由来の物と合わせると「約6.5万トン」となり、必要量の「約146%」となりむしろ他所へ輸出する余裕が生まれるのである。
(…ただし、ここまでやってもリンやカリの約半数は輸入しないといけないのは変わらないのであるが)
こうして、最終的に化学肥料への依存度は「30~40%」にまで低下する。
ここに「緑の血管」は、外部から投入されるのは主としてリンとカリのみであり、それ以外の資源は回廊内部で循環する
「半永久循環型農業システム」
として完成するのである。
- 430:モントゴメリー:2026/03/21(土) 17:07:50 HOST:124-141-115-168.rev.home.ne.jp
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- ちなみに「1.7TWh」という発電量は世界最大級の風力発電所である
「ロンドン・アレイ洋上風力発電所(総出力:約63万kW 、実発電量:約2.5TWh/年)」
の約70%に相当します。
最終更新:2026年08月11日 15:53