827:モントゴメリー:2026/04/21(火) 23:34:34 HOST:124-141-115-168.rev.home.ne.jp
日蘭世界SS——FFRの政治体制及び各政党について、③FFRの主要政党その2(兵科政党、陸軍系列)——
今回より数回に分けて、FFRにおける特徴の一つである兵科政党の解説を行う。
兵科政党とは単なる軍出身者の集団ではない。
それは各兵科が保有する戦力体系・予算・人員・ドクトリンを巡る利害を、議会という場に持ち込んだ「制度化された軍事派閥」でなのである。
【連邦歩兵守護同盟(Union des Gardiens de l'Infanterie:UGI)】
通称『盾(ル・ブクリエ)』。
歩兵科出身の将兵が立ち上げた政党であり、下院における兵科勢力の中で最大の議席数を誇る。
『戦争における“最後の決”は、常に我らの務めなり』
が党是であり、結党以来一貫して歩兵科への予算投下や装備更新を訴えてきた。
基本的には保守よりであり、FFRの国是である総力戦体制の構築・発展を常に主張してきた。
また“戦力とは兵員の数に比例する”という考えの下、徴兵制度の維持と更新にも熱心である。
そのため党主流派は徴兵枠の拡大を主張しているが、近年では機械化の推進による兵員数を維持したまま(=すなわち「削減」は主張しない)の戦力増強策を掲げる機械化派閥が勢力を伸ばしてきた。
主な派閥
- 伝統派:徴兵枠の拡大と平時戦力の増強を主張している。
- 機械化派:ラ・ピュセルなどの装備の更新により総合的な戦力の増強を主張する。
また現役兵士(必ずしも歩兵に限らない)に対する待遇改善も主張しているため、UPDPとの親和性が高い。
両者はしばしば「下層階級の命と権利を預かる巨大勢力」として、エリート層主体の政党に圧力をかけている。
支持層はFFR国民全体に広く分布しており、兵科政党と言いつつ国民からの人気も十分に確保している。
【機甲戦力研究会(Cercle d’Études de la Force Blindée:CEFB)】
通称『槍(ラ・ランス)』。
機甲科出身の将兵が集まって生まれた政党。
“先の大戦は機甲戦力の差で敗北した”と認識し、機甲戦力の増強を主張している政党である。
主に胸甲騎兵派と軽騎兵派に分かれているが
『常に機動せよ』
というナポレオン以来の鉄則は共有している。
主な派閥
- 胸甲騎兵派:火力と装甲を重視した重戦車傾向の戦車戦力の増強を主張。身も蓋も無いことを言うと、これも先の大戦のトラウマである。
- 軽騎兵派:装甲はある程度妥協し、必要十分な火力と高い機動性を有する軽戦車傾向の戦車戦力の増強を主張。広大なアフリカ州や遠方のエストシナ植民地へ戦力を投射しなければならないFFRとしては、一定の支持を得ている主張である。
提出した法案で有名なのは、「全師団の戦車師団化」法案などである(山岳師団など一部は除く)。
現政権とは大統領と総参謀長が機甲科出身であるため親和性が高く、実質的な与党として行動している。
(ただし「あくまで原則的に」である)
【砲兵協議会(Conférence de l’Artillerie:CAもしくはCAA)】
通称『鉄槌(ル・マルトー)』。
砲兵科将校たちの政党。
『現代戦では火力こそが唯一の真理である』
をスローガンに砲兵火力の強化を訴えている。
ここもCEFBと同じく先の大戦のトラウマを引きずっている集団だ。
彼ら彼女らは軍人であると同時に“数学者”でもあり、その情熱を冷徹な数字で包んだ政策を提言してくる。
“効率性”の追求により、意外にもARLと一部政策で連携することがある。
主な派閥
- 面制圧派:古き良き「鉄の雨」による徹底的な破壊を愛する。『砲弾を浪費できない軍隊は、兵士の命を浪費するしかない』という信念を持つ
- 精密打撃派:電磁投射の列車砲や要塞砲、弾道弾と衛星連携による遠距離ピンポイント破壊を主張。 『最小の費用で最大の打撃を』がスローガンである。
砲兵とは総力戦体制の象徴の側面もあるため、産業界との結びつきも強い。
828:モントゴメリー:2026/04/21(火) 23:35:28 HOST:124-141-115-168.rev.home.ne.jp
【連邦国土基盤・兵站総連合(Union Fédérale des Infrastructures et de la Logistique:UFIL)】 通称『動脈(レ・ザルテール)』。
工兵科と兵站科が同盟を組んで成立した政党。“兵科”政党と言いつつ、民間の建設業界や運送業界とも密接な関係を築いており彼らからも多大な支援が送られている。
(というより、建設業界も運送業界も、工兵科や兵站科出身の退役軍人が多数所属しており彼ら無しでは業務が回らないほど不可分な関係となっている)
『労働者たちが祖国の“血”を生み出すのならば、我らをその血が祖国全土へ巡るための“血管”と“血流”そのものを担う存在である』
という党是を掲げている。
民間出身の代議士も多く在籍しているため、兵科政党としてはUGIに次ぐ勢力を誇っている。
彼らにとっては、戦時も平時と変わらない「日常業務の一環」である。
道を啓き、線路を敷き、橋を架け、トンネルを穿ち、物資を送り届ける。ただそれだけだ。
「血流が止まることは“国家の死”に直結する」という使命感を以て、今日も彼らは工兵や兵站部門(とそれに付随する民間産業)への予算を要求する。
「緑の血管」など、アフリカ州での大規模インフラ整備を国策として邁進させているFFRという国家の背景から、大統領以下政府は彼ら彼女らの声を無視することは絶対に不可能である。
他の政党にとっても、UFILを敵に回したら自分たちの政策を実行するための“道”も“燃料”も失うことは理解しているため、常に配慮を欠かさない。
主な派閥
- 建設派(工兵系):建設業界と密接。建築、橋梁、道路及び鉄道網の拡充に命を懸ける。
- 流通派(兵站系):運送(とエネルギー)業界と密接。「ガソリンの一滴は血の一滴」と物流管理システムの刷新を常に主張している。
業界全体の自動化にも熱心でラ・ピュセルの開発や導入に関しても支援を表明していた。
また、派閥とまでは行かないがいわゆる「テクノクラート」系の官僚出身者も複数在籍している。
【連邦航空支援協会(Association Fédérale de Soutien Aérien:AFSA)】
通称は『傘(ル・パラプリュイ)』。
陸軍航空隊系列の政党である。
地上部隊を直協支援する回転翼機や一部地上攻撃機への予算投下を主張している。
『我らこそが兵士たちの最後の傘である』
ことをモットーとしている。
空軍を“肝心な時にいない役立たず”と敵視しており、下院でも予算をめぐって議論を繰り返している。
(本来なら数の差で空軍側が圧倒的優位であるが、陸軍全体の後援と、空軍自体の権威の低さから拮抗しやすい)
主な派閥
- 打撃派:直接的な近接航空支援を重視する。
- 支援派:物資の空中投下や負傷兵の空輸など後方支援を重視する。
近年では支援派の主導で無人機の採用にも積極的である。
空軍系とは相性が非常に悪いが、陸軍系列とは基本的に良好な関係を築いている。
特に近接航空支援の有難さを熟知しているUGIや、砲撃に必要な観測機の運用のためCAとは密接な関係を築いている。
【連邦情報・通信戦線(Front de l'Information et des Transmissions:FIT)】
通称は『神経(レ・ネール)』
通信科や情報科出身の将校が主力の政党。
“陸軍”系列に含めているが、海・空軍や宇宙軍の同種兵科出身者も広く受け入れている。
総力戦体制を円滑に運用するための情報網の整備と防諜を主張している。
特に防諜はやはり先の大戦のトラウマである。
(もう二度と大隊本部レベルの司令部まで狙い撃ちされるような真似はご免なのだ)
『正確な情報の伝達は1万発の砲弾よりも勝利に貢献する』
が党是である。
主な派閥
- インフラ派:FFR全土への総力戦仕様の通信網の設置・強化を主張している。
- 防諜派:機密情報の保全を至上としている。また、逆に仮想敵国への諜報の必要性も周知している。
規模は小さいがその存在感は大きい。
【連邦軍陣医学・公衆衛生会議(Conseil d'Hygiène et de Médecine de Campagne:CHMC)】
通称は「再生(ラ・ルネサンス)」
軍医系列の者たちが設立した政党であるが、党員には民間の医療従事者も多い。
医療福祉への予算強化や、“元帥”から引き継いだ公衆衛生の維持・発展を目標としている。
『我々は安易な“転属”を許さない』
が党是である。
主な派閥
- 清潔派:“元帥”以来の公衆衛生推進の立役者。子供たちへの適切な衛生管理の方法の教育などにも熱心である
- 臨床派:現場の医師たちの意見代弁者。再生医療や高性能義肢の研究開発、新薬の創造などの強化を訴えている。また、精神面の治療の重要性の啓蒙も進めて来た。
“人道主義の理想家たち”と言われることもあるが、その内実は「国民と言う“人的資源”の損失率をいかに下げるか」を追求する冷徹な管理者たちである。
その政策からFDCやUPDPと密接な関係を持つ。
829:モントゴメリー:2026/04/21(火) 23:37:23 HOST:124-141-115-168.rev.home.ne.jp
以上です。
ウィキ掲載は自由です。
兵科政党の陸軍編です。
もっとコンパクトにする予定でしたが、昨日熱と共に「彼ら」がやってきたので
これだけで3000字越えと一つの作品にできる量になり申した……。
最終更新:2026年08月11日 16:14